3月19日開幕：GREEN×EXPOで循環ユニフォーム実証

GREEN×EXPO 2027で目指す「土に還るユニフォーム」の実証

2025年11月27日（木）、株式会社ピエクレックスは、2027年に横浜市で開催される「GREEN×EXPO 2027」において、1万人規模の運営・ボランティアスタッフに対して“土に還る”P-FACTS認証素材を用いたユニフォームを提供し、会期後に回収・堆肥化する循環モデルの実証に取り組むことを発表しました。発表は同社のメディア発表会で行われ、GREEN×EXPO協会の事務総長である河村正人氏や、ピエクレックスのブランドアンバサダーである武井壮氏らが登壇しました。

この取り組みは、衣類を単に消費するのではなく、使用後に回収して堆肥化することで再び植物の育成に還すサーキュラー・テキスタイルの仕組みを、実際の大型イベントの運営で検証することを狙いとしています。会場での体験を通じて、来場者が循環のプロセスを直感的に理解できる仕組み作りが重視されています。

発表の背景と実施の枠組み

ピエクレックスは、村田製作所の完全子会社として新素材「ピエクレックス」を推進しており、今回の取り組みは同社が構築する循環インフラ「P-FACTS（PIECLEX FAbrics Composting Technology Solution）」の一環です。P-FACTSは、植物由来の繊維製品を使用後に回収し、堆肥化を通じて自然に還す技術と運用の総称です。

「Team P-FACTS（チーム・ピーファクツ）」は、ピエクレックスを代表構成員に株式会社V&A Japanを構成員として結成された共創チームであり、素材・製造・回収・堆肥化・再資源化など循環の各工程を担う企業・団体が順次参画して取り組みを拡大していく予定です。既に複数の社会実装プロジェクト（PoC）を計画中で、GREEN×EXPO協会と共同で来場者が展示や体験を通じて循環を感じ取れる仕組みを創出します。

メディア発表会の内容と登壇者の要旨

発表会は2025年11月27日13:30～15:00に株式会社村田製作所本社で開催され、登壇者は以下の通りです。会場では循環型ユニフォームの意義や体験としての価値、技術的・社会的な意義が語られました。

登壇者一覧は以下の通りです。各氏は発表の中で循環の意義や役割分担、期待される効果についてコメントしました。

• 公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会（GREEN×EXPO協会）事務総長：河村 正人氏
• 株式会社ピエクレックス 代表取締役社長：玉倉 大次
• ピエクレックス ブランドアンバサダー：武井 壮氏
• 株式会社村田製作所 執行役員／兼 株式会社ピエクレックス 取締役CTO：安藤 正道
• グラファイト株式会社（ENSULOデザイナー）：岡部 健史氏

登壇者の発言は発表資料の抜粋として以下の通り伝えられました。

河村 正人氏（GREEN×EXPO協会）

「植物由来の素材のユニフォームを着用し、役目を終えた後は回収し、堆肥化を経て植物へと還していく。このシンプルで力強い循環のストーリーを、’理念’に留まらず、来場者が実際に’体験’できることに大きな意義があります。」

玉倉 大次（ピエクレックス社長）

「衣類は作って終わりではなく、最後まで責任を持つ時代です。ピエクレックスは、1社では難しい循環の仕組みづくりを多くのパートナーとともに推進しています。GREEN×EXPO 2027の舞台で、この循環を多くの人に体験いただける意義は大きく、その先に国内外への横展開も見据えています。」

武井 壮（ブランドアンバサダー）

「服が堆肥になり、植物を育て、また人に戻ってくる。P-FACTSにより、その循環が‘体験できる物語’になると感じています。デザインには行動を変える力があり、服を選ぶところから社会は変わっていきます。」

安藤 正道（村田製作所／ピエクレックス CTO）

「P-FACTSを通じ、人々が自発的に社会課題の解決へ関わる‘未来の風景’をつくりたい。今回の取り組みは、大阪・関西万博からGREEN×EXPO 2027へと続く循環のバトンです。」

岡部 健史（ENSULOデザイナー）

「今回のユニフォームは‘どう自然に還るか’を起点にデザインしています。着ていたくなる服であるとともに、‘循環の邪魔をしない構造・素材’を徹底しました。服が‘終わる存在’ではなく、循環のプレイヤーになる未来をデザインしています。」

ユニフォームのデザイン思想と具体的な仕様

ユニフォームの企画は、循環をデザインするライフスタイルブランド「ENSULO（エンスーロ）」のデザイナーである岡部健史氏が担当しました。岡部氏はデザインの出発点を「どう自然に還るか」に置き、構造と素材の両面で循環を阻害しない工夫を凝らしています。

具体的な設計方針としては、着心地と循環性の両立を重視する点が挙げられます。長時間着用するスタッフが「また着たい」と思える快適さと見た目を担保しつつ、廃棄後にスムーズに堆肥化できる設計を採用しています。

• ウエスト部分：一般的なゴムを使わず、土に還りやすい紐仕様を採用
• 縫製：分解しやすい縫製を採用し、素材分離や堆肥化を妨げない構造を追求
• 素材・加工：堆肥化を阻害しない植物由来素材と加工を選定
• 着心地：長時間の使用に耐える快適さ、デザイン性も重視

これらの設計は、循環性のみを優先すると着心地が犠牲になりやすいという課題に対する解となるよう配慮されています。ユニフォームは「着ること自体が循環に参加する行為」として機能することが意図されています。

設計思想を支える技術と運用

設計思想を実現するために、素材選定から生産工程、回収と堆肥化までの各工程を明確にし、P-FACTSの認証基準に沿った運用を行います。P-FACTS認証マークは、堆肥化によって新たな植物を育む循環の象徴として付与されます。

また、会期後の回収・堆肥化については参画企業や自治体と連携し、実際に堆肥化プロセスを可視化する取り組みや、来場者に循環の流れを伝える展示・体験プログラムも計画されています。

P-FACTSの仕組み、ピエクレックスの役割とGREEN×EXPO 2027の開催概要

P-FACTS（ピーファクツ）は、PIECLEX FAbrics Composting Technology Solutionの略称で、植物由来の繊維製品を使用後に回収し、堆肥化を通じて再び自然に還すサーキュラー・テキスタイル・インフラです。対応製品にはP-FACTS認証マークが付与されます。

ピエクレックスは村田製作所の完全子会社であり、村田製作所と帝人フロンティアの共同出資により設立された企業です。企業ビジョンは「“でんき（電気）のせんい（繊維）” で世界を変える」と掲げ、新素材「ピエクレックス」を通じてアパレル、ヘルスケア、一般消費財、産業分野などでの応用を進めています。

ピエクレックスはP-FACTSインフラの社会実装を進める中で、複数の自治体・企業・教育機関と連携しており、今回のGREEN×EXPO 2027での実証はより多くの人が循環に参加する契機と位置付けられています。関連情報はピエクレックスの公式サイトや公式SNSでも公開されています。

• ピエクレックス公式サイト：https://pieclex.com/
• 公式YouTubeチャンネル：YouTube
• 公式Xアカウント：https://x.com/PIECLEX_JP
• 公式Instagramアカウント：Instagram
• 関連ニュースリリース：https://pieclex.com/news/20251024.html

Team P-FACTSの組織と取り組み

Team P-FACTSは株式会社ピエクレックスを代表構成員、株式会社V&A Japanを構成員として結成されています。今後は循環に関わる各工程を担う企業・団体が参画し、複数のプロジェクト（PoCを含む）をGREEN×EXPO協会と共同で準備・実施していく予定です。

これらの取り組みは、来場者が展示や体験を通じて自然と循環のプロセスを感じ取れる仕組み作りを目指しており、循環の可視化や教育的側面も重視されています。

要点の整理（本記事の内容を表形式でまとめて締めくくる）

以下に、本記事で紹介した主要事項を表形式で整理します。各項目は発表資料の情報を元に作成しています。

この記事では、ピエクレックスがGREEN×EXPO 2027で実施する「Team P-FACTS」による循環型ユニフォームの取り組み、発表会での主な発言、デザイン思想と具体的な仕様、P-FACTSの仕組みとピエクレックスの役割を整理して紹介しました。発表に含まれている日付、登壇者、具体的な設計方針やプロジェクトの枠組みは文中のとおりです。