11/27開幕|東京都写真美術館でペドロ・コスタ11プログラム上映
ベストカレンダー編集部
2025年10月28日 13:51
ペドロ・コスタ特集上映
開催期間:11月27日〜12月7日
東京都写真美術館で巡るペドロ・コスタの映像世界
東京都写真美術館は、総合開館30周年を記念してポルトガルを代表する映画監督ペドロ・コスタ(1958–)による展覧会「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」を開催しています。本展に連動して、美術館1階ホールにてコスタ監督の初期作から最新作まで主要作品を網羅した11プログラムを、2025年11月27日(木)から12月7日(日)までの会期で一挙上映します。上映は全プログラムに日本語字幕が付されます。
今回の特集上映は、東京では初めてとなる美術館での大規模な個展に合わせた企画で、日本で見る機会が限られていた作品群の復元版や当時の上映フォーマットでの上映も含まれます。上映期間中にはコスタ監督のオンライン出演をはじめ、多彩なゲストによるアフタートークが予定されています。発表元は公益財団法人東京都歴史文化財団で、プレス発表日時は2025年10月28日11時06分です。
- 会期:2025年11月27日(木)~12月7日(日)
- 休映日:12月1日(月)
- 会場:東京都写真美術館 1階ホール
- 主催:公益財団法人東京都歴史文化財団
- 公式情報:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/movie-5319.html
上映プログラム詳細 — 11プログラムの全容
上映される全プログラムは、コスタ監督の長編・短編・ドキュメンタリーを横断し、監督の初期から最新作までの変遷とテーマの連続性を確認できる構成です。各作品は作品解説、制作国・年・言語・フォーマット・上映時間、主要キャストの情報を併せて記載しています。
また特記として、『ヴァンダの部屋』および『コロッサル・ユース』は初公開時の35mm上映となる点、そして一部作品は4Kレストア版での上映となる点を明示します。以下、全11プログラムを個別に紹介します。
『血』(4Kレストア版)
物語は青年ヴィンセントが病に苦しむ父親を安楽死させ、墓地に埋めるところから始まります。父親の消息に疑問を抱いた伯父がやってきて弟を連れ去り、さらに父親の負債の返済を求める二人組が現れる。弟を取り返すべく行動する青年を二人組が追っていくという筋立てで、コスタの長編第1作にしてフィルムノワール的な風貌と瑞々しい画面が特徴です。
- 制作国・年
- ポルトガル/1989年
- 言語・画面
- ポルトガル語/モノクロ
- フォーマット・時間
- DCP/99分
- 出演
- ペドロ・エストネス、ヌーノ・フェレイラ、イネス・デ・メデイロス、ルイス・ミゲル・シントラ
『溶岩の家』(4Kレストア版)
看護師のマリアーナがリスボンの工事現場で意識不明の男レオンに付き添い、その故郷カーボ・ヴェルデへ向かうものの、荒野に取り残されるという筋で展開します。島民が病人について語ろうとしないという状況を描き、“カーボ・ヴェルデから届いた手紙”というコスタの重要なモチーフが生まれたきっかけとなる作品です。
- 制作国・年
- ポルトガル・フランス・ドイツ/1994年
- 言語
- ポルトガル語・クレオール語
- 画面・フォーマット・時間
- カラー/DCP/110分
- 出演
- イネス・デ・メデイロス、イサック・デ・バンコレ、エディット・スコブ(特別出演)
『骨』(4Kレストア版)
赤ん坊を産んだティナがリスボン郊外のスラム街フォンタイーニャスに戻ると夫は赤ん坊を連れて去ってしまう。夫の物乞い生活や看護婦エドゥアルダとの出会い、隣人クロチルドの関わりなどを通じて、スラムに住む人々の生活の厳しさを圧倒的なリアリズムで描いた作品です。『ヴァンダの部屋』の登場人物ヴァンダも本作で家政婦役を演じています。
- 制作国・年
- ポルトガル・フランス・ドイツ/1997年
- 言語・画面
- ポルトガル語/カラー
- フォーマット・時間
- DCP/98分
- 出演
- ヴァンダ・ドゥアルテ、ヌーノ・ヴァス、マリア・リブキナ、イザベル・ルート、イネス・デ・メデイロス
『ヴァンダの部屋』(35mm上映)
コスタは大規模な制作形態に疑問を持ち、小型のDVカメラを手にフォンタイーニャスに戻って撮影を行い、ヴァンダ・ドゥアルテとその家族を中心に描くドキュメンタリー的作品です。再開発による破壊が進む街の様子を、スタンダードサイズの画面と破壊音の対比で強烈に印象付け、ドキュメンタリーの新たな表現として影響を与えました。
- 制作国・年
- ポルトガル・ドイツ・スイス/2000年
- 言語
- ポルトガル語・クレオール語
- 画面・フォーマット・時間
- カラー/35mm/178分
- 出演
- ヴァンダ・ドゥアルテ、ジータ・ドゥアルテ、レナ・ドゥアルテ、アントニオ・セメド・モレノ、パウロ・ヌネス
『あなたの微笑みはどこに隠れたの?』
ジャン=マリー・ストローブとダニエル・ユイレという特異な映画作家夫婦を追ったドキュメンタリーで、1999年秋のワークショップで行われた『シチリア!』第3版の編集作業の様子を収録しています。創作のプロセスと夫妻のやりとりを通じて映画作家としての姿勢や映画への愛が描かれます。
- 制作国・年
- ポルトガル・フランス/2001年
- 言語・画面
- フランス語/カラー
- フォーマット・時間
- 35mm/104分
- 出演
- ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ
『コロッサル・ユース』(35mm上映)
『ヴァンダの部屋』で描かれたスラムが取り壊され、ヴァンダは新しい集合住宅に移り住む。物語はカーボ・ヴェルデから移住して34年フォンタイーニャス地区に暮らすヴェントゥーラの視点を起点に、過去と現在が交錯する構成で彷徨える魂を描き出します。ヴェントゥーラが繰り返し口ずさむ手紙のフレーズが作品の感動を呼びます。
- 制作国・年
- ポルトガル・フランス・スイス/2006年
- 言語・画面
- ポルトガル語・クレオール語/カラー
- フォーマット・時間
- 35mm/155分
- 出演
- ヴェントゥーラ、ヴァンダ・ドゥアルテ、ベアトリズ・ドゥアルテ、イザベル・カルドーゾ
『何も変えてはならない』
ジャンヌ・バリバールの歌手としての側面を描いた作品で、リハーサルやレコーディング、コンサート、レッスンといった活動を舞台に、曲目は《ジョニー・ギター》やオッフェンバックの《ペリコール》まで幅広く取り上げられます。舞台はフランスの村落の屋根裏から東京のライブハウスまで移動し、独自の視点でバリバールのパフォーマンスと人となりを記録します。
- 制作国・年
- ポルトガル・フランス/2009年
- 言語・画面
- フランス語/モノクロ
- フォーマット・時間
- 35mm/103分
- 出演
- ジャンヌ・バリバール、ロドルフ・ビュルジェ
『ホース・マネー』
『コロッサル・ユース』のヴェントゥーラを再び主人公に迎え、フォンタイーニャス地区や移民の記憶をめぐる物語を続けます。カーネーション革命や植民地支配からの独立などポルトガル近代史の背景を織り込み、移民としての苦難と記憶を、虚実が入り交じる手法で描写しています。
- 制作国・年
- ポルトガル/2014年
- 言語
- ポルトガル語・クレオール語
- 画面・フォーマット・時間
- カラー/DCP/104分
- 出演
- ヴェントゥーラ、ヴィタリナ・ヴァレラ、ティト・フルタド
『ヴィタリナ』
一人でカーボ・ヴェルデからリスボンに来たヴィタリナは、出稼ぎに出た夫がいつか自分を呼び寄せてくれると信じて待ち続けていた。しかし夫は数日前に亡くなり既に埋葬されていた。ヴィタリナは夫の痕跡を探すかのように彼が住んだ部屋にとどまり、自らの波乱の人生を語り始めます。移民女性の記憶と語りを主体にした作品です。
- 制作国・年
- ポルトガル/2019年
- 言語・フォーマット・時間
- ポルトガル語・クレオール語/DCP/130分
- 出演
- ヴィタリナ・ヴァレラ、ヴェントゥーラ、マヌエル・タヴァレス・アルメイダ、フランシスコ・ブリト、マリナ・アルヴェス・ドミンゲス、ニルサ・フォルテス
短編集1(『六つのバガテル』『タラファル』『火の娘たち』)
短編集1は異なる性格の三作を収録します。『六つのバガテル』は『あなたの微笑みはどこに隠れたの?』の未使用カットから成る6つの場面で構成された作品です。ストローブ=ユイレ夫妻に関する素材を別視点で提示します。
『タラファル』はかつて政治犯収容所が存在したカーボ・ヴェルデのタラファルを巡る語りで、土地と家族の運命について考察します。『火の娘たち』はフォゴ火山噴火で離散した三人姉妹の物語を短くも印象的に描く作品です。
- 『六つのバガテル』
- ポルトガル・フランス/2002年/フランス語/カラー/ビデオ/18分(共同監督: ティエリー・ルナス)
- 『タラファル』
- ポルトガル/2007年/ポルトガル語・クレオール語/カラー/ビデオ/16分
- 『火の娘たち』
- ポルトガル/2023年/カーボ・ヴェルデ・クレオール語/カラー/DCP/8分
- 主な出演
- ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ、ヴェントゥーラ、イザベル・カルドーゾ、ヴァンダ・ドゥアルテ、エリザベス・ピナール ほか
短編集2(『うさぎ狩り』『わたしたちの男』)
短編集2は故郷や記憶をめぐる二作を収めています。『うさぎ狩り』では『コロッサル・ユース』のヴェントゥーラが語り部を務め、故郷を巡る人間関係の過去と現在が交錯します。一方『わたしたちの男』はカーボ・ヴェルデに思いを馳せる青年アルベルトと、望郷の想いを抱える初老のヴェントゥーラが人生と死における希望と絶望を探索する作品です。
- 『うさぎ狩り』
- 韓国・ポルトガル/2007年/ポルトガル語・クレオール語/カラー/ビデオ/23分
- 『わたしたちの男』
- ポルトガル/2010年/カラー/Blu-ray/26分
- 出演
- アルフレッド・メンデス、ヴェントゥーラ、ジョゼ=アルベルト・シルヴァ、ルシンダ・タヴァレス ほか
上映スケジュール・料金・割引・注意事項
上映期間は2025年11月27日(木)~12月7日(日)、休映日は12月1日(月)です。上映スケジュールやアフタートークの詳細は東京都写真美術館の公式ホームページで確認できます。期間中はコスタ監督のオンライン出演やゲストによるトークが複数回予定されていますが、回ごとの出演者や日時は美術館公式ページを参照してください。
入場料金は当日1プログラムの料金体系が設定されています。座席に関する注意事項として、3歳未満のお子様は保護者の膝上での鑑賞であれば無料ですが、座席が必要な場合は中学生以下の料金が適用されます。障害者手帳をお持ちの方と同伴介護者の扱いについても料金表に準じます。
| 区分 | 料金(当日) |
|---|---|
| 一般 | 1,800円 |
| シニア(60歳以上) | 1,500円 |
| 学生(大学・専門学校)、高校生、中学生以下(3歳以上) | 1,000円 |
| 障害者手帳をお持ちの方(介護者2名まで) | 1,000円 |
展覧会「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」チケットの提示で上映料金が割引になります。展覧会チケット1枚につき1回、一般は1,000円(一般から800円引き)、60歳以上は1,000円(500円引き)で入場可能です。詳細と最新のスケジュールは東京都写真美術館の公式ホームページにて案内されています。
- 全プログラム日本語字幕付き
- 『ヴァンダの部屋』『コロッサル・ユース』は35mm上映
- 一部作品は4Kレストア版で上映
- 上映スケジュール・アフタートークの詳細は公式ページで確認
要点の整理(一覧表)
以下の表にこの特集上映に関する主要な情報を整理します。会期、会場、上映本数、休映日、料金体系、割引条件、公式情報のURLを明示しています。各種詳細は公式サイトの最新情報を必ずご確認ください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | 公益財団法人東京都歴史文化財団(東京都写真美術館) |
| 会期 | 2025年11月27日(木)~12月7日(日) |
| 休映日 | 12月1日(月) |
| 会場 | 東京都写真美術館 1階ホール |
| 上映本数 | 11プログラム(長編・短編・短編集含む) |
| 主な上映フォーマット | DCP、35mm、ビデオ、Blu-ray(作品により異なる) |
| 特記事項 | 全プログラム日本語字幕付き。『ヴァンダの部屋』『コロッサル・ユース』は初公開時の35mm上映。 |
| 料金(当日・1プログラム) | 一般 1,800円/シニア(60歳以上)1,500円/学生・高校生・中学生以下(3歳以上)1,000円/障害者手帳をお持ちの方(介護者2名まで)1,000円 |
| 展覧会チケット割引 | 展覧会「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」チケット提示で上映料金が1,000円(一般は800円引き、60歳以上は500円引き)。展覧会チケット1枚につき1回の割引。 |
| 公式情報 | https://topmuseum.jp/contents/exhibition/movie-5319.html |
| プレス発表日時 | 2025年10月28日 11時06分 |
上記は東京都写真美術館による特集上映の主要情報をまとめたものです。上映作品はコスタ監督の代表的な長編・短編を網羅しており、復元版や35mmでの上映を通じて映像の質や歴史的な上映体験も提供されます。詳しい上映スケジュール、各回のアフタートークの出演者一覧、チケットの購入方法などは公式ホームページで確認してください。