スペースリー、生成AIで家具を自動除去する『AI家具消し』ベータ開始
ベストカレンダー編集部
2025年9月1日 14:31
AI家具消しベータ開始
開催期間:9月1日〜11月30日

居住中の物件写真を「空室」に変える──新機能『AI家具消し』の意図と提供開始日
株式会社スペースリーは、空間データ活用プラットフォーム「スペースリー」において、生成AI技術を用いた新機能「AI家具消し」ベータ版の提供を2025年9月1日 09時00分に開始しました。本機能は、居住中や家具が残った状態で撮影された静止画像からAIが自動で家具を検出・除去し、自然な空室イメージを即座に生成するものです。
この発表の狙いは、退去や片付けを待たずに広告用の空室写真を用意できるようにすることで、媒介獲得や早期売却に向けた営業提案を支援する点にあります。従来は専門ツールや外注が前提だった家具消しを、スペースリーのプラットフォーム上で安価かつリアルタイムに利用可能にすることが特徴です。

機能の背景と目指す効果
不動産仲介事業において、媒介獲得は販売活動の重要な出発点です。媒介契約の成立には提案の質と提示のスピードが不可欠であり、物件写真が第一印象を左右します。しかし、現場ではオーナー居住中や私物が残る状態でしか撮影できないケースが多く、再撮影のタイムラグが発生していました。
スペースリーはこの課題に対して、AIを用いた自動化で対応します。外部依頼や専門スキルを不要にすることで、営業担当者がその場で商談資料や広告用写真を用意できるようにし、媒介提案の段階から空室写真を提示できる点が期待されます。

実務での導入効果と事業者の声
すでに従来の家具消し機能を活用して成果を上げた事業者の事例が公開されています。導入効果はお問い合わせ数や媒介獲得率の改善に直結し、営業の差別化要素になっている点が共通しています。
スペースリーの発表資料では、実運用での具体的な成果が示されており、複数の地域密着型不動産会社が成果を報告しています。ここでは提供資料に基づく2社の事例を取り上げます。
東海住宅株式会社の導入効果(鎌ヶ谷支店長 佐々木様)
東海住宅株式会社(本社:千葉県八千代市)は1971年創業の地域密着型不動産会社で、関東・東北エリアの14店舗でスペースリーを導入しています。同社は居住中物件や動きがない物件に対して家具消しを適用し、リビングを広く見せる工夫などでお問い合わせ数や媒介獲得率を改善しました。
結果として、媒介物件数は従来の約20〜30件から常時50件規模へ増加し、媒介獲得打率は約2倍に向上したと報告されています。導入事例の詳細は同社ケーススタディページで公開されています:
https://info.spacely.co.jp/case/tokaijutaku-vr/
ViVi不動産株式会社の活用(富山県)
ViVi不動産株式会社(本社:富山県富山市)は、居住中物件の写真撮影時に家具消しを併用し、私物や生活感を消した空室イメージを売主に提示することでプライバシー配慮と広告効果の両立を図りました。
さらに商談時に「専任媒介をいただければ家具消し+ホームステージングを無料で提供」と案内することで差別化に成功し、営業担当1名あたり月10件の専任媒介を6ヶ月連続で獲得した事例が報告されています。詳細は以下に掲載されています:
https://info.spacely.co.jp/case/vivirealestate_vr/
AI家具消しの機能詳細とベータ提供条件
スペースリーが提供する「AI家具消し」には、現場の営業担当者が手軽に活用できるための複数の機能が搭載されています。ワンクリックでの処理、後からのマスク編集、超解像による画質向上、クラウド管理対応などがその主な特徴です。
これらの機能は原稿で具体的に以下のように説明されています。処理後の画像はSNSやポータルサイトにそのまま掲載できる高解像度へ変換され、複数回の実行やクラウド保存も可能です。
主な機能の一覧
- ワンクリックで完了:管理画面で画像を選びボタンを押すだけでAIが家具を自動判定・除去。
- 何度でも実行可能:気に入った画像を選んで何度でも処理を実施し、クラウドへ保存可能。
- 後編集(マスク対応):AI判定後に消したくない家具の保持や追加で消したい家具の指定が可能。
- 超解像技術:加工後の画像を鮮明な高解像度に変換し、そのまま掲載可能。
- クラウド連携:加工した画像は他の静止画像と同様にクラウド上で管理。
ベータ版提供期間と利用条件
ベータ版の提供期間は2025年9月〜2025年11月で、提供時間は9:00〜18:00に限定して機能が解放されます。この期間中、有料会員のユーザーは追加料金なしで利用できます。
将来的な拡張機能として、生成した空室画像に家具を配置する「AI家具配置」機能(登録商標)や、ユーザーがインテリアを選んで自由に配置できる機能の提供も予定されています。既にパノラマ画像では3D家具配置を実現しており、静止画領域でも“消す”から“置く”までの一気通貫対応を目指すとしています。
スペースリーの技術基盤と会社概要
「スペースリー」は2016年11月のサービス開始以降、不動産・ハウスメーカーを中心に10,000以上の利用事業者へ提供されているクラウドソフトです。ウェブブラウザで再生可能な高品質パノラマVRコンテンツを制作・編集・管理・活用まで一括して行える点を特徴としています。
技術面では、パノラマ写真を3Dコンテンツに変換する機能や、VRコンテンツ上で家具のシミュレーションやサイズ推定が可能な「AI空間設計」などの技術力が強みです。また、360度空間データや視線データの活用のためのAI x VR研究開発を進めるSpacely Labを運営しています。
会社の基本情報
- 社名
- 株式会社スペースリー
- 代表者
- 代表取締役 森田 博和
- 設立
- 2013年8月
- 資本金
- 7.6億円(資本準備金含む)
- 所在地
- 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-6-2 第2矢木ビル3F
- サービスサイト
- https://spacely.co.jp
- サービス紹介動画
- https://youtu.be/70sOPH9ONII(サービス紹介)/https://youtu.be/rtVFIR64ch8(AI家具消し紹介)
同社は、VRコンテンツやパノラマ写真の編集・管理機能を中核に、バーチャルホームステージングや家具シミュレーションといった付加価値機能を提供しています。今回のAI家具消しはその延長線上に位置づけられる新機能です。
要点の整理
以下の表は、本記事で述べた「AI家具消し」ベータ版の主要情報、提供条件、機能、事例、会社情報を整理したものです。重要な日付や数値、リンクを含めてまとめてあります。
項目 | 内容 |
---|---|
発表日 | 2025年9月1日 09時00分 |
製品名 | AI家具消し(ベータ版) |
主な機能 | ワンクリック自動家具検出・除去、マスク編集、超解像(高解像度化)、クラウド管理、何度でも実行可能 |
ベータ提供期間 | 2025年9月〜2025年11月(機能解放時間:9:00〜18:00) |
料金 | ベータ期間中は有料会員のユーザーは追加料金なしで利用可能 |
今後の予定 | AI家具配置(登録商標)やユーザーがインテリアを選んで配置可能な機能を順次提供予定。パノラマでは既に3D家具配置実装済。 |
導入事例 | 東海住宅:媒介物件数が20〜30件→常時50件規模、媒介獲得打率が約2倍。ViVi不動産:営業1名が月10件の専任媒介を6ヶ月連続獲得。 |
会社情報 | 株式会社スペースリー(代表:森田博和)、設立2013年8月、資本金7.6億円、所在地:東京都渋谷区。サービスサイト:https://spacely.co.jp |
関連リンク |
本記事では、スペースリーが発表した「AI家具消し」ベータ版の提供開始に関する情報を、機能、提供条件、具体的事例、会社情報を含めて整理しました。提供期間や利用条件、導入効果の数値などは発表資料に基づく内容です。今後の機能拡張として家具を配置する機能の商標登録や、静止画領域での「消す」から「置く」までの一貫対応の予定も明示されています。