万博で体感する紙容器の循環 40万本配布と再生品

紙容器リサイクル体験

開催期間:4月13日〜10月13日

紙容器リサイクル体験
このボトルドウォーターって誰でももらえるの?
北欧パビリオン来場者向けに数量限定で配布される無償のボトルドウォーター。万博会期中(2025年4月〜10月)に配られるが在庫切れや配布不可の日がある。
回収した紙容器はどう再利用されるの?
回収されたアルミ付き紙容器はコアレックス信栄でトイレットペーパーに再生されるほか、テーブルトップ、ペーパーナプキン、再生段ボールなど多用途に実用化され、会場で確認できる。

万博で実感する「使って・回収して・再生する」循環体験

2025年4月から10月にかけて開催されている大阪・関西万博の北欧パビリオンでは、日本テトラパック株式会社が主導する資源循環の体験プログラムが行われている。来場者にはアルミ箔層を含む多層構造の紙容器入りボトルドウォーターが配布され、飲用後はパビリオン内の専用回収ボックスや会場内の3Rステーションに設置された「紙ごみ」専用箱へ投函することで、回収から再資源化までを一連の流れとして体験できる。

配布されたボトルドウォーターは約40万本が予定されており、ロゴを配した3種類のデザインを用意している。配布は北欧パビリオン来場者向けで数量限定のため、配布できない日がある旨も明示されている。こうした実体験を通じて、来場者が日常の小さな行動が持続可能性に結びつくことを身体で理解できることを目指している。

大阪・関西万博 北欧パビリオンで“紙容器の資源循環”を発信 日本テトラパック、リサイクル体験の提供と再生品の可能性拡大へ 画像 2

容器の特性とリサイクルの課題

配布される紙容器は牛乳パックと同様にリサイクル可能な設計であり、内容物を光や酸素から守る高機能な多層構造を採用している。だが現状ではアルミ付き紙容器のリサイクル率は低く、多くが可燃ごみとして焼却されている。

その背景には、地域ごとにリサイクル拠点が十分でないこと、消費者側の認知が広がっていないことがある。万博の取り組みは、こうした構造的な課題に対して消費者の行動と回収インフラの存在を組み合わせることで、実効的な改善を促すことも目的としている。

  • 配布期間: 2025年4月〜10月
  • 配布本数: 約40万本
  • 容器仕様: 北欧パビリオンのロゴを配した3種類のデザイン
  • 回収ボックス設置場所: 北欧パビリオン1Fの出口付近、会場内の3Rステーション「紙ごみ」専用箱
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回収から再生へ:現場で確認できる具体的な循環の仕組み

北欧パビリオン内で回収されたアルミ付き紙容器は、協賛企業であるコアレックス信栄株式会社に引き渡され、トイレットペーパーへと再生されている。再生された製品は万博会場のトイレで実際に使用され、回収された資源が即座に別の生活用品へと生まれ変わる様子が来場者に見える形で示されている。

回収からトイレットペーパーへの再資源化は、単なる理論的説明に留まらず、来場者が自分の行動とその影響を具体的に確認できる点で意義が大きい。回収のフローを目の当たりにすることで、リサイクルのプロセスが日常生活と密接に結びついていることが理解しやすくなる。

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回収物の実用化と可視化

回収した紙容器を原料として実用化された製品は複数ある。会場内ではこれらの再生品が実際に使用され、来場者が手に取れるかたちでリサイクルの成果を確認できる。

トイレットペーパー
回収容器はコアレックス信栄株式会社でトイレットペーパーへ再生され、万博会場のトイレで使用されている。
テーブルトップ
北欧パビリオンのテーブルの天面には再生ボードが使用されている。このボードは紙容器の繊維を固めた板状素材で、耐久性や風合いに優れ、机やディスプレイシェルフなど用途は多岐にわたる。
ペーパーナプキン
紙パックを一部原料にしたオリジナルデザインのペーパーナプキンが特別イベントのノベルティや来客スペース、工場の社員食堂で使用されている。
再生段ボール
ボトルドウォーターの梱包には、アルミ付き紙容器を原料にした再生段ボールが採用されている。関連企業との連携により国内での実用化が進められた。
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取り組みの背景、関係者と今後の位置づけ

日本テトラパックは1951年にスウェーデンで創業し、食品の加工処理機器および紙容器の充填包装システムで世界をリードする企業である。世界160カ国以上で事業を展開し、従業員数は2万4千名を超える。2025年の大阪・関西万博では北欧パビリオンのプラチナスポンサーを務め、持続可能な食品包装や資源循環の取り組みを紹介している。

今回の万博における取り組みでは、企業間連携を通じてアルミ付き紙容器の再生品を多様化することが重視された。具体的には王子ホールディングス、ゴールドパック、日本テトラパックの連携により、再生段ボールの実用化が図られた。また、コアレックス信栄株式会社が回収物をトイレットペーパーへ再生する役割を担っている。

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関係者のコメント

日本テトラパック株式会社 サステナビリティディレクター 大森 悠子のコメントとして、万博を通じて各社との連携により新たなリサイクル品を展示できたことへの謝意と、回収・リサイクルが消費者一人ひとりの行動から始まるというメッセージが紹介されている。大森氏は万博での体験が『Join the sustainable journey. (サステナブルな未来へ、ともに行動しよう)』というテーマに触れる機会となり、日常での意識や行動変化につながることを期待していると述べている。

企業としては、紙容器のリサイクル用途を拡大することで、より多くの紙容器が焼却されることなく多様な再生品にリサイクルされることを目指している。

実施概要と重要事項の整理

万博での取り組みは来場者が自ら回収行動に参加することで資源循環を学ぶ機会を提供している。配布と回収の仕組み、再生品の具体例、関係企業の役割といった要素が一体となって、再資源化のプロセスを可視化している。

以下の表は、本取り組みの主要項目をまとめたものである。要点を整理することで、何が行われているかを短時間で確認できるようにした。

項目 内容
実施主体 日本テトラパック株式会社(代表取締役社長 ニルス・ホウゴー)
実施場所 大阪・関西万博 北欧パビリオン(北欧パビリオン1Fの出口付近に回収ボックス設置、会場内の3Rステーション「紙ごみ」専用箱)
実施期間 2025年4月〜10月(万博開催期間中)
配布物 紙容器入りボトルドウォーター 約40万本、北欧パビリオンロゴ入り3種類のデザイン(数量限定)
回収後の処理 コアレックス信栄株式会社にてトイレットペーパーへ再生、ほか協力企業と連携しテーブルトップ、ペーパーナプキン、再生段ボールなどを実用化
関連企業 コアレックス信栄株式会社、王子ホールディングス、ゴールドパック、日本テトラパック など
参照リンク https://www.tetrapak.com/ja-jp および 特設ページ https://www.tetrapak.com/ja-jp/campaigns/expo2025

以上の取り組みは、回収されたアルミ付き紙容器が実用的な再生製品へと変わるプロセスを来場者が直接確認できる点に特徴がある。配布本数や設置場所、再生用途の具体例などを明示することで、当該プログラムの構成要素を整理した。

参考リンク: