ソグディアナで2寺院発見 壁画と後漢鏡が紡ぐ交流
ベストカレンダー編集部
2026年6月1日 08:16
拝火寺院発見
開催日:5月22日
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ソグディアナで相次いで確認された拝火寺院――発見の全貌
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の国際共同研究チームは、ウズベキスタン共和国の重要遺跡であるクルドル・テパ遺跡およびクルゴン・テパ遺跡において、5〜8世紀初頭に機能していたと考えられる2つのゾロアスター(拝火)寺院の遺構を発見しました。発表は岡山大学より2026年5月22日に行われ、報道資料上における記載日時は2026年6月1日です。
調査は岡山大学文明動態学研究所(学術研究院先鋭研究領域、文明動態学研究所)の村上智見助教を中心とするチームと、サマルカンド考古学研究所、ベルリン・ブランデンブルク科学アカデミーの国際共同研究体制で実施されました。今回の調査は、同地域で類例の少ない寺院が相次いで2件確認された点で意義が大きく、ソグド人らの宗教的実践や地域文化の形成過程を理解するうえで重要な資料を提供します。
遺跡の所在地と時期
発見された遺跡はウズベキスタンのシルクロード上に位置するクルドル・テパおよびクルゴン・テパという二か所で、出土資料や遺構の様式から5世紀から8世紀初頭にかけて使用されていたと推定されています。
これらの寺院遺構は、ソグディアナ地域における宗教施設の配置や祭祀形式を復元するうえで新たな視角を提供します。発掘報告は第31回〜第33回の西アジア発掘調査報告会で順次発表されています。
出土遺物が示す東西文化の交錯
現地調査で確認された遺物は、多様な文化的影響が混交していることを物語ります。特に注目されるのは、彩色壁画、金製装飾品、銀貨、そして後漢鏡「四葉座内行花文鏡」です。
彩色壁画にはササン朝ペルシア風の人物や草花文が描かれており、ソグド人らが受容した西方文化的要素が視覚的に残されていました。一方、遺物には東アジアと結びつく可能性を示す資料も含まれ、地域が単に通過点であったのではなく、多元的な文化の受容と再編の場であったことが伺えます。
四葉座内行花文鏡の特徴と意義
寺院の祭壇からは後漢鏡と同系統の「四葉座内行花文鏡」が出土しました。元素分析の結果、中国本土で作られた一般的な鏡とは異なる合金組成を示し、波状文が見られるなど従来知られた文様とは異質な特徴を合わせ持っています。
この鏡は西域で製作された「模倣品」である可能性が指摘され、鏡の製作・流通と地域的模倣の過程を解明するうえで重要な事例です。日本に多く伝わる後漢鏡との類似点も指摘されており、ユーラシア内の物質文化交流の一端を実物で示しています。
彩色壁画・金銀装飾の様相
彩色壁画は極めて希少な保存状態で残されており、人物表現や冠の意匠の一部は日本にも伝播した表現と共通点が認められます。これにより、被葬地や祭祀場での視覚文化を通じた文化伝播の経路を検討できる資料が得られました。
金製装飾品や銀貨は同地域の経済的側面や交易関係を示すもので、出土資料の組合せは宗教儀礼・葬送・交易活動が交錯する社会像を描き出します。
研究体制・発表と展示情報、研究資金
本調査は村上智見助教を中心に、サマルカンド考古学研究所、ベルリン・ブランデンブルク科学アカデミーとの国際共同研究チームで実施されました。研究成果は複数の学術報告や発掘調査報告会で公開され、論文としてもまとまっています。
発表・掲載された論文はいずれも調査年度別に整理され、調査報告会の報告集に掲載されています。各論文の詳細は提供されたURLから確認できます。
掲載論文と報告
- 論文名(2025年度)
- 「ソグディアナの都市を探る-ウズベキスタン共和国クルドル・テパ遺跡発掘調査(2025年度)」
- 掲載誌:令和7年度考古学が語る古代オリエント-西アジア遺跡調査報告会報告集
- 著者等:村上智見ほか
- URL:http://jswaa.org/wp/wp-content/uploads/2026/03/report23-murakami.pdf
- 論文名(2024年度)
- 「ソグディアナの都市を探る-ウズベキスタン共和国クルゴン・テパ遺跡発掘調査(2024 年度)」
- 掲載誌:令和6年度 考古学が語る古代オリエント-西アジア遺跡調査報告会報告集
- URL:http://jswaa.org/wp/wp-content/uploads/2025/02/2d371e7070cb85a6e7f815b1049a3f98.pdf
- 論文名(2023年度)
- 「ソグディアナの都市を探る-ウズベキスタン共和国クルドル・テパ遺跡発掘調査(2023年度)」
- 掲載誌:令和5年度 考古学が語る古代オリエント-西アジア遺跡調査報告会報告集
- URL:http://jswaa.org/wp/wp-content/uploads/2024/01/112-116-22-murakami.pdf
特別展と公開
発掘成果は国立民族学博物館の特別展「シルクロードの商人(あきんど)語り―サマルカンドの遺跡とユーラシア交流―」で展示されており、2026年6月2日まで開催中です。展示には今回出土した四葉座内行花文鏡の実物も含まれています。
展示により、発掘資料を一般に公開し、シルクロードを通じた人々や文化の交流の実態を視覚的に提示しています。展示情報の詳細は岡山大学の公開資料および国立民族学博物館の案内をご参照ください。
研究資金・支援
本研究は以下の資金援助を受けて実施されました。
- JSPS科研費(JP23K00928、JP23K25400)
- 三島海雲記念財団
- クリアハンドレル・イゴル氏の支援
これらの支援は現地調査・分析・保存・公開の各段階にわたって用いられ、学術的な成果の公表と遺物の展示に結びついています。
研究窓口・関連情報と調査の位置づけ
本件に関する問い合わせ先や関連機関の連絡先は岡山大学が公式に提示しており、学内外の連携や産学官協働に関する窓口も整理されています。研究の学術的な位置づけはソグディアナ地域の都市・宗教・交易史の検証にあり、東アジアとの関係性を再検討する契機となります。
発表は岡山大学文明動態学研究所からの公開資料に基づきます。研究所のウェブページ等で関連する活動や報告が確認できます。
問い合わせ先(主たる窓口)
- 岡山大学 文明動態学研究所 助教 村上智見
- 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1 岡山大学津島キャンパス
- TEL:086-251-7290 FAX:086-251-7290
- プレスリリース:https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1551.html
また、岡山大学では大学病院や産学連携、研究機器共用やスタートアップ支援に関するそれぞれの窓口が設けられており、該当する問い合わせ先に案内がなされています。
関連リンク(主な公開先)
- 岡山大学:https://www.okayama-u.ac.jp/
- 岡山大学文明動態学研究所(RIDC):https://ridc.okayama-u.ac.jp/
- 発掘報告(2026/03):http://jswaa.org/wp/wp-content/uploads/2026/03/report23-murakami.pdf
- 発掘報告(2025/02):http://jswaa.org/wp/wp-content/uploads/2025/02/2d371e7070cb85a6e7f815b1049a3f98.pdf
- 発掘報告(2024/01):http://jswaa.org/wp/wp-content/uploads/2024/01/112-116-22-murakami.pdf
発表要点の一覧と本記事のまとめ
ここまでに記した発見の要点と付随する情報を表形式で整理します。調査の基本情報、出土品の特徴、展示・発表状況、研究資金・問い合わせ先を網羅しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表元 | 国立大学法人岡山大学(文明動態学研究所) |
| 発表日(公開) | 2026年5月22日(資料公開)、報道資料上の日付:2026年6月1日 |
| 遺跡名 | クルドル・テパ遺跡、クルゴン・テパ遺跡(ウズベキスタン) |
| 時期 | 5世紀〜8世紀初頭(推定) |
| 主要発見 | 2件のゾロアスター(拝火)寺院遺構、彩色壁画、金製装飾品、銀貨、後漢鏡(四葉座内行花文鏡)等 |
| 鏡の特徴 | 元素分析で中国一般鏡と異なる組成、波状文を有する点で従来例と異質。西域で製作された模倣の可能性。 |
| 展示 | 国立民族学博物館 特別展「シルクロードの商人(あきんど)語り―サマルカンドの遺跡とユーラシア交流―」にて、2026年6月2日まで展示(四葉座内行花文鏡の実物含む) |
| 研究体制 | 岡山大学、サマルカンド考古学研究所、ベルリン・ブランデンブルク科学アカデミーの国際共同研究チーム |
| 資金援助 | JSPS科研費(JP23K00928、JP23K25400)、三島海雲記念財団、クリアハンドレル・イゴル氏 |
| 主要論文・報告 | 2023〜2025年度の発掘調査報告(西アジア発掘調査報告会報告集)および関連URL |
| 問い合わせ | 岡山大学 文明動態学研究所 助教 村上智見(TEL:086-251-7290)および岡山大学の各連携窓口 |
今回の発掘成果は、ソグディアナの社会が東西両方向からの文化を取り込みつつ独自の形で展開したことを示す具体的な証拠を提供します。出土した鏡や彩色壁画などの物質文化は、ユーラシア交流の複雑な構図を示す資料であり、今後の追加調査と分析が注目されます。関連情報は岡山大学の公式ページおよび掲載された調査報告から確認できます。