ファミリーマート×ドコモ、能登で移動販売と衛星通信の実証検討
ベストカレンダー編集部
2025年9月19日 18:57
能登協業検討開始
開催日:9月19日
能登地域が抱える課題と協業検討の背景
2025年9月19日17時01分、株式会社ファミリーマート、株式会社NTTドコモ、NTTドコモビジネス株式会社は、石川県能登地域の平時および災害時の住民生活を支えるための協業検討を開始すると発表しました。発表文では、今回の検討開始に至った背景として、令和6年(2024年)能登半島地震時に発生した通信インフラの被害や、避難生活者が必要とする物資の把握や輸送に関する課題を重要な契機として挙げています。
加えて、能登地域では高齢化の進行、商店や公共交通の減少により日常の買い物に不便を感じる住民が増加することが予見されており、平時の利便性向上と災害時の迅速な支援体制の確立を両立させることが協業検討の目的に掲げられています。これは、地域の生活インフラを保全・補完する観点からICTと流通を組み合わせた取り組みと位置づけられます。
- 発表日時
- 2025年9月19日(金)17:01(株式会社NTTドコモ発表)
- 対象地域
- 石川県 能登地域
- 主な背景
- 令和6年能登半島地震による通信遮断、避難物資の把握・輸送の困難さ、地域の高齢化と商店・交通の減少
移動型販売店舗の実証実験と搭載技術
検討の中心となるのは、ファミリーマートが開発するキッチンカー型の移動型販売店舗(以下「移動型販売店舗」)の実用化に向けた実証実験です。実証は2026年春頃を予定しており、移動型販売店舗は飲食物の販売を行うとともに、平時と災害時の双方で機能する運用を検証します。
車両には衛星通信サービスや通信型ドライブレコーダーなどのICTを搭載します。具体的には、Wi-Fiスポットとして利用可能なStarlink Businessを導入し、衛星を介したブロードバンド接続により通信が途絶した地域でも情報網を確保することを想定しています。また、映像データ利活用のためにモビスキャ®と連携可能な通信型ドライブレコーダーを搭載し、道路の被害状況などを映像で収集・活用することで災害対策車両としての機能も検証します。
実証実験で検証する主な項目
実験では、平時における移動販売の実効性、イベントや買い物困難地域での利便性、災害時の避難所や仮設住宅での出店運用、衛星通信を用いた通信確保、ドラレコ映像による道路状況把握といった複数の観点を検証します。
実用化後の運用イメージとしては、平時は地域の小売店が少ないエリアや地域催事への出店、災害時は避難所や仮設住宅周辺での出店による被災地支援利用を想定しています。
- 実証時期:2026年春頃
- 主な搭載機器:Starlink Business(衛星通信)、通信型ドライブレコーダー(モビスキャ®連携可)
- 想定販売物:飲食物(飲料、調理済食品等)
- 機能:Wi‑Fiスポット提供、道路被害映像の収集・活用
データ利活用による商品の最適配備
協業では、購買データと会員基盤データを組み合わせた分析により、平時から災害時に至るまで必要な商品を最適に配備する仕組みづくりを検討します。具体的には、ファミリーマート店舗や移動型販売店舗の購買データと、ドコモが提供するdポイントクラブ会員基盤データを掛け合わせて分析を行い、地域ごとのニーズを把握します。
分析にはドコモの分析サービスであるdocomo Sense®などを活用し、ユーザーの行動や購買傾向を深く解析することで、災害時に避難生活者が必要とする商品(飲料、食料、生活必需品など)を事前に想定・配備するための知見を得ることが目的です。
- データソース
- ファミリーマートの店舗・移動型販売店舗の購買データ、dポイントクラブ会員基盤データ
- 分析ツール
- docomo Sense®によるオンライン・オフラインデータの融合分析
- 期待される成果
- 地域別の需要予測、災害時に優先すべき商品の特定、移動店舗での最適配備
各社の役割・既往協定・スケジュールの整理
発表資料には各社の役割分担が明確に示されています。ファミリーマートは移動型販売店舗の開発・運営と稼働実験の実施、並びに店舗や移動型販売店舗の購買データ提供を担当します。ドコモはdポイントクラブ会員基盤データの提供と、docomo Sense®等を活用した購買データ分析を担当します。NTTドコモビジネスは通信環境の提供(Starlink Business等)や、モビスキャ®の提供・連携を担います。
また、発表資料は過去の包括連携協定も明示しています。ファミリーマートは2009年5月に石川県と地域活性のための包括的連携協定を締結しており、NTTドコモグループは2024年11月に石川県と災害からの復興・地域活性のための包括的連携協定を締結しています。これらの既往協定が今回の協業検討の基盤になっています。
- ファミリーマート:移動型販売店舗の開発・運営、実証実験実施、購買データ提供
- ドコモ:dポイントクラブデータ提供、docomo Sense®等による分析
- NTTドコモビジネス:Starlink Business等のICT環境提供、モビスキャ®提供
重要な日程としては、協業検討開始の発表が2025年9月19日であること、実証実験は2026年春頃を目処に行う予定であることが明記されています。
要点の整理とまとめ
以下の表は本検討についての主要項目を整理したものです。表では発表日時、参加企業、目的、実証実験の時期・内容、データ利活用の方針、各社の役割をまとめています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日時 | 2025年9月19日 17:01(株式会社NTTドコモ発表) |
| 参加企業 | 株式会社ファミリーマート、株式会社NTTドコモ、NTTドコモビジネス株式会社(旧 NTTコミュニケーションズ) |
| 目的 | 能登地域の平時および災害時における住民の暮らしの支援、地域活性化 |
| 背景 | 令和6年能登半島地震での通信インフラ被害や避難物資把握・輸送の課題、高齢化と商店減少による買物困難 |
| 実証実験時期 | 2026年春頃(移動型販売店舗の実用化に向けた実証実験) |
| 実証実験内容 | 移動型販売店舗による飲食物販売、Starlink Businessによる衛星通信、モビスキャ®連携の通信型ドライブレコーダーでの映像収集等の検証 |
| データ利活用 | dポイントクラブ会員基盤データとファミリーマートの購買データを掛け合わせ、docomo Sense®等で分析して平時・災害時の最適商品配備を目指す |
| 各社の主な役割 |
|
| 関連情報・商標等 | Starlink Business(低軌道衛星を用いた衛星ブロードバンド、NTTドコモが認定再販事業者)、モビスキャ®(NTTドコモビジネスの登録商標)、docomo Sense®(株式会社NTTドコモの登録商標) |
本検討では、移動型販売店舗の実用化とICT・データ分析の組み合わせにより、能登地域の平常時の利便性向上と災害時の迅速で的確な物資提供をめざしています。発表に含まれる日程や各社の役割、使用予定の技術・サービスは上記の通り整理されます。