12月12日開店|豊中の小さなパイ菓子研究所の挑戦
ベストカレンダー編集部
2025年12月8日 11:33
豊中でパイ菓子店開業
開催日:12月12日
都会の隅で始まる、小さなパイ菓子研究所の挑戦
2025年12月12日午前10時、豊中市豊南町西の一角に、女性菓子職人が営む小さなパイ菓子専門店が開業する。店名はSACHIKO-KANAMORIパイ菓子研究所(運営:ソイル)。この店舗は、株式会社キッチンエヌ(兵庫県神戸市)が支援する個人事業所・ソイル(代表:金森幸子)によるもので、同社が2025年12月8日08時59分に発表した情報に基づく。
開業日は明確に定められており、地域の実情を踏まえた週一回のワンオペ営業から始める計画だ。出発点は小規模だが、地域の暮らしに直結した「食」を通じた関わりを重視する取り組みとして位置づけられている。
発表主体と開業日時・場所の詳細
本件の発表は株式会社キッチンエヌ(兵庫県神戸市)が行っている。支援先はソイル(大阪府豊中市、代表:金森幸子)で、開業日は2025年12月12日午前10時である。
店舗の所在は大阪府豊中市豊南町西。豊中市内に位置しながらも、該当地域は近年「街中過疎」と呼ばれる人口減少と高齢化が進む地区となっている。開業はこうした地域課題に対する実践的な働きかけの一つだ。
- 発表元
- 株式会社キッチンエヌ(兵庫県神戸市)
- 事業者
- ソイル(代表:金森幸子)
- 店舗名
- SACHIKO-KANAMORIパイ菓子研究所
- 開業日時
- 2025年12月12日 午前10時
- 所在地
- 大阪府豊中市豊南町西
- 発表日時
- 2025年12月8日 08:59(株式会社キッチンエヌ発表)
地域の現状と、なぜスイーツが解決策になり得るか
豊中市豊南町西エリアは、2025年の人口が約4,000人で、過去5年間で5%の減少が起きている。高齢者比率は33.4%と、総務省統計の全国平均29.3%を上回る。こうした人口減少と高齢化は、地方の限界集落と類似した問題を都会の一角に生じさせている。
街中過疎の主な困難は、買物困難者の増加、地元商店の減少、移動販売や宅配サービスへの依存、さらに地域食文化の継承が困難になる点である。都会の利便性があっても、一人暮らし世帯の増加によりコミュニケーション不足が顕在化する。
開業に至った背景と現地での経験
金森幸子代表は、キッチンエヌで産業フードプロデューサーとしての経験を重ね、特に高知県での限界集落対策事業に現地スタッフとして赴任した実績がある。そこでの数か月の滞在を通じて、食が人をつなぐ力を実感している。
高知県の事例として、奈半利町駅前の高齢者コミュニティ型食販売施設「奈半利のおかって」や、沢渡の茶農園が営むカフェ「あすなろ」といった成功事例があり、金森はこれらの現場での経験を今回の開業へとつなげた。
- 人口動向:2020年から5年で約5%減、2025年時点で約4,000人
- 高齢化:65歳以上の比率33.4%(全国平均29.3%)
- 現地での学び:コミュニティ型の食施設が地域交流を促進する実績
パイ菓子研究所の商品の特徴と運営方針
店舗は「パイ菓子研究所」の名にふさわしく、素材と製法にこだわったパイ菓子を中心に販売する。金森は元々菓子職人であり、ワンオペで一つひとつを手作業で仕上げることで、品質と価格の両立を図る。
営業はまず毎週金曜日の午前10時から午後5時までの週一回とし、地域との交流を深めながら徐々に営業日を増やす方針だ。将来的には商品ラインナップや飲料の取り扱いを拡充し、地域に根付く店を目指す。
商品構成と価格帯
主な商品は以下のとおり。使用する材料や特徴も具体的に示されている。
| 商品 | 特徴 | 想定価格 |
|---|---|---|
| 折込パイ生地のパルミエ(ハート型) | 北海道産バター100%使用。味違いで5~8種を展開。手作業の折り込みで焼き上げる。 | 5~6個入りで300円前後 |
| 塩味のパイ | 数種を用意。お茶請けや軽食としての利用を想定。 | 個別・詰め合わせで調整(おおむね同価格帯) |
| 練り込みパイ(サブレ/クッキー) | 6~8種を展開。修行先で鍛えたレシピを基にした菓子。 | 5~6個入りで300円前後 |
特に注目すべきは、京都産非加熱の甘酒をパイ生地に活用している点だ。これにより国産小麦粉の風味が引き立ち、独自の飽きの来ない味わいを実現している。
- 素材
- 北海道産バター100%、京都産非加熱甘酒、国産小麦粉
- 製法
- 手作業での折り込み、ワンオペでの焼成・販売
- 価格設定の意図
- 年金生活の方や子どもでも手に取りやすい価格に抑えるため(ワンオペでの運営を活かしたコストコントロール)
商品展開の方向性
短期的には年齢層を問わず手に取りやすい既存商品を中心に販売するが、若い層や子ども向けに動物形のパイなど見た目で楽しめる商品も増やす計画である。将来的にはコーヒーや紅茶など飲料を販売し、地域の滞在場所としての機能を担う狙いも示されている。
営業体制は現在ワンオペ。まずは週一回の営業を基本とし、地域の反応を見ながら段階的に営業日を拡大してゆく。
地域連携と実務的な取り組みのポイント
金森が目指すのは「食を通じた地域コミュニティの再生」である。大規模な都市開発とは別の視点で、小さな取り組みを積み上げて地域の活力回復を図る戦略だ。経験した高知県の現場と同様に、地元住民が集まり交流できる場を生むことが目的にある。
実務面では、キッチンエヌが持つ地方創生や過疎対策のノウハウが支援に活かされる。金森は現地での滞在経験を踏まえて、立地の難しさを前提にした運営方法を採用している。
具体的な施策と期待される効果
具体的には以下のような施策が明示されている。
- 週一回の定期営業での住民との接点創出
- 手頃な価格設定による高齢者や子どもへの配慮
- 外部の成功事例(奈半利のおかって、あすなろ)のノウハウ活用
- 商品展開の多様化(動物形パイ、飲料の導入など)による来店動機の創出
これらの取り組みにより、買物機会の確保、地域内交流の回復、若年層の関心喚起などが期待される。小規模だが着実に継続することで、地域コミュニティの活性化につながる可能性が示されている。
要点の整理と概要表
ここまでに示された情報を整理し、事業の主要ポイントを表にまとめる。事業の背景、商品の特徴、営業体制、支援体制などを一目で確認できる形にしている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名(店舗名) | SACHIKO-KANAMORIパイ菓子研究所(運営:ソイル) |
| 発表・支援 | 株式会社キッチンエヌ(兵庫県神戸市)が支援。発表日時:2025年12月8日 08:59 |
| 代表者 | 金森幸子(ソイル代表、元菓子職人・産業フードプロデューサー) |
| 開業日時・場所 | 2025年12月12日 午前10時 開業。所在地:大阪府豊中市豊南町西 |
| 背景(地域状況) | 人口約4,000人(2025年)、過去5年で5%減。65歳以上比率33.4%(全国平均29.3%)。街中過疎の進行。 |
| 主な商品 | 折込パイ(パルミエ)5~8種、塩味のパイ数種、練り込みパイ(サブレ)6~8種。京都産非加熱甘酒使用、北海道産バター100%、国産小麦粉。 |
| 価格 | 5~6個入りで300円前後を想定(年金生活者や子どもにも手に取りやすい設定) |
| 営業体制 | 当面はワンオペで毎週金曜日 10:00~17:00。段階的に営業日を増やす予定。 |
| 連携・参考事例 | 高知県の成功事例「奈半利のおかって」「あすなろ」を参考に運営ノウハウを活用 |
| 今後の方向 | 動物形パイの導入、飲料(コーヒー・紅茶)など販売品目の拡充により若年層・子ども層の来訪を促進し、地域コミュニティの再生を目指す |
| 関連リンク | 公式Instagram |
以上が、SACHIKO-KANAMORIパイ菓子研究所の開業に関する公表情報の整理である。地域の人口構造や生活実態を踏まえた上で、素材や価格、営業形態といった具体的な運営方針が示されており、食を媒介とした地域課題へのアプローチが明確になっている。
今回の取り組みは小さな規模からの出発であり、ワンオペ運営や週一回の営業といった現実的な制約を前提にしている。地域の反応や運営の継続性を見ながら、商品や営業形態の拡張を図る計画が記されているため、今後の推移が注目される。
参考リンク: