金継ぎを空間体験に、HYTEK作品がFRAME金賞受賞
ベストカレンダー編集部
2025年12月10日 16:10
キンツギツギキ展示
開催日:11月14日
金継ぎの精神を現代の空間へ──インタラクティブツリー「キンツギツギキ」とは
株式会社HYTEK(東京都港区、代表取締役 満永隆哉・道堂本丸)が総合演出・プロデュースを務めた「キンツギツギキ」は、石川県に伝わる伝統工芸金継ぎの概念をモチーフにしたインタラクティブツリーです。来場者の動きに応答して光と音が連動する演出により、壊れたものを繋ぎ合わせて新たな価値を生む金継ぎの美学を空間体験として再構築しました。
この作品は2024年11月14日から東京ミッドタウン八重洲で行われたクリスマスイベント「MIDTOWN YAESU CHRISTMAS 2024」のガレリア・アトリウムに展示されました。会場での体験は、ツリーの台座に手をかざす行為により、木材の継ぎ目を金色の光が駆け巡るように表現し、幻想的な音楽と合わせて空間全体を彩る仕組みになっています。
展示の体験設計とインタラクション
キンツギツギキは来場者のアクションをトリガーに、光と音が連動して発生するインタラクティブアート作品です。台座に手をかざすと、ツリーを構成する各パーツを繋ぎ合わせるように金色の光が走り、その進行に合わせて音楽が変化し、来場者に時間的変化を伴う体験を提供します。
光の演出と音の同期は、演出チームとサウンド提供者が共同で設計し、体感としての一貫性を重視しました。音楽は石川県出身のアーティストKan Sano氏が提供しており、木材の手触りや継ぎ目の視覚表現と調和する音像設計が行われています。
素材と制作の地理的結節
ツリーは石川県と東京の木材を組み合わせて制作されています。石川県側の資材供給には「のと復耕ラボ」「古材クリエイト青組」「フルタニランバー」が、東京側の資材は「森未来」との連携により実現しました。これにより、地域資源と都市部の素材が出会う形で物語性のある造作が可能になっています。
素材の選定から造作までのフローには、地域の木材利用や復興に関わる取り組みも反映されており、単なる装飾ではなく、素材の由来や継ぎ目に込められた意味を可視化することを目指しています。作品提供やワークショップ監修としてナカムラクニオが参加している点も、作品の地域性と教育的側面を補完しています。
受賞の背景──FRAME Awards Gold受賞と日本空間デザイン賞ショートリスト入り
「キンツギツギキ」は、オランダ発の国際的な空間デザイン/インテリアデザイン賞であるFRAME Awards 2025においてGoldを受賞しました。FRAMEはインテリア・建築・空間デザイン情報を網羅する国際的なデザインメディアであり、その主催するアワードは世界の空間デザイン領域で高い評価を受けています。詳細はFRAMEのプロジェクトページ(https://frameweb.com/project/kintsugi-tsugiki)に掲載されています。
また、日本最大級のデザインアワードである日本空間デザイン賞 2025でもショートリストに入賞しました。日本空間デザイン賞は2019年に設立され、卓越したデザインや優秀なデザイナーを発掘し、世界へ発信することを目的としています。両アワードで評価を受けたことは、地域文化の解釈やインタラクション設計の新しさが国際的な基準でも高く評価されたことを示しています。
受賞および入賞は、作品の展示コンセプト、素材の社会的価値、体験設計の独創性、そしてコラボレーション体制の総合的な評価結果と捉えることができます。HYTEKは総合演出・プロデュースとして、これらの評価に対して演出面・プロデュース面での責任を負っています。
制作体制と協力クレジットの全容
本プロジェクトの制作には多職種が参加し、それぞれの専門性が結実して展示が実現しました。以下にクレジットを可能な限り完全に列挙します。役割ごとに整理することで、どのような担当がどの領域を担ったかが明確になります。
作品は総合演出の下、クリエイティブディレクターやプロデューサー、デザイナー、技術スタッフが連携して制作しました。空間・インタラクション設計は博展が担当し、展示の物理的な設計と来場者の動線設計、インタラクションの検証を行っています。
- 総合演出
- HYTEK Inc.
- クリエイティブディレクター
- 満永 隆哉
- プロデューサー
- 道堂 本丸
- プランナー/コピーライター
- 清水 出帆
- アートディレクター
- 中山 沙織
- グラフィックデザイナー
- 千田 桃歌
- アシスタントプロデューサー
- 佐護 忠聖, 今井 虎之介
- 空間・インタラクション設計
- 博展
- デザイナー
- 布川 光郷
- テクニカルディレクター
- 竹島 千尋, 久我 尚美
- クリエイティブエンジニア
- 石曽根 奏子, 高橋 亜美
- プロダクトマネジメント
- 松木 和哉, 熊崎 耕平
- プロデューサー(協力)
- 栗田 一広, 安齋 温陽, 楯 誠志郎
- 資材協力
- フルタニランバー/のと復耕ラボ/古材クリエイト青組/森未来
- 楽曲提供
- Kan Sano
- 作品提供 / ワークショップ監修
- ナカムラクニオ
また、展示を行ったイベントのクレジットとして、MIDTOWN YAESU CHRISTMAS 2024の主催は一般社団法人八重洲二丁目北地区エリアマネジメントです。
プロジェクトの要点を整理した一覧
ここまでの内容を要点ごとに整理して、関係者や展示の要旨を一目で確認できる形にまとめます。下の表はプロジェクト名、受賞歴、展示情報、総合演出・主要クレジット、協力団体、関連リンクなどを網羅しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| プロジェクト名 | キンツギツギキ |
| 総合演出 / プロデュース | HYTEK Inc.(代表取締役 満永隆哉・道堂本丸) |
| 展示開始日 | 2024年11月14日(MIDTOWN YAESU CHRISTMAS 2024 会場:東京ミッドタウン八重洲 ガレリア・アトリウム) |
| 受賞 / 入賞 | FRAME Awards 2025 – Gold、 日本空間デザイン賞 2025 – ショートリスト |
| 空間・インタラクション設計 | 博展 |
| 楽曲提供 | Kan Sano(石川県出身) |
| 資材・素材提供 | フルタニランバー、のと復耕ラボ、古材クリエイト青組、森未来 |
| 作品提供 / ワークショップ監修 | ナカムラクニオ |
| イベント主催 | 一般社団法人八重洲二丁目北地区エリアマネジメント(MIDTOWN YAESU CHRISTMAS 2024) |
| 関連リンク |
この記事では、HYTEKが総合演出を担った「キンツギツギキ」のコンセプト、展示の仕組み、使用素材や地域連携、参加スタッフや協力団体、受賞歴、並びに関連リンクまでを網羅的に整理しました。展示は伝統工芸の思想を現代のインタラクティブ表現に翻案する試みであり、素材の由来と技術、音楽や空間設計の統合によって評価され、国際的な場でも成果を挙げています。
参考リンク: