2/28発着|ブラジルで日系移民を取材する実践研修
ベストカレンダー編集部
2025年11月30日 11:50
ブラジル取材ジャーナリズム研修
開催期間:2月28日〜3月9日
ブラジルの日系社会を現地で読む──移民史とその現在性
南米最大の国ブラジルは、世界でも有数の移民受入国であり、60カ国以上からの移民が生活する多様な社会です。その中で日系人は最大の在留人口を持ち、現在およそ270万人がブラジルに暮らしています。米国の日系人の約1.7倍に相当するこの数は、単なる統計以上の意味を持ちます。世代を重ねながら築かれてきた歴史、差別と適応の経験、経済的浮沈、そして日本との複雑な関係性が、個々の物語として積み重なっているからです。
日系移民の出発点で象徴的なのが、1908年(明治41年)4月に神戸港を出帆した移民船「笠戸丸」です。アフリカ南端の喜望峰を回り、約50日後の6月18日にサントス港に到着したこの船には781人が乗っていました。その期待は必ずしも現実と一致せず、コーヒー農園での過酷な労働、低賃金、病気や女性・子どもをめぐる悲惨な出来事など、壮絶な苦難が待ち受けていました。
差別と同化、植民地化の経緯
ブラジル社会における東洋系に対する偏見は深刻で、1933年には黒人と東洋系の受け入れを制限する法案が国会に提出された経緯もあります。さらに第二次世界大戦後は、戦中に「敵性国」「敗戦国の人間」として差別が激化し、日本語を隠す風潮が日系社会にも広がりました。
その一方で、植民地(コロニア)や県人会などによる相互扶助の仕組みが形成され、日系社会は独自の共同体を作り上げていきます。時代が下るとともに二世・三世は教育を受け、都市へ移動し、政治や行政、学術の分野にも進出していきます。2008年の日系移民100周年にはルラ大統領が出席する式典が開かれ、日系社会の存在はブラジル社会において評価を受けるに至りました。
- 日系人数:約270万人(ブラジル在住)
- 笠戸丸到着:1908年6月18日、乗船者781人
- 戦時期の弾圧:1941年以降の差別、1942年の立退き命令など
- 都市化の進展:1958年にサンパウロ日系人口は7万人、現在では同市に40万人とも報告
『Global Media Camp in ブラジル』の目的と取材の焦点
本プログラムは、市民ジャーナリストとしてブラジルの現地で日系移民の個別の物語を取材し、移民とは何かを再考することを目的としています。移民を一括りに捉えず、サンパウロを中心に生活する一世、二世、三世、そして日本生まれでブラジル育ちの若者まで、多様な立場の人々の声を日本語で直接聞く機会を用意します。
取材を通じて扱うテーマは、差別と同化、アイデンティティ、経済変動と逆出稼ぎ、教育や政治参加など多岐にわたります。素材を取材し、記事としてまとめ、発信する一連のプロセスを現地で実践的に学ぶことが特徴です。
取材で想定している対象・場面
参加者は以下のような取材対象や場面に触れる想定です。要望に応じて取材先の調整が可能です。
- 一世(戦後移民)や移住して半世紀にわたる当事者
- 二世、三世、及び日本へ出稼ぎ経験のある若者
- 県人会やコミュニティが開く祭り、日系組織の活動現場
- 都市部(リベルダーデ等)と農村部(植民地)の現場比較
日程・費用・運営の詳細と申し込み情報
『Global Media Camp in ブラジル』は、企画運営を特定非営利活動法人開発メディア(メディア名:ganas)が担当します。ganasは2012年から途上国を取材し、2014年以降はアジア、ラテンアメリカ、アフリカの9カ国13カ所で合計45回のGlobal Media Campを実施しています。2026年2~3月にはブラジル・サンパウロ、タイ・チェンマイ、セネガル・ダカールを開催地に予定しています。
プログラムの基本情報は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催地 | ブラジル・サンパウロ |
| 期間 | 2026年2月28日(土)現地集合 ~ 3月9日(月)現地解散(9泊10日) |
| 参加費 | 一般:254,800円、学生:234,800円 |
| 締切 | 2026年1月28日(水) |
| 早割 | 2025年12月27日(土)までの申込で10,000円割引 |
| 友だち割 | 友人同士で申し込むと各自5,000円キャッシュバック(早割との併用可) |
費用に含まれる項目と含まれない項目は次のとおりです。
- 含まれるもの:講習費、宿泊費、宿泊先と取材先の移動費、通訳費用(基本は日本語取材。必要に応じて日本語を話す通訳を付けます)、その他取材費用、食事(朝・昼・夕)
- 含まれないもの:渡航費(LCC利用で2025年11月27日時点の目安で往復17万円台〜)、保険代(3,700円台〜)、飲み物やデザート等の費用
日本国籍保有者はビザ、イエローカード(黄熱ワクチンの国際証明書)は不要です。ただし渡航前の規制や健康に関する最新情報は各自で確認してください。
割引に関する追加情報です。ganasサポーターズクラブ加入者には特別割引があり、パートナーは30,000円、サポーターは20,000円の割引が適用されます(早割との併用のみ可)。また、ganasサポーターズクラブ会員向け特典として、2026年春開講予定の「グローバルライター講座」(5万5,000円相当)または「77日記者研修」(6万9,000円相当)を特別価格1万円で受講できる制度があります(加入が条件)。
問い合わせ・申込方法は以下です。申込書をメールで送付、または下記URLからダウンロード可能です。文字化け等あればメールで連絡してください。
- 主催
- 特定非営利活動法人 開発メディア(ganas運営団体)
- 問い合わせ先(メール)
- devmedia.ganas@gmail.com
- 申込書ダウンロード
- 申込書(Googleドキュメント)
- 関連告知
- https://www.ganas.or.jp/news/20251129gmc-brazil/
現地運営・講師・予定スケジュールと取材候補
現地でのコーディネートはブラジル在住のスタッフが担い、日本語での取材が基本となります。講師と現地コーディネーターの紹介、及び日程(予定)を示します。
現地での日々は取材と記事執筆、フィードバックの反復で構成されます。夜行バス移動などもスケジュールに組み込まれており、現地取材の機会を最大化する設計です。
講師・現地コーディネーター
- 長光大慈(ganas編集長)
- ganas編集長/特定非営利活動法人開発メディア代表理事。上智大学法学部卒。NNAのタイ・フィリピン支局立ち上げ、電気新聞記者、フリーライター等を経て現職。海外在住経験は10年以上、50カ国以上渡航。
- 松田亜弓(現地コーディネーター)
- ブラジル・サンパウロ在住。ブラジル日本語センター職員、フリージャーナリスト、元JICA日系海外協力隊。教育・文化・災害等が専門。
基本スケジュール(予定)
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2/28(土) | サンパウロ着(現地集合) |
| 3/1(日) | 取材 |
| 3/2(月) | 記事執筆&フィードバック(夜行バスで日系移住地へ移動) |
| 3/3(火) | 取材 |
| 3/4(水) | 記事執筆&フィードバック |
| 3/5(木) | 取材(夜行バスでサンパウロへ移動) |
| 3/6(金) | 記事執筆&フィードバック |
| 3/7(土) | 取材 |
| 3/8(日) | 記事執筆&フィードバック、フェアウェルパーティー |
| 3/9(月) | ふりかえり、現地解散 |
まとめ:参加にあたっての要点
以下の表は、本記事で触れた『Global Media Camp in ブラジル』の主要な情報を整理したものです。参加を検討する際に必要な日程、費用、申込期限、含有・不含有費用、連絡先などをひと目で確認できます。
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 開催主旨 | 日系移民の歴史と現在を市民ジャーナリストの視点で現地取材し、記事化・発信する実践プログラム |
| 開催期間 | 2026年2月28日(土)〜3月9日(月) 9泊10日(現地集合・現地解散) |
| 参加費 | 一般:254,800円、学生:234,800円(渡航費・保険別) |
| 早割締切 | 2025年12月27日(土)までの申込で10,000円割引 |
| 申込締切 | 2026年1月28日(水) |
| 含まれる費用 | 講習費、宿泊費、取材移動費、通訳費、取材費、食事(朝・昼・夕) |
| 含まれない費用 | 渡航費(参考:LCC往復17万円台〜〈2025年11月27日時点〉)、保険代(3,700円台〜)、飲料・デザート等 |
| 割引・特典 | ganasサポーターズクラブ:パートナー30,000円/サポーター20,000円割引(早割と併用可)。友だち割:各5,000円キャッシュバック(早割併用可)。会員限定で別講座を1万円で受講可能。 |
| 申込・問い合わせ | devmedia.ganas@gmail.com/申込書(Googleドキュメント) |
| 主催 | 特定非営利活動法人 開発メディア(ganas) |
記事中で紹介した歴史的事実や個別の取材対象は、移民というテーマの多層性を示す具体例です。各参加者は現地での取材と執筆を通じて、移民と社会、個人の経験の接点を可視化することが求められます。本プログラムは、移民をめぐる歴史的経緯と現在の現象を結びつける機会を提供します。なお、募集要項やスケジュール、費用の詳細は主催側の告知ページおよび問い合わせ先で最新情報を確認してください。
参考リンク: