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三井ダイレクト損保、AI音声で夜間ログイン解消

ボイスエージェント稼働

開催日:4月1日

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ボイスエージェント稼働
いつからこのサービスが使えるの?
本番稼働は2026年4月から開始。三井ダイレクト損保で4月に稼働後、5月時点でAIへの苦情は0件、夜間の自己解決率が大幅に改善しています。
AIが誤った案内をしたりしないの?
誤案内リスクはRAG(社内ナレッジ参照)設計で構造的に低減され、回答は確認済み情報に限定。speech-to-speechで自然な会話を実現し、現場でも苦情は報告されていません。

夜間・高齢層に寄り添う仕組み──ログイン困難を防ぐ新たなコンタクトセンター設計

カラクリ株式会社は、三井ダイレクト損害保険のお客さまセンター部にボイスエージェント「KARAKURI voice agent」を提供し、2026年4月から本格稼働を開始したと、2026年6月18日付のリリースで公表しました。本稿は同リリースの内容を整理し、導入の背景、技術的な特徴、初期効果、現場の評価、そして企業情報までを網羅的に伝えます(リリース日時:2026年6月18日 09:00)。

導入の背景には、セキュリティ強化に伴うログイン関連の問い合わせ増加と、高齢顧客を中心とした“操作に不慣れな層”への対応ニーズがあります。三井ダイレクト損保は契約件数が100万件を突破し、月間総接点数は約8万〜9万件に達しています。そのうち電話チャネルが約65%(月5万〜6万件)を占め、ログイン関連の入電はかつて月約5,000件、1件あたりの平均応対時間は約10分に及んでいました。

なぜ今、ボイスエージェントか

2024年7月のウェブサイトリニューアルによるパスワード要件変更でログイン問い合わせが2〜3倍に増加し、さらに2026年9月に予定されている二段階認証(2FA)導入により入電が更に増えることが見込まれました。加えて、ログイン問い合わせの対象顧客は平均年齢61歳、最頻値72歳と高齢層が多く、電話での丁寧な案内が求められる点も課題でした。

このような状況を受け、三井ダイレクト損保は、電話チャネルの混雑緩和とノンボイス対応(チャットボット、SMS等)を含むハイブリッドな応対インフラ構築を目的に、カラクリのボイスエージェント導入を決定しました。

技術と設計の要点──RAGアーキテクチャとspeech-to-speechで精度と自然性を両立

「KARAKURI voice agent」は、単なる決まり文句で応答するシナリオ型ボイスボットとは異なり、音声を直接入出力するspeech-to-speech方式を採用しています。これによりテキスト変換を経ずに音声でのやり取りが可能となり、会話の途中での割り込みや脱線に対するリカバリー能力を高めています。

同時に、回答の正確性を担保するためにカラクリはRAG(検索拡張生成)アーキテクチャを採用しています。三井ダイレクト損保が「KARAKURI chatbot」運用を通じて整備してきた社内ナレッジを参照して回答を生成するため、案内内容は確認済み情報に限定され、ハルシネーション(誤情報生成)リスクを低減しています。

技術的な特徴の整理

speech-to-speech方式
音声入力から音声出力へ直接処理することで、会話の自然性を確保。途中発話や割り込みに応じた待機・復帰が可能です。
RAGアーキテクチャ
社内ナレッジを検索して参照しつつ回答を生成するため、誤案内のリスクを構造的に抑制します。
IVRを経ずに直接AIへ接続する設計
ユーザー体験を損なわないために、IVR(自動音声応答)を経由せずにAIへ直接つなぐ設計を採用しています。

初期運用の実績と現場の評価:苦情ゼロ、夜間対応で新たな自己解決機会を創出

本番稼働は2026年4月で、稼働から約2か月(2026年5月時点)の初期実績がリリースで報告されています。稼働後のAIへの苦情は0件(2026年5月時点)を記録しています。高齢層でもAIとの会話を最後まで完了するユーザーが継続して確認されており、受け入れられている点が強調されています。

リリースでは、営業時間外(18時以降)における問い合わせの解決率が「527%」に達していると記載されています。これにより、従来は「ただいま営業時間外です」と案内するしかなかった夜間・休日のログイン問い合わせでも、初めて自己解決の機会を提供できるようになったとしています。全時間帯の自動解決率は引き続き改善過程にあり、目標は60〜70%に設定されています。2026年5月からはAIへの導線をさらに拡大しており、指標の改善が見込まれます。

現場責任者のコメント

三井ダイレクト損害保険株式会社 お客さまセンター部 品質・業務グループ グループマネージャーの和田英典氏は、導入に至った経緯と評価を次のように述べています。マイページ入口で立ち往生している顧客を何とかしたいという思いが出発点で、シナリオ型ボットでは柔軟な応対が難しく、音声の滑らかさやハルシネーションリスクの低さ、業務説明不要の安心感がカラクリを選んだ決め手だとしています。

IVRを経ずに直接AIへ繋ぐ設計にあたり、一定の苦情は覚悟していたものの、高齢のお客さまでも違和感なく会話が成立し、苦情が0件である点に手応えを感じていると述べています。二段階認証の本格導入(2026年9月)でさらなる負荷が想定されるため、そこでの有効性が今後問われるとしています。

企業情報・提供サービスと取り組みの全体像

カラクリ株式会社は「Friendly Technology」をミッションに掲げ、カスタマーサポート領域に特化したAI製品群「KARAKURI」を開発・提供するスタートアップです。大手企業150社以上に導入実績があり、SBI証券、大和証券、星野リゾートなどの顧客を有します。

同社は経済産業省・NEDOのGENIAC第3期に採択され、AWS Trainiumを活用した国産LLM「KARAKURI LM」やビジョン・ランゲージモデル「KARAKURI VL」の開発も進めています。会社概要は以下の通りです。

  • 会社名:カラクリ株式会社
  • 住所:〒104-0045 東京都中央区築地2-7-3 Camel 築地 II
  • 設立:2016年10月3日
  • 代表者:代表取締役CEO 小田 志門
  • 事業内容:カスタマーサポート特化型AI「KARAKURI」シリーズの開発・提供・運営など
  • 関連URL:https://karakuri.ai/
  • 事例詳報:詳細インタビュー(導入事例)

対象領域とキーワード

本取り組みは、アプリケーション・セキュリティおよび生命保険・損害保険領域に関わるものであり、関連キーワードは次のとおりです。

  1. AI、生成AI、AIエージェント
  2. ボイスボット、ボイスエージェント
  3. 損害保険、自動車保険
  4. DX、カスタマーサポート、コンタクトセンター

要点整理(本記事で触れた主要情報)

以下の表は、本リリースで示された導入目的、技術要素、初期効果、実施日程および関係者情報をコンパクトにまとめたものです。表の後に本稿の締めくくりとして要点を述べます。

項目 内容
プレスリリース日 2026年6月18日 09:00(カラクリ株式会社発表)
導入先 三井ダイレクト損害保険株式会社(お客さまセンター部)
導入サービス KARAKURI voice agent(KARAKURIシリーズ)
稼働開始 2026年4月(本番稼働)
主な導入目的 ログイン関連問い合わせへの24時間対応、電話チャネル混雑緩和、デジタルシフト支援
技術要点 speech-to-speech方式、RAGアーキテクチャによる社内ナレッジ参照でハルシネーション低減
初期効果(2026年5月時点) AIへの苦情:0件。営業時間外(18時以降)解決率:リリース表記「527%」。全時間帯の自動解決率は60〜70%を目標に改善中
顧客層 ログイン問い合わせの平均年齢:61歳、最頻値:72歳(操作に不慣れな高齢層が多い)
現場コメント 三井ダイレクト損保 お客さまセンター部 グループマネージャー 和田英典氏の評価を掲載(音声品質・誤案内リスク低減・業務理解の容易さが採用理由)
関連リンク KARAKURI voice agent サービスページ導入事例(詳細インタビュー)カラクリ株式会社公式

本稿では、カラクリによるボイスエージェント導入の背景、技術的特徴、初期成果、現場の声、企業情報を網羅しました。特に夜間・休日のログイン問い合わせに自己解決の機会を与えた点と、ハルシネーション対策としてのRAG設計、及びspeech-to-speech方式による会話品質の向上は導入の要点として押さえておきたいポイントです。今後は2026年9月に予定されている二段階認証導入を控え、より一層の運用検証と指標改善が求められる局面となります。