岡山大学、HESPRI招聘で異文化共創を実施 学生と研究者が議論

岡山大の異文化共創活動

開催期間:6月30日〜7月25日

岡山大の異文化共創活動
この共創活動って何を目的にやったの?
HESPRIの枠組みで岡山大が欧州の研究者を招聘し、異文化環境でのイノベーション創出を狙いに、学生・教員・URAらが対話を通じて新たな概念や実務連携の可能性を探った取り組みです。
誰が参加してどんな議論をしたの?
モルドバのAmerican University of Moldovaやストラスブール大の研究者らを招聘。宮崎准教授ホストのもと経済学部学生12名やURA・事務職員らが農業・観光・高等教育や文化遺産のデジタル保存などを議論しました。

欧州Horizon Europe(HESPRI)と岡山大学が取り組んだ異文化共創の全体像

国立大学法人岡山大学は、2025年6月30日から7月25日にかけて、欧州連合の研究・イノベーション枠組みであるHorizon Europeのプログラム(HESPRI)との国際連携により、モルドバ共和国およびフランスから招聘した研究者らとともに<異文化環境におけるイノベーション創出>をテーマとした共創活動を実施しました。招聘者はモルドバ共和国のAmerican University of MoldovaからVictoria Trofimov副学長(国際担当)とFrumusachi Ludmila博士、フランスのUniversity of Strasbourgから博士後期課程学生のLéa Daccache氏で、本学側のホストは学術研究院社会文化科学学域(経済)宮崎悟准教授(イノベーション論)でした。

本プログラムは、単なる講義や来訪にとどまらず、大学の教員、URA(University Research Administrator)や事務職員、教育推進機構の教員、そして学部生を含む多様な構成員が相互に関与する形で行われ、リアルな対話を通じて既存の概念を批判的に検証し、新たな概念・アイデアを生成することが意図されました。プログラムはHESPRIプロジェクトの枠組みのもとで実施され、四年間の支援枠の一部として位置づけられています。

開催期間
2025年6月30日~2025年7月25日(招聘期間)
主催/実施機関
国立大学法人岡山大学(学術研究院社会文化科学学域 宮崎悟准教授ほか)
招聘機関
American University of Moldova(モルドバ)、University of Strasbourg(フランス)
【岡山大学】異文化環境におけるイノベーション創出をテーマに共創活動~欧州Horizon Europe(HESPRI)との国際連携~ 画像 2

議論の焦点と対話の場所:KIBINOVEと中央図書館で交わされた視点

プログラムのなかで特に公開的な意見交換が行われたのは、7月17日の津島キャンパス内共創イノベーションラボ(KIBINOVE:きびのべ)でのセッションと、7月24日の中央図書館での学生プレゼンテーションおよび資料見学ツアーでした。これらの場では、文化的・経済的比較や地域資源の活用、教育と労働市場の関係など多岐にわたるテーマが取り上げられました。

7月17日のKIBINOVEでは、モルドバの研究者が自国の文化・経済事情を紹介し、日本および岡山地域との比較を通じて、農業、観光、就職活動、地域活性化、高等教育といった領域におけるイノベーションの可能性について議論が交わされました。参加者は宮崎ゼミに所属する経済学部生12名のほか、教員やURA、事務職員など多職種にわたり、現場の知見に基づく課題提示と応答が行われました。

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7月17日(KIBINOVE)での主な議題

このセッションはモルドバ研究者からの紹介を契機にして展開し、地域特性に基づくイノベーションの起点を探る構成でした。多面的な比較により、農業の付加価値化や観光資源の再構築、若年層の雇用機会創出といった具体的な施策案まで話題は及びました。

参加者間の討議は英語を共通語とし、質疑応答では学生側からも積極的な視点が示されました。議論は単なる情報交換にとどまらず、現地の課題を岡山や日本の事例と照合することで、相互学習につながる議論が続きました。

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7月24日(中央図書館)での学生発表と文化遺産の視察

7月24日は宮崎ゼミの学生が、Z世代の視点から“クール・ジャパン”をテーマに英語でプレゼンテーションを行いました。学生発表は日本および岡山の文化的価値を国際的に伝える試みとして位置づけられ、モルドバ研究者との間で活発な質疑応答が行われました。議論の過程で、異文化間の知識ギャップ(ずれ)を相互に確認し、それが新しい概念や視点の創出につながる様子が観察されました。

発表後には中央図書館所蔵の「池田家文庫」を図書館職員の解説で見学しました。小林健輔URA(特任)のファシリテートにより、江戸時代初期の歴史資料が現代においても良好に保存されている状況と、図書館側が進めるデジタル技術による文化遺産保存の取り組みが紹介されました。参加者は、古い文化資産とデジタル技術を組み合わせることで新たな文化創造の可能性を議論しました。

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HESPRIの位置づけと今回の共創活動が示す実務的意義

HESPRIは、Horizon EuropeにおけるMarie Skłodowska-Curie Actions(MSCA)に関連するスタッフ人材育成プログラムの一環で、HORIZON-MSCA-2021-SE-01から助成される4年間のプロジェクトです。欧州を中心とした14か国の高等教育・研究機関がコンソーシアムを構成し、高等教育(HE)の競争力強化や公共政策の充実に向けた提言を目指しています。

今回の岡山大学での招聘期間における共創活動は、HESPRIの目的である高等教育分野の国際的な連携と人材育成に沿うものであり、学内の多様な職種が参加することで実務的な連携体制の強化にもつながりました。心理的安全性の高い対話環境が構築された結果、既存の概念を問い直し、破壊し、新たな概念を生み出すようなイノベーティブな思考・行動が実践されました。

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詳細情報、関連機関、問い合わせ先およびまとめ表

今回の取り組みに関する公表は岡山大学より2025年9月1日に行われ、報道発表は2025年9月7日16時00分に配信されています。岡山大学は地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)に採択されており、地域と世界をつなぐ研究・教育活動を推進しています。以下に関連リンク・連絡先をまとめます。

問い合わせ先には、研究・イノベーション共創機構 研究企画戦略室のほか、岡山大学病院や産学官連携、研究機器共用、スタートアップ支援など各窓口が明示されており、担当部署ごとに連絡先が設定されています。E-mailは公表方法に従い@を◎に置き換えた表記が用いられています。

項目 内容
実施期間 2025年6月30日~2025年7月25日(招聘期間)、公表日:2025年9月1日、報道発表:2025年9月7日
招聘研究者 Victoria Trofimov(副学長、American University of Moldova)、Frumusachi Ludmila(博士、American University of Moldova)、Léa Daccache(博士後期課程学生、University of Strasbourg)
岡山大学側主要関係者 宮崎悟 准教授(ホスト/イノベーション論)、Chenevier Bernard(上級URA・特任)、齋藤恵美(事務職員・特任)、小林健輔(URA・特任)ほか
参加学生・職種 宮崎ゼミ所属 経済学部学生 12名、教育推進機構教員、URA、事務職員など多様な職種
主な実施場所 津島キャンパス 共創イノベーションラボ(KIBINOVE)、岡山大学中央図書館(池田家文庫見学)
議題・テーマ 異文化環境におけるイノベーション創出、農業・観光・就職・地域活性化・高等教育の比較、文化遺産のデジタル保存等
HESPRIの概要 Horizon EuropeのMSCAに関連するスタッフ人材育成プログラム。HORIZON-MSCA-2021-SE-01より助成、4年間、14か国の高等教育研究機関が参画
関連リンク https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id14546.html、岡山大学研究・イノベーション共創機構:https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
主要問い合わせ先(例) 岡山大学研究・イノベーション共創機構 研究企画戦略室 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 本部棟1階 TEL:086-251-8918 E-mail:kikou◎adm.okayama-u.ac.jp(※◎を@に置き換え)

以上の表は、本プレスリリースに基づき今回の共創活動の主要事項を整理したものです。招聘の経緯、参加者構成、実施場所ごとの内容、HESPRIプロジェクトの位置づけ、並びに問い合わせ先と関連リンクを併記しました。これにより、今回の取り組みが学内外の関係者にとってどのような意味を持つかを俯瞰的に把握できるよう配慮しています。

参考リンク: