9月18日開催:てんかんの課題と政策を議論

てんかんセミナー@万博

開催日:9月18日

てんかんセミナー@万博
このセミナーって何するの?
てんかんの診断・治療・支援や社会的スティグマ、政策課題を患者・医療・行政・企業が議論する約2時間のハイブリッド形式セミナーで、最新の臨床や地域連携、政策提言を目的に9月18日13時から開催されます。
どうやって参加すればいいの?費用はかかる?
参加は無料ですが事前登録が必須です。現地は約30名の定員で会場参加は先着制、オンライン配信もあり日本語・英語の同時通訳が提供されます。登録は主催者のイベントページで行えます。

万博ベルギー・パビリオンで開かれる「てんかん」セミナーの狙いと背景

日本医療政策機構(HGPI)は、2025年9月18日(木)13:00から15:00に、2025年大阪・関西万博のベルギー・パビリオン特別会場で、特別セミナー「未来社会に向けたヘルスサイエンスの挑戦:日本と世界のてんかんのこれから」を開催します。本セミナーは、世界で約5,000万人が罹患する神経疾患であるてんかんをテーマに、患者当事者、医療専門家、行政関係者、企業関係者ら多様なステークホルダーが一堂に会し、診断・治療・支援に関する課題と解決策を議論することを目的としています。

てんかんは罹患率が高い一方で、診断や治療へのアクセス不足、社会的スティグマ、情報不足などが依然として大きな問題です。国際的には世界保健機関(WHO)が推進する「Out of the Shadows」キャンペーンや、てんかんを含む神経疾患に関する領域横断的なグローバルアクションプラン(IGAP)に基づき、治療アクセスの改善や人権の保護が進められています。日本国内でも厚生労働省による「てんかん地域診療連携体制整備事業」が推進されていますが、地域格差や財政支援の不足といった課題が残っています。

こうした状況を踏まえ、本セミナーは単なる情報提供の場ではなく、対話を重視した形式で、治療の最前線での取り組み、政策的な整備、地域医療連携、患者の社会的課題の解消に向けた具体的な方策について議論する場と位置付けられています。参加者の間で知見を共有し、現場の課題と政策をつなぐことが目的です。

以下に、セミナーで取り扱われる主要な課題を整理します。

  • トリートメント・ギャップ:適切な診断・治療が受けられない患者の存在
  • 診療アクセスの地域格差:専攻医や専門医の不足、診療ネットワークの未整備
  • 社会的スティグマ:誤解や偏見による差別や孤立
  • 情報不足と啓発の必要性:患者・家族・社会に向けた正確な情報提供

開催概要と参加方法:日時・会場・参加費などの詳細

本セミナーは会場参加とオンライン配信を組み合わせたハイブリッド形式で行われます。会場はベルギー・パビリオン内の特別会場で、現地の定員は約30名規模です。オンライン配信では日本語と英語の同時通訳が提供され、国外からの参加や英語話者にも配慮されています。

開催に関する主要な情報は下記の通りです。参加は無料ですが、事前登録が必要です。会場参加とオンライン参加それぞれで登録が設定されています。詳しい申込や最新情報は主催者の案内ページを参照してください(リンクは記事末に記載)。

項目 内容
日時 2025年9月18日(木)13:00-15:00
形式 現地開催(30名規模)/オンライン配信
会場 2025年大阪・関西万博 ベルギー・パビリオン(特別会場)
言語 日本語/英語(オンライン配信のみ同時通訳あり)
主催 日本医療政策機構(HGPI)
協賛 ユーシービージャパン株式会社、リヴァノヴァ株式会社
協力 国際博覧会ベルギー政府代表委員会
参加費 無料(事前登録制)
登録 イベントページ(会場参加登録、オンライン参加登録)

会場の収容やオンライン配信環境は限定的なため、参加希望者は主催者の案内ページから早めに登録することが推奨されます。オンライン配信では英語同時通訳が提供されるため、国際的な参加者もアクセスしやすい構成となっています。

プログラム構成と登壇者—基調講演、パネルの論点

セッションの流れとタイムテーブル

セミナーは約2時間のプログラムで構成され、冒頭の開会挨拶の後、基調講演、パネルディスカッション、質疑応答を行います。各セッションは専門家と当事者の視点を組み合わせ、臨床、行政、企業、患者の多様な立場から議論を深める設計です。

以下はスケジュールの詳細です。時間は厳密に設定されるため、オンライン参加者は開始時間に合わせてログインすることが推奨されます。

時間 内容
13:00-13:05 開会趣旨説明/関係者挨拶
13:05-13:35 基調講演:川合 謙介(自治医科大学 附属病院長/日本てんかん学会 理事長)
13:40-14:40 パネルディスカッション(パネリスト:小笠原 音弥、川合 謙介、笹渕 美香、大橋 陽平/モデレーター:鈴木 秀)
14:40-15:00 質疑応答

パネルディスカッションでは、臨床的視点、行政運営、企業の支援やエビデンス構築、当事者の経験と社会的課題が交差する議論が想定されます。登壇者はそれぞれの立場から具体的な課題と対応策を示す予定です。

登壇者の略歴と専門性

登壇者は医療現場での豊富な経験と行政・企業の立場からてんかんに関わる複数の専門家・当事者で構成されています。以下に、登壇者の略歴を全文掲載します。

敬称略、順不同で記載します。

川合 謙介(自治医科大学 附属病院長・医学部脳神経外科講座 教授/日本てんかん学会 理事長)

これまで東京都立神経病院、東京大学、NTT東日本関東病院を経て、2016年から自治医科大学でてんかん外科診療や脳機能研究に従事しています。日本てんかん学会理事長として国内のてんかん診療の向上に努め、栃木県のてんかん連携診療拠点である自治医大てんかんセンター長として地域医療の充実を推進しています。

国際抗てんかん連盟アジアオセアニア支部の理事やてんかん外科タスクフォース議長を務め、モンゴル国でのてんかん外科治療体制構築支援など国際協力にも取り組んでいます。

笹渕 美香(長野県 健康福祉部長)

自治医科大学医学部卒業後、僻地勤務などを経てドイツへ大学院留学。その後、2020年に厚生労働省に入省し、放射線健康管理担当参事官室で福島県の県民健康調査への支援等に携わりました。

医政局再生医療等研究推進室や新型コロナウイルス感染症対策推進本部での活動を経て、2023年4月に長野県健康福祉部衛生技監として着任し、2024年4月から現職の長野県健康福祉部長を務めています。

大橋 陽平(ユーシービージャパン株式会社 メディカルアフェアーズ本部 本部長)

慶應義塾大学医学部卒業後に臨床研修を行い、東京大学大学院医学系研究科で博士(医学)を取得しました。東京大学医学部で教育・研究に従事した後、製薬業界に移り、循環器、神経、眼科、免疫・炎症、希少疾患領域でメディカルアフェアーズの業務を推進してきました。

国立病院機構静岡てんかん・神経医療センターの外部研究員や日本学術振興会特別研究員を経て、グロービス経営大学院で経営学修士を取得。PMI認定PMP、日本医師会認定産業医等の資格を有し、2024年にユーシービージャパン株式会社メディカルアフェアーズ本部長に就任しました。

小笠原 音弥(てんかん当事者)

2歳でてんかんを発症。約20年間の服薬治療で発作の抑制が難しかったため、主治医の提案により迷走神経刺激療法を開始しました。治療の経緯を通じて当事者としての視点を持ち、周囲にてんかんを隠して生活する患者の減少や社会的スティグマの解消を目指す活動を続けています。

当事者経験から得た生活上の課題や医療との接点に関する知見は、臨床・行政側の議論において重要な示唆を提供します。

鈴木 秀(日本医療政策機構 シニアアソシエイト)

国立看護大学校で看護師免許を取得後、東京大学大学院で地域看護学分野の修士課程に進み、保健師免許を取得しました。静岡県で保健師として精神保健福祉分野や精神科救急医療体制の整備、高次脳機能障害の対応に従事しました。

保健所職員として災害対策や新型コロナウイルス感染症対応でも現場経験があり、本セミナーではモデレーターとして多様な視点をつなぐ役割を担います。

政策的意義とセミナーで期待される議論の方向性

本セミナーは、てんかんに関する医療提供体制の改善や地域連携の強化、社会的スティグマへの対策、情報発信のあり方など、複数の政策課題を同時に扱います。臨床現場での治療法や医療資源の配分、行政の支援制度、企業のエビデンス構築支援、当事者の声を政策に反映する手法などが主要な論点になります。

社会全体としててんかんへの理解を深め、適切な診療と支援が受けられる仕組みを作るためには、医療現場、行政、企業、そして当事者コミュニティの連携が不可欠です。本セミナーでは、実務的な連携モデルや成功事例、今後の課題とその克服方法について具体的な議論が期待されます。

  • 医療アクセス改善に向けた地域診療連携の実効化
  • 診療・治療の経済的・制度的支援の在り方
  • 当事者の生活支援と雇用・教育の場での理解促進
  • 国際的な活動と国内政策の連動(WHOの取り組みやIGAPとの整合)

また、HGPI(日本医療政策機構)は非営利・独立の医療政策シンクタンクとして、市民主体の医療政策の実現を目指しており、本セミナーはその活動の一環として、政策提言と具体的な連携の形成に資する場となる設計です。HGPIの詳細は公式サイトで確認できます:https://hgpi.org/

セミナー概要の要点整理

以下の表は、本記事で紹介したイベントの主要情報を一目で確認できるように整理したものです。日時、場所、参加方法、主要登壇者、主催・協賛など重要項目をまとめています。

項目 内容
イベント名 未来社会に向けたヘルスサイエンスの挑戦:日本と世界のてんかんのこれから(ベルギー・パビリオン特別セミナー)
主催 日本医療政策機構(HGPI)
日時 2025年9月18日(木)13:00-15:00
会場 2025年大阪・関西万博 ベルギー・パビリオン(現地30名規模)
形式 現地開催/オンライン配信(日本語・英語同時通訳:オンラインのみ)
参加費 無料(事前登録制)
協賛 ユーシービージャパン株式会社、リヴァノヴァ株式会社
協力 国際博覧会ベルギー政府代表委員会
主な登壇者 川合 謙介、笹渕 美香、大橋 陽平、小笠原 音弥、モデレーター:鈴木 秀
登録/詳細 https://hgpi.org/events/mh-20250918.html

この記事では、セミナーの目的、背景、開催概要、プログラムと登壇者、そして政策的意義を整理しました。てんかんを巡る課題は医療面のみならず社会的側面も大きく関与しており、本セミナーは多様な立場からの対話を通じて具体的な改善策を検討する場として位置付けられています。参加を検討する際は主催者の案内ページで最新の情報を確認してください。

参考リンク: