TERASS、湘南乃工務店を子会社化 土地〜木造建築を一貫支援
ベストカレンダー編集部
2025年10月16日 15:20
湘南乃工務店をグループ化
開催日:10月16日
TERASSが湘南乃工務店を迎え入れた背景と狙い
不動産仲介関連サービスを提供する株式会社TERASS(東京都港区、代表取締役:江口亮介)は、2025年10月16日11時00分に、FJグループの富士リアルティ株式会社の子会社である湘南乃工務店株式会社の全株式を取得し、同社をグループ会社化したことを発表しました。今回の発表は、TERASSが不動産仲介のみならず建築領域まで一貫したサポート体制を整備する狙いに基づくものです。
発表文では、TERASSが全国約800名のエージェントを擁し、累積取扱高 約4,200億円(2025年8月時点)を背景に「不動産取引・資産形成関連サービスの充実度 NO.1企業」を目指すこと、そして富士リアルティのグループ傘下にあった湘南乃工務店の木造中高層建築技術を取り込むことにより、土地仲介から木造建築・施工までを一気通貫で支援できる体制を構築することが明示されています。
今回のグループ化で実現すること
TERASSのエージェントによる仲介力と、湘南乃工務店の木造建築技術、さらにTERASSのテクノロジー開発力(AI/DX)を組み合わせることで、顧客に対して土地仲介から設計・建築・収益計算までを迅速かつ高精度に提案できる体制を目指します。なお、当該体制は一部地域に限って提供されることがプレスリリースで明記されています。
背景としては、共同住宅や注文住宅の新築において建築費高騰や工期の長期化が投資家や住宅購入検討者にとって大きな課題となっている点が挙げられます。TERASSはこれまでは工務店紹介までのサポートが中心でしたが、今回のグループ化により、建築のフェーズまで踏み込んだソリューション提供が可能になります。
- 発表日時:2025年10月16日 11時00分
- 取得対象:湘南乃工務店株式会社(富士リアルティの100%子会社)の全株式取得およびグループ会社化
- TERASSの現況:全国約800名のエージェント、累積取扱高 約4,200億円(2025年8月時点)
湘南乃工務店の技術力と具体的な実績
湘南乃工務店はFJグループの富士リアルティの100%子会社として、湘南・横浜エリアを中心に累積約300件の木造共同住宅・注文住宅の建築実績を持ちます。設立は2025年9月1日(富士リアルティからの分社化)で、資本金は50百万円、社員数は16名(役員3名を含む)とされています。
特筆すべきは中高層木造建築技術です。湘南地域の民間建物としては初となる、1階から5階まで木造かつ耐火構造による中高層複合ビル(延床面積590平米超、所在地:藤沢市辻堂新町、物件名:This is me)を手がけたことが公表されています。これにより、木造であっても中高層規模の建築が可能であることを示す具体的な事例を有しています。
木造の優位性と脱炭素貢献
プレスリリースでは、木造建築がRC(鉄筋コンクリート)や鉄骨造と比べて安価かつ短工期である点、さらに製造段階におけるCO2排出量が小さいこと、木材が炭素を長期固定することにより脱炭素に寄与する点が強調されています。中高層でも木造を採用できる技術を持つことは、不動産投資の採算面だけでなく環境面でもメリットを提供できる要素と位置づけられています。
湘南乃工務店はこれまでの建築実績を踏まえ、TERASSと連携することで投資用の共同住宅や居住用注文住宅においてコスト圧縮・工期短縮・環境配慮を同時に訴求することが可能になります。
新事業「EN. by TERASS」とAI/DX活用の具体像
TERASSは受注生産型(Build to Rend)による投資用木造共同住宅建築事業「EN. by TERASS」を立ち上げ、2025年12月に本リリース・販売開始する予定です。事前公開サイト(http://lp.terass.com/en)では会員登録や資料請求の受付が行われます。
この新サービスは、湘南乃工務店の木造中高層技術とTERASSのテクノロジーを組み合わせることを中核に据えています。具体的にはAIを用いた建築計画や収益計算のスピード化・高精度化を進め、投資家や住宅購入者がより早く、より正確な意思決定ができる支援を行う方針です。
TERASSが提供するテクノロジーの例
TERASSは創業以来、DXによって不動産売買の顧客体験を進化させる取り組みを継続しており、既に以下のようなプロダクトや機能を展開しています。
- Terass Offer(旧Agently)
- 不動産エージェントから提案が受けられる不動産サイト。エージェントの提案力を活かした仲介支援を行う。
- Loan Checker
- 最適な住宅ローンを瞬時に検索・提案するツール。住宅ローン関連の銀行代理事業も開始している。
- 囲い込み防止機能などのプラットフォーム改善
- 不動産売却時の透明性向上を目的とした機能実装。
これらの機能とAIを組み合わせることで、例えば土地の形状や地域特性、建築コスト、想定家賃などを短時間でシミュレーションし、収益性や工期の見通しを提示することが可能になります。EN.の導入により、受注生産型のスキームで低コスト・高性能な木造共同住宅の普及を図るとともに、資産形成の最適化を支援する意図が示されています。
関係各社の概要と問合せ先、主要データの整理
プレスリリースにはFJグループの富士リアルティ、湘南乃工務店、そしてTERASSそれぞれの会社概要や所在地などが明記されています。以下に主要なデータと問合せ先を整理します。
富士リアルティはセンチュリー21加盟店として、2024年の総合受取報酬総額において全国6位として表彰され、湘南エリアではセンチュリー21加盟店の中で実績NO.1とされています。湘南乃工務店はその富士リアルティの100%子会社として分社化され、建築事業を担います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年10月16日 11時00分 |
| 取得・グループ化の対象 | 湘南乃工務店株式会社(富士リアルティの子会社)の全株式取得 |
| TERASS代表 | 江口 亮介 |
| TERASSの主な実績 | 全国 約800名のエージェント、累積取扱高 約4,200億円(2025年8月時点) |
| 湘南乃工務店の設立 | 2025年9月1日(富士リアルティより分社化) |
| 湘南乃工務店の実績 | 累積 約300件の木造共同住宅・注文住宅(湘南・横浜エリア中心) |
| 具体物件例 | 藤沢市辻堂新町「This is me」—1〜5階まで木造・耐火構造、中高層複合ビル(延床面積590平米超) |
| 新サービス | EN. by TERASS(受注生産型投資用木造共同住宅)本リリース:2025年12月予定。事前公開サイト:http://lp.terass.com/en |
| 富士リアルティ概要 | 会社名:富士リアルティ株式会社、代表取締役社長:永松秀行、本社:神奈川県藤沢市藤沢1051-5 TAIKI3BLDG.4F、設立:1983年10月、事業内容:首都圏の不動産業・建築業等、URL:https://www.fujic21.com/ |
| 湘南乃工務店概要 | 会社名:湘南乃工務店株式会社、代表取締役社長:永松秀行、本社:神奈川県横浜市中区山下町84-5-5F、設立:2025年9月1日、資本金:50百万円、社員数:16名、URL:https://fj-r.jp/zero-cube/ |
| TERASS概要・拠点 | 代表者:江口 亮介、設立:2019年4月、事業内容:不動産DX・仲介支援など。オフィス:東京都港区虎ノ門2-2-1 住友不動産虎ノ門タワー13階ほか(名古屋・大阪・福岡・札幌)URL:https://terass.com/ |
| 報道窓口 | 株式会社TERASS 広報担当:長尾、メール:press@terass.com |
本記事は、TERASSによる湘南乃工務店の全株式取得・グループ化の発表内容を基に、目的、技術的背景、新サービスの計画、関係各社の概要と主要データを整理して伝えました。TERASSは既存の不動産仲介プラットフォームに建築領域を加えることで、土地取得から完成・収益化までの一貫支援を提供する意図を明確に示しています。
参考リンク: