リチェルカがシリーズAで17億円調達、RECERQA受注開始
ベストカレンダー編集部
2026年4月8日 11:47
シリーズAで17億円調達
開催日:4月8日
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シリーズAで17億円、累計調達20億円超に:出資・デットファイナンスの構成
株式会社リチェルカは、2026年4月8日付でシリーズAラウンドにおいて総額17億円の資金調達を実施し、これにより累計調達額は20億円を超えたことを公表しました。本ラウンドではエクイティとデットを組み合わせた資金調達が行われており、事業拡大と製品開発に向けた投資が本格化します。
ラウンドにおけるエクイティは、Angel Bridge株式会社をリード投資家として迎えつつ、既存投資家である株式会社ジェネシア・ベンチャーズ、New Commerce Ventures株式会社、ならびに複数の個人投資家を対象とした第三者割当増資により実行されました。加えて、みずほ銀行、商工組合中央金庫、三井住友銀行、りそな銀行、常陽銀行、北國銀行からのデットファイナンスを組み合わせることで総額17億円が確保されています。
- リード投資家(新規): Angel Bridge株式会社
- 既存投資家(継続出資): 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ、New Commerce Ventures株式会社
- その他: 個人投資家複数
- デットファイナンス(借入先): みずほ銀行、商工組合中央金庫、三井住友銀行、りそな銀行、常陽銀行、北國銀行
この調達は、単なる資金確保にとどまらず、経営体制の強化とコーポレート・ガバナンスの高度化を同時に実現する目的を持ちます。調達の完了に合わせて、取締役会設置会社への移行と外部有識者の登用が行われています。
経営体制とガバナンスの強化
今回のラウンドに際して、共同創業者である幸田桃香が取締役COOに、平松拓が執行役員CTOに就任しました。加えて、Angel Bridgeのパートナーである林正栄氏及び中倉勘作氏が社外取締役に、髙橋政史氏が監査役に就任し、取締役会設置会社へ移行することで成長と規律を両立する経営基盤を整備しています。
あわせて、コーポレートサイトと採用サイトを刷新しており、外部ステークホルダーや採用候補者に対する情報発信を強化しています。これらの人事とウェブ刷新は、資金調達を受けた次の成長フェーズへの準備の一環です。
Agentic ERP「RECERQA」と独自アーキテクチャ”Quattro”の全容
リチェルカが提供するAgentic ERP「RECERQA(リチェルカ)」は、受発注領域のEnd-to-Endでの最適化を目指すプロダクトです。従来のERPが前提としてきた「人間がシステムを操作する」設計を転換し、AIエージェントがデータの理解・判断・実行までを支援する点が特徴です。
同社は、データ基盤・業務ロジック・判断・実行の4要素を統合する独自アーキテクチャ”Quattro(クワトロ)”により、非定型な企業間取引の帳票や業務慣行に対しても段階的に自動化と最適化を進めます。導入後に蓄積される実績データによってAIの判断精度が高まり、人間の確認コストが低減するフィードバックループが設計されています。
Quattroの四層構造(Layer1〜4)の詳細
Quattroは、RECERQAの中核を成す4層アーキテクチャで、順にデータの正規化、業務ロジック化、判断・推薦、実行の各機能を担います。
以下に各レイヤーの役割と具体的な機能を示します。
- Layer1:QUON(データ基盤層)
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RECERQA Unified Ontology Normalizer(QUON)は、取引先ごとに形式・言語・表記が異なる見積書・発注書・請求書・納品書等の帳票をAIで読み取り、統一されたデータモデル(オントロジー)に正規化します。
たとえば「Price」「単価」「Unit Cost」といった表記の差異を同一概念として構造化し、横断比較や分析が可能なデータベースを構築します。これにより非定型データの統合が可能となり、上位レイヤーでの判断精度を支えます。
- Layer2:QRAFT(業務ロジック層)
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RECERQA Rules And Flow Templates(QRAFT)は、業界ごとの業務フロー、判断基準、取引慣行を構造化する層です。
「過去実績より一定以上高い見積もりは交渉対象とする」「納品書と検収データの突合ルール」「リベート条件に基づく請求額の算出」など、現場に蓄積された暗黙知を再現可能なロジックや手順に変換します。
- Layer3:Agent(判断・推薦層)
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QUONのデータとQRAFTの手順書を参照して、AIエージェントが自律的に分析・判断を行います。
見積もりの妥当性評価、納品データの照合、請求額の算出など、これまで担当者の経験と勘に依存していた業務を根拠に基づいて推薦する役割を担います。
- Layer4:Execution(実行層)
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実行層は二段階の運用モードを想定しています。まずL4ではAIの推薦結果を担当者が画面上で確認・承認し業務を完遂します。
さらにL4+ではエージェントが自律的に業務を実行し、人間は例外対応に集中します。実行結果は再びQUONに蓄積され、QRAFTのルールが継続的に精緻化されることで、判断精度が向上していきます。
関連技術と現在の導入状況
リチェルカはデータ基盤レイヤーの磨き込みとしてAI-OCR「RECERQA Scan」を開発・提供しており、多様な帳票の高精度な正規化を実案件で実証しています。これを起点にQuattro全体の検証を進め、現在は大手製造業(食品・日用品・化学品)・専門商社・保険業を中心に導入が進んでいます。
導入企業においては既存ERPや基幹システムと連携しつつ、受発注領域の負荷の高い領域から段階的にRECERQAが業務を引き受ける移行パスを提示しています。既存システムの全面刷新リスクを抑えた併用フェーズから、L4+での自律実行までを視野に入れた導入が可能です。
事業展開、組織拡大、受注開始とステークホルダーの声
シリーズAで確保した資金は主に以下の用途に充当されます。第一に、Agentic ERP「RECERQA」の製品開発強化、第二にAIエンジニア・FDE(Forward Deployed Engineer)を中心とした組織拡大、第三に大手製造業・商社を中心とした本格的な事業展開です。
リチェルカはこれまで実プロジェクトを通じた検証段階を終え、拡販体制が整ったことから本日よりRECERQAの受注受付を開始しています。製造業や商社、卸売業が抱える基幹システムの老朽化や保守要員不足、属人化などの課題に対し、既存システムと併用する段階的な移行パスを提供します。
採用・組織面の拡充計画
組織面ではAIエンジニア、FDE、プロダクトエンジニア、コンサルタントなどの採用を強化します。これにより製品開発と導入支援の両輪を回し、導入企業ごとの固有ルールを保持したまま自己改善を続ける体制を整備します。
また、BPO(業務受託)と成果報酬型モデルの確立も掲げられており、技術提供だけでなく運用・成果に応じたサービス提供の枠組みを拡張していく計画です。
投資家・関係者からのコメント(要旨)
Angel Bridge株式会社 パートナーの林正栄氏(リード投資家/社外取締役)は、受発注・サプライチェーン領域に残る属人性や非効率を指摘し、同社がデータ正規化から業務判断・実行まで一貫して担う新たな業務基盤の構築に挑む点を高く評価しています。梅田氏の現場理解とプロダクト実装力、複数の大手企業での実証を評価し、社外取締役としてプロダクト高度化と展開を支援する旨が述べられています。
Angel Bridgeの三好洋史氏(リード投資家)は、高精度OCRを起点にDXから取り残されてきた非定型帳票領域のデータ化を可能にしている点を評価しています。経営陣のドメイン知見と事業推進力、導入を通じて蓄積される業務テンプレートが横展開の再現性と競争優位を生む構造に魅力を感じるとのコメントです。
株式会社ジェネシア・ベンチャーズの黒崎直樹氏(既存投資家)は、シードラウンドに続く追加出資の理由として、AIと強度の高い組織文化が同時に回り出し、AI駆動プロダクトとしてのRECERQAがAI時代のSCM ERPの在り方を具現化していく点に期待を示しています。
New Commerce Ventures代表パートナーの大久保洸平氏(既存投資家)は、組織・事業の進捗、CTO就任による開発体制強化を踏まえ、AIネイティブなERP構築というビジョンが着実に形になっていると評価し、同社と共に歩む旨を表明しています。
役員人事の詳細と各人物の経歴・コメント
本ラウンドに合わせて実施された役員人事は以下の通りです。各氏の経歴とコメントも併せて公表されています。
- 取締役COO:幸田桃香(共同創業者)
ワークスアプリケーションズでの法人営業およびAI搭載型ERP「HUE」の新規事業推進、FORCASでのSaaSセールス、AI insideでのビジネス企画部長などを経て2022年に共同創業。創業以来大手企業へのコンサルティングおよびAI導入プロジェクトを統括。
コメントでは、生成AIが業務システムに組み込まれるフェーズにおいて、定型化が難しい業務領域に変革を起こす重要性を強調し、顧客理解力と技術力を事業推進力に変える決意を示しています。
- 執行役員CTO:平松拓(新任)
京都大学大学院修了後、フリークアウトで広告配信システム開発、カケハシでAI需要予測による在庫管理・発注半自動化プロダクトの立ち上げ等に従事。ERPレベルのシステム設計・構築経験を有する。
コメントでは、非定型データの整理と業務の暗黙知の構造化を通じて、RECERQAをエンタープライズ現場で機能する製品に育てる意志を示しています。
- 社外取締役:林正栄(新任)
Angel Bridge株式会社パートナー。伊藤忠商事での商社ビジネス経験、スタートアップ支援の経験などを有し、本ラウンドのリード投資家として経営参画。
- 社外取締役:中倉勘作(新任)
東京大学出身。日本IBM、AI insideでの研究開発・技術責任者としてAIプロダクトの技術基盤構築を主導した経歴を持ち、社外取締役として参画。
- 監査役:髙橋政史(新任)
慶應義塾大学出身。日本IBM、監査法人トーマツ、AI insideでのCFO経験を経て複数のスタートアップでのコーポレート経験を有し、米国公認会計士資格を持つ。
なお、借入先金融機関からのコメントについてはプレスリリース本文に具体的な発言は記載されていません。
まとめ(要点の整理)
以下に、本記事で取り上げた主要項目を一覧化して整理します。資金調達額、出資・借入先、製品の位置付け、技術アーキテクチャ、人事、事業計画、問い合わせ先などを網羅的にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年4月8日 |
| 調達ラウンド | シリーズA(エクイティ+デット) |
| 調達総額 | 17億円(本ラウンド)、累計調達額は20億円超 |
| リード投資家 | Angel Bridge株式会社(新規) |
| その他出資者 | 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ、New Commerce Ventures株式会社、個人投資家 |
| デット(借入先) | みずほ銀行、商工組合中央金庫、三井住友銀行、りそな銀行、常陽銀行、北國銀行 |
| 主な用途 | RECERQAの製品開発強化、AIエンジニア・FDE等の採用、製造業・商社向けの事業展開 |
| 提供プロダクト | Agentic ERP「RECERQA」(AIエージェントによる受発注業務の判断・実行支援) |
| Quattroの要点 | Layer1 QUON(データ正規化)、Layer2 QRAFT(業務ロジック)、Layer3 Agent(判断・推薦)、Layer4 Execution(実行) |
| 既存技術 | AI-OCR「RECERQA Scan」による高精度の帳票正規化 |
| 導入実績(対象業界) | 大手製造業(食品・日用品・化学品)、各専門商社、保険業など |
| 受注開始 | 本日より受注受付を開始 |
| 人事・役員 | 取締役COO 幸田桃香、執行役員CTO 平松拓、社外取締役 林正栄・中倉勘作、監査役 髙橋政史 |
| 代表者・会社情報 | 株式会社リチェルカ、代表取締役CEO 梅田祥太朗、設立 2022年4月、所在地 東京都港区芝浦4-11-17 中野スプリングビル6階 |
| 問い合わせ | 広報: pr@recerqa.com、URL: https://recerqa.com |
本稿は株式会社リチェルカが発表したプレスリリースの内容を基に、資金調達の構成、製品アーキテクチャ、役員人事、事業計画、導入・受注開始に関する情報を整理して報告しました。問い合わせや導入検討については、記載の広報窓口および公式サイトより詳細を確認することができます。