海士町で進む木造モバイル住宅、3月末引き渡し見通し

海士町モバイル住宅引渡し

開催日:3月31日

海士町モバイル住宅引渡し
これっていつ入居できるの?
今年度末(想定:2026年3月末)での引き渡しを目標に進行中。現地では基礎工事と並行してユニット製造・海上輸送準備が進められており順調と報告されています。
離島でも耐久性や断熱は大丈夫?
問題なし。耐震等級3、断熱等級5〜6相当の設計で、2025年4月施行の省エネ基準もクリア可能。太陽光や蓄電池と組み合わせてZEH運用も見込めます。

海士町で進む「オフサイト+木造モバイル建築」プロジェクトの現状

一般社団法人日本モバイル建築協会(所在地: 東京都千代田区、代表理事: 長坂俊成)は、島根県隠岐郡海士町において移住者向け住宅の施設建設プロジェクトを進めています。プレスリリースは2025年11月15日11時30分に発表され、本プロジェクトは離島が抱える建築上の課題を解消することを目的に、オフサイト工場での製造と木造モバイル建築ユニットの組み合わせによって実現されます。

現地では基礎工事と並行してユニットの製造が進行中で、今年度末の引き渡しに向けて順調に工程が進められていると発表されています。記事内では現地搬入のイメージとして「貨物船に積み込みをされるモバイル建築ユニット(提供:株式会社益田建設)」という写真提供の記載もあり、海上輸送を前提とした設計・施工の様子が明確に示されています。

【進捗報告】島根県海士町での移住者向け住宅のオフサイト建築について 画像 2

プロジェクトが解決する離島特有の課題

本プロジェクトの狙いは、離島や過疎地で頻発する職人不足、長期化する工期、島民への滞在負担、輸送や処分にかかるコストなどです。これらをオフサイトでの製造と木造モバイル建築の採用によって包括的に対処し、住環境の早期整備と運用時の効率化を図ります。

海士町の事例は、地理的制約が強い地域であっても、工場制御のもとで高品質な住宅ユニットを製造し、箱のまま海上輸送して現地で据え付ける方式により、現地での作業量・滞在時間・廃材処理負担を低減することを示すモデルケースです。

【進捗報告】島根県海士町での移住者向け住宅のオフサイト建築について 画像 3

オフサイト建築の実務的な仕組みと利点

オフサイト建築とは、島外の工場で住宅ユニットを組み立て、内外装・設備・配線配管まで含めて完成させた箱の状態で現地に輸送する手法です。本プロジェクトではこの手法を採用することで、現地での施工を基礎への設置と接続に限定し、工期短縮と品質確保を両立させています。

工場での生産管理により、天候や作業環境に左右されずに一定の品質を保持できます。離島特有の悪天候や職人不足による遅延リスクを低減し、同時に建築廃材や現地で発生するごみを島外で処理するため、離島側のごみ処理施設への過負荷も回避されます。

オフサイト建築のメリット一覧

以下はリリースに明記されたオフサイト建築の具体的な利点です。これらは海士町プロジェクトでの採用理由にも直結しています。

  • 現地作業の最小化:島外工場で内外装・設備・配線配管を完了させるため、現地では基礎設置と接続のみで済みます。
  • 品質の均一化:工場での品質管理により、天候に影響されず高品質な仕上がりを担保します。
  • 島民への負担削減:現地での作業人員を最小限に抑え、長期滞在による住民への影響を軽減します。
  • 廃棄物負担の軽減:建築廃材やゴミは工場側で処理するため、離島のごみ処理施設への負荷を避けられます。
  • 工期短縮:基礎工事とユニット製造を並行で進められるため、従来工法より大幅な工期短縮が可能です。

木造モバイル建築の特徴と性能規定

木造モバイル建築は、工場で製造した箱型ユニットをトラックや船で輸送し、現地で迅速に据付けたり、移設・増築を繰り返すことができる建築手法です。海士町のプロジェクトでは木造軸組工法(海士町の場合)またはツーバイフォー工法を採用し、地域の工務店や大工が製造・メンテナンス・リフォームを行えるよう配慮されています。

この方式は、将来的な移設やリユースを見据えた設計が可能であり、環境負荷を低く抑える点も特徴です。リユース時には廃棄物がほとんど発生しないため、サステナブルな建築として評価されます。

性能と規格に関する詳細

リリースには性能面での具体的な指標も示されています。木造モバイル建築は一般住宅と同等の性能を担保し、耐震等級3、断熱等級5〜6相当の耐久・断熱性能を有する設計が可能であるとしています。

さらに、2025年4月に施行された省エネ住宅の基準をクリアすることが明記されており、太陽光パネルや蓄電池との組み合わせでZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)としての運用も可能です。この点は、離島での自立的なエネルギー運用を視野に入れた重要な仕様です。

  • オープン工法:特殊な技術を必要とせず、全国の地域工務店や大工が携われる。
  • 増設・移築の自由度:需要に応じて1戸から増築が可能で、移設や再利用にも対応。
  • 環境配慮:リユース時に廃棄物がほぼ発生せず、環境負荷が低い。

自治体向けの相談窓口と導入条件、進行スケジュール

日本モバイル建築協会によれば、近年、過疎地や離島に属する自治体からの相談が増加しているとのことです。相談内容としては、職人不足により新築が進まない、現地に職人が長期滞在できる宿泊環境が整わない、短い工期で多数の施設を整備したい、といった課題が多く挙げられています。

協会はまずWEB会議でのヒアリングを提案しており、現地の実情を踏まえた上で、オフサイトでのユニット製造や輸送・据付方法、費用見積りの提示などを行います。連絡は協会の問い合わせフォームを通じて受け付けています(https://mobakyo.or.jp/contact)。

問い合わせ対応と想定される対応フロー

発表文で示された問い合わせ対応の大まかな流れは次の通りです。まずWEB会議で状況把握を行い、その後設計・製造スケジュールの提案、工場でのユニット製造、海上輸送、現地据付という流れで進行します。海士町の事例のように、基礎工事と並行して上部ユニットを製造することで全体の工期短縮が可能です。

費用面や輸送スケジュール、現地の基礎工事に関する技術的な条件などは、個別の案件ごとに詳細に検討されることが前提です。自治体側が抱える制約(岸壁の利用可否、クレーン作業の可用性、基礎工事の工程など)に応じた実務調整が必要になります。

まとめ:海士町プロジェクトのポイント整理

ここまで述べてきた内容を表で整理します。表はプロジェクトの要点を簡潔に把握するためのものであり、設計性能、工法、進行スケジュール、問い合わせ先などを網羅しています。

項目 内容
発表団体 一般社団法人日本モバイル建築協会(所在地: 東京都千代田区、代表理事: 長坂俊成)
発表日時 2025年11月15日 11時30分
プロジェクト実施地 島根県隠岐郡海士町
写真提供 貨物船に積み込みをされるモバイル建築ユニット(提供:株式会社益田建設)
工法 オフサイト工場でのユニット製造(箱型)+木造モバイル建築(木造軸組工法またはツーバイフォー)
主なメリット 現地作業最小化、品質均一化、島民負担軽減、廃棄物処理の島外化、工期短縮
性能 耐震等級3、断熱等級5〜6相当、省エネ基準(2025年4月施行)をクリア、ZEH化対応可能
環境配慮 モジュールのリユース性が高く、廃棄物発生がほぼない設計
自治体向け対応 WEB会議での初期相談を実施。問い合わせフォーム: https://mobakyo.or.jp/contact
関連リンク https://mobakyo.or.jp/
引き渡し時期 今年度末(プロジェクトは順調に進行中)

以上が発表資料に基づく海士町での移住者向け住宅プロジェクトの要点です。オフサイトでのユニット生産と木造モバイル建築の組み合わせにより、離島や過疎地における建築の制約を解消し、短期かつ高品質な住宅提供を目指しています。自治体等の問い合わせは上記の問い合わせフォームから受け付けられています。

参考リンク: