10月27日開始:日本円ステーブルコインJPYC正式発行
ベストカレンダー編集部
2025年10月24日 17:39
JPYC発行開始
開催日:10月27日
国内初の日本円ステーブルコインとしての出発点
JPYC株式会社は、2025年8月18日に資金決済法第37条に基づく資金移動業者として登録を完了し、登録番号は関東財務局長第00099号です。これに基づき、同社は日本円建てステーブルコイン「JPYC(ジェーピーワイシー)」を、2025年10月27日午後1時(日本標準時)から正式に発行開始します。
JPYCは資金決済法第2条第5項に規定される電子決済手段として提供され、発行時点での裏付け資産は日本円で保全されます。発行残高に対し、預貯金および国債などの日本円資産で100%以上を裏付けていることが明記されています。これにより、ユーザーはJPYCを日本円と1対1で交換し、円建て価値を維持したまま利用可能です。
JPYCの機能と技術的な特長
JPYCは即時送受信が可能なオンチェーンの電子決済手段として設計されています。ブロックチェーンを活用することで、従来の銀行間送金より低コストで高速なトランザクションを実現します。送付・受領はいずれもオンチェーンで行い、円建て価値を保ったまま取引可能です。
発行と償還の流れは明確に定義されています。発行では銀行振込による日本円の入金を確認後、登録済ウォレットアドレスへJPYCが発行されます。償還ではJPYCを指定のアドレスに送付することで、登録済の出金口座へ日本円での払い戻しが行われます。
安定性の担保と法的枠組み
JPYCの発行価値は預貯金および国債で100%以上を保全する仕組みで支えられます。これにより、ユーザーはJPYCが裏付け資産によって価値の安定性を維持していることを確認できます。
また、JPYCは資金決済法に基づく登録を行った資金移動業者による発行であり、法的な枠組みのもとで電子決済手段として提供されます。これにより、国内における法令準拠性を確保したうえでのサービス提供が行われます。
JPYC EX と利用手続き、開発者向け環境
JPYCの発行・償還を行う公式プラットフォームとして「JPYC EX(ジェーピーワイシーエクス)」が同時に公開されます。JPYC EXは発行予約・償還予約を受け付ける専用のプラットフォームであり、登録ユーザーが銀行振込やトークン送付を行うことで円とJPYCの交換を行います。
登録にあたっては本人確認が必須で、取引時確認は犯罪収益移転防止法上の要件に準拠します。JPYC株式会社は、本人確認手段をマイナンバーカードを用いた公的個人認証(JPKI)に一本化している点が特徴です。
JPYC EXでの発行と償還の具体手順
- 発行予約を行う
- 指定口座へ銀行振込で日本円を入金する
- 入金確認後、登録済ウォレットアドレスへJPYCが発行される
- 償還予約を行う
- 指定アドレスへJPYCを送付することで、登録出金口座へ日本円で払い戻しが行われる
上記の手続きにより、オンチェーン資産(JPYC)とオンチェーン外の日本円資金の間で明確な交換プロセスが確立されます。サービス利用にあたっては、JPYC EX上での予約と所定の振込・送付操作が必須になります。
開発者向けの無償SDKと対応チェーン
JPYCはオープンな金融インフラとして普及を狙っており、開発者向けにJPYC SDKを無償で公開しています。SDKは発行・償還申請、オンチェーンでの送受信、チェーン別アドレス変換、残高取得、ウォレット連携などを数行のコードで実装できる設計です。SDKの公開先はGitHubで、URLは以下のとおりです。
JPYC SDK(GitHub)
https://github.com/jcam1/sdks
サービスはローンチ時点で次のチェーンに対応します。対応チェーンは順次拡大予定です。
- Avalanche
- Ethereum
- Polygon
実運用での連携先とユースケースの具体化
JPYCはオープンな設計により、特定の加盟店契約や利用契約を必要とせず、さまざまな事業者・開発者が自由に組み込めることを目的にしています。既に複数の企業との連携により具体的なユースケースの実装が進行中です。
以下は発表に含まれる連携・導入予定の一覧です。用途は実店舗・EC決済、企業間精算、法人向けSaaS連携、Web3ウォレット対応、クリエイター支援、会計・損益管理ツール連携など多岐にわたります。
- 実店舗・EC決済(株式会社電算システム)
- 電算システムが構築する6万5千店超の収納代行・コンビニ決済ネットワークとJPYCを活用し、B2C/B2B決済や企業間精算のユースケースを順次具体化します。
- 法人向けSaaS連携(アステリア株式会社)
- ノーコードの業務連携ツール「ASTERIA Warp」にJPYC連携機能を追加する予定で、資金移動手続きの自動化やワークフロー連携を実現します。
- Web3ウォレット対応(株式会社HashPort)
- 国内ユーザー数No.1のweb3ウォレットとして位置づけられているHashPort Walletでの対応が決定。なお、現行のEXPO2025デジタルウォレットは2025年10月にHashPort Walletへリニューアルされる予定で、JPYC対応と合わせて約70万人(2025年8月時点)の利用者基盤に提供されます。
- 法人資産管理SaaS(double jump.tokyo株式会社)
- ブロックチェーン上の資産管理を行うN SuiteにJPYCがプリセットトークンとして対応予定で、法人ユースでの業務処理や残高管理の効率化が期待されます。
- クレジットカード代金のJPYC払い(ナッジ株式会社)
- nudgeカードにおいて、クレジットカード代金のJPYC払い(後払い・前払い)を2025年10月から開始予定です。既存のクレジットカードインフラを活用することでオンチェーン経済と実体経済の接続を図ります。
- 漫画家支援プラットフォーム(株式会社ユーツーテック)
- comilioにリリースと同時にJPYC決済が導入され、将来的には国内外の漫画家やクリエイターへの報酬支払手段として活用される見込みです。
- 損益計算ツール(クリプトリンク株式会社)
- 暗号資産損益計算ツール「CryptoLinC」でJPYC取扱いに対応予定。JPYCやガス代を含む取引履歴の自動取得・集計により、確定申告や会計処理の簡便化が図られます。
目標と事業の位置づけ
JPYC株式会社は、発行チェーンの拡大やユーザー体験の継続的改善を通じて利便性と信頼性の向上を図るとしています。短期的な目標として、今後3年で10兆円規模の発行残高を実現することを掲げており、ステーブルコインを通じた新たな社会インフラの創造に挑戦すると明記しています。
JPYCはオープンな金融インフラとして様々な事業者に利用されることを想定しており、これにより金融・決済分野でのイノベーションを後押しすることが会社の重要な使命だと位置づけられています。
会社情報と公開URL、カテゴリ・キーワード
JPYC株式会社は2019年11月に設立され、ステーブルコイン関連事業を展開してきました。これまで前払式支払手段として「JPYC Prepaid」を発行してきた実績があり、資金移動業者としての登録取得を経て、今回の日本円建ステーブルコイン「JPYC」を正式に発行する運びとなりました。
会社概要や連絡先、加入団体などの公開情報は以下のとおりです。法人として各種業界団体に加盟しており、企業としての透明性確保や業界連携にも取り組んでいます。
- 会社名
- JPYC株式会社
- 代表者
- 代表取締役 岡部 典孝
- 所在地
- 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル4階 FINOLAB内
- 設立
- 2019年11月
- 事業内容
- 電子決済手段の発行及び償還、ステーブルコイン等ブロックチェーンに関するコンサルティング
- 加入団体
- 一般社団法人 ブロックチェーン推進協会(BCCC)会員、一般社団法人 日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)会員、一般社団法人 日本資金決済業協会 第一種会員、一般社団法人 Fintech協会 ベンチャー会員、デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)、一般社団法人 JPCrypto-ISAC 賛助会員、一般社団法人 日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)第一種会員
- 公開URL
- コーポレートサイト https://corporate.jpyc.co.jp/
- サービスサイト
- https://jpyc.co.jp/
- 公式アカウント(X)
- https://x.com/jpyc_official
カテゴリとキーワードもプレスリリースに明示されています。カテゴリはネットサービス、システム・Webサイト・アプリ開発であり、キーワードは以下のとおりです。
- JPYC
- ブロックチェーン
- 電子決済手段
- web3
- FinTech
- ステーブルコイン
- スタートアップ
まとめ(要点の一覧表)
以下に本記事で取り上げた情報を表形式で整理します。サービス開始日時、対応チェーン、登録情報、発行の仕組み、主要連携先などを一目で確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表社 | JPYC株式会社 |
| 代表者 | 代表取締役 岡部 典孝 |
| 登録 | 資金決済法第37条に基づく資金移動業者 登録番号 関東財務局長第00099号(登録日 2025年8月18日) |
| サービス開始日時 | 2025年10月27日 午後1時(日本標準時) |
| 提供サービス | 日本円ステーブルコイン「JPYC」の発行・償還、JPYC EXプラットフォーム |
| 価値の裏付け | 預貯金および国債等の日本円資産で発行残高の100%以上を保全 |
| 発行・償還の流れ | JPYC EXで発行予約→銀行振込で入金→登録ウォレットへ発行、または償還予約→指定アドレスへJPYC送付→出金口座へ日本円払い戻し |
| 本人確認 | 取引時確認(犯罪収益移転防止法) マイナンバーカードを用いた公的個人認証(JPKI)に一本化 |
| 対応チェーン | Avalanche、Ethereum、Polygon(順次拡大予定) |
| 開発者向け | JPYC SDK(無償公開) GitHub https://github.com/jcam1/sdks |
| 主な連携・導入予定先 | 電算システム、アステリア、HashPort、double jump.tokyo、ナッジ、ユーツーテック、クリプトリンク |
| 中期目標 | 今後3年で10兆円規模の発行残高を目指す |
| コーポレートURL | https://corporate.jpyc.co.jp/ |
| サービスURL | https://jpyc.co.jp/ |
| 公式X | https://x.com/jpyc_official |
以上がJPYC株式会社による日本円建てステーブルコイン「JPYC」および発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」に関する発表内容の整理です。発行の法的枠組み、技術仕様、利用手続き、SDKの公開、既存インフラやサービスとの連携計画、そして具体的な目標数値まで、プレスリリースに示された内容を網羅してまとめました。
参考リンク: