テラドローンがクマよけスプレー搭載ドローン発売
ベストカレンダー編集部
2025年11月7日 12:56
クマよけスプレー搭載ドローン発売
開催日:11月7日
増加するクマ被害に対処するための空からの一手──テラドローンの新機能
Terra Drone株式会社(本社:東京都渋谷区、代表:徳重 徹)は、クマよけスプレーを搭載し、遠隔噴射によって現場の安全確保を支援するドローンの開発を完了し、発売を開始しました(発表日:2025年11月7日 09時00分)。本製品は上空から唐辛子由来のスプレーを遠隔操作で噴射することで、オペレーターが被害現場に接近することなくクマを一時的に退避させることを目的としています。併せて「日本初:当社調べ」という表現での提供開始が示されています。
2025年は日本各地でクマの人身被害および市街地付近での出没が顕著に増加しました。環境省等の集計では、4月以降の負傷者が100名、死者が12名を超え、過去最悪の水準で推移しています(出典:環境省クマ類の出没対応ページ)。特に東北地方(秋田・岩手など)で目撃・遭遇が増え、秋田県では目撃件数が8,000件を超え、同県で自衛隊が後方支援に入る対応が実施されました。
- 発表日:2025年11月7日 09時00分
- 開発企業:Terra Drone株式会社(代表:徳重 徹、所在地:東京都渋谷区)
- 対象:自治体を中心とした防災・現場関係者向けの運用を想定
機能と仕組み:クマよけスプレー搭載ドローンの実際
本製品は上空からの広域探索と遠隔噴射を組み合わせることで、オペレーターが安全な距離を確保したままクマに対する抑止行動を取る仕組みです。ドローンのFPVジンバルカメラにより現場映像をコントローラーで確認しながら飛行・噴射を行い、背後・側面からの回り込みや全方位噴射が可能です。これにより風向き待ちの時間を減らし、最小限の噴射で対処することが可能とされています。
搭載するクマよけスプレーは、トウガラシ由来の辛味成分「カプサイシン」を主成分とする非致死的な防護手段です。一般的な噴射距離は約5m~10mであり、カプサイシンが粘膜に強い刺激を与えることで、嗅覚に優れたクマを一時的にひるませることが期待されます。北米の研究では高い抑止効果が報告されており、扱いに熟練が過度に依存しない点が評価されています(出典:北米の査読研究)。
主な特徴
製品はスプレー缶の搭載、FPVジンバルカメラの装備、ワンボタン噴射などを備え、屋外での安定飛行を前提とした設計です。スプレーは非致死的手段として位置づけられており、自治体や防災事業者の運用で地域の安全確保を支援することを目的としています。
風上・風下の位置取りや、クマの学習行動に配慮した運用を想定しており、人や市街地に近づくと強い不快刺激があることを学習させることで、最接近を阻止する仕組みが運用イメージとして示されています。
- スプレー缶を搭載:上空からの噴射を実現
- FPVジンバルカメラ:操縦者が映像を確認しながら飛行
- ワンボタン噴射:コントローラーから遠隔で噴射可能
- 屋外での安定飛行:GPS Position飛行による安定運用
運用イメージと主要スペック
想定される運用体制は、各自治体と災害時応援等の協定を結ぶ地域の測量会社・防災事業者等がオペレーターを担当し、テラドローンが講習等を行い本製品を提供する形式です。ドローンは遠隔操作により操縦者から約500m~1kmの距離を維持して運用する想定が示されています。
以下は発表された主要スペックです。これらは現行モデルの数値であり、将来的に改良予定の項目も公表されています。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 飛行時間 | 約10分 |
| 機体サイズ | 390mm×390mm×390mm |
| 電波距離 | 12km |
| 周波数帯域 | 2.4GHz |
| 飛行モード | GPS Position飛行 |
| 搭載物 | FPVジンバル式カメラ、スプレー缶 |
導入の枠組みと慎重な運用配慮
本製品は自治体を中心に展開する計画が示されており、導入にあたっては講習・保守を含む運用体制の整備が重要視されています。テラドローンは講習等を通じて導入先のオペレーター育成を行うこと、地域の測量会社や防災事業者と協定を締結して運用することを想定しています。
現場では致死的対応の是非や法令、任務範囲の制約など複雑な課題が存在します。ハンターの不足や高齢化、警察・自衛隊等の任務制約により選択肢が限られる場合があり、非致死的手段としての運用ニーズが高まっています。このため製品導入にあたっては、地域の事情や法的枠組み、住民への説明責任などの配慮が求められます。
導入体制と講習
発表では、各自治体と災害時応援等の協定を結ぶ地域の測量会社や防災事業者がオペレーターとして運用すると想定されています。テラドローン側は講習・保守を含む運用サポートを提供する計画です。
運用時の具体的な手順として、操縦者はFPVカメラ映像を確認しながら機体を操作し、目標のクマに対して背後・側面からの回り込みを行い、ワンボタンで遠隔噴射を行います。安全な飛行経路や噴射角度、風向きなどを考慮した運用ルールの整備が前提となります。
- 自治体等と協定を締結し運用主体を明確化する
- テラドローンが提供する講習を受講しオペレーターを育成する
- 保守・点検体制を構築し、機体・噴射装置の管理を行う
- 運用ルールに基づき、影響評価と住民説明を実施する
開発ロードマップと企業としての取り組み
テラドローンは本製品の現行モデルに続き、さらなる改良を進める計画を公表しています。具体的には、2026年3月を目途に飛行時間を約75分へ延長し、赤外カメラ/可視光カメラを搭載した新モデルの開発を進めるとしています。これにより夜間や藪地での視認性向上と長時間運用が期待されます。
同社はこれまで測量・点検・農業分野でのドローンソリューションを提供してきた実績があり、屋内点検用ドローンの自社開発機「Terra Xross 1」ではコスト低減を実現しました。累計3000件以上の実績やUTMの世界導入実績、各種受賞歴(例:Drone Industry Insightsランキング、国土交通大臣賞など)が記載され、企業の技術力と運用支援体制が強調されています。
- 参考資料
- 環境省「クマ類の出没対応マニュアル」:https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5-4a/
- 北米の査読研究(ベアスプレー有効性):https://wildlife.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2193/2006-452?utm_source=chatgpt.com
- Terra Drone: https://terra-drone.net/
まとめ:技術仕様と導入ポイントの整理
以下に本記事で扱った製品の要点を表形式で整理します。本文で示した通り、現行モデルは短時間運用を前提としたスペックである一方、2026年3月を目途とする改良で飛行時間延長やカメラ追加が予定されています。導入にあたっては講習や運用ルール、地域の法的・社会的配慮が重要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表企業 | Terra Drone株式会社(代表:徳重 徹、本社:東京都渋谷区) |
| 発表日 | 2025年11月7日 09時00分 |
| 製品概要 | クマよけスプレー搭載ドローン(上空から遠隔噴射) |
| スプレー成分 | トウガラシ由来のカプサイシン(非致死的手段) |
| 噴射距離 | 約5m~10m(一般的なベアスプレーの範囲) |
| 現行モデル飛行時間 | 約10分 |
| 機体サイズ | 390mm×390mm×390mm |
| 電波距離/周波数 | 12km / 2.4GHz |
| 搭載 | FPVジンバル式カメラ、スプレー缶 |
| 想定運用距離 | 操縦者から約500m~1km |
| 今後の改良予定 | 2026年3月頃:飛行時間約75分、赤外カメラ/可視光カメラ搭載予定 |
| 導入対象 | 自治体を中心とした測量会社・防災事業者等(講習・保守を含む運用支援) |
| 出典・参照 | 環境省クマ類対応ページ、北米査読研究、Terra Drone公式サイト |
本件は、増加するクマ被害への対応策の一つとして公表された製品情報であり、地域の実情、法令、倫理的観点を踏まえた運用設計が求められます。製品の詳細や導入を検討する際は、発表元の情報や関連ガイドラインを参照してください。参考情報としてテラドローンの公式サイトは https://terra-drone.net/ に公開されています。
参考リンク: