Sigenergyの20MWh蓄電所がブルガリア南部で稼働
ベストカレンダー編集部
2025年8月31日 21:59
ブルガリア20MWh稼働
開催日:8月31日

ブルガリア南部・山岳地帯で稼働した20MWhプロジェクトの全容
2025年8月31日、Sigenergy Japan株式会社の発表によれば、Sigenergyはブルガリアの再生可能エネルギー企業Trakia MTと連携し、ブルガリア南部のMalko Tarnovo町において20MWhの地上型太陽光発電・蓄電プロジェクトの建設を完了し、稼働を開始しました。プロジェクトはブルガリアとトルコの国境にまたがる山岳地帯に位置しており、地域の地理的条件と電力需要に合わせた設計が行われています。
このプロジェクトは、蓄電池併設型太陽光発電システムの稼働を通じて、山間地域におけるクリーン電力の安定供給を実現すると同時に、地域のエネルギー自立と安全な電力利用に向けた基盤構築に寄与するものです。ブルガリアは「バラの国」と呼ばれ、気候中立とエネルギー自立を掲げる中で、太陽光と蓄電の融合が重要な技術路線となっています。

プロジェクトの位置と意義
設置場所はMalko Tarnovo町で、山岳地帯ならではの気候・地形条件下での安定運用が課題となる環境です。こうした地域での電力供給は、従来の送電網依存だけでは脆弱になりがちであり、局所的な発電と蓄電の組合せは地域のエネルギー安全保障を高める手段として評価されます。
本プロジェクトは、地域の電力網の変動に対応しつつ、再生可能エネルギーの利用効率を高めるための具体的な実装例となります。ヨーロッパ地域における再現可能なモデルを提示する点でも重要です。

短期間での設置完了と現場の施工手法
特徴的なのは、わずか5人のチームで施工が行われた点です。機器設置は10日間で全て終了し、その後2日間で配線とシステム調整を完了。運転開始当日には20分以内に20MWhの系統連系を完了しました。
このスピードを可能にした要因として、Sigenergyのモジュール化設計とプラグイン式の接続構造があります。クレーンや大型施工機器を必要とせず、軽機械や手作業で搬入・設置が可能なことから、現場負担を大幅に低減しました。

SigenStackの採用と設置手順
本プロジェクトでは、110kW/240kWh SigenStack蓄電システム90セットが使用され、合計蓄電容量は20MWhに達します。SigenStackはモジュール化かつスタック型構造で、プラグイン端子により複雑な配線や吊り上げ作業を不要にしています。
Trakia MTの創業者兼CEOのGalina氏は、「Sigenergyの蓄電設備を初めて導入しましたが、非常にスムーズでした。設置チームは短期間で作業を完了しました。クレーンも不要で、複雑な基礎工事も不要。まるでブロックを積み上げるように簡単でした。」と述べています。また「SigenStackの構造は施工チームにとって非常に容易で、その設置方法や施工手順は未経験の作業員でも瞬く間に習得できます。」と評価しました。

システム構成、制御機能、運用面での利点
Sigenergyの産業用エネルギーシステムは、太陽光+蓄電、太陽光単独、蓄電単独、オフグリッドなど複数の運転モードに対応しています。新設案件はもちろん、後付けの改修にも柔軟に適用可能であり、導入の汎用性が高い点が特徴です。
また、独自開発のEMS(エネルギー管理システム)とBMS(バッテリーマネジメントシステム)を内蔵しており、外部データ収集器を必要としません。これにより設置工程が大幅に簡略化され、従来の通信遅延や機器間調整の複雑さを解消します。

通信・並列運転性能とリアルタイム制御
同社が構築した全ネットワーク型の通信構造は、最大2000台の機器が1秒以内に同時応答可能であり、最大100台以上の機器を並列運転できるとしています。全ユーザーデータを10秒以内にリアルタイム更新できる機能により、システムの状態を常時スマートに制御できます。
ダイナミック電力価格制度が適用されるブルガリア市場においては、昼の発電ピークと朝夕の価格ピークの時間差を埋めるために蓄電が経済的価値を持ちます。本プロジェクトでは昼間に発電した電力を充電し、電力価格が高い時間帯に放電・売電することで収益性を向上させる運用を行っています。
- 並列運転
- 最大100台以上を並列運転可能(設置簡略化と高い拡張性)
- 大規模応答
- 最大2000台を1秒以内で同時応答(ネットワーク型通信構造)
- データ更新
- 全ユーザーデータを10秒以内にリアルタイム更新
安全設計とメンテナンス方針、地域への効果
地上型の大規模蓄電所において安全性は最重要事項です。Sigenergyの産業用蓄電システムは、6重の安全保護機能を標準装備しています。これにより熱暴走検知や火災抑制を秒単位で行い、従来システムよりも安全応答速度を大幅に向上させています。
また、IP66の防塵防水性能やクラウドプラットフォームによるリアルタイム監視により、無人管理・24時間効率運用を可能とし、現場巡回の頻度や人的コストを削減する設計になっています。
具体的な安全機能と保守性
以下の6重安全保護が標準装備です:
- 内蔵消火モジュール
- 全方位温度センサー
- 高耐熱断熱パッド
- 煙感知器
- 圧力解放弁
- 絶縁断熱層
加えて、12kWhごとに独立した防火装置を配置しており、パック単位での局所対応を可能とすることでシステム全体への影響を最小化しています。Sigenergy側の説明では、火災抑制能力は従来システムよりも60秒以上速く応答し、コンテナ型蓄電システムで見られるような反応遅延や隔離不足による被害拡大を回避できるとしています。
モジュール化構造により、部分的な故障が発生しても12kWh単位で問題箇所を特定・分離できるため、専門スタッフを必要とせず現場でのモジュール交換のみで復旧が可能です。交換作業は2時間以内で完了する設計とされ、従来のコンテナシステムで発生し得る長期停止や大容量影響(例:5MWhが影響し修理に48時間以上かかるケース)に対して優位性があります。
経済性と地域インパクト
ダイナミック価格制度下での蓄電は、単に電力網安定化に寄与するだけでなく、収益性を高める運用が可能です。市場価格の変動に合わせた精密な充放電制御やマーケットのリアルタイム指令に対する高速応答が、エネルギー利用効率と収益性の最大化に直接結びつきます。
Trakia MTは本プロジェクトを受け、Sigenergyと新たに20MWhの蓄電プロジェクト契約を締結しました。これは地域の再生可能エネルギー展開を加速させる意図を示すものであり、地域のエネルギー構造のアップグレードを目指す取り組みの継続を意味します。
今回の記事の要点まとめ
以下に本記事で取り上げたプロジェクトの主要情報を表形式で整理します。表は導入規模、構成機器、施工実績、安全機能、運用上のポイントなどを網羅しています。
項目 | 内容 |
---|---|
プロジェクト名(報道ベース) | ブルガリアMalko Tarnovo地上型 太陽光+蓄電プロジェクト |
発表日 | 2025年8月31日 |
参加企業 | Sigenergy(Sigenergy Japan株式会社)・Trakia MT |
設置場所 | ブルガリア南部 Malko Tarnovo町(ブルガリア・トルコ国境付近の山岳地帯) |
総蓄電容量 | 20MWh(110kW/240kWh SigenStack 90セット) |
設置期間・人員 | 5人チームで機器設置10日、配線・調整2日、系統連系は運転開始当日20分以内 |
運転モード | 太陽光+蓄電、太陽光単独、蓄電単独、オフグリッドなど複数対応 |
制御・通信 | EMS/BMS内蔵・外部データ収集器不要、最大100台以上並列、最大2000台を1秒以内に同時応答、データ更新10秒以内 |
安全機能 | 内蔵消火モジュール、全方位温度センサー、高耐熱断熱パッド、煙感知器、圧力解放弁、絶縁断熱層、12kWh毎の独立防火装置 |
耐候性・保守 | IP66防塵防水、クラウド監視による無人管理・24時間運用、モジュール交換で2時間以内復旧可能 |
経済的効果 | ダイナミック価格に対する充放電による収益向上、電力網のピーク削減と柔軟性向上 |
今後の展開 | Trakia MTと新たに20MWhの蓄電プロジェクト契約を締結し、展開を加速 |
関連カテゴリ・キーワード | 電気・ガス・資源・エネルギー、環境・エコ・リサイクル、バラの国、ブルガリア、太陽光、蓄電、効率、収益、安全、併設 |
以上が今回のプレスリリースに基づく事実の整理です。SigenergyとTrakia MTの協業は、モジュール化・スマート化された蓄電池併設型太陽光発電技術の現実的な実装例を示しており、地域の電力インフラにおける安全性、運用効率、経済性の向上に直結する内容となっています。ダウンロード可能なプレスリリース素材や画像ファイルの存在も報告に含まれており、関係者は該当資料を参照できます。