おりひめジャパン、仏遠征で示した武器と残る課題

フランス遠征(ダンケルク)

開催期間:11月21日〜11月23日

フランス戦で日本はどこが良くてどうして負けたの?
前半は組織的守備とGKの好セーブ、ウイングの連動で一時リードを奪った。後半はフランスのフィジカルとスピードに押され守備の強度維持ができず失点が続き22-36で敗れた。
世界選手権の初戦っていつで相手は誰なの?
大会自体は11月26日に開幕するが、日本の予選初戦は日本時間で11月27日(現地11/27 20:30)に前回3位のデンマークと対戦する予定だ。

フランス遠征で見えた「通用する武器」――前半に奪ったリードとその意味

2025年11月23日(現地時間)、フランス・ダンケルクで行われた国際強化試合「Tournoi de France」第2戦で、女子日本代表「おりひめジャパン」は開催国であり東京・パリ五輪連覇中のフランスと対戦し、22-36で敗れました。しかし、試合前半には一時的に相手をリードする場面があり、組織的守備や両サイドの得点力といった「通用する武器」が示されました。本稿では試合の経過と選手の働き、遠征全体の位置づけを整理して報告します。

試合は世界最高峰の強度と圧力の中で進みました。前半の立ち上がりから日本は積極的なディフェンスでフランスの攻撃に対抗し、攻撃でも連動した動きで得点を重ねました。後半はフランスの強度が上がり差が開きましたが、攻守それぞれに収穫と課題が残る内容となりました。

前半の経過と主な選手の貢献

前半は開始から日本の組織的な守備が機能し、前半15分時点で7-5とリードを奪いました。立ち上がりの先制点は#13 中山佳穂(BSV Sachsen Zwickau)のディフェンスシュートで、以降は連動した攻撃で得点を重ねた点が特徴です。GK #30 亀谷さくら(Molde Elite)は好セーブを連発し、チームの守備を支えました。

前半20分を過ぎると、フランスが徐々に強度を上げ、フィジカルとスピードで優位に立ち連続失点を許しました。前半を8-19で折り返す展開となり、前半の終盤にかけて守備面での強度の維持と相手の切り替えに対する対応が課題として浮かび上がりました。

前半ポイント
・前半15分時点で7-5とリードを奪取。組織的守備が機能。
・中山佳穂の先制、亀谷さくらの好守で序盤の優位を築く。
・20分過ぎからフランスの強度に対応しきれず失点が続く。

後半の修正点と得られた収穫

ハーフタイムで修正を図った日本は後半に攻撃のリズムを取り戻しました。特に両ウイングが高い決定力を示し、後半だけで14得点を記録しています。吉留有紀(#51)や秋山なつみ(#20)が連続得点を挙げ、攻撃面での強みを発揮しました。

守備では途中出場のGK #77 上嶋亜樹(ASUL Vaulx-en-Velin)がビッグセーブを見せ、自ら得点を挙げるなど奮闘しました。最終スコアは22-36となったものの、世界女王相手に後半の攻撃で一定の手応えを得た点は評価できます。一方で、フランスのフィジカルと速さに対する対応力、失点時の切り替えなどは依然として改善の余地が残ります。

  • 後半の特徴:ウイングの決定力、GK上嶋の投入による切り替えとセーブ。
  • 残る課題:前半の失点を減らす守備の継続力、相手のフィジカルに対する対策。

個人得点は以下の通りです。これらの数字は選手個々の得点力を示すとともに、攻撃の起点と連動性を把握するための指標になります。

得点 選手
6点 #51 吉留 有紀(ハニービー石川)
5点 #20 秋山 なつみ(アランマーレ富山)
4点 #23 相澤 菜月(Thüringer HC/GER)
2点 #13 中山 佳穂(BSV Sachsen Zwickau/GER)
1点 #17 大松澤 彩夏
1点 #19 佐原 奈生子
1点 #37 松浦 未南
1点 #55 グレイ クレア フランシス
1点 #77 上嶋 亜樹

Tournoi de France 全体の流れと映像アーカイブ

今回の遠征は2025年11月21日~23日にフランス・ダンケルクで開催された国際強化試合「Tournoi de France」に参加する形で行われました。日本は11月22日に行われた第1戦でアンゴラ代表に29-28で勝利し、続く11月23日のフランス戦に臨みました。開催国における完全アウェーの環境での連戦は、世界選手権直前の実戦課題を明確にする機会となりました。

本遠征での2試合は試合映像のアーカイブが整備されており、フランス戦およびアンゴラ戦の模様を視聴することが可能です。視聴には有料の会員登録が必要である点が明示されています。映像は戦術面や選手個々のプレーを確認する上で貴重な資料となります。

  1. 第1戦(11月22日):日本 29-28 アンゴラ(勝利)
  2. 第2戦(11月23日):日本 22-36 フランス(敗戦)
試合動画配信(アーカイブ)
・第2戦:フランス代表戦(アーカイブ視聴可能)
・第1戦:アンゴラ代表戦(アーカイブ視聴可能)
・視聴に際しては有料の会員登録が必要

第27回IHF女子世界選手権へ向けた現在地と日本の組み合わせ・日程

この遠征を受け、日本代表は11月26日開幕の「第27回IHF女子ハンドボール世界選手権(オランダ・ドイツ共催)」へ移動します。日本は予選ラウンドのグループAに入り、デンマーク(前回大会3位)、ルーマニア、クロアチアと対戦します。予選ラウンドでは各グループ上位3チームがメインラウンドに進出する形式です。

日本の予選ラウンド日程と会場、放送・配信の情報は以下の通りです。試合はロッテルダムのアホイ(Ahoy)で行われ、放送はスカパー!の番組配信でライブ配信、日テレジータスで録画放送が予定されています。大会の詳細は主催者の大会ページで随時更新されます。

項目 内容
大会名 第27回IHF女子ハンドボール世界選手権
期間 2025年11月26日(水)~12月14日(日)
開催国 オランダ、ドイツ(共催)
日本の会場 ロッテルダム・アホイ(オランダ)
予選ラウンド グループA デンマーク(前回3位)、ルーマニア、クロアチア、日本
日本の予選日程(現地/日本時間の表記を含む) 11/27(木)20:30(日本時間翌4:30) vs デンマーク
11/29(土)18:00(日本時間翌2:00) vs ルーマニア
12/1(月)18:00(日本時間翌2:00) vs クロアチア
放送・配信 スカパー!番組配信(ライブ)、日テレジータス(録画放送)

世界選手権は出場国が多数のため、各試合の分析と戦術適応が勝敗に直結します。今回のフランス戦で確認した長所と短所は大会序盤の対戦相手に応じて優先的に修正される見込みです。予選ラウンドの初戦は11月27日のデンマーク戦で、対戦相手の戦力と相性を踏まえた準備が重要となります。

試合結果と遠征の要点まとめ

ここまで触れてきた遠征の結果と今後の予定を、読みやすく表形式で整理しました。試合スコア、主要選手の得点、遠征日程、世界選手権の組み合わせおよび日本の試合日程・放送情報を網羅しています。

以下の表は本遠征および世界選手権出場に関する主要事項をまとめたもので、短時間で現状を把握するための一覧となります。

分類 内容
遠征名 国際強化試合 Tournoi de France(フランス・ダンケルク)
遠征日程 2025年11月21日~23日
第1戦 11月22日 vs アンゴラ 29-28(勝利)
第2戦 11月23日 vs フランス 22-36(敗戦)
フランス戦 前半経過 前半15分まで7-5でリード。前半を8-19で折り返す。
フランス戦 後半の特徴 後半だけで日本が14得点。GK上嶋の途中出場とビッグセーブ、自ら得点。
主な得点者 吉留有紀 6点、秋山なつみ 5点、相澤菜月 4点、中山佳穂 2点、ほか1点が複数名
映像アーカイブ 第1戦・第2戦ともにアーカイブ視聴が可能(有料会員登録が必要)
世界選手権 第27回IHF女子ハンドボール世界選手権(2025/11/26~12/14、オランダ・ドイツ共催)
日本のグループ 予選ラウンド グループA:デンマーク(前回3位)、ルーマニア、クロアチア、日本
日本の予選日程 11/27 vs デンマーク(20:30 現地/日本時間翌4:30)
11/29 vs ルーマニア(18:00 現地/日本時間翌2:00)
12/1 vs クロアチア(18:00 現地/日本時間翌2:00)
放送・配信 スカパー!番組配信(ライブ)、日テレジータス(録画放送)

以上が、Tournoi de France 第2戦(対フランス)を含む遠征の経過と、第27回IHF女子世界選手権への接続点です。フランス戦で示した守備の組織性、ウイングの得点力、GKの交代による効果などは本大会に向けた重要な材料であり、同時に前半の失点増加やフィジカル面での差は対処すべき課題として残っています。各試合の映像やデータを基に調整を進め、予選ラウンドに臨むことになります。