日本金属、軟質化で加工性向上するSFA仕上を発表

SFA仕上の販売強化

開催日:9月4日

SFA仕上の販売強化
SFA仕上って何がどう良くなるの?
SFA仕上は化学組成を変えずに冷間圧延や焼なまし条件を最適化して素材を軟質化。加工割れやスプリングバックを抑え、延性向上で歩留まり改善や工程短縮、エネルギー削減に寄与します。
どの業界で使えるの?
主に自動車部品の深絞りや複雑成形向けに想定。炭素鋼・炭素工具鋼に適用でき、加工性改善で工程の省略や安定化、CO2削減に貢献するため幅広い製造業での採用が期待されます。

軟質化で加工困難を解消する「SFA仕上」――エコプロダクト第5弾としての位置付け

日本金属株式会社(本社:東京都港区、取締役社長:下川康志、証券コード:5491)は、2025年9月4日付で、炭素鋼・炭素工具鋼を対象に軟質化処理を施した独自製品「SFA(スーパーフルアニーリング)仕上」を、環境配慮製品群「エコプロダクト」の第5弾として位置付け、販売強化を行うと発表しました。発表日時は2025年9月4日 08時30分です。

「SFA仕上」は化学成分を変更せず、製造条件の最適化により素材を軟質化する技術であり、従来加工困難とされてきた工程への適用を可能にします。軟質化により加工性が向上し、スプリングバックの低減が期待されるため、工程の省略や歩留まり改善に結び付き、製造プロセスのエネルギー効率向上や環境負荷軽減に資する製品として同社が認定しました。

炭素鋼・炭素工具鋼を軟質化し、従来困難だった加工を可能に 「SFA仕上」をエコプロダクトとして新たに販売を強化 画像 2

SFAの定義と技術的特徴

SFA(スーパーフルアニーリング)仕上は、当社の冷間圧延条件および焼なまし工程を最適化することで実現される処理名で、化学成分の変更は伴いません。素材自体の組成は維持しつつ、組織や機械的特性を制御することにより、加工現場での取り扱いやすさを高めるアプローチです。

この技術は、深絞りや曲げ等の塑性加工において生じやすい加工割れやスプリングバックを低減する効果があり、最終製品の形状安定性を高める点が特徴です。自動車部品を中心に、加工工程の簡素化や工程別エネルギー低減を実現することが想定されています。

製品分類
炭素鋼・炭素工具鋼に対するSFA仕上(当社独自基準での環境配慮製品「エコプロダクト」認定)
目的
加工性向上、スプリングバック低減、工程の省略による環境負荷低減
化学成分の扱い
化学成分の変更は行わない(冷間圧延条件の最適化と熱処理管理による軟質化)
炭素鋼・炭素工具鋼を軟質化し、従来困難だった加工を可能に 「SFA仕上」をエコプロダクトとして新たに販売を強化 画像 3

具体的な特長・効果と試験・写真資料

プレスリリースでは、SFA仕上の特長を複数の観点から整理しています。代表的なポイントは化学成分の不変、機械的特性の改善(低耐力化と高延性)、加工性の向上(加工割れ防止とスプリングバック低減)、金属組織の観察、さらに熱処理後の特性保持です。

現物の比較として写真や試験結果が示されており、円筒深絞り試験後の外観比較(写真1)では左がSFA仕上、右が一般ナマシ仕上の比較写真が添付されています。また、採用例として自動車部品の写真(写真2)、炭化物組織の光学観察写真(写真3)も用意されています。

  • 化学成分:変更なし。冷間圧延や焼なましの条件最適化で特性を調整。
  • 機械的特性:一般のナマシ仕上に比べて軟質(低耐力)で、優れた延性を示すと説明。
  • 加工性:伸びが大きく加工割れを防止。スプリングバックが小さく加工後の形状が安定。
  • 金属組織:球状炭化物の大きさは約1.0〜1.5μmで、一般的なナマシ仕上と同等との記載(SK85Mの例)。
  • 熱処理後の特性:焼入れ・焼戻し後の組織と硬さは一般材と同等と明記。

リリース内で言及されている表や写真資料は以下の通りです。表や画像の詳細数値は企業側の代表値として提供されており、公開資料や問い合わせ先での確認が案内されています。

表1 機械的性質(代表値)
項目 代表値(注:数値は当社公表資料参照)
引張強さ 当社代表値(詳細は資料参照)
耐力(降伏点) 当社代表値(一般ナマシ比で低下傾向)
伸び 当社代表値(一般ナマシ比で増加傾向)
表2 熱処理後の機械的性質(代表値)
処理 組織・硬さ(代表値)
焼入れ・焼戻し後 一般材と同等(当社代表値)
炭素鋼・炭素工具鋼を軟質化し、従来困難だった加工を可能に 「SFA仕上」をエコプロダクトとして新たに販売を強化 画像 4

写真資料の示すところ

写真1は円筒深絞り試験後の外観比較を示しており、左がSFA仕上、右が一般ナマシ仕上です。リリースは、SFA仕上による割れや欠陥の低減、形状の安定化が視覚的に確認できることを示しています。

写真2はSFA仕上の採用例として自動車部品の使用事例を示すもので、写真3はSK85Mの炭化物組織比較(左:一般ナマシ、右:SFA仕上)となっています。これらの資料は、組織と実加工の両面から性能差を示すための証拠資料として添付されています。

炭素鋼・炭素工具鋼を軟質化し、従来困難だった加工を可能に 「SFA仕上」をエコプロダクトとして新たに販売を強化 画像 5

歴史的背景と事業戦略:製造体制と経営計画「NIPPON KINZOKU 2030」

日本金属は1930年にみがき特殊帯鋼の生産を開始し、当該分野で最も長い歴史を有するとしています。冷延に関するノウハウと独自設計の設備、業界トップレベルの技術を背景に、多様な仕様や数量に対応した製品供給を行ってきました。

今回のSFA仕上は、第11次経営計画「NIPPON KINZOKU 2030」のビジョンに沿った独自製品であり、計画のキーワードである「Multi & Hybrid Material」「Near Net Shape」「Near Net Performance」を踏まえ、最終製品に求められる性能を素材で実現する取り組みの一環と位置付けられています。

  1. 歴史:1930年にみがき特殊帯鋼生産開始。長年の実績。
  2. 設備・技術:冷延ノウハウと独自設計設備による多品種対応。
  3. 経営計画との整合:NIPPON KINZOKU 2030に基づく新製品展開。

公式サイトではみがき特殊帯鋼や鋼帯製品の詳細が案内されており、以下のURLが提供されています。

みがき特殊帯鋼製品概要
https://www.nipponkinzoku.co.jp/products/migaki-tokushu
鋼帯製品概要
https://www.nipponkinzoku.co.jp/corporate/business/stainless-steel

適用分野、環境意義、問い合わせ先

SFA仕上は特に自動車関連を中心とした用途での販売拡大を目指すと明記されています。深絞りや複雑成形が求められる部品において、加工割れ防止やスプリングバック低減による工程安定化、歩留まり改善が期待されます。これに伴う工程削減やエネルギー削減は、同社が掲げる2050年CO₂排出量ネットゼロの目標と整合します。

製品は環境配慮製品「エコプロダクト」として認定されており、キーワードとしては「エコプロダクト」「カーボンニュートラル」「特殊鋼」「軟質化」「加工性」「深絞り」「スプリングバック」などが挙げられています。ビジネスカテゴリは鉄鋼・金属・ガラス・土石・ゴムおよび環境・エコ・リサイクルです。

  • 対象素材:炭素鋼、炭素工具鋼
  • 想定主用途:自動車部品を中心とした成形加工部材
  • 環境的利点:工程省略・歩留まり向上によるエネルギー低減と環境負荷の軽減

リリースに含まれる問い合わせ先および関連リンクは以下の通りです。製品や技術情報に関する具体的な質問、サンプルや詳細データの請求は、各問い合わせ窓口へ連絡することが示されています。

本リリースに関するお問い合わせ先
日本金属株式会社 総務部 TEL:03-5765-8100
https://www.nipponkinzoku.co.jp/contact-other
本製品及び技術情報に関するお問い合わせ先
日本金属株式会社 プロダクションプロセス・サポート部 TEL:03-5765-8113
https://www.nipponkinzoku.co.jp/contact
関連リンク(コーポレート)
https://www.nipponkinzoku.co.jp/

リリースには、プレスリリース素材として添付された画像ファイルのダウンロード案内もあります。提供されている画像は、円筒深絞り試験の比較写真や採用例、炭化物組織写真などです。

要点整理

以下の表で、本記事に記載したリリースの主要項目を整理します。数値についてはリリース本文において当社の代表値として示されている旨を反映しています。詳細な代表値や試験条件、画像データは企業の公表資料や問い合わせ窓口での確認が必要です。

項目 内容
発表企業 日本金属株式会社(本社:東京都港区、取締役社長:下川康志、証券コード:5491)
発表日時 2025年9月4日 08時30分
製品名 SFA(スーパーフルアニーリング)仕上(炭素鋼・炭素工具鋼)
特徴 化学成分は変更せず製造条件を最適化して軟質化。加工性向上、スプリングバック低減、延性向上。
試験・資料 写真1:円筒深絞り試験比較、写真2:自動車部品採用例、写真3:炭化物組織(SK85M)等
機械的性質 表1に代表値を提示(詳細数値は当社公表資料参照)
熱処理後の特性 焼入れ・焼戻し後の組織と硬さは一般材と同等(表2)
事業背景 1930年からのみがき特殊帯鋼生産の歴史。冷延ノウハウを活かした独自設計設備。
経営計画 第11次経営計画「NIPPON KINZOKU 2030」(Multi & Hybrid Material、Near Net Shape、Near Net Performance)
想定適用分野 自動車関連を中心とした深絞り・複雑成形の部品等
問い合わせ先 総務部 TEL:03-5765-8100(リリース総合窓口)/プロダクションプロセス・サポート部 TEL:03-5765-8113(製品・技術情報)
関連URL https://www.nipponkinzoku.co.jp/ 、製品ページほか(リリース参照)

以上が本リリースの要点整理です。SFA仕上は、化学成分を変えずに製造プロセスを見直すことで得られる軟質化と加工性向上を通じ、工程効率化および環境負荷低減に資する製品として位置付けられています。詳細な代表値、試験条件、画像データ等は前述の問い合わせ先または同社の公表資料で確認してください。

参考リンク: