社内調整不足が最多 新規事業失敗の実態と原因
ベストカレンダー編集部
2025年12月8日 15:51
新規事業失敗調査発表
開催日:12月8日
新規事業の失敗実態を示す数値と調査の全体像
UI/UXを軸に事業支援を行うEngineerforceが実施した「新規事業担当者の失敗本音調査」は、従業員500名以上の大手企業で新規事業開発に携わり、過去3年以内に新規事業プロジェクトで失敗を経験した担当者111名を対象に、2025年11月5日から同年11月6日にかけて実施されたインターネット調査です。発表日は2025年12月8日11時00分となっています。
調査の目的は、新規事業プロジェクトにおける失敗の原因やその予兆、失敗後の対応、そこから得られた教訓を明らかにすることです。以下では設問ごとの集計結果を丁寧に整理し、失敗がどの段階で顕在化したか、どのような兆候が出ていたか、そして再実行するなら何を最優先にするかまでを具体的に提示します。調査レポートのダウンロードはこちら:https://engineerforce.io/resources/newbusiness_failurecase/
- 調査名称
- 新規事業担当者の失敗本音調査(提供:Engineerforce/調査実施:IDEATECHの「リサピー®︎」)
- 調査期間
- 2025年11月5日〜2025年11月6日
- 有効回答
- 過去3年以内に新規事業プロジェクトで失敗を経験した担当者111名
- 掲載・利用条件
- 出典元として「Engineerforce」の明記と、ウェブ用途では出典リンク(https://engineerforce.io/)の設置が求められます。
失敗が表面化した段階と早期の兆候
プロジェクトが企画開始から失敗確定に至るまでの期間分布や、担当者が事前に気づいた兆候についての回答を整理すると、短期間で頓挫するケースが少なくないこと、かつ複数の警告サインが並行して発生していることが分かります。
以下のデータは設問Q3、Q5、Q6の結果に基づきます。企画開始から「6ヶ月未満」で失敗が確定するケースが約3割あり、失敗を示す兆候としては「予算消化の想定超過」「外部パートナーとの連携不全」「仕様変更・手戻りの頻発」が上位に並んでいます。
企画開始から失敗確定までの期間(Q3)
失敗確定までの期間分布を見ると、短期決着が多く発生していることが確認できます。迅速な判断ができなければ、短期間でプロジェクトが停止するリスクが高まります。
詳細は次の通りです。
| 期間 | 割合 |
|---|---|
| 3ヶ月未満 | 4.5% |
| 3ヶ月~6ヶ月未満 | 21.6% |
| 6ヶ月~1年未満 | 28.8% |
| 1年~2年未満 | 27.0% |
| 2年~3年未満 | 11.7% |
| 3年以上 | 4.5% |
| わからない/答えられない | 1.8% |
現場が感知した早期の兆候(Q5・Q6)
プロジェクトの失敗に気づいたタイミングは、企画段階や設計段階で違和感を感じていた回答が合計すると約33.3%に達します。開発段階以降に問題が顕在化するケースを含めると、早期の段階での検出と対応が重要であることが示唆されます。
具体的な兆候は次のとおりです(複数回答)。
- 予算が想定以上に消化されていた:40.5%
- 外部パートナーとのコミュニケーションがうまくいっていなかった:40.5%
- 仕様変更や手戻りが頻発していた:39.6%
- テストユーザーの反応が想定と違った:32.4%
- 開発の進捗が当初計画より明らかに遅れていた:30.6%
- 社内の関係部門から協力が得られなかった:27.0%
- 市場や競合の動きが想定と異なっていた:26.1%
- 経営層への報告が憂鬱だった(進捗を報告しづらかった):23.4%
- チームメンバーのモチベーションが明らかに下がっていた:18.9%
- 自分自身が『これ、うまくいかないかも』と感じていた:18.0%
失敗の原因ランキングと事後対応、学び
失敗原因として最も多く挙げられたのは「社内の関係部門との調整がうまくいかなかった」(36.9%)であり、内部調整不足がプロジェクト全体に大きく影響している実態が浮かび上がります。次いで「競合分析が甘く差別化できなかった」「予算や工数の見積もりが甘かった」が続き、内部要因と外部要因の双方が混在している点が特徴です。
失敗後に実際に行われた対応や、担当者が失敗から学んだ教訓は、今後のプロジェクト設計に直結する重要な示唆を含みます。代表的な対応としては予算・人員の削減、原因分析と再発防止策の策定、プロジェクトの完全打ち切りが挙がっています。
失敗原因の上位(Q4)
上位3項目はほぼ横並びで、どれもプロジェクト運営における致命的な影響を与えうる項目でした。社内調整や見積もりの精度、競合理解の不足が複合的に作用しています。
以下に主要項目の割合を示します(上位3つまで回答可)。
| 原因 | 割合 |
|---|---|
| 社内の関係部門との調整がうまくいかなかった | 36.9% |
| 競合分析が甘く、差別化できなかった | 35.1% |
| 予算や工数の見積もりが甘かった | 35.1% |
| 市場ニーズの読み違え | 31.5% |
| 要件定義が曖昧で仕様変更が頻発 | 18.9% |
| 開発パートナー選定を誤った | 18.0% |
| 経営層の理解や承認が得られなかった | 16.2% |
| 外部環境の変化(市場の急変、競合の参入など) | 16.2% |
| チーム内のコミュニケーション不全 | 12.6% |
| プロジェクトマネジメントの失敗 | 4.5% |
事後対応と学び(Q7・Q8・Q9)
失敗後の対応では「予算や人員の削減」(40.5%)、「原因分析と再発防止策の策定」(39.6%)、「プロジェクトの完全打ち切り」(37.8%)が多く報告されています。これらは被害を最小化する短期の措置である一方、組織的な改善に繋げるための取組も同時に求められています。
失敗から得られた教訓としては「予算やスケジュールをより現実的に見積もるべきだった」(45.9%)、「社内の関係部門との調整を早期に始めるべきだった」(41.4%)、「経営層への報告・相談をもっと頻繁に行うべきだった」(37.8%)が上位に挙がっています。やり直せるなら「現実的な予算・スケジュール・体制の設計」を最初に実施することを選ぶ回答が46.8%にのぼりました。
- 事後対応の主な項目(Q7): 予算・人員削減 40.5%、原因分析と再発防止策 39.6%、完全打ち切り 37.8%
- 学び(Q8): 現実的な見積もり 45.9%、早期の社内調整 41.4%、経営層への報告 37.8%
- やり直すなら(Q9): 現実的な予算・体制設計 46.8%、競合分析の徹底 45.9%、経営層との定期的共有 39.6%
Engineerforceの事業紹介と調査の参照先
本調査を実施したEngineerforceはUI/UXデザインに強みを持ち、開発DXや営業DXを含めた支援を提供する企業です。デザインと実装の連携を重視し、企画段階からビジュアル資料やモックアップを作成することで稟議や顧客ヒアリングに活用できるアウトプットを提供しています。
詳しい事業内容は同社のウェブサイトで確認できます。出典を示す際は「Engineerforce」と明記し、ウェブ掲載では出典URL(https://engineerforce.io/)を設置してください。
- 会社名
- 株式会社Engineerforce(エンジニアフォース)
- 設立
- 2020/08/04
- 代表者
- 代表取締役 飯田 佳明
- 所在地
- 東京都渋谷区桜丘町23番17号 シティコート桜丘408
- 事業内容
- ソフトウェア開発、UI/UXデザイン、コンサルティング、プロダクト開発
- URL
- https://engineerforce.io/
- X(旧Twitter)
- https://x.com/Yoshiaki__iida
調査結果の要点整理(数値一覧)
本章ではこの記事で提示した主要な数値を1つの表にまとめ、読み返しやすい形で整理します。プロジェクトの成果・失敗要因・兆候・学びなど、主要項目を網羅しています。
以下の表は本調査の主要項目を抽出して一覧化したもので、プロジェクトの意思決定やリスク管理における参照資料として利用できます。
| 項目 | 結果(割合や数値) |
|---|---|
| 回答者 | 過去3年以内に新規事業プロジェクトで失敗した担当者111名 |
| 調査期間 | 2025年11月5日〜11月6日 |
| プロジェクトの最も近い失敗形態(Q1) | プロジェクト中止・凍結 22.5%、予算大幅超過 33.3%、スケジュール大幅遅延 30.6% |
| 当初予算規模(Q2) | 500万円未満 5.4%、500万〜1000万未満 15.3%、1,000万〜3,000万未満 18.9%、3,000万〜5,000万未満 21.6%、5,000万〜1億未満 17.1%、1億以上 18.9% |
| 失敗確定までの期間(Q3) | 3ヶ月未満 4.5%、3〜6ヶ月未満 21.6%、6ヶ月〜1年未満 28.8%、1年〜2年未満 27.0% |
| 主な失敗原因(Q4) | 社内調整不足 36.9%、競合分析不足 35.1%、見積りの甘さ 35.1% |
| 失敗前の兆候(Q6) | 予算想定超過 40.5%、外部パートナーの連携不全 40.5%、仕様変更頻発 39.6% |
| 失敗後の対応(Q7) | 予算・人員削減 40.5%、原因分析と再発防止 39.6%、完全打ち切り 37.8% |
| 学び(Q8) | 現実的な見積り 45.9%、早期の社内調整 41.4%、経営層への報告頻度増 37.8% |
| やり直すなら最優先でやること(Q9) | 現実的な予算・スケジュール・体制設計 46.8%、競合分析と差別化 45.9%、経営層との定期共有 39.6% |
| 調査レポート(ダウンロード) | https://engineerforce.io/resources/newbusiness_failurecase/ |
この記事はEngineerforceの公開した調査結果を整理して伝えるものであり、出典元の明記とリンク設置が引用条件となります。調査データを踏まえると、新規事業の初期段階での社内調整、現実的な予算・スケジュール設定、外部パートナーとの密な連携が失敗回避の重要な要素であることが数値として示されています。
参考リンク: