近藤ようこ版『家守綺譚』上・下巻が9/25発売
ベストカレンダー編集部
2025年9月4日 13:49
家守綺譚 単行本刊行
開催日:9月25日

近藤ようこが描く、明治の庭と「少し不思議」な日常
梨木香歩の名作小説『家守綺譚』が、漫画家・近藤ようこによって漫画化され、2025年9月25日に単行本(上・下巻)として刊行されます。原作が持つ静謐で繊細な季節感、そして明治期の人と自然の距離感が、近藤氏の筆致でどのように描かれ直されたのかが注目されます。
この作品は雑誌「波」で全35回にわたり連載され、大きな反響を呼んでいました。単行本化にあたり、近藤ようこが原作の行間や情景を想起して新たに描き下ろしたカバーイラストが採用され、紅葉、南天、桜など季節のモチーフを配した書影が公開されています。
- 刊行日:2025年9月25日
- 出版社:株式会社新潮社
- 連載:雑誌「波」全35回
- カバーイラスト:近藤ようこ描き下ろし

物語の骨子と登場する「少し不思議」な出来事
物語は明治時代を舞台に、文筆家・綿貫征四郎が故友・高堂の家の「家守」として暮らし始めるところから始まります。庭には白木蓮や都わすれ、萩、サザンカが咲き、季節ごとに草花が彩りを変えます。読者は植物の移ろいとともに、日常に溶け込む奇妙な出来事に触れることになります。
作品内で起きる出来事は幻想譚のようでありながら、人物の内面や時代背景とつながる具体的な描写があるため、単なる怪異譚に留まりません。綿貫が体験するできごととして、サルスベリに懸想される話や河童の衣を拾う逸話、化狸を助ける場面などが描かれます。最終的に綿貫が高堂の物語を書こうと決意するまでの過程が丁寧に綴られます。
- 主要登場人物
- 綿貫征四郎:文筆家。高堂の家の「家守」として暮らす。
- 高堂:故人。綿貫の友人であり、物語の中心にある存在。
植物と季節の描写
庭を彩る植物が物語の時間軸を示す役割を担っています。白木蓮、都わすれ、萩、サザンカといった花々は、季節の移ろいとともに登場人物の心情や出来事の雰囲気を反映します。近藤の描線はこの植物群を丁寧に拾い、原作の持つ繊細な空気感を視覚化しています。
奇妙な出来事が日常に混じる描写においても、自然の描写は物語の根幹を支えています。草木や庭の風景は単なる背景ではなく、登場人物と出来事をつなぐ媒介として機能します。
原作者・漫画家双方のメッセージと経歴
本作の刊行にあたり、原作者の梨木香歩と漫画化を担当した近藤ようこの両名からコメントが寄せられています。梨木氏は「行間が、ここまで絵にできるなんて」と述べ、近藤氏は「やさしく、きびしく、しあわせな仕事でした」と表現しています。いずれも作品が原作と漫画表現の間で丁寧に架橋されたことを示す言葉です。
ここでは両氏の経歴も整理します。梨木香歩は1959年生まれで多数の小説・エッセイを発表しており、代表作として『西の魔女が死んだ』や『家守綺譚』などが挙げられます。一方、近藤ようこは1957年新潟市生まれで、大学在学中にデビュー。日本漫画家協会賞優秀賞や文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞した実績を持ち、民俗学や中世文学への造詣を活かした作品群で知られます。
- 梨木香歩:1959年生。小説・エッセイ多数。代表作に『丹生都比売』『西の魔女が死んだ』『家守綺譚』ほか。
- 近藤ようこ:1957年生。『見晴らしガ丘にて』で日本漫画家協会賞優秀賞、『五色の舟』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞など。
単行本の仕様と購入情報
単行本は上巻・下巻の2冊構成で、A5判ソフトカバーの造本です。価格は上巻が1,870円(税込)、下巻が1,815円(税込)となっています。ISBNと公式URLも公開されており、書誌情報が明確に整えられています。
出版社は株式会社新潮社で、刊行日は2025年9月25日。連載は雑誌「波」にて全35回で行われ、単行本化にあたり近藤ようこが新たにカバーイラストを描き下ろしています。プレスリリースの日付は2025年9月4日 11時13分付です。
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | 家守綺譚(上・下) |
原作 | 梨木香歩 |
漫画 | 近藤ようこ |
発売日 | 2025年9月25日 |
造本 | A5判ソフトカバー |
定価 | 上 1,870円(税込) / 下 1,815円(税込) |
ISBN | (上)978-4-10-356471-3 / (下)978-4-10-356472-0 |
出版社 | 株式会社新潮社 |
連載 | 雑誌「波」全35回 |
公式URL | https://www.shinchosha.co.jp/book/356471/ (上巻ページ) |
本文で触れたように、本作は原作の行間を尊重しつつ漫画表現へと翻訳されたものであり、近藤ようこの描き下ろしカバーは季節感と登場人物の「少し不思議」な性質を象徴しています。上巻・下巻それぞれのISBNや価格、発売日といった基本情報は上の表にまとめています。刊行情報、書影、作者コメントなどは出版社の公式情報に基づいています。
参考リンク: