ROMS、事業ピボット後に約13億円を追加調達

ROMSが約13億円調達

開催日:9月8日

ROMSが約13億円調達
ROMSってどんな会社?
ROMSは小型自動倉庫「Nano-Stream」や高層仕分機、AGVやロボットピックを自社で開発・提供するスタートアップで、物流・製造の省人化・自動化を支援している会社です。
今回の13億円は何に使うの?
調達資金はPR・マーケティング強化、新規採用、次世代モデルの開発、供給体制や技術投資に充てられ、国内外展開やFA領域への進出を加速する計画です。

ROMSが13億円規模の追加資金を確保、事業ピボット後の成長を資本面で後押し

2025年9月8日9時10分、株式会社ROMSは総額13億円規模の資金調達を実施したと発表しました。本ラウンドは既存のベンチャーキャピタル(VC)に加え、新規投資家の参画および複数の金融機関によるデットを組み合わせたもので、財務基盤の強化と事業拡大の加速を目的としています。

今回の調達は、前回ラウンド(2022年9月実施)から約3年ぶりの追加資金調達です。前回は小型無人店舗RCSや小型自動倉庫NFCを中心とした小売向けソリューションが核でしたが、直近2~3年でROMSは製品ラインをEC・物流・製造業向けのソリューションへとPivot(戦略変更)しており、本調達はその事業転換後の評価を示すものでもあります。

株式会社ROMS、約13億円の追加資金調達を実施 画像 2

調達の構成と規模

ROMSの公表によれば、今回の資金調達は合計で13億円規模になる見込みです。資金はエクイティ投資に加え、4社の金融機関からのベンチャーデット等を含む各種デット調達が組み合わされています。

出資者としては、前回ラウンドでリードを務めたDNX Venturesを含む既存VCに加えて、新規としてMonoful Venture Partners(モノフル)が参加しました。Monoful Venture Partnersは物流不動産、データセンター、再生可能エネルギー等の関連技術分野で次世代の社会インフラを支援する投資を行うファンドとして位置付けられています。

出資者ごとの位置付けと寄せられたコメント

今回のラウンドには複数の既存投資家と新規投資家が参画し、ROMSの事業に対する評価と期待が表れています。以下に各投資家のコメントと立場を具体的に整理します。

出資者のコメントは、ROMSのソリューションが現場課題の解決に寄与する点、人材不足や効率化への貢献、今後の海外展開やFA(ファクトリーオートメーション)領域への期待など、多角的な視点で記されています。

DNX Ventures

DNX Venturesからは、マネージングパートナー兼日本代表 倉林陽氏とパートナー 白石由己氏によるコメントが寄せられています。コメントは以下のとおりです。

DNX Ventures(倉林 陽/白石 由己)
ROMSに今回も追加出資をさせて頂きました。物流業界の労働力不足、作業効率改善という現場の課題を、自動倉庫、AGV、ロボットピックを柔軟に組み合わせることが可能な小型で拡張性に優れた独自のシステムで解決するROMSのソリューションの更なる拡大により、日本の物流・製造現場の競争力強化に繋がることを引き続き期待しております。

UTEC

UTECはROMSへの投資実績が長く、今回を含めて計4回全ラウンドに参加している点が特徴です。UTEC側のコメントは以下の通りです。

UTEC(代表取締役COO/マネージングパートナー 坂本 教晃)
UTECはこれまで21年の歴史で数多くのロボティクススタートアップに投資してきました。ROMSには初回資金調達でのリード出資以降、今回含めて計4回、全ラウンドにおいて投資をさせて頂きました。ROMSは高い内製化率をベースに、今まで難しいと考えられていた自動化システムのスモールスタートを可能にしました。 実インパクトに徹底的にこだわったソリューションは、物流、EC事業者様を中心に急激に導入が進んでおり、売上も急激に拡大しております。今後は日本のみならず、米国への本格進出やFA領域への進出も目指しているなか、Made in Japan & Made by ROMSソリューションのさらなる成長にご一緒できること、本当に楽しみです。

Spiral Innovation Partners/BRICKS FUND TOKYO

Spiral Innovation PartnersとBRICKS FUND TOKYO(運営メンバーには三菱地所、プライムパートナーズ関係者が含まれます)からも、ROMSの現場志向の姿勢や実行力に対する高い評価が示されました。

Spiral Innovation Partners(Principal 松本泰拓)
ROMSはPivot後も顧客の声に耳を傾け、泥臭く現場で試行錯誤を重ねながら成果を積み上げてきました。その姿勢と実行力が実績として表れ、結果的に金融機関や新たな投資家からの信頼を得る基盤になったと考えています。弊社としても、現場起点で実効性ある自動化ソリューションを形にするROMSの価値を高く評価し、今後も産業バリューチェーン全体の変革を共に推進してまいります。
BRICKS FUND TOKYO(橋本雄太、竹森大介)
2022年にご出資させて頂いて以来、前野代表をはじめとするROMSの皆さまのチャレンジを間近で拝見してきました。小売業向けからEC・物流・製造業向けソリューションにピボットするという決断は並大抵ではなかったと思いますが、見事にやり抜き、事業成長を軌道に乗せた実行力に強い感銘を受けています。同社が提供するソリューションは物流業界が直面する人手不足等の課題を解決するものであり、本ファンド及び三菱地所グループは、物流事業等での共創をはじめ、同社の成長を引き続きご支援し、社会課題の解決と日本経済の持続可能性の向上に貢献してまいります。

モノフル(Monoful Venture Partners)からの参画

今回新規で参画したMonoful Venture Partners(モノフル)は、物流不動産やデータセンター、再生可能エネルギー等のインフラ領域での投資・支援を行う組織です。モノフル代表の藤岡洋介氏はROMSの製品設計(省スペース・短納期・柔軟性)を高く評価する旨をコメントしています。

プレスリリースではMonoful Venture Partnersの運営背景として、Ares Management Corporation(NYSE: ARES)がGLP Capital Partners Limited(グレーターチャイナ事業を除く)を買収したことに伴い、ARESの子会社によってMVPが運営されている点も明示されています。Aresはクレジット、不動産、プライベートエクイティ、インフラなど幅広い資産クラスでのオルタナティブ投資を提供する大手投資会社です。

製品ラインと導入事例、展示・採用情報

ROMSはハードから制御ソフト、UIまで自社で開発・販売する点を強みとしています。製品群には小型自動倉庫「Nano-Stream」、高層仕分機「Nano-Sorter」、AGVやロボットピックと組み合わせた総合ソリューションが含まれます。

これらは「小型」「日本製」「短納期」「柔軟対応」を特徴としており、特にNano-Streamはわずか100㎡からのスモールスタートを実現する設計、4〜6か月の短納期導入、汎用品活用による安定供給、日本品質による長期安定稼働、導入後のきめ細かな対応を掲げています。

具体的な製品と特長

  • Nano-Stream(小型自動倉庫):省スペース設計、短納期導入(4〜6か月)、高拡張性。100㎡からのスモールスタートを想定。
  • Nano-Sorter(高層仕分機):仕分け効率化と高層化でのスペース有効活用に寄与。
  • AGV・ロボットピック:倉庫内の柔軟な運用設計を支援し、多様な現場に適用。

導入事例と展示予定

直近の導入事例として、株式会社bud梱包出荷サポートへのNano-Stream導入が挙げられており、導入背景や効果をまとめたケーススタディ記事が公開されています。詳細は以下のリンクから確認可能です。

また、9月には日本最大級の物流向け展示会「国際物流総合展 2025」においてNano-Streamの実機を初展示する予定であり、実機展示を通じた認知向上を図る計画です。展示情報の詳細は以下の公式ページで確認できます。

資金使途、組織体制と採用について

ROMSは今回調達した資金をPR・マーケティングの強化、新規採用、次世代モデルの開発を含む各種投資に充てる計画です。これにより製品認知の向上、供給体制の強化、技術開発の加速を図る狙いがあります。

同社は事業拡大フェーズにあるとして、急成長をともに牽引する人材の採用を積極的に進める方針を示しています。採用情報については公式リクルートページに詳細が掲載されています。

ROMSの基本情報

以下はプレスリリースに記載されたROMSの基本的な企業情報です。所在地、代表者、設立日、事業内容などが明示されています。

社名
株式会社ROMS
所在地
東京都品川区西五反田八丁目8番15号
代表取締役
前野 洋介
設立
2019年6月3日
事業内容
小売店舗・物流施設の企画・開発・販売、ロボティクス・自動化関連ソリューションの企画・開発・販売、アプリ・コマースプラットフォームの企画・開発・販売、関連コンサルティング業務
ホームページ
https://roms.inc/

要点の整理と最重要情報の一覧

以下の表は、本記事で提示した資金調達の主要事項、出資者、用途、製品情報などを一目で確認できるよう整理したものです。続く段落で簡潔にまとめます。

項目 内容
発表日 2025年9月8日 09:10
調達規模 総額13億円規模(エクイティ+4社の金融機関によるデット等を含む)
主要出資者(例示) 既存VC(DNX Ventures等)、UTEC、Spiral Innovation Partners、BRICKS FUND TOKYO、Monoful Venture Partners(新規)
Monofulの背景 Ares Management CorporationによるGLP Capital Partnersの買収に伴い、ARESの子会社が運営。Aresは世界有数のオルタナティブ投資会社。
前回ラウンド 2022年9月実施(約3年前)。当時は小売向けソリューションが主軸。
製品群 Nano-Stream(小型自動倉庫)、Nano-Sorter(高層仕分機)、AGV、ロボットピック等
導入事例 株式会社budへのNano-Stream導入。ケーススタディ記事あり(リンク記載)
展示予定 国際物流総合展 2025(9月):Nano-Stream実機を初展示
資金使途 PR・マーケティング、採用、次世代モデルの開発等の各種投資
採用情報 https://roms.inc/recruit

上の表は本プレスリリースの主要情報を整理したものです。発表内容はROMSが製品ピボットを経て成長軌道に乗り、既存投資家の継続出資と新規投資家および複数金融機関のデットにより、前回ラウンドを上回る規模の調達に至ったことを示しています。ROMSは今後、調達資金を活用してマーケティング、採用、製品開発を強化し、国内外の市場展開やFA領域への展開を目指す方針を示しています。

参考リンク: