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Degasと松尾研究所、ガーナ・ケニアで農業DX実証開始

アフリカ農業DX実証事業

開催期間:4月1日〜2月28日

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アフリカ農業DX実証事業
何をやる事業なの?
経産省補助(約8.2億円)を受け、2026年4月〜2029年2月にガーナ・ケニアで農家・農地単位の一次データ取得からAIによる収穫量予測、評価・実運用までを一気通貫で実証する3年プロジェクト。松尾研究所が現地AI人材育成を担当する。
それって農家や金融にどう役立つの?
農家・農地単位の定量データでリスクや収益性を可視化し、金融機関や保険会社が投融資・保険判断を行いやすくする基盤を構築。現地AI人材育成で持続的運用と知見の還元も期待される。

Degasと松尾研究所が目指す、データから実運用までつなぐアフリカ農業のDX

2026年4月16日付でDegas株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:牧浦土雅)は、経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業(大型実証 非ASEAN加盟国)」二次公募に採択され、補助対象経費約8.2億円を受けることが公表されました。本事業はガーナ共和国およびケニア共和国を対象に、農家・農地単位の一次データ取得からAIによる収穫量予測、そして実運用までを一気通貫で実装することを目指すDX実証事業です。

本稿では、採択の背景、事業の具体的構成、関係組織の役割分担、技術的な取り組み、期待される社会的インパクトまで、プレスリリースの全情報を整理して伝えます。取り組みの相手方としては、AI人材育成に実績がある株式会社松尾研究所(以下「松尾研究所」)が共同推進パートナーとして参画します。

Degas株式会社、松尾研究所と共同で経済産業省「グローバルサウス未来志向型共創等事業(大型実証 非 ASEAN 加盟国)」に採択 画像 2

採択の要旨と公表日時

本採択は令和6年度補正の大型実証枠におけるもので、Degasは二次公募で選定されました。プレスリリースは2026年4月16日 08:30に公開されています。

補助対象経費は約8.2億円で、事業は2026年4月1日から2029年2月28日までの3年間で実施されます。対象国はガーナとケニアです。

事業名 令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(大型実証 非ASEAN加盟国) 二次公募
プロジェクト名 農業データ基盤構築およびAI収穫量予測技術の実証と現地AIエンジニア育成事業
実施国 ガーナ共和国、ケニア共和国
実施期間 2026年4月1日 – 2029年2月28日(3年間)
補助対象経費 約8.2億円
Degas株式会社、松尾研究所と共同で経済産業省「グローバルサウス未来志向型共創等事業(大型実証 非 ASEAN 加盟国)」に採択 画像 3

なぜ今、アフリカ農業で一次データが重要なのか

アフリカ大陸は人口約15億人、労働人口の約60%が農業に従事している一方で、穀物収量は1ヘクタール当たり約1,400kgにとどまり、他の途上国の水準(4,000kg超)に比べて低いとされています(出典:World Bank等)。未開拓耕作地の割合や農業分野の資金ギャップ(年間約750億米ドル)など、産業的な伸びしろは大きく、同時に構造的な課題も存在します。

その主たる課題の一つが、農家・農地単位の一次データが体系的に取得・蓄積されていないことです。衛星データや公開統計だけでは、個々の営農行動や収穫量の精緻な把握に限界があり、金融機関や保険会社が参入しにくい状況が続いています。本事業は、現場オペレーションの設計からAIモデルの構築、実運用までを統合して進める点に特徴があります。

主要な背景データ
・アフリカ人口:約15億人(World Bank)
・農業従事者割合:約60%(World Bank)
・穀物収量:1,400kg/ha(対象地域平均)
・農業分野の資金ギャップ:約750億米ドル(African Development Bank, 2025)

実施体制と各組織の役割分担

本事業はDegasを幹事法人とし、現地子会社のDegas Ghana Ltd.、共同推進パートナーとして株式会社松尾研究所が参加します。役割分担は設計・構築、現地オペレーション、AI人材育成・教育という三位一体の構成です。

下記は各組織の主な役割を整理したものです。実運用段階では日本の金融機関・保険会社との連携を通じた商業化推進も計画されています。

Degas株式会社(幹事法人)の役割

Degasは農家・農地単位の一次データ取得基盤の設計・構築、データパイプラインおよびAIプロダクトの構築を主導します。さらに、日本側の金融機関や保険会社との連携による商業化の推進を担います。

同社は2018年創業以来、ガーナで累計85,000軒超の小規模農家向けファイナンスを提供してきた実績を持ち、既存の農家ネットワークと現地オペレーション体制を即時活用できる点が強みです。

  • 一次データ取得基盤の設計・実装
  • データパイプラインとAIプロダクトの開発
  • 金融機関・保険会社との商業化連携

Degas Ghana Ltd. と株式会社松尾研究所の役割

Degas Ghana Ltd.は現地の農家ネットワークを活用し、一次データ取得の実装・運用を担います。現場での日々のデータ収集、サーベイ、収穫量計測などを行います。

松尾研究所はGCI(Global Consumer Intelligence)プログラムを基盤に、現地インターンシップの提供や実践的ワークショップ、共同研究を通じたOJTを実施し、現地AI人材の育成を担当します。GCIはグローバルな受講実績があり、2025年9月に開講した講義には世界32カ国から7,000人超が受講しています。

Degas Ghana Ltd.
既存農家ネットワークの活用、現地データ取得の実装・運用
株式会社松尾研究所
現地AIインターンシップ・ワークショップ提供、OJTによる人材育成

実証設計と技術的アプローチ

本事業は実証設計・現地準備からデータ取得、AIモデル構築、実運用・評価、現地AI人材育成、共同研究、さらに他国展開のための基盤整理までを3年間で一気通貫に推進します。最終目標は、日本の金融機関・保険会社が投融資判断に活用できる水準のデータ基盤とAIプロダクトを構築することです。

従来の取り組みではデータ取得オペレーションとAIプロダクト構築が分断されることが多かった点を踏まえ、本事業では初期から両者を連携させる運用設計を行います。また、JICA DXLabの衛星AIを活用したエチオピアにおける農業保険支援プロジェクトへの参加や、ガーナでの作況調査・収穫量把握の試行(2024年)、収穫量と降雨量データを組み合わせた活用試行(2025年)で得た知見を反映します。

データ取得からAI構築・実運用までの工程

工程は概ね以下の順序で進行します。各工程は現地オペレーションとAI側のフィードバックループで設計されます。

  1. 実証設計・現地準備(現地パートナー調整、サンプル選定)
  2. 一次データ取得の実装(農家・農地単位のサーベイ、操作ログ、収穫量測定等)
  3. データパイプライン整備(前処理、保管、連携)
  4. AIモデル構築(収穫量予測モデル、リスク評価モデル等)
  5. 実運用と評価(金融・保険分野での適用試験)
  6. 商業化に向けたスケーリングと他国展開準備

これらの各段階で必要となるデータのスキーマ設計、品質管理、データガバナンスの枠組みも構築されます。

AI人材育成と実践的ワークショップ

松尾研究所はGCIの枠組みを活かし、現地インターンシップや実践的ワークショップを通じてAIエンジニアを育成します。講義・実践・OJTを組み合わせることで、持続的に運用できる体制を構築する計画です。

育成の成果は実証段階でのモデル運用・保守に直接活用され、また得られたデータや手法は共同研究を通じて学術・産業の双方に還元されることが想定されています。

期待される社会的効果と実用化への意義

本事業が目指す成果は大きく分けて三点ある。第一に、農家・農地単位の定量的なリスク・収益性評価が可能なデータ基盤の構築。第二に、これを用いた金融・保険分野での投融資判断の促進。第三に、現地AI人材の育成を通じた持続可能な運用体制の確立です。

政府の補助が必要となる理由は、数万〜数十万軒規模での中長期にわたる一次データ取得が必須であり、初期段階では多額の先行投資を要する一方で短期的収益回収は見込みにくいためです。本補助により、商業化・大規模投融資に耐え得るデータと運用モデルを3年間で検証することが可能になります。

金融・保険分野への波及効果

本事業によって構築されるデータ水準が得られれば、日本の金融機関・保険会社はアフリカ農業分野への参入判断を行いやすくなります。これにより、資金供給や保険の利用が促進され、農業生産性や収入安定性の向上につながる可能性があります。

商業化の成否はデータ品質と運用体制の確立に依存するため、実証期間中の評価指標やKPI設計が重要になります。

地域社会と日本側への還元

本事業で蓄積されるビッグデータや技術的知見は、現地の意思決定支援に資するだけでなく、日本側にも還元されます。グローバルサウス発の知見を活かした新産業創出や、企業の海外市場参入支援、雇用創出といった経済的効果が期待されます。

松尾研究所との連携により、現地で育成されたAI人材は長期的な運用・拡張に向けた中核になり得る点も重要です。

関係者のコメント

Degas株式会社 代表取締役 牧浦土雅は、アフリカで累計85,000軒超の農家と共に歩んできた経験を踏まえ、現地の農業データ取得と利活用が金融アクセスの最大の障壁であると述べています。データのない領域に自ら入り込み、取得からAI構築・実運用までを一貫して実装できる点を当社の強みと位置付けています。

株式会社松尾研究所 技術顧問 松尾豊は、アフリカにおけるAIの貢献可能性に触れ、特に農業分野がデータ化の余地を大きく残している点を指摘しています。松尾研究所は現地でのインターンシップやワークショップを通じてAI人材を育成し、事業に貢献する考えを示しています。

項目 要点
公表日 2026年4月16日 08:30
補助金 約8.2億円
実施期間 2026年4月1日 – 2029年2月28日(3年間)
実施国 ガーナ共和国、ケニア共和国
幹事法人 Degas株式会社
現地実装 Degas Ghana Ltd.(既存の農家ネットワーク活用)
AI人材育成 株式会社松尾研究所(GCIを基盤としたインターン・ワークショップ)
過去の関連実績 JICA DXLabの衛星AIを活用したエチオピアでの保険支援プロジェクト参画、ガーナでの作況調査・収穫量試行(2024)、収穫量と降雨量の組合せ試行(2025)
連絡先 Degas株式会社 お問い合わせ:info@degasafrica.com
関連URL Degas:https://degasafrica.com/ 、松尾研究所:http://matsuo-institute.com

本記事では、経済産業省の補助を受けてDegasと松尾研究所が共同で進める3年間の実証事業の目的、体制、技術的手法、期待される効果、および関係者のコメントを整理しました。現地での一次データ取得からAI活用、金融・保険分野での実運用に至る全工程を統合して検証する点が、本事業の中心的意義です。引用・出典情報はプレスリリースおよび同資料中の参照元(World Bank、McKinsey、African Development Bank、JICA等)に基づきます。