Stripe、Terminalを日本提供開始 店頭とオンライン決済を一元化

Terminal日本提供

開催日:9月3日

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Stripe Terminalって何ができるの?
オンライン決済と店頭決済を統合するソリューションで、API/SDKと統一ダッシュボードでPOSやモバイル端末と連携。リアルタイムの販売分析や多様な決済手段(カード・デジタルウォレット・QR)に対応します。
いつから日本で使えるの?導入のメリットは?
日本では2025年9月3日発表で提供開始。BBPOS WisePad3やStripe Reader S700/S710、iPhoneのタッチ決済で利用でき、在庫管理や顧客分析の一元化、PayPay等との店頭連携で越境・売上拡大を支援します。

Stripe Tour Tokyo 2025が示した決済の現在地と発表の要旨

2025年9月3日(水)、ストライプジャパン株式会社はビジネスリーダーや決済業界の専門家が集う「Stripe Tour Tokyo 2025」を開催し、日本市場向けの新たなプロダクトとグローバル戦略のアップデートを発表しました。発表日時は同日15時00分、発表元はストライプジャパン株式会社です。

当日の発表の中心には、オンラインと店頭の決済を一元化するユニファイドコマースソリューションStripe Terminalの日本提供開始がありました。これに加えて、越境ビジネス支援のソリューションやスタートアップ向け支援プログラムの開始、さらには韓国ローカル決済のサポート拡大といったビジネスアップデートが発表されています。

発表全体の背景として、Stripeが処理する総決済額は世界のGDPの約1.3%に相当する1.4兆ドル(約210兆円)に達している点や、決済特化型AI基盤モデルの開発、ステーブルコインプラットフォームBridgeや暗号資産ウォレットビルダーPrivyへの投資を通じたプログラマブルな金融プラットフォーム構築の推進も示されました。

Stripe 、年次カンファレンス Stripe Tour Tokyo 2025 でユニファイドコマースを実現する Stripe Terminal の日本市場向け提供を発表 画像 2

イベント資料と関連リンク

関連記事やイベントの詳細情報は公式のイベントページでも公表されています。イベント案内は次のURLで確認できます。

本記事では発表内容を整理し、技術的な要点や導入に関する具体的な情報まで含めて伝えます。

Stripe 、年次カンファレンス Stripe Tour Tokyo 2025 でユニファイドコマースを実現する Stripe Terminal の日本市場向け提供を発表 画像 3

Stripe Terminal:オンラインと店頭をつなぐユニファイドコマースの全容

Stripe Terminalは、オンライン決済とオフライン(店舗)決済を統合するユニファイドコマースソリューションです。日本は世界で25か国目の提供市場となり、決済処理、ハードウェア、統合レポートを提供することでチャネル間のデータの壁を解消します。

本ソリューションはプログラマブルなAPIとSDK、統一ダッシュボードを通して、事業者が複数チャネルでリアルタイムに顧客行動を把握できる環境を提供します。これにより在庫管理の効率化、迅速な意思決定、購買モーメントの損失低減などにつながる設計です。なお、ガートナーの調査によれば一貫した顧客体験の提供は事業者の売上を20%向上させる可能性があるとされています(2022 Gartner® Magic Quadrant™ for Digital Commerce)。

主な機能と事業者への利点

Stripe Terminalにより、事業者は自社のPOSアプリケーションを構築し、決済フローを顧客ニーズに合わせて高度にカスタマイズできます。統合データ基盤を活用することで、販売分析や顧客インサイトの取得が可能になり、購買履歴に基づいたパーソナライズされたサービス提供が容易になります。

以下はTerminalが提供する主な機能です。

  • オンライン・店頭決済の統合ダッシュボード
  • プログラマブルAPIおよびSDKによるカスタムPOS構築支援
  • リアルタイム販売分析と顧客インサイト
  • 複数決済手段(カード、デジタルウォレット、QR決済等)への対応

対応デバイスと技術的要点

Stripeが提供するTerminal向けデバイスとして、BBPOS WisePad 3、Stripe Reader S700、Stripe Reader S710に対応しています。各機種の特性は以下のとおりです。

デバイス 特徴
BBPOS WisePad 3 POS端末とBluetoothペアリング可能なPINパッド搭載のモバイルリーダー
Stripe Reader S700 Androidベースのスマートリーダー。Wi-Fi対応、スマートフォンのような直感的な操作に対応
Stripe Reader S710 最新モデル。スリムなデザインで携帯電話回線によるモバイルデータ通信が可能なセルラーモデル(順次対応予定)

また、iPhoneのタッチ決済(Apple Payなど)にも対応します。Stripe Terminal SDKを利用することで、物理カードだけでなくデジタルウォレットの非接触支払いをiPhoneのみで導入可能です。追加の専用端末は不要で、対応アプリをインストールするだけで利用できます。

セキュリティ面については、支払いに利用されるカード番号はAppleによってiPhoneやAppleのサーバーに保存されない方式で提供される点が説明されました。ただし、暗号化されたカード番号がストアアンドフォワード方式での取引に限定してiPhoneに一時的に保存されることがあります。

国内外決済サービスとの連携

日本市場向けの支援として、PayPayの店頭決済がStripe Terminal経由で利用可能になります。Stripeは今年4月にPayPayのオンライン決済をすでに追加しており、今回の対応によりオンライン・店頭の双方でPayPayを用いた決済連携が可能になります。

さらに訪日観光客向けには、Weixin Pay(ウィーチャットペイ)等の決済手段も順次対応予定と発表されました。これにより多様な訪日客ニーズに合致した決済対応が期待されます。

導入企業の声と経営陣のコメント

Stripe Terminalの導入事例や発表に対する関係者のコメントも公表されています。国内導入を進める企業やストライプジャパンの経営陣が、期待や狙いを語りました。

株式会社INFORICHの取締役 兼 執行役員 Japan CEO、橋本祐樹氏は、Stripe Terminalについて次のようにコメントしています。「グローバルで統一された開発モジュールと、多言語対応が魅力的でした。また、開発メンバーからの信頼も厚く、評判もよかったことから採いたしました。グローバル展開を進めるにあたって、世界共通で利用できる Stripe はとてもありがたい存在です。」

ストライプジャパン代表取締役のダニエル・へフェルナンも、Stripe Terminal提供開始について言及しています。「ようやく日本の皆様に、Stripe Terminal をご提供することができることを大変嬉しく思います。Stripe のユニファイド コマース ソリューションでオンライン決済とオフライン決済を一元管理することで、販売チャネルを超えた全体的なデータ分析が可能となり、機会損失の低減や生産性の向上のみならず、パーソナライズしたサービスの提供やマーケティング施策の向上、事業の拡大など、さらなる可能性が広がります。」

ストライプジャパン株式会社代表取締役 平賀充も、デジタル経済に関する現状とStripeの役割について述べています。「デジタル経済は急速に変化しており、昨年の日本 Stripe ユーザーによる決済総額は前年比 40 % 増となりました。ゲームやデジタルコンテンツ企業など、長く続く円安を逆手に取った国際ビジネスも勢いを見せ、Stripe 上で越境ビジネスを対象に行われた決済総額は 62 % 以上増加しました。事業形態も多角化し、昨年日本市場で 9,000 以上の企業が Stripe 上でサブスク型ビジネスを提供しています。今後も日本のデジタル経済を支え、国内外に拡大し続ける様々な企業の事業拡大をサポートして参ります。」

その他の発表:越境支援、スタートアップ支援、韓国ローカル決済

Terminal以外にも複数の重要なサービス提供開始が発表されました。これらは越境展開や初期段階の事業支援、海外決済受け入れの容易化を目的としたものです。

まず、越境支援ソリューションとしてStripe Managed Payments(マーチャント・オブ・レコード、MoR機能)が日本のユーザー向けに提供開始されます。Managed Paymentsは、世界各国の間接税対応、不正対策、チャージバック管理、フルフィルメントなどを代行し、新規市場参入に必要な機能を一元化して提供するものです。

スタートアップ支援プログラム:Stripe Startups

ストライプは日本向けに「Stripe Startups」を開始します。本プログラムはベンチャー投資を受けた初期段階の企業を支援する目的で設計され、製品利用に関する料金クレジットなどの財務的メリット、専門性の高いコミュニティ、豊富なリソースへのアクセスを提供します。これにより創業期の事業者が成長を促進できるよう支援されます。

プログラムの詳細は公式案内で確認するよう案内されています。

韓国現地決済の受け付け

日本のユーザー企業が韓国で一般的に利用されるウォレットやカード決済を受け付けられるようになったことも発表されました。対応対象は以下のとおりです。

  • 対象ウォレット:Naver Pay、Samsung Pay、PAYCO
  • 対象カード:新韓カード、現代カード、サムスンカードなど現地発行の全てのカードブランド

これにより、日本企業は韓国市場での決済受け入れが容易になり、越境ビジネスの幅が広がります。

発表内容の整理と要点一覧

ここまでに触れてきたStripeの発表をわかりやすく整理した表を示します。各項目は発表の原文情報に基づいています。

項目 内容
発表日 2025年9月3日 15時00分(ストライプジャパン株式会社発表)
イベント名 Stripe Tour Tokyo 2025
主要発表 ユニファイドコマースソリューション Stripe Terminal の日本市場提供開始
Terminalの主な機能 オンライン・店頭決済統合、API/SDK、統一ダッシュボード、リアルタイム販売分析
対応デバイス BBPOS WisePad 3、Stripe Reader S700、Stripe Reader S710(S710は順次対応予定)
決済手段連携 iPhoneタッチ決済(Apple Pay等)、PayPay(店頭決済対応)、Weixin Pay等は順次対応予定
越境支援 Stripe Managed Payments(MoR機能、間接税対応、不正対策、チャージバック管理、フルフィルメント等)
スタートアップ支援 Stripe Startups(料金クレジット、専門コミュニティ、リソース提供)
韓国決済対応 ウォレット:Naver Pay、Samsung Pay、PAYCO/カード:新韓カード、現代カード、サムスンカード等現地発行カード
Stripeのグローバル指標 Stripeユーザーによる総決済額 1.4兆ドル(約210兆円)=世界GDPの約1.3%相当
関連投資・技術 決済特化型AI基盤モデルの開発、Bridge(ステーブルコインプラットフォーム)、Privy(暗号通貨ウォレットビルダー)への投資
参考リンク https://tour.stripeevent.com/Tokyo?rshow=Tokyo および https://stripe.com/jp

記事内で示した情報は、ストライプジャパンが公表したリリース内容に基づいて整理したものです。Stripe Terminalの日本提供開始やManaged Payments、Stripe Startupsといった施策は、国内企業の決済や国際展開、スタートアップ支援の観点から注視すべき点であるといえます。

本稿では発表内容を漏れなく伝えることを目的とし、発表された機能、対象デバイス、対応決済手段、各種プログラムの概要および関係者コメントをすべて包含して整理しました。

参考リンク: