ファミリーマートが農場社員向け研修『夢育て1.0』開始
ベストカレンダー編集部
2025年11月28日 12:06
夢育て1.0研修開始
開催日:10月1日
農場で働く知的障がいのある社員に向けた新たな学びの場の開始
株式会社ファミリーマート(本社:東京都港区、代表取締役社長:細見研介)は、ダイバーシティ&インクルージョンの推進の一環として、農場勤務の知的障がい・発達障がいのある社員を対象に、認知発達支援プログラム「夢育て1.0」を導入しました。リリース発表日は2025年11月28日 09時00分です。
本取り組みは、企業として日本で初めて株式会社夢育て(所在地:東京都世田谷区、代表取締役:前川哲弥)が提供する研修プログラムを導入したもので、2025年10月から本格連携を開始しています。対象となるのは農場に勤務する知的障がい・発達障がいのある社員10名で、研修は2025年10月から約1年間、毎週水曜日に実施されます。
なぜ導入したのか:目的と現場の状況
ファミリーマートは、千葉県流山市の畑で有機野菜の栽培に従事する社員約50名(主に知的障がい・精神障がいのある方々)が働いている現場を有しています。今回の研修導入は、単に就労を継続するだけでなく、個々の潜在能力を引き出し、できる作業の幅を広げること、さらに高度なチームワークや周囲への目配りが求められる作業にも対応できるレベルを目指すことを目的としています。
この取り組みにより、社員のキャリア形成や自立支援を強化し、障がいの有無にかかわらず誰もが活躍できる組織風土づくりに資することが期待されています。具体的には、研修を通じて作業能力や認知機能を高めることで、農作業における役割の拡大や業務の多様化を見据えています。
「夢育て1.0」の構成と実施体制
「夢育て1.0」は、認知発達教育と身体の使い方、主体性を育む対話を組み合わせた専門教育プログラムです。具体的には以下の3本柱で構成されています。
- 座学:フォイヤーシュタイン理論に基づいた認知発達教材を活用
- 実技:ブレイン・ジムによる身体の使い方の再学習
- 対話:夢や希望を語る時間(夢語り)による主体性育成
参加者は農場に勤務する知的障がい・発達障がいのある社員10名で、研修は2025年10月から約1年間にわたり、毎週水曜日に実施されます。研修は株式会社夢育ての有資格者がファミリーマート社員とともに講師役を務め、農作業のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)も並行して実施されます。
フォイヤーシュタインメソッド(認知発達教育)
フォイヤーシュタインメソッドは心理学者ルーヴェン・フォイヤーシュタイン教授による「媒介学習体験」を核とする認知構造変容理論に基づいた認知能力強化プログラムです。注意、記憶、会話・計算、思考・判断といった複数の認知機能を段階的かつ統合的に活用できるよう設計されています。
本研修の座学部分では、フォイヤーシュタイン理論に基づいた教材を用いて、受講者の認知構造の変容を促す学習が行われます。これにより、日常業務やチーム作業で必要となる認知的な基盤力を高めます。
ブレイン・ジム(体の使い方の再学習)と夢語り
ブレイン・ジム(Brain Gym®)は、国際教育キネシオロジー財団の登録商標で、アメリカの教育学博士ポール・デニソン氏によって開発された26種類のエクササイズ群です。これらは学習能力や集中力を高め、体の使い方のリラーニング(再学習)を促します。
「夢語り」は受講者が自身の夢や希望を語る時間で、主体性を育てる目的で設定されています。座学・実技・対話を複合的に組み合わせることで、認知面と身体面、心理面の三位一体の支援を目指しています。
評価計画・連携体制・関係者のコメント
評価については、研修開始前に認知アセスメント(プレテスト)を実施し、2026年秋に再度アセスメント(ポストテスト)を実施して、認知機能の定量的向上を測定する計画です。この定量評価の結果をもとに、研修の効果検証および今後の改善を図ります。
連携体制は、株式会社夢育ての有資格者とファミリーマートの社員講師による共同ファシリテートで進められ、農作業でのOJTも同時に行うことで研修内容の現場実装を促進します。
株式会社夢育て 代表 前川哲弥氏のコメント
前川哲弥氏は、今回の協業が農福連携を出発点にしながら企業の障がい者雇用のあり方に新たな可能性を提示すると述べています。知的に障がいがあっても成人しても、支援学校卒業後40年以上にわたり成長を実感しながら働き続けられる職場の実現を目指すこと、そして「成長の歓び」が障がい者就労における新たな基準になるという見解を示しています。
前川氏はこの取り組みを「社会的イノベーションの連鎖」の最初の一歩と位置づけ、今後発表していく成長成果に期待を促すコメントを寄せています。
兵庫県立大学 客員教授 豊田正博氏のコメント
豊田正博氏は、フォイヤーシュタイン理論に基づく課題が複数の認知機能を段階的かつ統合的に活用させる設計であること、ブレイン・ジムが運動能力や作業能力の基礎を養うことを指摘しています。農作業はこれらで身につけた認知能力や運動能力を実践する場として最適であり、両者の相乗効果で職能向上が期待できると述べています。
豊田氏の見解は、理論と実践の接続が現場での能力発揮につながるという実務的な期待を裏付けるものです。
関連情報と取り組みの整理
ファミリーマートの障がい者雇用に関する過去の受賞や取り組みについても資料として公開されています。例えば、令和7年度 障害者雇用優良事業所等表彰で「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長努力賞」を受賞している点や、東京都の「心のバリアフリー好事例企業」の認定実績などが挙げられます。
取り組みのウェブ上の参考ページや、連携先である株式会社夢育ての公式サイト情報も以下の形で確認可能です。
- 参考リンク
- ファミリーマート 公式サイト
- 株式会社夢育て 公式サイト
- 令和7年度 障害者雇用優良事業所等表彰(受賞情報)
- 障がいの有無に左右されない組織風土づくり(サステナビリティ紹介)
- 東京都「心のバリアフリー好事例企業」の認定について
これらの情報はプログラムの背景理解や、ファミリーマートが進める障がい者雇用の一連の取り組みを把握するための補足資料となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年11月28日 09時00分 |
| 実施企業 | 株式会社ファミリーマート(本社:東京都港区、代表取締役社長:細見研介) |
| プログラム名 | 認知発達支援プログラム「夢育て1.0」 |
| 提供/連携先 | 株式会社夢育て(所在地:東京都世田谷区、代表取締役:前川哲弥) |
| 対象 | 農場に勤務する知的障がい・発達障がいのある社員 10名 |
| 現場の規模 | 千葉県流山市の畑で有機野菜の栽培に従事する約50名の障がいのある社員が勤務 |
| 期間 | 2025年10月開始、約1年間(毎週水曜日実施) |
| 主な内容 | (1)フォイヤーシュタイン理論に基づく座学(認知発達教材) (2)ブレイン・ジムによる実技 (3)夢語りによる主体性育成 |
| 評価 | 開始前の認知アセスメント(プレテスト)と2026年秋のポストテストで定量的評価 |
| 関連受賞・認定 | ノウフク・アワード2023チャレンジ賞(夢育て)/令和7年度 障害者雇用優良事業所等表彰(ファミリーマート)ほか |
| 参考URL | ファミリーマート公式(https://www.family.co.jp/)、株式会社夢育て(https://yume-sodate.com/) |
本稿では、ファミリーマートが導入した認知発達支援プログラム「夢育て1.0」の目的、構成、実施体制、評価計画、関係者のコメント、および関連情報を整理して伝えた。企業による現場での教育投資と専門組織との連携が、障がいのある社員の職能向上とキャリア形成にどのように結びつくかを示す具体的な事例として位置づけられる。
参考リンク: