車内がゲーム化する「ヴァレオ・レーサー」、10/30日本初公開
ベストカレンダー編集部
2025年9月5日 10:09
JMS2025日本初公開
開催日:10月30日

車内がゲーム空間になる――「ヴァレオ・レーサー」の仕組みと特徴
ヴァレオが開発した世界初の車内向けXR(クロス・リアリティ)ゲームシステム「ヴァレオ・レーサー」は、乗員が車両のWi‑Fiに接続したスマートフォンやタブレットでプレイできる点を柱としています。実際の車両環境と3D要素を組み合わせ、車内外の状況をゲーム演出に取り込むことが可能な点が最大の特徴です。
本システムは、従来の動画・音楽などの車内エンターテインメントとは異なり、車載のセンサー群(カメラやレーダー)とヴァレオが保有する認識・人工知能アルゴリズムを活用して、現実の風景や周囲の物体をゲーム内に反映する点でユニークです。これにより、乗員は移動中の実環境を活かしたインタラクティブな体験を得られます。
- プレイ端末:スマートフォン、タブレット(車両のWi‑Fi接続)
- 技術基盤:カメラ/レーダー等のADASセンサー、認識・AIアルゴリズム、拡張現実ソフトウェア開発キット
- 用途:車内エンターテインメントの新形態、ゲーム開発者と自動車メーカー向けのプラットフォーム的提供
- 位置づけ:ヴァレオのソフトウェアスイート「Valeo anSWer」のゲーム分野への展開
デモ公開の経緯
ヴァレオ・レーサーは、米国オースティンで開催されたSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)でデモを披露して以来、約1年余りで商用採用につながる成果をあげています。SXSWでの初公開は、同システムの実演によってその実現可能性と独自性を示す機会になりました。
デモ公開以来、ヴァレオは自社のADASに関するリーダーシップと既存センサーの利活用を強調しつつ、車内エンターテインメントの新しい方向性を示しています。ゲーム側の表現力と車載側のセンシング性能を組み合わせることで、従来の受動的な視聴体験とは異なる双方向の遊びが生まれます。
アジア市場への導入決定と今後のスケジュール
2025年9月5日09時30分付の発表によれば、ヴァレオ・レーサーは、SXSWでのデモから約1年で、ある自動車メーカーによりアジアの主要自動車市場向けの車両に搭載されることが決定しました。採用先は公表されていませんが、対象はアジアの主要市場向け車両となります。
生産開始は2026年第1四半期に予定されており、商品化・量産に向けた具体的な段取りが進められています。並行して広報・展示の場として、2025年10月30日から東京ビッグサイトで始まるJapan Mobility Show 2025にて、日本初公開が行われる予定です。
- 発表日時
- 2025年9月5日 09:30(ヴァレオグループ発表)
- 初の商用採用先
- ある自動車メーカー(アジアの主要自動車市場向け車両に搭載予定、具体名は非公開)
- 生産開始予定
- 2026年第1四半期
- 日本初公開
- Japan Mobility Show 2025(会場:東京ビッグサイト、開催開始日:2025年10月30日)
これらのスケジュールは、SXSWでのデモ公開からの迅速な商用展開を示しており、車載ソフトウェアや車内体験の市場投入が加速していることがうかがえます。
技術的な裏付けとヴァレオの役割
ヴァレオは運転支援システム(ADAS)の世界的リーダーであり、その専門性を活かしてヴァレオ・レーサーを開発しました。発表文中で、ヴァレオ・ブレイン・ディビジョンCEOであるマーク・ヴレコは次のように述べています。
「ヴァレオ・レーサーをこの自動車メーカーと共にアジア市場で世界初公開できることを大変嬉しく思います。車内エンターテインメントは、乗員の総合的なユーザー体験を高める上でますます重要になっていますが、これは当社のADASにおけるリーダーシップと、自動車に搭載されている既存のセンサーの価値を最大限に引き出す革新的なアイデアによって可能になりました。」
- ソフトウェア基盤:2023年に発表されたミドルウェア/サービス群「Valeo anSWer」をベースに、ゲーム領域へ拡張。
- 開発者向け提供:ヴァレオの拡張現実ソフトウェア開発キット(SDK)を通じて、ビデオゲーム開発者や自動車メーカーに新しいゲーム表現の手段を提供。
- センサーとアルゴリズムの融合:カメラやレーダーのデータ、既存の認識・AIアルゴリズムをゲームに組み込み、実車環境をリアルタイムに反映。
この取り組みは、車載ハードウェアの活用価値を高めると同時に、車内エクスペリエンスを再定義する試みとして位置づけられます。ゲームという応用領域を通して、ADAS技術の応用範囲が広がることが期待されます。
企業情報と数値で見るヴァレオ
ヴァレオは世界中の自動車メーカーやニューモビリティ・プレーヤーのパートナーとして機能するテクノロジー企業です。発表資料には、同社の事業的な位置づけと数値データが明記されています。
以下は発表に含まれるヴァレオの主要情報です。
項目 | 内容 |
---|---|
事業領域(強調点) | 電動化の加速、ADASの加速、インテリア・エクスペリエンスの再創出、ライティング・エブリウェア |
2024年グループ売上 | 215億ユーロ |
従業員数(2024年12月31日時点) | 109,600人 |
拠点 | 28カ国で155カ所の工場、46カ所の研究開発センター、18カ所の物流拠点 |
上場 | パリ証券取引所 |
これらの数値は、ヴァレオがグローバルなサプライヤーとしてのスケールを保持しつつ、ソフトウェアやサービス領域への注力を進めていることを示しています。
要点の整理
この記事で取り上げた発表内容を下表に整理します。主な事実関係、スケジュール、技術的特徴、企業データを網羅しています。
項目 | 内容 |
---|---|
製品名 | ヴァレオ・レーサー(車内XRゲームシステム) |
初公開デモ | SXSW(オースティン)でデモ披露(約1年前の公開が起点) |
商用採用 | ある自動車メーカーによるアジアの主要自動車市場向け車両への搭載が決定(企業名は非公表) |
生産開始予定 | 2026年第1四半期 |
日本での初公開 | Japan Mobility Show 2025(東京ビッグサイト、2025年10月30日開始) |
主な技術要素 | 車両Wi‑Fi接続のスマートフォン/タブレット、ADAS(カメラ・レーダー)、認識・AIアルゴリズム、拡張現実SDK |
関連ソフトウェア | Valeo anSWer(2023年発表のアプリケーション/ミドルウェア/サービス群) |
発表日 | 2025年9月5日 09:30(ヴァレオグループ発表) |
参考リンク | http://www.valeo.co.jp |
以上が本稿で伝えた事実の整理です。技術面ではADASに基づくセンシングとAIによる認識の組み合わせ、スケジュール面では2025年秋の展示から2026年Q1の生産開始へとつながる具体的なロードマップが示されています。商用採用の詳細(採用車種・販売地域別の時期など)は今後の発表を待つ必要がありますが、今回の決定により車内エンターテインメントの選択肢が明確に広がったことが確認できます。
参考リンク: