貝印が銀座で「いい刃の日」前夜PR 新カミソリ2種を初披露
ベストカレンダー編集部
2025年11月7日 18:48
貝印 いい刃の日PR
開催日:11月7日
銀座・観世能楽堂で開かれた「いい刃の日」前夜の特別PRイベント
グローバル刃物メーカーの貝印株式会社は、2025年11月7日(金)に銀座の観世能楽堂で「いい刃の日」PRイベントを開催した。プレスリリース配信日時は同日16:00であり、イベント本体は11:00開始で実施された。会場は観世能楽堂(東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 地下3階)で、貝印が公式スポンサーとして協賛している能楽堂での開催となった。
当日は貝印代表取締役社長 兼 COOの遠藤浩彰氏が登壇し、企業の理念や各種プロジェクト、海外の事業展開状況、新製品の発表など幅広い内容が報告された。特別ゲストとして俳優の小雪さんが和装姿で登壇し、トークセッションとフォトセッションに臨んだ。イベントはフォトセッションや代表質問形式の質疑応答も含め、用意されたプログラムに沿って進行した。
開催概要と当日のプログラム
イベントの日時と会場、登壇者などの基本情報は以下の通りである。情報はプレスリリースの記載を基に整理している。
当日のプログラムでは、会社挨拶に始まり、理念体系図の発表、野鍛冶承継プロジェクトの紹介、インバウンド状況の説明、新製品の発表、アイデアコンペの紹介、デザイン展の説明、トークセッション、フォトセッション、代表質問形式の質疑応答が行われた。
- 日時:2025年11月7日(金) 11:00~
- 会場:観世能楽堂(東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 地下3階)
- 登壇者:遠藤浩彰(貝印株式会社 代表取締役社長 兼 COO)、小雪(俳優)
- 内容:社長挨拶/会社概要/理念体系図発表/野鍛冶承継プロジェクトの紹介/インバウンド状況/新製品発表/アイデアコンペ紹介/デザイン展開催について/トークセッション(小雪さん)/フォトセッション/質疑応答(代表質問形式)
理念体系の刷新と野鍛冶承継プロジェクトの詳細
イベントで遠藤浩彰社長は、創業117年を迎えた貝印グループの現状と今後の方向性について説明した。貝印は家庭用包丁、爪切り、使い捨てカミソリなどで国内市場における高いシェアを持ち、グループ連結売上は昨年度562億円に至ったことを公表している。海外、特に北米を中心とした成長がエリア別の過半数を占める状況であることも示された。
加えて、2023年の創業115年の機に改定したコーポレートミッションを起点に、KAI Philosophyとして社内外に対して貝印が何を目指すかを体系化した新たな理念体系図の発表が行われた。KAI Philosophyには、開発方針のDUPS3、人事方針のKAI FAMILY、創業の精神である「野鍛冶の精神」「三つの感謝」などが組み込まれている。
野鍛冶承継プロジェクトの具体的な取り組み
野鍛冶承継プロジェクトは、関市を中心とする日本の伝統的な野鍛冶の技と心を後世に残すために設計された取り組みである。プロジェクトは技術継承と文化継承の二本柱で進められている。
技術継承においては、打刃物の技術を習得するため社員が育成施設に出向し、鍛造鍛冶職人の育成を行っている。さらに困難な伝統技法を用いた和包丁の量産化を目指す取り組みも進行している。文化継承では関市内の刀匠や刃物事業者の有志とともに「関鍛冶たたら実行委員会」を結成し、岐阜県や関市、社団法人、奥出雲のたなべたたらの里の協力のもと、2025年12月7日に関市内で刃物の原材料となる玉鋼を製鉄するたたら製鉄の操業を予定している。
- 目的
- 失われつつある野鍛冶の技と心を承継し、後世に残すこと
- 技術継承
- 社員の育成施設への出向、鍛造技術の習得、和包丁の量産化検討
- 文化継承
- 関鍛冶たたら実行委員会の結成、たたら製鉄の操業(2025年12月7日予定)
世界初を謳う2つのカミソリ ― 「なでそり」と「THOLL」
イベントの中心発表は、2026年に発売予定として紹介された世界初のカミソリ2製品「なでそり」と「THOLL」である。それぞれコンセプト・機能・発売方法に特徴があり、貝印が掲げる「切れ味とやさしさ」を実製品で具現化する試みとして紹介された。
遠藤社長は新製品の発表に際して、刃物メーカーとして「どんな人にも安心してカミソリを使ってほしい」という視点から開発を進めている点を強調した。両製品は従来の枠組みを越える設計思想とサステナビリティへの配慮を重ね合わせたものである。
製品仕様と発売予定
「なでそり」は、どの方向に動かしてもそりやすく、なでるように毛を処理できる世界初のカミソリとして説明された。刃に付いた2種類の樹脂ガードにより肌に刃が直接触れにくく、横滑りを抑える構造になっているため、従来のT字カミソリのようにフォームや石鹸で泡立てる必要がない点も特徴である。SNSの影響で低年齢化する剃毛処理への懸念を背景に、子どもでも直感的にかつ安全に使える製品を目指しているとしている。特許(第7710557号)に関連する設計説明として、正多角形の開口の各辺に沿って複数の刃が互いに向かい合うように配置されている構造が挙げられている。
「THOLL」は、替刃式の5枚刃フルメタルレザーとして発表された。ヘッドパーツは磁石で装着可能であり、プラスチック樹脂を一切使用していない点が大きな特徴である。耐久性の高いハンドルにより長期間使用でき、サステナビリティと経済性を両立する製品として位置づけられている。発売方法としては、2026年3月に国際的なクラウドファンディングサービスKickstarter上で数量限定のテスト販売を開始する予定で、反応を見ながら今後の展開を検討するとしている。
| 製品名 | 特徴 | 発売時期 | その他 |
|---|---|---|---|
| なでそり | どの方向にも動かせる構造/2種類の樹脂ガードで肌に触れにくい/フォーム不要 | 2026年発売予定 | 特許:第7710557号 |
| THOLL | 替刃式5枚刃フルメタル/ヘッドは磁石で装着/プラスチック不使用 | 2026年発売予定(Kickstarterで2026年3月に限定テスト販売予定) | サステナビリティと経済性を両立 |
トークセッション:小雪さんが語った家庭と刃物の関わり
スペシャルゲストの小雪さんは和装で登壇し、自身の日常と刃物との関わりについて語った。子育てや家庭での使い勝手を重視する視点から、貝印製品を長年愛用していると述べ、製品のデザインや使いやすさに「優しさ」を感じるという趣旨のコメントがあった。
さらに小雪さんは新製品「なでそり」を事前に試用した体験を共有した。思春期の子どもの毛処理に悩む家庭での実例として、自宅に「なでそり」をそっと置いたところ、息子さんが自ら使用し、腕を見せに来たというエピソードを披露した。親が指導しなくても直感的に扱え、親も安心できる製品という評価を語っている。
日常の刃物の一コマと写真紹介
トーク内では、11月8日の「いい刃の日」に合わせて、小雪さんの日常で使っている刃物にまつわる2枚の写真が紹介された。1枚目はSELECT100のキッチンばさみ・ピーラーについて、韓国での食文化でハサミを多用する場面に触れつつ、自宅でも食材を手軽に切れる点やピーラーのデザイン性を評価している。
2枚目は関孫六ダマスカス包丁に関するエピソードで、子どもたちを含めて家族とともに包丁を使って調理をする様子や、熟した梨を肉と煮込む家庭料理の話が共有された。料理を行う時間が自身にとってのメディテーションであり、食材に向き合う時間と家族の食卓を大切にしていると述べている。
- SELECT100 キッチンばさみ・ピーラー:デザインと使い勝手を評価、キッチンのモノクロ統一に馴染む。
- 関孫六 ダマスカス 包丁:子どもにも包丁を使わせて調理を手伝わせることがある、家族との時間を重視。
登壇者プロフィール
イベントには遠藤浩彰氏と小雪さんが主に登壇した。各自の略歴や役割が紹介され、遠藤氏は社内外での経歴を踏まえた挨拶を行い、小雪さんは俳優としてのキャリアに触れつつ、家庭での刃物利用に関する実践的な話をした。
以下に登壇者のプロフィールをまとめる。
- 遠藤 浩彰(えんどう ひろあき)
- 貝印株式会社およびカイインダストリーズ株式会社 代表取締役社長 兼 最高執行責任者(COO)。2008年慶應義塾大学経済学部卒業後入社。国内外の生産・営業・経営管理部門での経験を経て、2021年5月25日に現職就任。グループ連結売上の成長や海外市場での展開を牽引している。
- 小雪(俳優)
- 1976年12月18日生まれ、神奈川県出身。1995年より専属モデル等で活動を開始し、1998年俳優デビュー。映画『ラスト・サムライ』『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなど多数出演。ドラマやCMでも幅広く活動。
展示情報と記事のまとめ
イベント当日に合わせ、同日から開始されたコンセプトデザイン展示「切れ味とやさしさ展 ー趣味と刃物ー」についても紹介があった。貝印デザイン部によるコンセプトデザインや、東北芸術工科大学と京都市立芸術大学の学生作品、主催する帽子デザインコンテストの受賞作品などが展示される。会期は2025年11月7日(金)~11月10日(月)で、時間は11:00~21:00。会場はShibuya Sakura Stage 4F “404 Not Found”(東京都渋谷区桜丘町1−4 Shibuya Sakura Stage SHIBUYA SIDE 4F)で、関連情報は公式サイトのイベントページ(https://www.kai-group.com/fun/event/iiha2025/)で案内されている。
以下の表は、本記事で取り上げた主要な情報を整理したものである。イベントの日時・会場、登壇者、発表されたプロジェクトと製品、展示の開催情報などをまとめている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| プレスリリース配信 | 貝印株式会社/2025年11月7日 16時00分配信 |
| イベント名 | 「いい刃の日」PRイベント(前日開催) |
| 開催日時 | 2025年11月7日(金) 11:00~ |
| 会場 | 観世能楽堂(東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 地下3階) |
| 登壇者 | 遠藤浩彰(貝印 代表取締役社長 兼 COO)、小雪(俳優) |
| 発表内容(主な項目) | 理念体系(KAI Philosophy)発表、野鍛冶承継プロジェクト紹介、インバウンド状況、新製品「なでそり」「THOLL」発表、アイデアコンペ・デザイン展紹介 |
| 新製品「なでそり」 | 世界初の“どの方向に動かしてもそれる”カミソリ。樹脂ガードで肌が触れにくい構造。2026年発売予定。特許第7710557号関連。 |
| 新製品「THOLL」 | 替刃式5枚刃フルメタルレザー。ヘッドは磁石で装着、プラスチック樹脂不使用。Kickstarterで2026年3月に限定テスト販売予定。 |
| 野鍛冶承継プロジェクト | 技術継承(鍛造職人育成、和包丁の量産化検討)と文化継承(関鍛冶たたら実行委員会、たたら製鉄の操業2025年12月7日予定) |
| 展示会 | 「切れ味とやさしさ展」 2025年11月7日~11月10日 11:00~21:00/Shibuya Sakura Stage 4F 404 Not Found/公式URL: https://www.kai-group.com/fun/event/iiha2025/ |
| 関連リンク | https://www.kai-group.com |
本記事では、貝印が11月7日に銀座で実施した「いい刃の日」PRイベントの内容を整理して伝えた。発表された理念体系の刷新、伝統技術の継承に向けた具体的な活動、新たに公開された2つのカミソリ製品、ならびに関連展示の開催期間と会場情報を一覧にまとめている。これらの取り組みは、製品の切れ味と利用者へのやさしさを同時に追求する企業姿勢の表れとして提示されている。
参考リンク: