コミューンがシリーズCで55億円調達、信頼起点経営を加速

シリーズCで55億円調達

開催日:9月3日

シリーズCで55億円調達
今回の資金調達で何に使うの?
顧客・従業員との信頼を定量化・可視化するプロダクト開発や、信頼を事業成果に転換する新プロダクト、現状分析から施策実行までのフルファネルサービス整備、概念浸透とグローバル展開に充てる計画だ。
出資したのはどこなの?
既存のリード投資家(ファーストライト・キャピタル、DNX Ventures、Z Venture、ジャフコ)に加え、日本グロースキャピタル、JPインベストメント、日本郵政キャピタルが新規出資。商工組合中央金庫など複数金融機関からのベンチャーデットも組成されている。

コミューンが描く「信頼起点経営」——シリーズCで総額55億円を調達

コミューン株式会社は2025年9月3日付の発表で、シリーズCラウンドにおいて第三者割当増資40億円ベンチャーデット15億円を組み合わせた合計55億円の資金調達を完了したと明らかにしました。登記上の本社は東京都品川区、代表取締役CEOは高田優哉氏です(プレスリリース公表日時:2025年9月3日 09:00)。

今回の資金調達は既存投資家からの継続出資に加え、新規投資家の参加と、複数の金融機関によるベンチャーデットの組み合わせによって実現しています。調達資金は「顧客・従業員と信頼を育み、その信頼を事業に活かす”信頼起点経営”」の社会実装を加速するためのプロダクト開発および概念浸透に充てられます。

コミューン、総額55億円の資金調達を実施。調達資金で「信頼起点経営」の社会実装を加速。信頼への投資が経済合理な未来へ。 画像 2

調達の内訳と引受先

第三者割当増資とベンチャーデット、それぞれの出資者や引受先は以下の通りです。

  • 調達金額:総額55億円(第三者割当増資40億円+ベンチャーデット15億円)
  • 第三者割当増資(引受先):
    • 既存株主:ファーストライト・キャピタル(リード投資家)、DNX Ventures(リード投資家)、Z Venture Capital、ジャフコ グループ
    • 新規株主:日本グロースキャピタル投資法人(野村スパークス・インベストメントが運用)、JPインベストメント(※1)、日本郵政キャピタル
  • ベンチャーデット(長期借入契約/レベニューベースドファイナンス):
    • 長期借入:株式会社商工組合中央金庫、株式会社SBI新生銀行、株式会社静岡銀行、JA三井リース株式会社、株式会社福岡銀行
    • レベニューベースドファイナンス:Flex Capital(株式会社Fivot)

※1 JPインベストメント株式会社の子会社と三井住友トラスト・インベストメント株式会社を共同運営者とするJPSグロース・インベストメント投資事業有限責任組合。

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なぜ「信頼」への投資が必要なのか――背景と現状の数値

コミューンはビジョンに「あらゆる組織とひとが融け合う未来をつくる」を掲げ、コミュニティサクセスプラットフォーム「Commune」を提供してきました。これまでに累計100万人以上の登録者、累計500万件以上の声を集めるなど実運用の蓄積があり、顧客・従業員との相互コミュニケーションを通じて信頼構築が行われることでロイヤルティやLTVの向上、新商品開発などに結びついている点が強調されています。

同社が示す社会的背景としては、次の要素が挙げられています:情報の非対称性の縮小、AIを含めたテクノロジーの進展、製品・価格差別化が難しくなる中での「信頼できるブランド」の重要性、そして雇用関係・働き方の変化に伴う従業員体験重視の流れです。これらが合わさり、顧客や従業員との信頼を中核に据える経営手法が求められていると説明されています。

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成長実績(数値)とグローバル展開の状況

同社は、前回の資金調達(2021年9月)以降の成長指標として、MRR(Monthly Recurring Revenue)が600%成長したことを公表しています。また、導入件数は前年比で190%増加、25%以上のブランドがプロフェッショナルサービス(コミュニティ運営支援・VoC分析など)をプロダクトと併用していることも示されています。

グローバル展開については、2022年より米国拠点を設置し、2024年より本格的にグローバル市場での展開を開始。現時点では米国市場の顧客を中心に導入が進み、MRRは米国中心の導入で前年比490%成長を実現していると報告されています。

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調達資金の具体的な使途――“定量化”と“事業成果への転換”

コミューンは調達資金を用いて、信頼への投資が経済合理にかなうことを示すための技術・プロダクト開発およびフルファネルのサービス整備を進めます。ここでは、同社が掲げる3つの注力領域を具体的に示します。

3つの注力点は次の通りです:1) 信頼の投資対効果を定量化するプロダクト開発、2) 信頼を構築して事業成果に転換するプロダクト開発、3) 信頼起点経営を実現するフルファネルサービスの展開。

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1) 信頼の価値を定量化する取り組み

従来、信頼は感覚値や定性的評価に留まることが多かった点を踏まえ、同社は信頼の価値を定量的に測定し、ROIが算出可能となる技術開発を進めます。これにより、投資が売上向上、コスト削減、離職率改善など具体的な事業成果にどの程度結び付くかを科学的に分析・予測する計測手法とソリューションを確立する方針です。

経営層はこの定量的根拠に基づき投資判断を行うことが可能となり、信頼への投資が真に「経済合理」であることの証明を目指します。

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2) 信頼を事業成果に転換するプロダクト

信頼の構築から事業への転換を担うプロダクトでは、信頼関係の構築と事業成長への寄与を「可視化」「理解」「育成」「創造」の4プロセスに分解し、それぞれを実行するソリューションを開発します。既存のコミュニティサクセスプラットフォーム「Commune」は「育成」を担う中核プロダクトとして位置付けられ、その他のプロセスを担う新プロダクトを開発していく計画です。

この取り組みにより、企業は単に運用するだけでなく、信頼構築の各段階を具体的にマネジメントし、事業インパクトに直結させることが意図されています。

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3) フルファネルとしてのサービス化

プロダクト単体だけでは信頼構築は完結しないため、現状分析、戦略立案、インサイト発掘、ブランド体験設計、コンテンツ作成、イベント実施、紹介キャンペーンの実行など一連のアクションを体系化し、再現可能なサービスとして提供する方針です。既に25%以上のブランドがプロフェッショナルサービスとプロダクトを併用しており、導入件数は前年比190%増加しています。

これらの手法はグローバル展開を視野に入れており、日本企業の海外展開支援も含めて展開を進める計画です。

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経営体制の刷新、投資家と経営陣のコメント、実務連絡

成長加速のための新経営体制として、シリーズCのリード投資家であるファーストライト・キャピタルの岩澤脩氏、DNX Venturesの倉林陽氏が社外取締役に就任しています。これは創業期からの支援関係を踏まえたガバナンスと成長支援の強化を目的としています。

以下に投資家およびコミューン代表のコメントを原文の要旨に沿って掲載します。

ファーストライト・キャピタル 岩澤脩氏(代表取締役 マネージング・パートナー)
シード期から伴走してきたコミューンがシリーズCの資金調達を実現し、コミュニティSaaSから「信頼起点経営」支援カンパニーへ進化。取締役として事業成長とガバナンス強化に尽力し、新市場開拓を通じ持続的かつ非連続な成長に貢献する旨。
DNX Ventures 倉林陽氏(マネージングパートナー兼日本代表)
シリーズAから継続的に支援してきた経緯に触れつつ、高田氏のリーダーシップと顧客共創型のプロダクト進化を評価し、今後さらなる成長に期待する旨。
Z Venture Capital 湯田将紀氏(パートナー)
AI時代におけるコミュニティの価値を強調し、コミューンの中長期的成長に向けて追加出資した旨。
ジャフコ グループ 北澤知丈氏(パートナー)
2021年9月の初回投資以降の進化とチーム強化を目の当たりにし、グローバルでの成長を期待する旨。
野村スパークス・インベストメント 松本健太氏(投資運用部 ヴァイス・プレジデント)
顧客の力を借りることで企業成長支援が可能なプラットフォームと評価し、ビジョン実現に期待する旨。
JPインベストメント 万代将吾氏(グロース投資部 ヴァイス・プレジデント)
企業と消費者の距離感の変化に対応するコミュニティ構築の重要性に共感し、投資家として参画する旨。
日本郵政キャピタル 小倉祐太氏(投資部門 ディレクター)
デジタル化の進展に伴うコミュニティの重要性を指摘し、自社グループでの利用経験やBPOサービスの価値に触れつつ、共に新たな価値創出を目指す旨。
コミューン 代表取締役CEO 高田優哉
信頼起点経営の必要性が高まる中で今回の支援に感謝を示し、調達資金を用いてソリューション群を構築しグローバル展開を進める旨を述べています。

投資家の発言はそれぞれ、出資の背景と期待、企業の成長や価値観への共感を表明する内容になっています。

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メディア向け説明会と採用に関するスケジュール

コミューンはメディア関係者向けの説明会を下記の通り案内しています。説明会は「信頼起点経営」についての解説を含む予定です。

  • 日時:2025年9月12日(金)「Commune Marché in Summer」内にて開催
  • 申込・問い合わせ:件名に「9/12メディア向け説明会について」と記載し、pr@commune.co.jp(担当:石川)へ連絡

採用関連では、代表取締役CEO 高田と執行役員 橋本が登壇するオンライン会社説明会を下記にて実施予定です。

  • 日時:2025年9月24日(水)12:00〜13:00
  • 詳細・申込:https://peatix.com/event/4551206/view
  • 募集職種一覧:https://open.talentio.com/r/1/c/commune/homes/4404

会社概要と要点の整理

最後に、本記事で取り上げた主要項目を表形式で整理します。以下の表は今回の発表で示された基本的な事実とスケジュール、連絡先などをまとめたものです。

項目 内容
会社名 コミューン株式会社
代表者 高田 優哉(代表取締役CEO)
本社所在地 〒141-0031 東京都品川区西五反田4‐31‐18 目黒テクノビル2F
設立 2018年5月
調達総額(シリーズC) 総額55億円(第三者割当増資40億円+ベンチャーデット15億円)
第三者割当増資 引受先(既存) ファーストライト・キャピタル(リード)、DNX Ventures(リード)、Z Venture Capital、ジャフコ グループ
第三者割当増資 引受先(新規) 日本グロースキャピタル投資法人(野村スパークス運用)、JPインベストメント、日本郵政キャピタル
ベンチャーデット(借入先) 商工組合中央金庫、SBI新生銀行、静岡銀行、JA三井リース、福岡銀行/Flex Capital(株式会社Fivot)
事業内容(主軸) 「信頼起点経営」を社会実装する事業の展開(コミュニティサクセスプラットフォーム「Commune」等)
実績・数値 累計登録者100万人超、累計声500万件超、MRR前回比600%成長、グローバルMRR前年比490%成長、導入件数前年比190%増
メディア問い合わせ pr@commune.co.jp(担当:石川) ※9/12メディア向け説明会の申込は件名に「9/12メディア向け説明会について」
採用関連イベント オンライン会社説明会:2025年9月24日(水)12:00〜13:00(申込:https://peatix.com/event/4551206/view)
公式サイト communeinc.com/ja(関連リンク:https://commune.co.jp/)

今回の調達は、既存投資家の継続支援と新規投資家の参画、そして複数金融機関によるデットの組み合わせによって成立しており、コミューンは信頼を定量化・可視化して事業インパクトへ転換するための技術開発とサービス体系の構築に資金を集中させる計画です。メディア向け説明会や採用説明会の日程も公表されており、詳細は上記の連絡先・リンクを通じて案内されています。

参考リンク: