toHANASが1.2億円調達、無償ストレスチェックを12月まで提供
ベストカレンダー編集部
2025年10月27日 15:29
toHANAS資金調達
開催日:10月27日
医療・介護現場の構造的課題と「toHANAS」が目指す変化
2025年10月27日11時10分、株式会社きゃりこん.com(本社:神奈川県茅ケ崎市、代表取締役CEO:下平光明)は、プレシリーズAラウンドで総額1.2億円の資金調達を実施したと発表しました。引受先はニッセイ・キャピタル、RICOH Innovation Fund、PARAMOUNT BED Healthcare Fundであり、これにより同社の累計調達額は1.7億円になりました。
医療・介護現場は長時間労働、慢性的な人手不足、高ストレス環境といった要因により従業員の不調や離職が発生しやすく、他業界と比べても精神疾患者率が高いと指摘されています。とりわけ10年後に予測される介護人材危機を見据えると、事業者単独の自助努力に頼るだけでは十分でなく、組織横断・地域連携による構造的な基盤整備が求められています。
toHANASが提供する“変わり続ける仕組み”
きゃりこん.comはこうした課題に対し、職場環境改善プラットフォーム「toHANAS(とはなす)」を開発・運用しています。toHANASは面談・サーベイ・改善施策を一体化した形で、職場環境の把握から改善、定着までを一気通貫で支援する点が特徴です。
国家資格キャリアコンサルタントによる定期面談と匿名アンケートで現場の声を収集し、クラウド上でデータ集約・可視化・分析を行います。経営層が課題を把握し改善策を意思決定できる仕組みを提供するとともに、改善施策の実行と定着に専門家が伴走する体制を整え、「データ × 伴走」による職場環境改善PDCAを実現しています。
- 面談:国家資格キャリアコンサルタントによる定期面談で現場の詳細な声を取得
- サーベイ:匿名アンケートで組織的な傾向やリスクを可視化
- 改善施策の伴走:専門家が施策実行と定着を支援し、組織運営へ還元
今回の資金調達の目的と具体的な施策拡充
今回調達した1.2億円は主にプロダクトと運用基盤の強化に充てられます。具体的にはAI解析の導入、ダッシュボード機能の強化、キャリアコンサルタントの採用・育成などが明記されています。これらの強化により、現場データの分析精度向上や経営層への示唆の迅速化、伴走支援体制の拡充を図る計画です。
また、医療介護事業者向けに「toHANASストレスチェック問診ツール」を新たに実装し、1年間のサービス無償提供を開始します。無償提供の対象は2025年12月末までの申込分で、2028年に予定されるストレスチェック義務化に先立ち、現場の導入ハードルを下げることを意図しています。申込フォームのURLは以下の通りです。
- toHANASストレスチェック問診ツール(無償提供)申込フォーム
- https://form.run/@caricon-N2XLXXd85NrYcJGrFZfL
ストレスチェックツールの無償提供は、現場が早期に体制を整えやすくするための施策であり、同社はこれを通じて日本の医療介護業界を支える社会インフラとしての役割を強化する考えです。
技術と人的資本の両輪での強化
AI解析・ダッシュボード強化により、膨大なサーベイや面談データから有効な示唆を抽出する力を高めます。これにより経営層や現場マネジメントが迅速に意思決定を行い、改善施策を実行しやすくすることが狙いです。
同時にキャリアコンサルタントの採用・育成に投資することで、データを基にした伴走支援の品質を担保し、組織変革を持続させる人的基盤を整備します。
導入実績・自治体連携・関係者の声
toHANASはリリース後約1年で、全国100以上の介護施設と3つの医療法人が導入し、累計で3,000件以上の面談を実施しています。導入先からは退職者数の大幅削減、早期離職率の半減、医療介護現場で働くことに対する前向き度の向上などの成果が報告されています。
さらに、神奈川県や横須賀市など複数の自治体や医療介護事業者と連携し、職場環境データを基盤とした地域協働運営モデルの社会実装を進めています。この取り組みでは自治体や国とデータを共有し、地域全体の働きやすさ向上と人材定着を支援する枠組みの構築を目指しています。
- 導入実績:全国100以上の介護施設、3つの医療法人、累計3,000件超の面談実施
- 成果:退職者数の削減、早期離職率の半減、現場の前向き度向上
- 自治体連携:神奈川県、横須賀市などと地域協働運営モデルを推進
投資家・支援関係者からのコメント
本ラウンドに参加した投資家や支援者からは、医療・介護現場が抱える課題とtoHANASの価値を評価するコメントが寄せられています。以下、各社・各氏の発言を掲載します。
- ニッセイ・キャピタル株式会社 投資部 シニアキャピタリスト 三野 隆博氏
前回ラウンドに引き続き本ラウンドにおいてもリード出資をさせていただきました。同社の「toHANAS(とはなす)」は、医療介護現場の職場改善という最も難易度の高い領域で成果を残してきました。それは離職率低減等の組織側のベネフィットだけではなく、従業員個人のメンタルやキャリア形成といったQOL向上にも価値をもたらしています。導入前は懐疑的な見方をする人も多い類のサービスですが、「toHANAS」の利用が社会にとって当たり前になる事で、個人・組織・社会全体の持続可能性を高めてくれる事を期待しています。同社のチャレンジを、弊社としても引き続き、伴走支援してまいります。
- RICOH Innovation Fund(リコージャパン株式会社) 今道 雄大氏
少子高齢化が進む中、日本の医療・介護業界では社会のニーズが広がる一方で、現場ではたらく人々を取り巻く環境は年々厳しくなっています。「toHANAS」は職場環境改善プラットフォームというコンセプトで展開されており、リコーの使命と目指す姿である「”はたらく”に歓びを」に通ずる価値観であると考えています。リコーは医療・介護業界のお客様との関係も深く、長年ヘルスケア領域の各種ソリューション開発・提供にも力を入れており、現場ではたらく人々をDXで支える様々な取り組みを行っています。今回の資本提携を通して、現場ではたらく人々が笑顔になれる未来を両社で協力して創っていければと思います。
- パラマウントベッド株式会社 深澤 浩二氏
当社は「先進の技術と優しさで、快適なヘルスケア環境を創造します」を企業理念に掲げております。その実現に向けて、医療・介護領域においてはベッド等のプロダクトやデジタルを活用したソリューションを届けることで、ケアの質向上と業務負担軽減に貢献してきました。こうした製品・サービスの価値を最大限に活かしていただくには、医療・介護従事者の皆様に寄り添うことが重要だと考えています。そのために、「人」への支援は欠かせない要素です。「人と話す」ことを通して医療・介護従事者の皆様に寄り添い、組織全体の働きやすさ向上の基盤を提供するきゃりこん.com社の取り組みに共感し、連携させていただくご縁をいただきました。当社グループが掲げるブランドメッセージ「WELL-BEING for all beings」のもと、人材の定着や職場環境の整備を包括的に支援することを通じて、医療・介護従事者が本来業務に専念できる快適なヘルスケア環境を、共に構築していけることを期待しています。
- 神奈川県 産業労働局 産業部 産業振興課 上野 哲也氏
神奈川県では社会課題の解決に取り組むベンチャー・スタートアップを支援しています。きゃりこん.com社は「かながわ・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム(KSAP)」に採択され、介護現場の声に寄り添ったサービス「toHANAS(とはなす)」をローンチしました。その後、「ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)」においてニチイケアパレス社との連携プロジェクトが生まれ、離職率の改善に大きく寄与する実証結果が示され、全面的に展開が進みました。こうした背景のもと、同社は事業成長を加速し、今回の資金調達に至りました。さらに、今年度は自治体との共創を支援する県のプログラム(YAK)で横須賀市と連携し、介護職員の声を政策に反映する「横須賀モデル」にも挑戦中です。県としても重要な取組である介護現場の環境改善に向けて、神奈川から全国へこの事業が広がるよう、一緒に取り組んでいきます。
代表取締役からのメッセージ
株式会社きゃりこん.com 代表取締役 下平光明は次のように述べています。
「医療・介護業界では深刻な人手不足が社会課題となる中、全国各地で病院や介護施設の閉鎖が起こり、持続可能な医療・介護インフラの構築が、今まさに強く求められております。当社の『toHANAS(とはなす)』は、面談・サーベイ・改善施策を一体化した職場改善プラットフォームとして、現場の皆様の声とともに成長を遂げてきました。」
同氏はさらに、今回の調達を機にtoHANASの全国展開を加速し、職種や組織の枠を超えた協働連携により医療・介護業界の働きやすさとサービス品質の向上、持続可能な社会インフラの構築に貢献していく意向を示しています。
企業情報と関連リンク、報道資料
きゃりこん.comの基本情報は以下の通りです。プレスリリースには撮影場所や連絡先情報も明示されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社きゃりこん.com |
| 設立 | 2021年6月 |
| 代表者 | 代表取締役 下平光明 |
| 所在地(本社) | 神奈川県茅ケ崎市美住町1-15 |
| 横浜オフィス | 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-7-1 オーシャンゲートみなとみらい8F |
| 東京オフィス | 東京都荒川区東日暮里1-22-4 サン・シャインビル1階 |
| 事業内容 | 医療介護業界の職場環境改善プラットフォーム「toHANAS」の展開・運営 |
| 広報窓口(連絡先) | 担当:株式会社きゃりこん.com 広報窓口 / 電話:03-4531-9920 |
| 関連リンク | https://tohanas.jp/ |
| 撮影場所 | WeWork オーシャンゲートみなとみらい |
本プレスリリースでは、神奈川県の支援プログラムや自治体との連携事例、さらに導入効果に関する実証データが示されています。参考として神奈川県の関連資料のURLも公開されています。
神奈川県ホームページ の関連資料:
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/sr4/prs/r8012763.html
本記事の要点を表で整理
以下は本記事で取り上げた主要な事実をまとめた表です。資金調達の規模、投資家、プロダクトの特徴、導入実績、無償提供の条件などを網羅しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年10月27日 11時10分 |
| 資金調達ラウンド | プレシリーズA |
| 調達額 | 総額1.2億円(今回)、累計調達額1.7億円 |
| 引受先(投資家) | ニッセイ・キャピタル、RICOH Innovation Fund(リコージャパン)、PARAMOUNT BED Healthcare Fund |
| プロダクト | 職場環境改善プラットフォーム「toHANAS(とはなす)」:面談・サーベイ・改善施策を一体化 |
| 導入実績 | 全国100以上の介護施設、3つの医療法人、累計3,000件以上の面談実施 |
| 報告されている成果 | 退職者数の大幅削減、早期離職率の半減、働くことへの前向き度の向上 |
| 自治体連携 | 神奈川県、横須賀市等と地域協働運営モデルを推進 |
| 資金使途 | AI解析・ダッシュボード強化、キャリアコンサルタントの採用育成等 |
| 新サービス(無償提供) | toHANASストレスチェック問診ツール:1年間無償提供(※申込期限:2025年12月末まで) 申込フォーム:https://form.run/@caricon-N2XLXXd85NrYcJGrFZfL |
| 代表者 | 下平光明(代表取締役) |
| 会社設立 | 2021年6月 |
| 広報窓口 | 株式会社きゃりこん.com 広報窓口 / 電話:03-4531-9920 |
本稿では、きゃりこん.comが示した資金調達の事実、toHANASの機能と導入実績、自治体との連携状況、投資家や関係者のコメント、ならびに今後提供開始するストレスチェック問診ツールの無償提供条件や申し込み先まで、プレスリリースに記載された情報を網羅的に整理しました。読者が関係各所への問い合わせや導入検討を行う際の参考情報として利用可能な形で提示しています。
参考リンク: