1月27日発売｜Petit Marujuの新作ショコラ4粒

奈良の風土とカカオが織りなす「やわらかな土の詩」

Petit Maruju（プティ・マルジュ）は、新作ショコラアソート「やわらかな土の詩（うた）〜目に見えない自然の力を映すカカオ〜」を発表しました。パティシエは寿円早綾。日本の発酵文化や奈良の土地の恵みを出発点に、カカオと自然の「目に見えない力」を結びつけるという明確なコンセプトのもと制作されています。

本作は今春パリで開催された国際的なコンペティション「Club des Croqueurs de Chocolat（C.C.C.）」にPetit Marujuとして初出場し、2026年のクラブ・デ・クロクール・ドゥ・ショコラ・ガイドにおいて、最高位の「ゴールドタブレット」を獲得しました。さらに特別賞の「Coup de Cœur」も受賞しています。これらの受賞は、海外の専門家から見てもその完成度と独自性が高く評価されたことを意味します。

Petit Marujuは奈良を拠点に、お菓子教室やショコラ教室、商品開発を中心に活動してきました。「カカオと自然のあいだ」をテーマに、直感とインスピレーションでショコラを創作するという姿勢が本作にも色濃く反映されています。

今回の発表は商品の発売にとどまらず、日本の食文化や地域素材をカカオとどう結びつけるかという問いへの一つの解答となっています。素材選定や風味設計には発酵食品や奈良特有の素材が積極的に取り入れられ、四季の循環を物語として表現する試みが随所に見られます。

四粒のショコラに込めた四季の物語

「やわらかな土の詩」は4粒のアソートで、各粒が春・夏・秋・冬をそれぞれ象徴します。4つの味わいは単なるフレーバーの集合ではなく、土と季節の循環から生まれるエネルギーや記憶、風景を五感で感じるための構成です。

それぞれの粒には奈良や日本の食卓に連なる素材が用いられ、味の構築はカカオとの融合を重視して設計されています。以下に各粒の詳細を季節ごとに示します。

春 — 芽吹き

春の一粒は「芽吹き」。煎茶の清らかな苦味を軸に、柚子の光のような香りを重ね、和山椒のひそやかな刺激が全体を引き締めます。柚子ガナッシュは繊細でとろけるような食感をめざして仕上げられています。

この構成は春の草木の目覚め、静かに広がる新鮮な命の気配を表現する意図があり、煎茶や和山椒といった和素材が季節感を直接的に伝えます。カカオは柚子や煎茶の輪郭を引き立てる役割を担っています。

夏 — 光

夏の粒は「光」。赤い梅「梅雨あかね」の柔らかな酸味をベースに、シトラススパイスの輝きを重ね、清涼感のある午後の空気を連想させる味わいです。香りの設計は高級香水を想起させるほどに緻密に考えられています。

夏の表現は、強い陽射しの中で輝く果実や香りの層をカカオに載せることで成立しています。素材の酸味とスパイスの対比により、ショコラとしては珍しい軽やかさと立体感を実現しています。

秋 — 実り

秋は「実り」。玄米茶と松の実の香ばしさを土台にし、フランボワーズを忍ばせることで、秋の収穫と静けさを表現しています。松の実は旅の記憶や風景の断片としての意味も持たせられています。

この粒ではプラリネ技術が活かされ、松の実のフレッシュさと玄米茶の香ばしさがカカオと溶け合うことで、口中に繊細な余韻が残ります。秋の実りをイメージした層構造が味わいの中心です。

冬 — 温もり

冬の粒は「温もり」。酒粕を用いたキャラメルに、生姜風味の奈良漬をアクセントとして重ね、和紅茶の長い余韻で締めくくります。キャラメルの柔らかさが冬の包むような温かさを表現します。

酒粕や奈良漬といった発酵由来の素材は、冬の静寂と蓄積された時間の重みを感じさせます。和紅茶が残す余韻は、冷えた季節に寄り添うような温度感を演出します。

C.C.C.審査員の評価と素材へのこだわり

C.C.C.（Club des Croqueurs de Chocolat）審査員からは高い評価が寄せられています。フランス語のコメントと日本語訳が公表されており、プレゼンテーション、装飾、テクスチャーの完成度が特に称賛されました。

審査員コメントの原文と日本語訳は以下の通りです。オリジナルのフランス語と対応する日本語訳が示されているため、国際的評価の細部が分かります。

原文（フランス語）

Un nouveau chocolatier japonais et nous ne répondons plus de rien. Quelle belle découvere. La présentation est superbe ia décoration est subtile, les tetures sont impeccablement travailées : les quatre saisons dans ce qu’elles offrent de plus beau. Printemps est une ganache yuzu fine et fondante. Été est un travail d’orfèvre. Son odeur est digne d’un grand parfum et les saveurs, d’un dessert gastronomique. Automne est une réussite : la fraîcheur d’un praliné au pignon impeccablement réalisé. Aussi étonnant que délicieux. Hiver nous emmitoufle avec un caramel parfaitement travaillé. C’est exceptionnel, tout simplement.

日本語訳

新しい日本人ショコラティエの登場に、もうすっかり魅了されてしまいました。なんて素晴らしい発見でしょう。プレゼンテーションは見事で、装飾は繊細、テクスチャーも完璧に仕上げられています。四季それぞれが最も美しい形で表現されています。春は、繊細でとろけるような柚子ガナッシュ。夏は、ひとつひとつが芸術作品のように精巧で見惚れるほどの完成度。香りは高級香水のようで、味わいはまるで美食デザートのようです。秋は、松の実のプラリネが驚くほど瑞々しく完璧に仕上げられた一品。驚くほど美味です。冬は、キャラメルが絶妙に調和し、包み込むような温もり。――まさに特別。完璧というほかありません。

素材面では、味噌や塩麹、和茶や果実、そして奈良漬といった1400年の歴史を持つ発酵食品が重要な役割を果たしています。それらを一つ一つ見つめ直し、カカオの多様性と融合させることで独特の風味世界が作られています。

また、ショコラのモールド（型）は小さな絵画のように情景を描くキャンバスとして扱われ、松の木々の記憶や旅の風景といった個人的なインスピレーションもデザインに反映されています。

商品概要と販売情報の整理

商品は4粒入りのアソートで、各粒の名称は「芽吹き」「光」「実り」「温もり」です。発売日は2026年1月27日、価格は2300円（税込）に設定されています。販売は近鉄百貨店奈良店のPOP UP出店で行われます。

Petit Marujuは奈良拠点で活動するブランドで、ショコラの制作のみならず教室運営や商品開発を行っています。公式ウェブサイトと連絡先は以下の通りです。

• Web：http://www.petit-maruju.com
• E-mail：info@petit-maruju.com
• パティシエ：寿円早綾

発売に際しては、商品のコンセプトや素材の背景、そしてC.C.C.での受賞実績が明示されており、作品としての物語性と確かな技術力の両面が訴求されています。

要点の整理

以下に本記事で取り上げた主要な情報を表形式で整理します。商品の基本情報、発売日、価格、販売場所、受賞歴、製作背景などを網羅的にまとめていますので、確認に役立ててください。

本稿では、Petit Marujuによる新作ショコラアソート「やわらかな土の詩」に関する発表内容を、作品のコンセプト、個々のフレーバー設計、C.C.C.での評価・受賞歴、商品仕様および販売情報まで網羅して整理しました。素材選定と季節表現の意図、そして国際審査における評価の要点を含めてまとめています。