板野氏(三菱マテ)CIO/CDO大賞、長瀬氏がCTO大賞に

CIO/CDO・CTO賞発表

開催日:9月8日

CIO/CDO・CTO賞発表
今回の受賞って何が評価されたの?
板野氏はIT子会社設立でガバナンスと現場支援を両立させDXを加速した点、長瀬氏は生成AI導入と人事改革で事業成長を牽引した点が評価された。
審査はどんな基準で決めてるの?
審査はビジョン・事業創出・組織風土・推進体制・キャリアの5観点で行われ、日経クロステック編集部と有識者が2025年6〜7月に評価した。

トップダウンとボトムアップを両立させた三菱マテリアルのDX推進と受賞の背景

株式会社日経BPのテクノロジー専門メディア「日経クロステック」は、2025年9月8日付で「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2025」および「日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー2025」の受賞者を発表しました。発表の日時は2025年9月8日 02時00分です。両賞ともに2023年に創設され、CIO/CDOおよびCTO領域で顕著な成果を示した経営・技術リーダーを表彰する制度です。

CIO/CDOオブ・ザ・イヤー大賞に選ばれたのは、三菱マテリアル株式会社の板野 則弘氏(CIO 兼 システム戦略部長)です。受賞理由としては、IT子会社の設立といったトップダウンの経営判断と、現場の人材を支援するボトムアップの施策を組み合わせ、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進した点が挙げられています。この記事では、受賞理由の詳細と審査の観点について具体的に整理します。

「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2025」大賞は三菱マテリアルの板野氏、「同CTOオブ・ザ・イヤー2025」大賞はサイバーエージェント長瀬氏に決定 画像 2

板野氏の取り組みの具体性

板野氏は、組織横断的なシステム戦略を推進し、IT子会社の設立によりガバナンスとスピードを両立させる体制を整備しました。これにより、経営層の意志を迅速に現場へ反映させる体制が強化されました。

また、現場のDX人材育成や支援施策を並行して実施し、トップダウンの戦略伝達だけでなく現場からの改善提案を実行に移すボトムアップの循環を構築したことが高く評価されています。

  • 主な評価点:IT子会社設立による推進体制の強化、現場支援と人材育成によるボトムアップの実装
  • 審査視点との整合:ビジョン・戦略、推進体制・人材育成、組織風土改革など複数観点で高評価
「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2025」大賞は三菱マテリアルの板野氏、「同CTOオブ・ザ・イヤー2025」大賞はサイバーエージェント長瀬氏に決定 画像 3

CTO部門の大賞と、生成AIや人事改革を軸にしたサイバーエージェントの戦略

CTOオブ・ザ・イヤー大賞には、株式会社サイバーエージェントの長瀬 慶重氏(専務執行役員技術担当)が選ばれました。長瀬氏は生成AI(人工知能)の可能性をいち早く事業に取り込み、事業成長を牽引した点、およびAI時代を見据えた人事改革を進めた点が評価されています。

単に技術導入に留まらず、人材制度や組織のあり方を再設計することで、技術投資の実効性を上げる取り組みが評価に結びついたと説明されています。CTOとしての視座から事業横断での技術活用と組織改革を同時に進めた点が受賞の決め手です。

「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2025」大賞は三菱マテリアルの板野氏、「同CTOオブ・ザ・イヤー2025」大賞はサイバーエージェント長瀬氏に決定 画像 4

長瀬氏のフォーカス領域

長瀬氏は生成AIを事業機会の核心に据え、プロダクトやサービス開発の現場に迅速に取り入れることで競争優位性の強化を図りました。技術習熟と人材配置のバランスを考えた人事施策も進められています。

結果として、技術面での先行優位と組織的な持続力を両立させる成果が確認され、CTOとしての総合的な評価が高まりました。

「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2025」大賞は三菱マテリアルの板野氏、「同CTOオブ・ザ・イヤー2025」大賞はサイバーエージェント長瀬氏に決定 画像 5

特別賞に選ばれた各氏の具体的な取り組み

両賞の特別賞は、それぞれ2名ずつ選出されています。以下に各受賞者と評価のポイントを整理します。本文中に挙げられた情報は、日経クロステックの発表に基づきます。

「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2025」大賞は三菱マテリアルの板野氏、「同CTOオブ・ザ・イヤー2025」大賞はサイバーエージェント長瀬氏に決定 画像 6

CIO/CDOオブ・ザ・イヤー2025 特別賞(2名)

1人目は、日本取引所グループの田倉 聡史氏(常務執行役CIO)です。田倉氏は大規模障害を教訓に「レジリエンス」を重視した現物株売買システムarrowhead4.0の開発・稼働を指揮しました。システムの堅牢化と障害対応能力の向上を実現した点が評価されています。

2人目は、株式会社みんなの銀行の宮本 昌明氏(取締役常務執行役員CIO)です。宮本氏は従来型銀行の枠内で実現したデジタルバンクの設立に加え、勘定系システムの外販にも取り組み、さらに変革を推し進める姿勢が評価されています。

「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2025」大賞は三菱マテリアルの板野氏、「同CTOオブ・ザ・イヤー2025」大賞はサイバーエージェント長瀬氏に決定 画像 7

CTOオブ・ザ・イヤー2025 特別賞(2名)

1人目は、株式会社アルバックの清田 淳也氏(常務執行役員 兼 開発本部長 兼 コンポーネント事業本部長)です。清田氏は真空技術を半導体製造装置分野に留まらず、医療や量子コンピューターなど新領域に応用し、事業創出に挑戦している点が評価されました。

2人目は、日亜化学工業株式会社の成川 幸男氏(取締役CTO 兼 日亜研究所長)です。長期視点での研究開発と内製化にこだわり、LEDや半導体レーザーといった光デバイス分野で業界トップを維持し続けている点が高く評価されています。

受賞一覧(要旨)
「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2025」 大賞:板野 則弘氏(三菱マテリアル) 特別賞:田倉 聡史氏(日本取引所グループ)、宮本 昌明氏(みんなの銀行)
「日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー2025」 大賞:長瀬 慶重氏(サイバーエージェント) 特別賞:清田 淳也氏(アルバック)、成川 幸男氏(日亜化学工業)
「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2025」大賞は三菱マテリアルの板野氏、「同CTOオブ・ザ・イヤー2025」大賞はサイバーエージェント長瀬氏に決定 画像 8

審査プロセス、委員構成、関連情報と問合せ先

選考は2025年6月末から7月にかけて行われ、日経クロステック編集部と有識者からなる審査員が審査を担当しました。審査は以下の5つの観点で実施され、過去およそ1年間で活躍したCIO/CDOおよびCTO(相当役職者を含む)を対象に評価が行われました。

  1. ビジョン・戦略
  2. 事業創出
  3. 組織風土改革
  4. 推進体制・人材育成
  5. キャリア

以下に、各部門の審査委員(五十音順、所属・役職は審査会時点)を示します。審査委員長の下で多彩な視点から候補者が評価されました。

CIO/CDOオブ・ザ・イヤー 審査委員

審査委員長は小笠原 啓(日経クロステックIT編集長)です。委員は岡田 章二氏(ISENSE株式会社代表取締役)、國領 二郎氏(慶應義塾大学名誉教授)、澤谷 由里子氏(名古屋商科大学ビジネススクール教授)、矢島 孝應氏(NPO法人CIO Lounge理事長)で構成されています。

各委員は産業界や学術界における知見を持ち寄り、戦略的観点と実行面の双方を踏まえて候補者を評価しました。

CTOオブ・ザ・イヤー 審査委員

審査委員長は高野 敦(日経クロステック先端技術編集長)で、委員は江村 克己氏(福島国際研究教育機構理事 兼 科学技術振興機構AIPネットワークラボ長)、川原 圭博氏(東京大学大学院工学系研究科教授)、酒井 美里氏(スマートワークス株式会社代表取締役)、牧 兼充氏(早稲田大学ビジネススクール准教授)です。

技術戦略、基礎研究と事業化のバランス、長期的な研究開発の取り組みなどが評価の重要ポイントとなりました。

詳細は日経クロステックの該当ページ(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/03291/082500001/index.html)をご参照ください。

問い合わせ先は次のとおりです。「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー」に関するお問い合わせ:iteditor@niikkeibp.co.jp、「同CTOオブ・ザ・イヤー」に関するお問い合わせ:techon-e@nikkeibp.co.jp。取材に関する問い合わせは日経BPコーポレートサイトのFAQページ(https://www.nikkeibp.co.jp/faq/)を利用ください。

まとめ:受賞者一覧と要点の整理

以下の表は、本記事で触れた受賞者と受賞理由、審査の概要を整理したものです。表を参照することで、本発表の要点を短時間で確認できます。

受賞者(役職・所属) 主な評価点・受賞理由
CIO/CDOオブ・ザ・イヤー2025 大賞 板野 則弘氏(三菱マテリアル株式会社 CIO 兼 システム戦略部長) IT子会社設立等のトップダウン施策と現場支援によるボトムアップを両立し、DX推進体制を強化
同 特別賞 田倉 聡史氏(株式会社日本取引所グループ 常務執行役CIO) 大規模障害を教訓にレジリエンス重視の現物株売買システム「arrowhead4.0」を開発・稼働
同 特別賞 宮本 昌明氏(株式会社みんなの銀行 取締役常務執行役員CIO) 従来型銀行内でのデジタルバンク設立と勘定系システムの外販を推進
CTOオブ・ザ・イヤー2025 大賞 長瀬 慶重氏(株式会社サイバーエージェント 専務執行役員技術担当) 生成AIを早期に事業へ取り込み、AI時代を見据えた人事改革で事業成長に貢献
同 特別賞 清田 淳也氏(株式会社アルバック 常務執行役員 兼 開発本部長 兼 コンポーネント事業本部長) 真空技術を医療・量子コンピューター等へ応用し新たな事業創出を推進
同 特別賞 成川 幸男氏(日亜化学工業株式会社 取締役CTO 兼 日亜研究所長) 長期R&Dと内製化を継続し、光デバイス分野で業界トップを維持

本稿では、日経クロステックの発表内容を基に受賞者とその評価ポイント、審査体制、問い合わせ先および関連リンクまでを網羅的に整理しました。詳細なレポートや原文は日経クロステックの該当ページで確認できます。プレスリリース内で利用可能な画像ファイルはダウンロード提供が案内されており、資料としても参照可能です。

参考リンク: