11/1開幕|有隣堂 藤沢店で「小さな絶滅展」開催へ
ベストカレンダー編集部
2025年10月29日 18:46
有隣堂小さな絶滅展
開催期間:11月1日〜1月4日
藤沢店を「実験場」に変える──閉店前の2年間に込めた試み
株式会社有隣堂は2025年10月29日13時00分に発表したプレスリリースで、開店60周年を迎える有隣堂 藤沢店を舞台に、2025年11月1日から2027年末まで約2年間にわたる実験的企画シリーズ「SAYONARA FESTIVAL」を展開すると明らかにしました。店舗は再開発計画(藤沢駅南口391地区地区計画)による閉店が決まっており、閉店までの期間を「お別れだけど、終わりじゃないのです。」を合言葉に、書店の在り方を再定義する試みとして位置づけています。
この実験の舞台となる有隣堂 藤沢店は、1965年(昭和40年)11月に開店して以来、60年にわたり藤沢市と湘南エリアの文化・教育・生活に密着してきた総合書店です。売場はフジサワ名店ビルの2~5階、延床面積約1,200㎡で、文芸・実用・専門書・雑誌のほか文具・雑貨・児童書・学習参考書を揃え、地域の学校・家庭・ビジネス層に利用されてきました。
閉店を前提に据えた空間の活用
閉店が決まった空間をあえて“終わりを前提とした空間”として実験に活用するという発想が今回の大きな特徴です。物理的な期限があることで、書店内部の空間設計や商品編集、顧客との接点のあり方を大胆に試すことが可能になります。長年蓄積された棚や在庫、来訪者との関係性を再編集することで、書店の文化的価値を問い直す機会をつくります。
有隣堂はこの実験を藤沢店だけの試みと捉えず、今後の全社における店舗運営やブランドづくりに結実させる重要なトライアルと位置づけています。代表取締役 社長執行役員は松信健太郎、同社本社は神奈川県横浜市にあります。
「小さな絶滅展」―― 大絶滅展と呼応する第1弾企画の全貌
第1弾企画は「小さな絶滅展」。2025年11月1日から2026年1月4日まで、有隣堂 藤沢店(神奈川県藤沢市南藤沢2-1-1 フジサワ名店ビル2~5F)で開催されます。国立科学博物館で同時期に開催される特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」(主催:国立科学博物館、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社)と時期を合わせ、過去に地球で発生した大規模な生命絶滅の歴史を書籍・資料・立体展示で紹介します。
展示は生物学的な絶滅だけでなく、文化や技術といったヒトが生み出した要素の消失にも視点を広げ、「便利さの裏で失われる価値」を問い直す場として構成されます。書籍販売に加え、化石や恐竜フィギュア、絶滅動物の模型、フィルムカメラやアナログレコードといった“絶滅危惧的カルチャー”も紹介・販売され、アナログ体験を通じて文化的持続性を再評価するワークショップも開催予定です。
博物学的な導入と関連書籍のラインナップ
最初の展示セクションは古生物学の視点から「大絶滅」の歴史を辿るもので、図鑑や古生物学に関する読み物を中心に配置します。太古の地球と生命の変遷を視覚的に伝える図版や解説を揃え、一般来場者から専門に興味を持つ層まで幅広く手に取れるラインナップです。
具体的には古生物学関連の読み物や図鑑、化石標本、彩色済み恐竜フィギュア、組み立て式の恐竜骨格モデルなど、コレクション性の高い商品を展開します。子どもや家族が楽しみながら学べる構成となっています。
展示の章立てと具体的アイテム(セクション別詳細)
「小さな絶滅展」は大きく4つの章で構成されます。各章は書籍と雑貨を組み合わせた体験型の構成で、来場者が“観察者であり共創者でもある”体験をすることを目指しています。以下に各章の内容と具体的に並ぶであろう品目を整理します。
展示は単なる知識提示ではなく、空間そのものを“読む”ように配置し、来場者が歩きながら発見や気づきを得られる設計になっています。展示に関連するワークショップや物販を通じて、知識の獲得と感覚的な体験の両方を提供する意図が明確です。
- 地球上では5回も生命が絶滅している
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古生物学的視点で大絶滅の歴史を紹介する導入セクション。書籍としては古生物学関連の読み物や図鑑を中心に配置します。
雑貨は化石標本や彩色済み恐竜フィギュア、模型、木製パズルのような組み立てモデルなど、太古の世界を再現するコレクション性の高い商品を取り揃えます。
- ほとんどの絶滅はヒトがやらかしました
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現在進行中の生物の絶滅や環境破壊に焦点を当て、ヒトと文明の関係を考えるセクションです。生物学・環境学関連の読み物や図鑑を通じて、自然と人間の関わりを見つめ直します。
雑貨には絶滅危惧種の動物フィギュアや爬虫類モチーフのぬいぐるみなどを並べ、楽しみながら“いのちの多様性”について考えるきっかけを提供します。
- 生物だけじゃない?文化も絶滅する?
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生物の絶滅から視点を転じ、文化・風習・生活様式といったヒトが作り出してきた“古き良きもの”の消失に目を向けます。昭和文化やポップカルチャー、音楽や廃墟を扱った書籍を揃えます。
雑貨ではフィルムカメラ、アナログレコード、なめ猫ステッカー、駄菓子パッケージ缶バッジ、カセット&MD型キーホルダー、灰皿、レトロ食器など、懐かしさと遊び心のある品を展開します。
- そして我々も絶滅するのか?
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最後の章では人類や書店という文化装置の未来に思いを巡らせ、来場者に“次の時代へ何を残すか”を問いかける構成です。展示を通じて個々が持ち帰るものや議論が生まれることを促します。
ここでは来場者参加型の記録や、ワークショップで生まれた成果物の展示などを想定し、展示全体を共創の場として完結させます。
ワークショップと物販の具体像
ワークショップはアナログ体験を重視し、フィルムカメラの使い方やアナログレコードの聴き方を体験するもの、廃材や古い図録を活用した“記録の再編集”といった内容が予定されています。参加形式や日時は会期中に個別に設定されます。
物販は書籍に加えて化石、模型、復刻された雑貨やUSEDレコード、フィルムカメラ本体・アクセサリなど、展示テーマに即した選品を行います。販売を通じて保存の重要性や文化継承に関する対話を促す意図があります。
デジタルとリアルの接続──「有隣どう?」が担う役割
今回の試みではInstagramアカウント「有隣どう?」(https://www.instagram.com/yurindo_community/)を開設し、SNSを単なる情報発信の手段に留めず、リアル店舗と連動した「デジタル上のもうひとつの書店」として展開する構想が示されています。店頭での体験をSNS上で共有することで、読者や参加者が感想や発見を交換するコミュニケーションを育みます。
このデジタル連携は、閉店後もオンライン上でつながりを保つ仕組みをつくり、「本を介して人が集う場」の価値を時間と場所を越えて持続させる意図があります。実験期間中に蓄積されるノウハウは、今後の有隣堂全体の店舗運営やブランドづくりにも活かされる見通しです。
コミュニティ形成のための仕組み
Instagramでは展示の進行やキュレーションされた書籍紹介、ワークショップの様子、来場者の声を投稿し、オンラインでの対話を促進します。デジタルでの蓄積によって、閉店後もコンテンツとして残る記録が生成される点が重要です。
店舗での体験とSNS上の交流を往還させる設計は、来場者を単なる消費者としてではなく、知の共同体の一員として扱う試みといえます。これにより「書店=商品購買の場」という従来イメージを超える価値提供を目指します。
開催概要と有隣堂の事業概要(要点整理)
以下は本企画に関する開催情報と、有隣堂の会社概要を含めた要点の整理です。会期や会場、公式サイト、InstagramのURLなどの正確な情報を掲載します。
この記事ではプレスリリースに記載された内容を忠実に伝え、展示の意図、構成、会期、会場、運営体制、関連する他機関(国立科学博物館等)との時期的な呼応、ならびに有隣堂の事業的背景までを網羅的に紹介しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企画名 | 有隣堂 藤沢店「小さな絶滅展」 |
| 展示期間 | 2025年11月1日(土)~2026年1月4日(日) |
| 実験シリーズ期間 | SAYONARA FESTIVAL:2025年11月1日~2027年末(約2年間) |
| 会場 | 有隣堂 藤沢店(神奈川県藤沢市南藤沢2-1-1 フジサワ名店ビル2~5F) |
| 店舗概要 | 1965年11月開店(開店60周年)、延床面積約1,200㎡、2~5階に売場を展開。閉店は2027年末予定(藤沢駅南口391地区地区計画による)。 |
| 展示内容 | 生物学的絶滅と文化・風習の絶滅の両面を扱う体験型フェア。書籍、図鑑、化石、模型、アナログ文化資源、ワークショップ等を展開。 |
| 関連企画 | 国立科学博物館の特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」と同時期に開催(主催:国立科学博物館、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社)。 |
| 公式サイト | https://www.yurindo.co.jp/store/fujisawa/other/ |
| https://www.instagram.com/yurindo_community/ (アカウント名:有隣どう?) | |
| 発表日・発表元 | 2025年10月29日 13:00、株式会社有隣堂(本社:神奈川県横浜市、代表取締役 社長執行役員:松信健太郎) |
| 有隣堂の事業概要 | 創業115年、神奈川・東京・千葉・兵庫・大阪に44店舗展開。複合型店舗運営(カフェ・居酒屋・アパレル等)、楽器・音楽教室、図書館・地区センター運営受託、ビジネスソリューション、OA機器販売、出版事業などを行う。 |
この表は本企画の要点を整理したもので、会期、会場、展示の主旨、運営主体や関連施策までを一望できるようにしています。展示は単発のイベントではなく、閉店という時間的制約の中で書店としての役割を再定義する試行であり、有隣堂全体の今後の取り組みにも影響を与える計画です。