12月13日公開『落語家の業』快楽亭ブラックの肖像

落語家の業公開

開催日:12月13日

落語家の業公開
公開はいつでどこで観られるの?
2025年12月13日から渋谷ユーロスペースで先行公開。京都・大阪・神戸・名古屋は2026年1月9~10日から順次上映。配信やディスク化は現時点で未定です。
この映画はどんな内容を描いてるの?
快楽亭ブラックの過激な芸風と破滅的な私生活、6年半の撮影と裁判の記録を通じて表現の自由とコンプライアンスの境界を問う95分のドキュメンタリーです。

落語家・快楽亭ブラック――笑いと破滅が同居する「業」の肖像

「落語とは、人間の業の背定である」という立川談志の言葉を体現するかのような人物がいる。生涯にわたりメディア露出は限定的ながら根強い人気を保ってきた落語家、快楽亭ブラックを被写体に据えたドキュメンタリー映画『落語家の業(ごう)』が、2025年12月13日より渋谷ユーロスペースで公開される。

本作は、快楽亭ブラックの過激な芸風や破滅的な私生活を隠すことなく描き、その生き様を通して現代社会の窮屈さやコンプライアンスのあり方を問いかける作品である。タイトルにある「業(ごう)」は、個人の業や社会の構造を内包する言葉として据えられている。

出自と芸の根源

快楽亭ブラックは米兵と日本人女性の混血児として生まれ、差別や疎外を経験した幼少期を送った。その多くの時間を「映画館の闇」で過ごしたというバックボーンが、後年の芸風や世界観に影響を与えている。作品はこうした出自がどのように彼の表現に結びついたかを丁寧に紐解く。

師匠は落語界のカリスマである立川談志の弟子という系譜にあり、談志の言葉を受け継ぐ一人としての矛盾と孤高さが本作の主題の一つになっている。観客の笑いを獲得する技術と、社会的に許容されない表現のはざまで生きる芸人像が描写される。

製作の経緯と法的側面――6年半に及ぶ撮影と裁判の記録

本作は監督である榎園喬介が撮影・編集・監督・製作を兼務し、約6年半の歳月をかけて完成させた長期プロジェクトである。制作過程では被写体と監督が共に行動する場面を撮り続けた映像が膨大に集められ、そこから一代記としての構成が組まれた。

製作中には法的なトラブルも発生した。コロナ禍における緊急事態宣言下で落語会が開催できなくなった際、快楽亭ブラックは生計のために監督の手伝いを受けて落語の生配信を開始した。この配信内容をめぐり、師匠や弟子との間で争いが起き、配信を手伝った監督も「共犯者」として訴えられる事態に発展した。

裁判と記録の意味

訴訟は製作側にとっても撮影対象にとっても重大な出来事であり、その経緯を映像として残すことが本作の一部となっている。監督は訴訟中も撮影を続け、快楽亭ブラック本人から過去の膨大な映像提供を受けることで、個人史と公的な争いが交錯するドキュメンタリーになった。

このような過程は単にスキャンダラスな側面を強調するだけでなく、表現の自由とコンプライアンスの境界、そして芸人という職業の脆さを投影する記録として機能している。

作品の構成と出演・制作陣—音と語りで綴る一代記

本作は95分の上映尺で、言葉と映像の積み重ねによって人物像を浮かび上がらせる構成になっている。ジャンルはドキュメンタリー、映倫区分はG指定であり、幅広い層が鑑賞可能な作品として届けられる。

語り手には俳優・演者の坂本頼光が起用されており、語りによって物語性が補強される仕立てだ。音楽は杉浦康博が担当し、整音は白井勝が務めている。映像提供には九龍ジョーと落語家・鈴々舎馬るこからも素材が提供されている。

出演
快楽亭ブラック、立川談之助、鈴々舎馬るこ、げんきいいぞう、大本営八俵
語り
坂本頼光
撮影・編集・監督・製作
榎園喬介
映像提供
九龍ジョー、鈴々舎馬るこ
企画協力
銀幕ロン、立川左平次
整音・音楽
整音:白井勝/音楽:杉浦康博

撮影の特性と素材

長期にわたる撮影は人物の変化や社会の動きを記録するのに適しており、本作でもその強みが発揮されている。過去の映像と現在の取材を織り交ぜることで、単なる記録を超えた時間の厚みを持たせている。

また、制作過程で生じた裁判や配信の経緯も、記録の一部として扱われており、映像の倫理や公開の可否といった問題意識も内包している。

公開情報、配給、ディスク化・配信の現状

配給はいずれも本作を手掛ける合同会社bluebird siblingsが担当する。公開日は下記の通りで、渋谷を皮切りに京都・大阪・神戸・名古屋などで順次公開される予定である。

なお、現時点でディスク化(Blu-ray/DVD)およびサブスクリプション配信については未定となっている。劇場公開後のメディア展開に関しては今後の発表を待つ必要がある。

  • 2025年12月13日(土)より:〈渋谷〉ユーロスペース
  • 2026年1月9日(金)より:〈京都〉アップリンク京都
  • 2026年1月10日(土)より:〈大阪〉第七藝術劇場、〈神戸〉元町映画館、〈名古屋〉シネマスコーレ
  • ほか全国順次公開

公式サイトと問い合わせ先も公開されているため、上映情報の最新更新や舞台挨拶、追加上映情報などは公式サイトで確認できる。

公式サイト:https://rakugokanogou.com
お問い合わせ:rakugokanogou@gmail.com

作品データの整理

以下の表は本作に関する主要情報を整理したものだ。公開日、上映館、スタッフ、作品仕様などが一目で分かるようにまとめている。

項目 内容
作品名 落語家の業(ごう)
ジャンル ドキュメンタリー
映倫区分 G指定
95分
製作年 2025年
製作国 日本
配給 合同会社bluebird siblings
公開スケジュール 2025年12月13日:渋谷ユーロスペース
2026年1月9日:アップリンク京都
2026年1月10日:第七藝術劇場(大阪)、元町映画館(神戸)、シネマスコーレ(名古屋)
ほか全国順次公開
主要出演 快楽亭ブラック、立川談之助、鈴々舎馬るこ、げんきいいぞう、大本営八俵
語り 坂本頼光
監督/撮影/編集/製作 榎園喬介
映像提供 九龍ジョー、鈴々舎馬るこ
音楽/整音 音楽:杉浦康博/整音:白井勝
公式サイト https://rakugokanogou.com
お問い合わせ rakugokanogou@gmail.com
ディスク化・配信 ディスク化(Blu-ray/DVD)およびサブスク配信は未定

本作は個人史と表現の是非、そして現代のコンプライアンス感覚と伝統芸能の関係性を映像で探る作品となっている。公開スケジュールの詳細や追加情報は公式サイトで案内される予定であるため、関心がある場合は公式情報の確認を推奨する。

参考リンク: