秋葉原に木造×鉄骨ハイブリッドオフィス開業
ベストカレンダー編集部
2026年7月22日 16:00
KiGi AKIHABARA開業
開催日:7月22日
📅 カレンダーに追加:Google|iPhone/Outlook
都心の中高層で「木」を構造に取り入れた新たな選択肢
株式会社サンケイビルは、2026年7月22日13時00分に自社初の木造中高層オフィスビル「KiGi AKIHABARA」の開業を発表しました。所在地は東京都千代田区東神田二丁目8-16で、代表取締役社長は飯島 一暢氏です。
本物件は地上9階建ての木造✕鉄骨造ハイブリッド構造で、建物中央のコアを鉄骨造、外周部を木造フレームとする設計を採用しています。都市部の耐震性・耐火性と木材利用の両立を狙った構成で、サンケイビルが提唱する「木でつながる。人がかがやく。」というコンセプトを具現化しています。
発表の背景と位置づけ
建築分野では脱炭素や資源循環の要請が高まる一方、都市部中高層ビルへの木材導入は構造・施工・事業性の課題から進みにくいのが実情です。サンケイビルは都心の限られた敷地でも木材活用の可能性を広げるため、木質技術と鉄骨造を組み合わせたハイブリッド構造を選択しました。
竣工は2026年5月29日で、設計は株式会社熊谷組一級建築士事務所、施工は株式会社熊谷組と住友林業株式会社の共同体が担当しています。本件は国土交通省「令和6年度優良木造建築物等整備推進事業」の先導枠として採択されています。(自社調べ)
技術と設計:3つの主な木質技術とハイブリッド構造の詳細
KiGi AKIHABARAでは、木材を構造材としてだけでなく耐火被覆、耐震部材として活用する複数の技術を組み合わせることで、都市部の中高層オフィスにおける木材活用を実現しています。
これらの技術は、木材の持つ質感や環境配慮の利点を残しながら、性能面での要件を満たすことを目指したものです。技術採用にあたっては熊谷組および住友林業の技術を活用しています。
採用技術の概要
- 環境配慮型λ-WOODⅡ(ラムダウッド・ツー):構造体の柱・梁・床に用いる木質耐火部材。接着剤を使用しないため、将来の分別解体やリサイクルを容易にし、環境負荷低減に寄与する点が特徴です。
- ドレスウッド:鉄骨部材に対する木材を活用した耐火被覆。鉄骨の強度を活かしつつ断熱材と木材で耐火被覆を行い、内部空間で木の質感を感じられる表面をつくります。
- KS木質座屈拘束ブレース:木質材料で鋼材を拘束することで安定的な変形性能を発揮する耐震部材。国産カラマツを活用できる技術で、国内林業の活性化にもつながります。
これら技術の組合せにより、建物の外周に木造フレームを配す一方でコアを鉄骨とするハイブリッド構造が成立しています。結果として都市部の中高層建築に求められる安全性と木材利用の両立を図っています。
構造的な特徴としては、木材の意匠性を内部に可視化することで、意匠と構造を一体化させた空間設計が可能になっています。
空間デザインと入居者体験:働く場としての木の効果
建物内では木材を構造体として用いるだけでなく、共用部やラウンジ、内装、木製家具などを通じて利用者の体験にまで木を展開しています。1階・2階・9階の空間デザイン監修にはPuddle社が参画し、公園のような居場所づくりを意識したデザインが導入されています。
この取り組みは、単に材料を変えるだけでなく、そこでの滞在や交流、創発を促す場づくりを目指すものです。ラウンジやカフェ、屋上テラスなど多様な滞在環境を用意しています。
デザイン監修者のコメント
- Puddle株式会社 代表取締役 加藤匡毅
- KiGi AKIHABARAでは従来のオフィスビルにはない、公園のような居場所をデザインしました。基壇部は神田川の水脈をたどるように、赤土や多摩の土壁、国産材の家具によってこの場所が自然とつながっていると感じられる空間を目指しました。
- オフィス階にもカフェのような居場所を設け、働くだけでなく語らい、発想が広がるオフィスを目指しています。木の洞のように、人やアイデアを受け止め、新たなストーリーが育まれることを期待しています。
施設内の主なパブリックスペースとしては、2階ラウンジ、セットアップオフィス、屋上テラス、1階カフェ、館銘板などが挙げられます。これらは木質化と家具配置を通じて利用者の交流や滞在を促すために設計されています。
環境配慮・資源循環・SDGsへの貢献
建設時から運用まで一貫して環境配慮を行う点が本物件の重要な側面です。設計段階の躯体検討では、同規模の鉄骨造と比較して約59.1トン、約19%の鉄を木材に代替することに成功し、建設時CO₂排出量を約112.3トン削減すると試算しています。
さらに、鉄骨の一部に電炉材を使うことや、自社開発の物流倉庫屋上で発電した太陽光の環境価値を活用することで、使用電力の実質100%を再生可能エネルギーにする取り組みを進めています。
資源循環と省エネルギーの具体策
- 既存杭の活用により新規資材投入を抑制。
- 旧建物解体時に発生した金属スクラップを再利用する「鉄のクローズド・ループ」を導入。
- 自社の太陽光発電所で生み出した再生可能エネルギーの環境価値を証書化して利用(非化石証書による再エネ利用)。
- 省エネ対策としてLED照明の採用、空調換気容量の適正化などを実施。
これらの取り組みはSDGsの複数目標に関連しており、具体的には以下の点に貢献しています。
- 目標7(エネルギー)
- 太陽光パネルと非化石証書による電力供給、LED照明や空調最適化によるエネルギー削減。
- 目標8(働きがいと経済成長)
- 館内Wi-Fi、ラウンジ、屋上テラス、個別空調などにより快適な労働環境を整備。
- 目標11(住み続けられるまちづくり)
- 外構・植栽計画により地域の景観向上に寄与。
- 目標12(つくる責任 つかう責任)
- 解体時の鉄スクラップ再利用や木材の活用により資源循環を推進。
- 目標15(陸の豊かさ)
- イヌワシの生態系保持のために間伐された木材を家具に活用する取り組みを実施。
物件概要・アクセス・企業情報
以下はKiGi AKIHABARAの主要な物件データ、アクセス情報、関係企業の概要です。設計・施工・竣工日などの基本情報を網羅します。
物件は千代田区秋葉原地区に立地し、周辺交通機関からのアクセスも複数の路線で確保されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 物件名 | KiGi AKIHABARA |
| 所在地 | 東京都千代田区東神田二丁目8-16 |
| 構造/規模 | 木造・鉄骨造(ハイブリッド)/地上9階建 |
| 敷地面積/延床面積 | 169.27㎡/1,072.04㎡ |
| 総貸室面積 | 711.57㎡ |
| 設計 | 株式会社熊谷組一級建築士事務所 |
| 施工 | 株式会社熊谷組・住友林業株式会社(共同) |
| 竣工 | 2026年5月29日 |
| アクセス | 東京メトロ日比谷線「秋葉原駅」徒歩6分 都営新宿線「岩本町駅」徒歩6分 JR山手線・京浜東北線・中央線・総武線、つくばエクスプレス線「秋葉原」駅徒歩9分 JR総武線「浅草橋」駅徒歩6分 |
| 関連サイト | KiGi 公式サイト(外部リンク) |
サンケイビルは1951年創立以来、ビル事業、住宅、ホテルリゾート、シニア事業、物流および海外事業の6領域で事業を展開してきました。現在は「カルチャーデベロッパー」として、建物とともにその場所での過ごし方や体験を提案する取り組みを進めています。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 事業主体 | 株式会社サンケイビル(本社:東京都千代田区大手町、代表取締役社長 飯島 一暢) |
| 開業日/竣工 | 発表:2026年7月22日 13:00/竣工:2026年5月29日 |
| 構造・規模 | 木造✕鉄骨造ハイブリッド/地上9階建 |
| 環境効果(設計段階試算) | 約59.1トン(約19%)の鉄を木材に代替、建設時CO₂排出量を約112.3トン削減 |
| 再生可能エネルギー | 自社開発の物流倉庫屋上太陽光発電所で生み出した環境価値を活用し、使用電力実質100%再生可能 |
| 採用技術 | 環境配慮型λ-WOODⅡ、ドレスウッド、KS木質座屈拘束ブレース(熊谷組・住友林業の技術活用) |
| 設計・施工 | 設計:株式会社熊谷組一級建築士事務所/施工:株式会社熊谷組・住友林業株式会社 |
| 延床面積・貸室面積 | 延床面積:1,072.04㎡/総貸室面積:711.57㎡ |
KiGi AKIHABARAは建物完成を出発点とし、開業後も木や森に関わる活動や情報発信を続けることで、都市と森、人と人をつなぐ場の価値を育成する方針を示しています。設計・技術面での工夫と運用を通じた環境配慮の両面から、都市型オフィスにおける木材活用の新たな一例として注目されます。