オリジン、福岡にVCC拠点設立 ディープテック商業化を加速
ベストカレンダー編集部
2025年9月7日 16:41
オリジン日本法人設立
開催日:8月27日

福岡に誕生したオリジン・ベンチャーズ・ジャパン:設立の経緯と式典の様子
シンガポール発のベンチャー・コクリエーション企業であるオリジン・ベンチャーズ(Origgin Ventures Pte. Ltd.、代表:クラレンス・タン)は、2025年8月27日、福岡市に日本法人としてオリジン・ベンチャーズ・ジャパン(Origgin Ventures株式会社、代表取締役:井之上拓也)を正式に設立したと発表しました。公式リリースは2025年9月7日14時に配信されており、本設立は日本のディープテック領域における商業化推進と、東南アジアとの連携強化を目的とした重要な一手です。
設立記念イベントは福岡市の投資交流推進部長である松浦令治氏による開会挨拶で始まり、学術界、産業界、政府機関、ベンチャーキャピタルのリーダーらが出席しました。松浦氏は福岡が国際的なスタートアップとイノベーションの拠点へと急速に発展している点を強調し、地域としての受け入れ姿勢と国際協力の重要性を示しました。式典には写真撮影の場面もあり、松浦氏による開会挨拶の模様が披露されました。

設立の目的と位置付け
オリジン・ベンチャーズ・ジャパンは日本の研究成果や有望な技術を、海外市場を含むグローバル規模で事業化するための主要拠点を目指します。日本側の研究力とシンガポールを中心とした東南アジアの市場アクセスを結び付け、技術の実用化と事業スケールの両面で支援を行う方針です。
設立に際しては、単独での投資や支援にとどまらず、既存のエコシステムと協調して連携体制を構築することが明示されました。具体的には日本国内パートナーとの協働、共同ファンドの設立、企業との協業によるPoC(概念実証)やパイロットテストなど、実践的な支援を念頭に置いた活動が想定されています。

VCCモデルの実践とMOU締結:共同ファンドとパートナーシップの中身
オリジン・ベンチャーズは自社の強みである「ベンチャー・コクリエーション(VCC)」モデルを日本で展開します。VCCモデルは有望な研究や知財を早期に発掘し、専任のベンチャーチームを組成して事業化を進める手法であり、戦略的指導、資金提供、ハンズオン支援を組み合わせる点が特徴です。
設立発表では日本の主要パートナー2社とのMOU締結が明らかにされました。MOUに基づく連携では共同プロジェクトの推進、ディープテックエコシステムの強化、そして具体的な商業化支援が進められます。これにより、オリジンの商業化ノウハウと日本側の研究力・企業力が結び付き、ベンチャー創出が促進されることが期待されています。
共同ファンドの構成と目的
長期戦略の一環として、オリジン・ベンチャーズは株式会社インターユニバーシティ・ベンチャーズ(代表取締役:山口泰久氏)と共同で、国内大学の研究開発から生まれるスピンオフ企業に特化した3,000万米ドル規模のファンドを立ち上げる計画です。両社は共同GP契約に関するMOUへ署名し、初期資金不足と実行力の不足が課題となっている日本のディープテック・ベンチャー支援に強いコミットメントを示しました。
この共同ファンドは、シード〜アーリーステージのスピンオフに対する資金提供だけでなく、組織の立ち上げ支援、事業開発、海外市場参入のためのネットワーク提供までを視野に入れたファンド運営を想定しています。署名式には中藤良久氏(九州工業大学、理事 兼 副学長)および松浦令治氏が立ち会い、地域と学術界の支援体制も明示されました。
地域連携と事業支援の仕組み:GxPartnersとの協働と実行支援
オリジン・ベンチャーズ・ジャパンは、2019年に福岡で設立されたGxPartners LLP(代表パートナー:岸原稔泰氏)ともMOUを締結しました。GxPartnersは幅広い産業領域に対応するベンチャーキャピタルであり、地域や国際ネットワークを活かした支援に強みがあります。
両者の協業はコーポレート・ベンチャー・コクリエーションに焦点を当て、企業内技術の商業化に向けたPoC、パイロットテストなどの実行支援を展開します。これにより、日本企業のオープンイノベーションや新規ベンチャー創出を後押しする体制が構築されます。
具体的な支援メニューと期待される効果
支援メニューとしては、以下のような施策が明記されています。
- 有望技術の早期発掘と評価
- 専任ベンチャーチームの組成・育成
- PoC(概念実証)及びパイロットテスト実行支援
- 国内外市場向けの事業開発とネットワーク提供
- 共同ファンドを通じた資金提供と投資後のハンズオン支援
これらの施策により、大学や企業に内在する技術が市場に送られるまでのギャップを埋め、実用化・商業化を加速させることが目的です。地域側からは、地方自治体や学術機関の観点からの支援が得られる点も強調されました。
登場人物と団体の役割整理/連絡先
本発表に関係する主要な個人・団体とその役割は以下の通りです。式典にはオリジン・ベンチャーズの創設者・代表であるクラレンス・タン氏も参加し、署名や立ち会いが行われました。
- オリジン・ベンチャーズ(Origgin Ventures Pte. Ltd.)
- シンガポール本拠のディープテック系ベンチャークリエイター。VCCモデルを用い、大学・研究機関と連携して技術の事業化を支援。日本法人としてオリジン・ベンチャーズ・ジャパンを設立。
- オリジン・ベンチャーズ・ジャパン(Origgin Ventures株式会社)
- 代表取締役:井之上拓也。福岡を拠点に日本のディープテックの商業化と東南アジア市場との橋渡しを担う。
- インターユニバーシティ・ベンチャーズ
- 代表取締役:山口泰久。大学発スタートアップへの投資を専門とし、複数大学の資源を共有する枠組みを構築。オリジンと共同で3,000万米ドル規模のファンドを設立予定。
- GxPartners LLP
- 代表パートナー:岸原稔泰。福岡で2019年に設立されたベンチャーキャピタル。コーポレートとの協業やシード支援に強みを持ち、PoCやパイロット実行の支援を行う。
- 立ち会い者
- 中藤良久(九州工業大学、理事 兼 副学長)、松浦令治(福岡市 投資交流推進部長)、クラレンス・タン(Origgin Ventures代表)
オリジン・ベンチャーズ・ジャパン代表取締役の井之上拓也氏は「福岡は急速に日本の“イノベーション・ゲートウェイ”としての地位を確立しており、この地にオリジン・ベンチャーズ・ジャパンを設立することで、日本の研究開発力と成長著しい東南アジア市場を結び付けていきます。研究者や企業と共に、グローバルな挑戦を志す次世代ディープテック・スタートアップを創出できることを大変楽しみにしています。」とコメントしています。
取材や問い合わせは、リリースに記載の連絡先で受け付けられます。問い合わせ先のメールアドレスはenquiry@origgin.comです。
補足資料:関連組織の簡潔な紹介
オリジン・ベンチャーズはシンガポール、タイ、マレーシア、日本、中国にまたがるクロスボーダー・エコシステムを活かし、地域から世界へ事業を展開するネットワークを提供します。一方、インターユニバーシティ・ベンチャーズは大学間の協業を基盤とした投資を行い、GxPartnersは地域と国際ネットワークを活用したスタートアップ支援に注力します。
これら三者の連携は、個別の投資や支援に留まらない統合的な支援体制を構築することを目指しており、各組織の強みを持ち寄ることで、スピンオフ企業やスタートアップの成長フェーズに応じた包括的な支援が可能になることが想定されます。
要点の整理とまとめ
以下の表は、本記事で取り上げた主要事項を整理したものです。設立日、代表者、MOUの相手、ファンド規模、問い合わせ先などを網羅しています。表の下には本文の要約を自然な文章で付しています。
項目 | 内容 |
---|---|
発表日 | 2025年9月7日 14時00分(プレスリリース配信日時) |
設立日 | 2025年8月27日(オリジン・ベンチャーズ・ジャパン設立) |
日本法人名 | オリジン・ベンチャーズ・ジャパン(Origgin Ventures株式会社) |
代表者 | 井之上拓也(代表取締役)/クラレンス・タン(Origgin Ventures Pte. Ltd.代表) |
主要MOUパートナー | 株式会社インターユニバーシティ・ベンチャーズ(山口泰久)、GxPartners LLP(岸原稔泰) |
共同ファンド規模 | 3,000万米ドル(インターユニバーシティ・ベンチャーズと共同で設立予定) |
式典での登壇・立ち会い | 松浦令治(福岡市 投資交流推進部長)、中藤良久(九州工業大学)、クラレンス・タン など |
支援内容 | VCCモデルによる技術発掘、専任チーム組成、PoC支援、パイロット実行支援、資金提供、海外市場アクセス |
問い合わせ先 | enquiry@origgin.com |
以上が、本件に関する事実関係と主要な取り組みの整理です。オリジン・ベンチャーズ・ジャパンは福岡を拠点に、日本のディープテックの商業化を促進するため、複数の国内パートナーと連携しつつ資金面・実行面の両面で支援を行うことが明記されています。関係各者の署名や立ち会いが行われたことから、具体的な協業スキームの実行に向けた準備が進んでいることが読み取れます。