WACTOR、契約違反で4件勝訴 賠償総額は1,000万円超
ベストカレンダー編集部
2025年8月31日 05:42
WACTORが4件勝訴
開催日:8月30日

WACTORが国内外で4件の契約違反訴訟に勝訴 — 判決と支払命令の内容
VTuber事務所でありVTuberマーケティング事業を展開する株式会社WACTOR(代表取締役:大石昂)は、過去に所属していた者による重大な契約違反を理由として提起していた損害賠償請求訴訟において、国内外合わせて4件の勝訴判決を得たと、2025年8月30日23時54分付のリリースで公表した。
同社は2018年創業で累計フォロワー数200万人、総視聴回数6,000万回といった実績を有し、TikTok LIVEやニコニコ動画など複数配信プラットフォームと直接契約を結ぶ体制をもつ。今回の判決は、契約違反者に対してWACTORへの損害賠償支払いを命じる内容で、4件合計の賠償金は1,000万円を超えるという。

判決の概略と会社発表日
WACTORが公表したリリースは2025年8月30日付で、同社コーポレートサイトにも関連記事が掲載されている(https://wactor.tech/news/trials-win/)。リリースは裁判の勝訴事実、判決の個別概要、及び関連サービスや今後の対応について説明している。
会社は、これらの勝訴判決を判例として活用し、同様の契約違反事案に対する追加訴訟の準備を進める意向を示している。また、契約違反による風評被害を受けたが関係各所の理解と協力により事業を継続・成長させてきた旨を表明している。

4件の訴訟判決の詳細 — 国内2件・海外2件の経緯と裁判所判断
公表された判決は、国内での男性ライバー、女性ライバー各1件、及びスペインとパラグアイの海外在住者に対する判決各1件の合計4件である。各判決の要点は以下の通りである。
それぞれの訴訟は国内外の弁護士を代理人に立てて対応され、海外事案については現地弁護士事務所によるスペイン語での対応を経て勝訴に至っている。海外判決については日本と同様に財産差押えなどの強制執行が可能である旨がリリースで明示されている。

判決①:国内(男性ライバー) — 令和6年(ワ)第18258号
事件番号は令和6年(ワ)第18258号。裁判所はWACTORの主張を認め、被告の敗訴を宣告した。リリースでは、被告が敗訴の事実を隠ぺいし、投資家に対して出資を募る某YouTube番組に出演しているとの通報があることを記載している。
WACTORはこの点を踏まえ、関係者への報告を予定していると表明している。被告の行為は事務所の信用に対する影響が大きく、裁判上の判断が下されたことで損害賠償が確定した。

判決②:国内(女性ライバー) — 令和6年(ワ)第21241号
事件番号は令和6年(ワ)第21241号。特徴的なのは、この被告が判決①の被告と同一住所であることが判明した点である。被告はWACTORに対して虚偽のセクハラ被害を主張したが、裁判所はこれを認めず敗訴となった。
リリースでは、原則として当該被告とWACTORスタッフの対面機会は採用面接、企業案件収録の引率、事務所内オフコラボの計3回のみであり、主張されたいわゆる継続的関係や被害の立証が認められなかったことが示されている。

判決③:スペイン在住(女性ライバー) — スペイン現地対応
スペインの現地弁護士事務所を代理人に立て、スペイン語での裁判対応を経て勝訴した事案である。WACTORはこの判決について、日本と同様に現地での財産差押え等の強制執行が可能である旨を明記している。
海外での訴訟対応は言語や法制度の違いが障壁となるが、現地弁護士と連携することで実効性ある判決を得られた点がリリースで強調されている。

判決④:パラグアイ在住(女性ライバー) — パラグアイ現地対応と執行検討
パラグアイの現地弁護士事務所を代理人とした事案でも勝訴した。最初に代理した弁護士事務所は、被告を支持する過激派ファンからの「銃などの凶器を用意するメッセージ動画」による殺害予告の脅迫を受けて辞任したが、その後に後任弁護士事務所を見つけることで無事に勝訴判決まで至った。
さらにこの被告については「日本に移住している可能性がある」との通報があり、適切なビザでの滞在か、納税がなされているかなどの確認のため関係各所への通報や、日本国内での強制執行権を得るために同様の訴訟を日本で提起する方向で検討している旨が記載されている。

WACTORの事業概要と今回の判決を巡るコミュニケーション体制
WACTORはVTuber事務所運営と同時に、VTuberマーケティングに特化した広告代理店業務、グッズ製造OEMサービス、オンラインくじサービスなど複数の事業を展開している。リリースでは、これまでの継続的な取引先拡大や所属ライバーの増員によって事業拡大を実現してきた点を示し、今回の訴訟対応が事業の正当性を裏付ける一部であると述べている。
また、メディア関係者や他のVTuber事務所向けに、無償対応の窓口を設けると明記している。取材希望のメディア、契約違反者への対処やライバー保護に悩む事務所、海外ライバーのマネジメントに関する相談を対象としている。
- 無償対応対象:本件取材を希望するメディア関係者
- 無償対応対象:契約違反者による被害に悩むVTuber事務所関係者
- 無償対応対象:海外ライバーマネジメントに関する相談を希望する事務所
問い合わせ先や詳細はWACTORコーポレートサイト(https://wactor.tech/)に案内されている。リリースは会社の公式見解として、今後違反者の違反行為の詳細や続報を適切な形で発信するとしている。
WACTORは、訴訟対応にあたり国内外の弁護士を活用し、法的な強制執行を見据えた手続きを進めている点を示している。これにより、判決後の実効性確保に向けた準備が進められていることが報告されている。

FAPON(オンラインくじ)・WACTORY(OEM)・オーディションなどその他事業の現状
WACTORは今回の裁判関連の発表に加えて、自社のサービスや事業連携の情報も併せて公表している。代表的なサービスとしてはオンラインくじ『FAPON(ファポン)』、グッズ製造OEMサービス『WACTORY』、および複数の新人VTuberオーディションの常時開催が挙げられる。
FAPONは「ハズレなし限定グッズのオンラインカプセルサプライズサービス」で、スマートフォンやPCから遊べる形式。ユーザーは無料会員登録後、応援するインフルエンサーや人気IPのプレイ台を選択し、支払いを行ってくじを回すことで限定グッズを獲得する。賞品の発送は期間終了後2〜3か月後を予定している。
- FAPONサービスページ
- https://fapon.club/
- WACTORコーポレートサイト
- https://wactor.tech/
- 所属事務所(910inc)サイト
- https://910.inc
WACTORは広告代理店としても活動しており、VTuberキャスティング、タイアップ用の書き下ろしイラスト、グッズ制作をワンストップで提供する体制を整えている。大手企業との取引実績としてDMM.com、TikTok(一次代理店)、日本テレビ・ClaN、SEGAとの連携や包括契約等が紹介されている。
また、3Dモデル化の実績が10体以上あり、3Dライブを目指すVTuberにも対応可能な制作体制を持つこと、及び配信売上100%還元を実現する910incの取り組みもあわせて提示されている。複数の外部リンクや過去のニュースリリースも列挙され、サービスの広がりが示されている。

記事まとめ(判決・事業・連絡先を一覧化)
ここまでに示した判決の結果、各事件の特徴、WACTORの事業内容、関連サービスや問い合わせ先をまとめる。
以下の表は、本記事で扱った主要な情報を整理したものである。
項目 | 内容 |
---|---|
発表日 | 2025年8月30日 23:54(株式会社WACTORリリース) |
発表主体 | 株式会社WACTOR(代表取締役:大石昂) |
創業年・実績 | 2018年創業、累計フォロワー数200万人、総視聴回数6,000万回 |
裁判件数と結果 | 4件提起・4件勝訴(国内2件、海外2件) |
賠償金合計 | 合計で1,000万円を超える損害賠償金(リリース記載) |
主な判決詳細 |
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無償対応の案内 | 本件取材希望のメディア、契約違反や海外マネジメントに悩む事務所等への無償相談対応を案内 |
主要サービス | オンラインくじ『FAPON』、グッズOEM『WACTORY』、VTuber/配信者オーディション(910inc) |
関連リンク |
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今回の発表は、契約違反に対する法的手続きの帰結およびWACTORが手がける複数の事業ラインを併せて提示したものとなる。判決結果は損害賠償の支払い命令という法的確定を伴っており、WACTORはこれを足がかりに同様の事案への対応を続けていく姿勢を示している。詳細や取材希望、サービス連携に関する問い合わせは上記の各サイトを通じて案内されている。
参考リンク: