10月10日開幕 イザベル・ユペール主演『Mary』日本初演
ベストカレンダー編集部
2025年9月7日 18:52
メアリー日本初演
開催期間:10月10日〜10月12日

ロバート・ウィルソンとイザベル・ユペールが描く、処刑前夜の独白——日本初演の舞台が東京に到来
東京芸術劇場は、舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」芸劇オータムセレクションとして、ロバート・ウィルソン演出、イザベル・ユペール主演の『Mary Said What She Said』を2025年10月10日(金)から10月12日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスにて上演します。本作は2019年にパリ市立劇場(Théâtre de la Ville – Paris)の製作で初演され、今回が日本初上演となります。
作品は16世紀のスコットランド女王メアリー・スチュアートの処刑前夜を出発点に、内面の葛藤や記憶の断片を詩的な言葉と視覚演出で織り上げる一人芝居です。演出・舞台美術・照明を担うロバート・ウィルソンは2025年7月31日に逝去しており、本公演は彼の演出による作品を日本で上演する機会となります。イザベル・ユペールが舞台上で女王の言葉と身体を通してその人生を体現します。

作品の来歴と主要クリエイティブチーム
『Mary Said What She Said』はロバート・ウィルソンとイザベル・ユペールのコラボレーションが生んだ作品で、共に仕事を重ねてきた三作目にあたります。脚本はダリル・ピンクニー、音楽はルドヴィコ・エイナウディが手掛け、ルイジアナからヨーロッパへと広がる創作体制のもとに2019年に初演されました。
本作に関わる主要スタッフ・キャストは以下のとおりです。制作体制には欧州の主要劇場やフェスティバルが名を連ねており、国際共同制作の規模感がうかがえます。
- 演出・舞台美術・照明:ロバート・ウィルソン(Robert Wilson)
- 出演:イザベル・ユペール(Isabelle Huppert)
- 作:ダリル・ピンクニー(Darryl Pinckney)
- 音楽:ルドヴィコ・エイナウディ(Ludovico Einaudi)
- 衣装:ジャック・レイノー(Jacques Reynaud)
- アソシエイト・ディレクター:シャルル・シュマン(Charles Chemin)
- アソシエイト・舞台装置デザイン:アニック・ラヴァレ・ベニー(Annick Lavallée-Benny)
- アソシエイト・照明デザイン:グザヴィエール・バロン(Xavier Baron)
- 共同振付:ファニ・サランタリ(Fani Sarantari)
- 音響デザイン:ニック・サーガ(Nick Sagar)
- メイクアップデザイン:シルヴィー・カイエ(Sylvie Cailler)
- ヘアデザイン:ジョスリン・ミラゾー(Jocelyne Milazzo)
- 英仏翻訳:ファブリス・スコット(Fabrice Scott)
- 舞台装置小道具:アトリエ・エスパス・カンパニー(Atelier Espace et Compagnie)
- 衣装制作:アトリエ・キャラコ(Atelier Caraco)
- 靴製作:レペット(Repetto)
製作・共同製作としてはテアトル・ドゥ・ラ・ヴィル・パリ(Théâtre de la Ville-Paris)をはじめ、Wiener Festwochen、Teatro della Pergola – Florence、Internationaal Theater Amsterdam、Thalia Theater – Hamburgなどが名を連ねています。協力はEdM Productions。写真クレジットには© Lucie Jansch、© Yiorgos Kaplanidisなどが含まれます。

上演の構成、演出美学、評価
舞台は処刑前夜の一室を思わせる時間軸から始まり、メアリー・スチュアートの記憶の断片が断続的に語られていきます。テキストはダリル・ピンクニーによる重厚な言葉で構成され、ウィルソンの視覚的演出とエイナウディの音楽が空間を形づくります。上演時間は約90分、フランス語上演に日本語字幕が付されます。
批評家からはウィルソンとユペールの緊密な協働と、シンプルかつ秩序だった動きが感情の深層を露わにすると評されています。以下に主要な論評の要旨と出典を記します。
- François Regnault(哲学者・劇作家)
- ウィルソンとユペールの間に無駄はなく、喜びや苦悩、記憶、死への覚悟といった感情をシンプルかつ秩序立った動きと詩情溢れる瞬間で描き出す、と評価。
- Odile Quirot(劇評家)
- メアリーは記憶の中で戴冠を続ける存在として現れ、舞踏や墓碑のような静けさを行き来するモザイク的な構成が強調される、と評断。
- Le Monde(Brigitte Salino)
- 舞台装置は最小限で、光とエイナウディの音楽が空間を形づくる。第3幕でのユペールの長い往復は圧巻であり、演技がウィルソンの形式美と交わることで演劇が純粋な美に到達すると評した。
ロバート・ウィルソンは1960年代後半以降、演劇・オペラ・ダンスの領域で視覚と形式に革新をもたらしてきた演出家です。彼の逝去(2025年7月31日)は世界の舞台芸術界にとって重大な出来事であり、本公演はその遺された表現を国内で観る機会となります。

ロバート・ウィルソンが設立したウォーターミル・センター
ウォーターミル・センターは1992年にウィルソンが設立した学際的な研究所で、ロングアイランド東端に位置する10エーカーの敷地にアーティスト・レジデンスや教育プログラムを提供しています。美術コレクション、研究図書館、アーカイブを擁し、年間を通じて公開プログラムを実施しています。
センターは創造性と協働を重視し、世界中からアーティストを迎える場として機能してきました。公式サイトは https://www.watermillcenter.org/ にあります(リンクは公演情報参照)。

スコットランド女王 メアリー・スチュアート 年表
作品の主題となるメアリー・スチュアートの主要な生涯の出来事を年表形式で整理します。舞台上で語られる断片と歴史的事実が互いに響き合うことが作品の特徴です。
年 | 出来事 |
---|---|
1542年 | 生誕・生後6日で女王に即位(リンリスゴー宮殿)。 |
1543年 | スターリング城で1歳で戴冠。 |
1548年 | フランスへ渡航、教育を受ける。 |
1558年 | フランソワと結婚、イングランド王位請求が宣言される。 |
1559年 | フランス王妃に。エリザベス1世はイングランド女王として認知。 |
1560年 | 母と夫の死。 |
1561年 | スコットランドへ帰国。宗教対立と政治的緊張に直面。 |
1565年 | ダーンリー卿と結婚、政情不安が続く。 |
1566年 | ボースウェル伯との関係、重病を患う。 |
1567年 | 夫の爆殺、幽閉、譲位。息子ジェームズに王位を譲る。 |
1568年 | イングランドに亡命、保護拘禁される。審問と長期の監禁。 |
1587年 | 死刑判決。2月8日、フォザリンゲイ城で処刑。 |

公演情報、チケット、利用サービスの詳細
公演は2025年10月10日(金)から12日(日)まで、東京芸術劇場プレイハウス(〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-8-1)で行われます。最寄りは池袋駅西口から徒歩2分、地下通路2b出口と直結しています。
上演スケジュール、上演時間、開場時間は以下の通りです。上演はフランス語、日本語字幕付きでの提供となります。所要時間は約90分、開場は開演の30分前です。
日程 | 開演時間 | 備考 |
---|---|---|
2025年10月10日(金) | 19:00 | 開場は18:30 |
2025年10月11日(土) | 14:00 / 18:00 | 各回開場は開演30分前 |
2025年10月12日(日) | 14:00* | *ポータブル字幕機提供(要予約)、英語字幕機提供(要予約)、一部客席でヒアリングループ作動 |
チケット料金と発売情報は次の通りです。一般発売は2025年7月7日(月)より開始されています。
席種 | 料金 |
---|---|
S席 | 12,000円 |
A席 | 9,500円 |
29歳以下(A席) | 9,000円 |
サイドシート | 5,000円 |
高校生以下 | 1,000円 |
チケット取扱いは東京芸術劇場ボックスオフィス(WEB https://www.geigeki.jp/t/、電話 0570-010-296、窓口)をはじめ、チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット、カンフェティなど複数の窓口で販売されています。各販売サイトのURLは公演ページにて案内されています。
アクセシビリティ・サービスとして、10月12日の公演では聞こえない・聞こえにくい方のための「ポータブル字幕機提供」と「英語字幕機提供」が行われます(要予約)。また、全日程で客席の一部にヒアリングループ(磁気ループ)が設置されます。ご利用の際は主催者窓口へ事前問い合わせが必要です。
託児サービスや託児型ワークショップの案内もあります。東京芸術劇場での一時託児は生後3ヵ月〜小学校入学前まで対象(有料・定員制、土日祝を除く希望日は1週間前までに要予約)。予約・問い合わせは株式会社明日香(0120-165-115、平日9:00〜17:00)で、託児予約フォームも用意されています。託児型ワークショップ『こどもあそびシアター』は4歳以上対象、料金は2時間で500円(定員・延長可)ですが、10/28〜10/30の実施はありません。
公演のプロモーション映像はYouTubeに公開されています(https://youtu.be/F1GajnLbIoc)。詳細情報および最新の案内は東京芸術劇場ウェブサイト(https://www.geigeki.jp/performance/theater378/)および舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」公式サイト(https://autumnmeteorite.jp/ja)で確認できます。

公演の要点まとめ
ここまでに記載した公演情報を一覧表に整理します。本作の制作背景、上演日程、会場、チケット情報、連絡先等が網羅されています。観劇計画の確認にご活用ください。
項目 | 内容 |
---|---|
公演名 | 舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」 芸劇オータムセレクション 『Mary Said What She Said』 |
上演期間 | 2025年10月10日(金)〜10月12日(日) |
会場 | 東京芸術劇場 プレイハウス(〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-8-1) |
上演時間 | 約90分(フランス語上演・日本語字幕あり) |
主なスタッフ・キャスト | 演出・舞台美術・照明:ロバート・ウィルソン/出演:イザベル・ユペール/作:ダリル・ピンクニー/音楽:ルドヴィコ・エイナウディ 他 |
チケット料金 | S席12,000円・A席9,500円・29歳以下(A席)9,000円・サイドシート5,000円・高校生以下1,000円 |
発売日 | 2025年7月7日(月)一般発売中 |
販売窓口 | 東京芸術劇場ボックスオフィス、チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット、カンフェティ ほか |
アクセス | 池袋駅西口より徒歩2分、地下通路2b出口と直結 |
問い合わせ | 東京芸術劇場ボックスオフィス 0570-010-296(休館日を除く10:00〜19:00) |
プロモーション映像 | https://youtu.be/F1GajnLbIoc |
ウェブページ | https://www.geigeki.jp/performance/theater378/(公演詳細) |
主催・助成・協賛等 | 主催:東京舞台芸術祭実行委員会(東京都、東京芸術劇場)/助成:文化庁ほか/協賛:ヴァン クリーフ&アーペル等/後援:在日フランス大使館 他 |
本稿では公演の制作背景、スタッフ・キャスト、上演内容、年表、批評的評価、アクセスやチケット情報、提供されるアクセシビリティサービス、託児やワークショップの案内など、プレスリリースに含まれる全情報を整理して提示しました。詳細や最新の案内は東京芸術劇場および舞台芸術祭公式サイトでご確認ください。
参考リンク: