アスクル第10報:ランサムウェア被害の復旧状況まとめ

アスクル復旧(第10報)

開催日:11月19日

アスクルのサービスはいつ全部戻るの?
段階的復旧で一部サービスは既に再開。ASKULの単品注文は「2025年12月上旬以降」を目標に再開予定ですが、状況で変更の可能性があり出荷能力は当面限定的です。
自分の個人情報は流出したの?どう対応すればいい?
同社は一部情報の外部流出を確認しており、対象者には順次連絡中です。心配な場合は専用窓口(平日9時〜17時/0120-023-219)へ問い合わせてください。

発生から現在まで:攻撃の確認と復旧方針

アスクル株式会社は、2025年10月19日に発生したランサムウェア攻撃によるシステム障害について、2025年11月19日15時30分付で第10報を公表しました。本記事は同リリースの内容を整理して伝えるものであり、発表日時および事実関係を正確に記載します。発表時点での情報を基に、各サービスの現状、復旧計画、顧客対応窓口などを網羅します。

同社は復旧の基本方針として、事業所向けサービスであるASKUL(アスクル)サービスの業務継続を最優先に位置づけています。Webサイトの再開は、セキュリティ強化と安全性の確認を前提として段階的に行い、出荷は安定稼働を確認しつつ順次拡大する方針です。併せて、被害拡大防止のためランサムウェアの詳細情報には限定的な情報開示を行うとしています。

ASKULサービスの復旧計画と進捗(第10報の詳細)

第8報以降の更新点を含め、ASKULサービスの復旧は段階的かつトライアル運用を伴う形で進められています。第10報で新たに示された点や現時点での進捗は以下の通りです。

同社はFAXやWebを組み合わせた手運用で出荷トライアルを複数段階で実施しており、WMS(倉庫管理システム)を使用しない運用であるため通常のサービスより配送に時間を要する場合があると明記しています。

第1弾:FAX注文・手運用(トライアル)

第1弾トライアルは10月29日開始で、医療機関・介護施設を含む一部顧客を対象にFAX注文で出荷を試験的に行っています。対象商品はコピーペーパー等の37アイテムで、すべて箱(ケース)単位での注文です。出荷拠点は新木場物流センターとASKUL大阪DCの2拠点で運用されています。

その後、11月10日から対象商品・出荷拠点を拡大する第1弾の拡張が行われ、一部のお客様を追加対象としてFAX注文での受付を維持しつつ、対象商品を約230アイテムへ拡大しています。出荷拠点も仙台、横浜、名古屋、関西、福岡の5拠点を追加し、計7拠点からの出荷体制に拡大しています。追加拠点からの出荷は11月7日から開始されており、出荷能力は従来の1~2割程度とされています。

第2弾:Web注文(ソロエルアリーナ)と出荷トライアル

第2弾は11月12日開始で、対象を第1弾より拡大し、ソロエルアリーナの全顧客を含む形で進められています。注文方法はFAXに加え、ソロエルアリーナWebサイトでの注文再開が含まれます。箱単位注文は第1弾と同様の約230アイテム、加えて単品注文として医療機器・衛生材料等のメディカル品477アイテムが対象に含まれます。

出荷拠点は、箱単位注文が第1弾と同様の7拠点、単品注文はASKUL東京DCの1拠点からの出荷となります。出荷能力は第1弾と同様で、物流センターからの従来のフル出荷能力はまだ回復していないという説明です。

第2弾の拡大:直送品の一部再開

第10報で明示された更新点として、11月12日よりソロエルアリーナWebサイトからの注文顧客を対象に、サプライヤーからの直送品の一部再開が開始されています。直送品の再開は2つのカテゴリーに分けて段階的に拡大されます。

まず従来からの直送品(文具、日用品、飲食消耗品、PC周辺機器、MRO等)を約200万アイテムを扱う体制へ拡大しており、サプライヤー数は9から10へ増加して順次拡大するとしています。次に、従来アスクル在庫だった商品を直送品として提供する約6,000アイテムについては、11月15日から開始し順次拡大すると明記されています。これらは各サプライヤー拠点からの出荷となるため、同社物流センター由来の出荷能力には影響しないと説明されています。

本格復旧フェーズの予定

同社は2025年12月上旬以降を目標に、ASKUL Webサイトでの単品注文受け付けと一部物流センターからの通常出荷(物流センター在庫全商品の出荷)を再開する予定としています。ただし状況により変更される可能性がある点は留意が必要です。

注記として、第1弾~第2弾のトライアル出荷運用はWMSを使用しない手運用であり、通常サービスよりもお届け日数がかかる運用である点が強調されています。

その他サービスの現状と個別対応

アスクルが展開する他サービスについても状況が整理されています。LOHACO(ロハコ)は、ASKULサービスの本格復旧開始後に再開を予定しており、再開時期は確定次第案内するとされています。

印刷サービスのパプリは11月11日より一部顧客からのFAX注文を受け付け開始しており、対象顧客には個別案内を行うとしています。全面再開時期は未定で確定次第通知する旨が記載されています。

通常稼働中のサービス

ビズらくおよびSOLOEL(ソロエル)は、システム・Webサイトの安全確認を実施したうえで通常サービスを提供中と報告されています。ただし、SOLOEL内における一サプライヤーとしての「アスクル株式会社」は出荷を停止しており、出荷再開時期は未確定で後日案内されるとのことです。

なお、アスクル外部カタログ連携(直販モデル含む)は現時点で出荷トライアル運用の対象外であり、サービス再開時期は確定次第案内されると明記されています。また、ASKUL LOGIST株式会社が請け負う3PL事業(例:株式会社良品計画ほか)については、本リリースの復旧スケジュールとは異なる扱いであり、別途案内される旨が記されています。

情報流出・調査対応と問い合わせ窓口

システム障害に関しては、被害拡大防止の観点からランサムウェアに関する詳細情報を限定して公表する方針です。現在、ログ解析、異常監視、原因や障害対象範囲の詳細調査を継続しています。

第5報(10月31日)および第7報(11月11日)で公表された通り、同社保有の情報の一部が外部に流出したことを確認しており、対象となる顧客・取引先には順次連絡を行っているとしています。個人情報保護委員会への報告や警察相談等、関係機関への報告・相談は適切に行われていると明記されています。

問い合わせ窓口と受付時間

情報流出専用の問い合わせ窓口が設置されており、受付は平日の9時から17時までです。電話番号は以下の通りです。

  • フリーダイヤル:0120-023-219(平日9時-17時)
  • IP電話(050で始まる番号など):03-6731-7879(通話料は利用者負担)

同社から顧客・取引先への連絡メールは、社内ネットワークと独立した外部クラウドサービスを利用して送信しているとし、現時点で当該外部サービスにおけるランサムウェア感染や不正アクセスは確認されていないと説明しています。

これまでの発表日程と注釈、記事のまとめ表

同社は一連の経緯について複数回にわたりリリースを出しています。以下は公表された日付の一覧と、本文中に記載の注釈・補足事項を整理したものです。

発表一覧は次の通りです。各リリース内容の詳細は当該日付の発表を参照するとされていますが、本稿では第10報(2025年11月19日)までの主要内容を網羅しています。

  • 2025年10月19日:第1報(ランサムウェア攻撃によるシステム障害を確認)
  • 2025年10月22日:第2報(調査状況とサービス現況)
  • 2025年10月29日:第3報(一部商品の出荷トライアル運用開始)
  • 2025年10月31日:第4報(一部報道について)および第5報(情報流出に関するお詫びとお知らせ)
  • 2025年11月 6日:第6報(サービスの復旧状況)
  • 2025年11月11日:第7報(情報流出に関するお知らせとお詫び)
  • 2025年11月12日:第8報(サービスの復旧状況)
  • 2025年11月14日:第9報(3PL事業に関する情報流出可能性)
  • 2025年11月19日:第10報(本リリース)

以下の

は、本リリースで示された主要項目を整理した要約表です。本文で示した各日付、対象範囲、注文方法、対象商品、出荷拠点、出荷能力などを網羅的にまとめています。

項目 内容(リリースに基づく詳細)
発表社名・日時 アスクル株式会社/2025年11月19日 15時30分(第10報)
障害発生日 2025年10月19日(ランサムウェア攻撃によるシステム障害を確認)
復旧基本方針 事業所向けASKULサービスを最優先。Webはセキュリティ強化・安全確認後再開、出荷は安定稼働確認後順次拡大
第1弾(開始日) FAX注文・手運用 出荷トライアル:2025年10月29日開始(対象:一部顧客、医療機関・介護施設含む)
第1弾 対象商品・拠点 初回:37アイテム(箱単位)、出荷拠点:新木場物流センター、ASKUL大阪DC。拡大(11月10日開始):約230アイテム、拠点追加:仙台、横浜、名古屋、関西、福岡(計7拠点)。出荷能力:従来の1~2割程度
第2弾(開始日) Web注文・手運用 出荷トライアル:2025年11月12日開始(対象拡大、ソロエルアリーナ全顧客を含む)
第2弾 対象商品・拠点 箱単位:約230アイテム(第1弾と同様)/単品(メディカル品):477アイテム。出荷拠点:箱単位は7拠点、単品はASKUL東京DC(1拠点)。出荷能力:第1弾と同様
第2弾拡大(直送品) ① 従来直送品(文具等) 約200万アイテム(サプライヤー数9→10へ順次拡大) ② アスクル在庫を直送扱いに 約6,000アイテム(11月15日開始)/各サプライヤー拠点から出荷
本格復旧予定 2025年12月上旬以降:ASKUL Webサイトでの単品注文受付再開および一部物流センターから通常出荷再開予定(状況により変更の可能性あり)
情報流出への対応 一部情報の外部流出を確認。個別通知実施、個人情報保護委員会・警察等へ報告・相談実施中。詳細開示は限定的
問い合わせ窓口 情報流出専用:平日9時-17時/0120-023-219、IP電話:03-6731-7879(通話料負担)
外部連絡メールの状況 顧客・取引先への連絡メールは社内ネットワークと独立した外部クラウドサービスを利用。該当外部サービスでの感染・不正アクセスは現時点で確認されていない
注釈(重要) 第1弾~第2弾のトライアルはWMS非使用の手運用。トライアル出荷は通常よりお届け日数がかかる可能性あり。ASKUL LOGISTの3PL事業は本スケジュールと異なる

以上の表はリリース本文に記載された内容を整理したものであり、発表日時点の情報を基に作成しています。各サービスの再開時期や出荷能力は状況により変更される可能性があるため、同社による続報の確認が必要です。