10月15日発売 山田洋次『映画をつくる』新装版の見どころ
ベストカレンダー編集部
2025年10月9日 14:48
映画をつくる新装版発売
開催日:10月15日
山田洋次の言葉が再び手元に届く意義
株式会社大月書店は、山田洋次監督の著書『映画をつくる 新装版』を2025年10月15日に刊行すると2025年10月9日12時30分に発表しました。本書は1978年に初版が刊行され、1990年代半ばまで版を重ねた同名書の新装復刊であり、〈47年ぶりの復刊〉という形で現代に甦ります。プレスリリースは出版社名と日時を明記したうえで、新装版の特徴と付随資料の詳細を伝えています。
初版当時、山田監督は『男はつらいよ』シリーズの中核を担いつつ『幸福の黄色いハンカチ』を制作していた40代後半の時期で、本書にはその時点での映画に対する哲学と実践が率直に記されています。冒頭には監督自身の回想として「ぼくが生まれて初めてカチンコなるものを手にしたのは1954年、思えば遥か昔のことです」という一節が収められており、映画制作の原点と経験が一貫して伝わってきます。
収録内容の詳細──章立てと書き下ろし、解説、作品一覧
新装版は単なる復刻ではなく、山田洋次による新たな前書き(書き下ろし)を収録している点が重要です。さらに、クロード・ルブラン氏(『山田洋次が見てきた日本』著者)による解説が巻末に付され、英語圏や海外での受容や山田作品の位置づけにも光を当てています。加えて、2025年11月公開予定の最新作『TOKYOタクシー』までを含む全監督作品一覧を資料として収録します。
以下に本書の目次構成を明示します。章ごとに扱うテーマと収録項目を具体的に列挙しており、本文中の発言や経験談がどのように配分されているかがわかります。
Ⅰ 映画と私――映画について思うこと
本章では監督自身の映画との関わりが述べられています。松竹入社前後の経緯から、初期作品『二階の他人』や『馬鹿まるだし』、そして『男はつらいよ』の誕生にいたる物語が語られます。
また、映画との出会いに関する個人的体験や、芸術と娯楽の関係、リアリズムや笑い(落語や浪花節との関係)についての考察が含まれ、観客と作り手の共感や「寅さん」像に関する分析も収められています。
- 映画界にはいって ~松竹にはいった頃/『二階の他人』から『馬鹿まるだし』へ/『男はつらいよ』の誕生
- 映画との出会い ~「路傍の石」の強烈な印象/新しい発見
- 映画とは ~芸術は人を楽しませるもの/いわゆる娯楽映画について
- 観客とつくり手との共感 ~肌のぬくもり/「寅さん」への共感
Ⅱ 素材と脚本――モチーフと技術
本章は「なぜその映画を作りたいのか」という動機(衝動)と、具体的な脚本作法について掘り下げます。『家族』『男はつらいよ』『幸福の黄色いハンカチ』『同胞』など個別作品に触れつつ、脚本の技術論や感性の重要性を論じます。
具体例として『砂の器』の脚本、『無法松の一生』の技法について言及があり、技術の模倣とオリジナリティの関係、感性を育てることの大切さが述べられています。
- 衝動の力 ~どうしてもつくりたい気持ちの源泉
- 脚本について ~技術と感性の関係
Ⅲ 映画づくりの現場――スタッフと俳優と監督と
撮影現場での実際の演出手法やスタッフ、俳優との関係性についての章です。監督の個人的手法(できないコンテについての言及など)から、チームづくりや心の交流、演出と俳優の責任について具体的な事例を交えて説明しています。
特に『寅さん』チームや渥美清についての記述は詳細であり、渥美清の天賦の才、演技の素地、私情を交えない記述姿勢などが述べられています。演出家と俳優の関係性を通じて監督の倫理観や創作姿勢が明確になります。
- 私の演出
- 舞台と映画の共通点、演出における具体的手法について。
- 監督とスタッフ
- 心の通うスタッフとの協働、スタッフの努力とその評価。
- 演出家と俳優
- 俳優の素性への配慮、演出家の責任の所在。
刊行詳細と入手方法、著者プロフィール
書籍の刊行情報は以下の通りです。発売日は2025年10月15日、判型は四六判・ハードカバーで、ページ数は204ページ、定価は2,000円(税別)となります。ISBNは978-4-272-61248-2です。
購入に関しては主要ネット書店へのリンクが提供されています。出版社のオンライン情報や商品ページを確認することで、流通や在庫状況を把握できます。
- Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4272612484
- 楽天ブックス:https://books.rakuten.co.jp/rb/18368841/
- 出版社商品ページ:https://www.otsukishoten.co.jp/book/b10145108.html
著者プロフィールと経歴
山田洋次は1931年生まれ(大阪府出身)で、1954年に東京大学法学部を卒業後、同年に松竹へ入社し助監督を務めました。1961年に『二階の他人』で監督デビューを果たし、1969年に『男はつらいよ』シリーズが始まりました。
代表作として『家族』(1970年)、『幸福の黄色いハンカチ』(1977年)、『たそがれ清兵衛』(2002年)、『家族はつらいよ』(2016年)などがあり、シリーズ『男はつらいよ』は2019年までに全50作となっています。2008年より日本藝術院会員、2012年に文化勲章受章、2014年に東京都名誉都民顕彰を受けています。2025年11月には倍賞千恵子・木村拓哉共演の最新作『TOKYOタクシー』が公開予定です。
内容まとめ(主要情報の整理)
ここまでに示した情報を表形式で整理します。本文中で言及した刊行日、判型、価格、ISBN、収録内容の要点、特別寄稿や付録、出版社情報、購入リンク、著者の略歴や関連作品情報を網羅的にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 『映画をつくる 新装版』 |
| 発売日 | 2025年10月15日 |
| 出版発表日(プレスリリース) | 2025年10月9日 12:30(株式会社大月書店) |
| 判型/頁数 | 四六判・ハードカバー/204ページ |
| 価格 | 2,000円(税別) |
| ISBN | 978-4-272-61248-2 |
| 主な収録内容 | 山田洋次による新装版前書き、章立て(Ⅰ 映画と私/Ⅱ 素材と脚本/Ⅲ 映画づくりの現場)、あとがき、クロード・ルブランによる解説、監督作品一覧(最新作『TOKYOタクシー』まで) |
| 特記事項 | 1978年初版の復刊。監督の個人的回想(1954年のカチンコの記述等)や「映画をつくるという仕事は、対象を愛すること」という言葉を収録。 |
| 購入リンク | Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4272612484 / 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18368841/ / 出版社商品ページ: https://www.otsukishoten.co.jp/book/b10145108.html |
| 出版社 | 株式会社大月書店 〒113-0033 東京都文京区本郷2-27-16 大学通信教育ビル2F ホームページ: www.otsukishoten.co.jp X: x.com/otsukishoten |
| 著者略歴 | 山田洋次(1931年生、大阪府出身)。1954年東京大学法学部卒、松竹入社。1961年監督デビュー。『男はつらいよ』シリーズ開始1969年、代表作に『家族』『幸福の黄色いハンカチ』『たそがれ清兵衛』『家族はつらいよ』など。2012年文化勲章受章。 |
上記の表は、本書が持つ基本情報と収録内容の要点を整理したものです。新装版は1978年の初出以来の重要なテキストとして、監督の創作論や現場論、作品解釈に資する資料性を備えています。紹介したリンクや出版社情報を参照することで、発行後の入手や詳細確認が可能です。
参考リンク: