広域施設の巡視を無人化する『トリノス』発売
ベストカレンダー編集部
2025年12月3日 17:17
トリノス発売開始
開催日:12月3日
広大な施設の巡視点検を変える自動巡視カメラ「トリノス」、2025年12月3日発売
株式会社Liberawareは、広大な施設における巡視点検業務を省人化し設備保全のDXを促進する自動巡視型カメラ「トリノス」を、2025年12月3日 10時00分に発売開始した。
本製品は大型データセンター、プラント、洞道、ダムの監査廊、トンネルなど、広域かつ狭隘な屋内設備の巡視点検を前提に開発された。巡視の自動化を起点に画像データの取得と記録を容易にし、点検業務の効率化と安全性の両立を図ることを目的としている。
製品発売の背景と目的
少子高齢化による労働人口の減少は多くの業種で人手不足を深刻化させており、特に現場での巡視点検や警備は人的負荷が大きい領域である。Liberawareは、こうした課題に対して無人化とデジタル化を組み合わせたソリューションを提供するためにトリノスを開発した。
トリノスは同社が従来取り組んできた狭小空間専用ドローンの技術を発展させた第2弾のロボット製品であり、既存の現場運用経験を踏まえた設計がなされている。
共同開発と現場ニーズの反映 — 丸の内熱供給社との協業内容
トリノスは、丸の内熱供給株式会社との共同開発によって現場ニーズを取り入れている。丸の内熱供給株式会社は1973年設立の地域熱供給事業者で、大手町・丸の内・有楽町などの地域で冷暖房および給湯用の熱を供給している企業である。
同社が管理する熱供給用導管の総延長は約30kmに及び、そのうち約5kmは洞道内に敷設されている。洞道内は狭隘箇所や条件が厳しい箇所が多く、点検の省人化やBCP時の迅速な現場確認のためにトリノスに着目した。
共同開発で担った監修と機能設計
丸の内熱供給社は点検業務の質を落とさず機械化を実現するための機能考案や操作性に関する監修を行った。現場の運用を想定したレール敷設や操作フロー、撮影条件の調整など、実務に即した監修が共同開発の中核を成している。
この協業により、現場で実際に必要とされる監視機能、バッテリ管理、充電運用、レール敷設の容易性といった要件が反映された製品仕様が確立された。
具体的な機能と仕様の全容
トリノスの機能は遠隔でのリアルタイム操縦と自動巡回、バッテリの自動充電と管理、長距離走行能力、そして簡便なレール敷設に集約される。これらは点検の無人化と継続運用を実現するための要素として設計されている。
以下に、トリノスの主要な機能と具体的仕様を詳述する。
5つの特徴と運用フロー
- 遠隔操縦機能
中央監視室等からトリノスを遠隔で操縦し、前進・後進およびカメラのパン、チルト、ズームを操作して現場を確認できる。直感的な操縦アプリが用意されており、操縦技能の習熟に時間を要しない設計である。
有事の緊急確認にも活用できるため、迅速な状況判断を支援する運用が可能である。
- 自動定期巡回機能
事前に設定した時間、ルート、カメラワークに従って自動で巡視を行い、巡視完了後に撮影動画データを操縦PCに自動転送する。
定期的な巡回記録の蓄積により、長期的な設備状態のトレンド分析や異常検出の基礎データを取得できる。
- 自動充電ポートとバッテリ管理
巡視終了後にターミナルポイントで自動充電を開始する構成で、無人運用を前提とした運用設計がなされている。バッテリマネジメントシステムで状態をリアルタイム監視する。
バッテリは三元系リチウムイオンを採用しており、安全に配慮した運用が可能である。
- 長距離走行と走行能力
1回の充電で最高3kmの走破が可能(高速モード時)。ダムの監査廊や大規模データセンターの長距離巡視に対応するための設計である。
急カーブ(R400)や登坂(傾斜35度)に対応する走行能力を有し、複雑なレイアウトにも対応する。
- 簡便なレール敷設工事
トリノスはバッテリ駆動かつWi-Fi無線制御で走行するため、レール自体に電気的または機械的仕掛けを必要としない。これにより比較的簡便にレールの敷設が可能になる。
現場の既設構造物や作業制限を考慮した導入計画が立てやすい点が特徴である。
主要スペック一覧
機器の物理仕様と性能指標を列挙する。数値は製品の改善等により予告なく変更される可能性がある。
- サイズ
- W245mm × D400mm × H315mm(カメラ部を含む場合 500mm)
- 重量
- 約6kg
- バッテリ
- 4769mAh / 7.38V(35.2Wh)×2個、三元系リチウムイオンバッテリ
- 充電時間
- 約1時間
- 対応環境温度
- 0℃〜50℃
- 登坂性能
- 最大35度
- 最小旋回半径
- レール内側:R400、レール外側:R525
- 最高速度
- 3km/h(3段階の速度選択:高速 3km/h、 中速 2km/h、 低速 1km/h)
- 走行可能距離
- 最長約3km(高速モード時)
- 駆動時間
- 最長約75分間
- 無線形式
- Wi-Fi
カメラとレールに関する仕様
搭載カメラは動画録画可能な約210万画素センサを採用し、光学10倍ズーム、パン360°、チルト -15°〜+195°を備える。最低照度(カラー)は0.015lxで暗所での撮影にも配慮されている。
レールは幅125mm、レール部はSS400焼き付け塗装、土台部はA6005アルマイト処理が施される仕様である。これにより耐久性と現場での設置性を両立している。
展示情報と関連リンク、企業情報
トリノスは製品発売後、12月10日から12月12日に開催される第10回 JAPAN BUILD TOKYO-建築の先端技術展-に出展される。展示会では実機デモと操縦体験を通じた操作性の確認が可能である。
展示会の詳細は以下のとおりである。
- イベント名:第10回 JAPAN BUILD TOKYO-建築の先端技術展-
- 日程:2025年12月10日(水)〜12月12日(金)
- 場所:東京ビッグサイト 南展示棟1F
- 小間番号:44-14
製品サイトやプロモーションムービー、開発協力先の情報は以下のリンクを参照されたい。
- 製品サイト: https://liberaware.co.jp/torinos/
- プロモーションムービー: https://youtu.be/TWtdWClMTPo
- 共同開発パートナー: https://www.marunetu.co.jp
株式会社Liberawareについて
株式会社Liberawareは「誰もが安全な社会を作る」をミッションに、狭くて暗く危険な屋内空間の点検・計測に特化したドローン開発と、取得画像データの解析を通じたインフラ点検・維持管理ソリューションを提供している企業である。
会社の概要は以下のとおりである。
- 会社名
- 株式会社Liberaware(リベラウェア)
- 代表者
- 閔 弘圭(ミン・ホンキュ)
- 所在地
- 千葉県千葉市中央区中央3-3-1
- 設立
- 2016年8月22日
- 事業内容
- ドローン事業、デジタルツイン事業、ソリューション開発事業を含む
- URL
- https://liberaware.co.jp/
- Xアカウント
- https://x.com/liberaware
トリノスの要点まとめ
ここまでに記載したトリノスの主要項目を表に整理する。導入検討や現場設計、関係者への説明資料として使用できるように、発売日や展示情報、仕様を網羅した。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売日 | 2025年12月3日 |
| 製品名 | 自動巡視型カメラ トリノス |
| 開発協力 | 丸の内熱供給株式会社(1973年設立、熱供給用導管総延長約30km、洞道内約5km) |
| 想定導入現場 | 大型データセンター、プラント、洞道、ダム監査廊、トンネル など |
| 主な機能 | 遠隔操縦、自動定期巡回、自動充電ポートとバッテリ管理、長距離走行、簡便なレール敷設 |
| サイズ | W245×D400×H315mm(カメラ含む場合500mm) |
| 重量 | 約6kg |
| バッテリ | 4769mAh/7.38V(35.2Wh)×2、充電時間約1時間、駆動時間最長約75分 |
| 走行性能 | 最高速度3km/h、走行可能距離最長約3km(高速モード時)、登坂最大35度、最小旋回半径 R400/R525 |
| カメラ | 約210万画素、光学10倍ズーム、パン360°、チルト -15°〜+195°、最低照度0.015lx |
| レール仕様 | 幅125mm、レール部 SS400 焼き付け塗装、土台部 A6005 アルマイト処理 |
| 無線 | Wi-Fi |
| 展示会 | 第10回 JAPAN BUILD TOKYO、2025年12月10日〜12日、東京ビッグサイト 南展示棟1F 小間番号 44-14 |
| 製品サイト | https://liberaware.co.jp/torinos/ |
| プロモーション動画 | https://youtu.be/TWtdWClMTPo |
この記事では、発売日や共同開発の経緯、機能と詳細仕様、展示情報および企業概要を網羅的に整理した。トリノスは現場ニーズを反映した設計であり、無人での定常巡視や緊急時の遠隔確認といった運用に適する製品である点が整理された要旨である。
製品に関するさらなる詳細は製品サイトおよび関連リンクを参照されたい。
参考リンク: