ジェイフロンティア、SOKUYAKUでビットコイン決済を検証
ベストカレンダー編集部
2025年8月28日 14:11
ビットコイン決済導入検証
開催期間:8月28日〜10月31日

国境を越える医療サービスに向けた決済の選択肢としてのビットコイン導入
ジェイフロンティア株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長執行役員 中村 篤弘)は、2025年8月28日付の発表で、オンライン診療・服薬指導アプリ「SOKUYAKU(ソクヤク)」を含む各種サービスにおいて、ビットコイン(Bitcoin, BTC)決済への対応を進めることを明らかにしました。これは、外国人利用者や医療ツーリズムの増加、海外展開を見据えたもので、国際的な利便性を高めることを目的としています。
この取り組みは、当社の子会社である株式会社イーエックス・パートナーズ(以下、ExP社)を通じて準備資産としてのビットコイン保有および暗号資産のマイニング事業開始を行うことを含みます。発表は2025年8月28日9:00に行われ、当該施策は10月までの試験的検証を経て本格導入の可否を判断する方針が示されています。
導入の背景:医療ツーリズムと越境決済が抱える課題
世界全体の治療・診断を目的とした医療渡航市場は約2,000万人規模と推定され、日本でも成長が期待されています。日本の医療ツーリズム市場は2024年時点で約49億ドル(約7,253億円)、年平均成長率約22%と推定され、2029年には約132.5億ドル(約1兆9,612億円)規模へ拡大する見通しです。
こうした需要拡大の背景には日本の高品質な医療サービスへの国際的評価があります。外務省が発給する「医療滞在ビザ」は2015年の946件から2019年に1,653件へ増加し、パンデミック後の2024年には1,603件まで回復しています。これらの数字は、日本への医療目的渡航需要が再び高まっていることを示します。
越境決済における現行の課題
現行の越境決済手段では、高額な国際送金手数料、送金の遅延、為替変動リスクなどが依然として存在します。特に医療のように費用が大きく、決済の迅速性と確実性が求められる領域では、これらの課題が利用障壁となります。
一方で、近年は外国人労働者の増加も顕著です。厚生労働省によれば、2024年10月末時点の外国人労働者数は約230万人(前年比約19万人増)で過去最高を更新しており、支払い手段の多様化ニーズが高まっています。
何を行うのか:具体的な導入計画と資産・設備の運用
発表では、具体的に以下の取り組みが示されています。まず、暗号資産の購入としてビットコインを合計1億円分購入する予定で、購入期間は2025年8月~2025年9月と明示されています。購入したビットコインは、SOKUYAKUを中心としたアプリへの決済機能の導入検証に活用されます。
加えて、暗号資産のマイニング事業を開始します。初期投資額は1,000万円(マイニング機器の購入)で、開始予定時期は2025年9月です。最新鋭のマイニング機器導入により高いハッシュレートと電力効率を実現し、競争優位性の確保を目指すとしています。
運用体制と環境配慮
マイニング機器の稼働には大量の電力が必要となるため、電力の調達にあたっては再生可能エネルギーの電力会社との連携も視野に入れ、環境に配慮したマイニング運営体制を構築することでESGへの取り組みを強化する方針です。
また、運用場所は国内の電力コストが低い地域にあるデータセンターとの提携も検討し、運用コスト最適化と収益性の最大化を図ると明記されています。これらはExP社を通じた取り組みとして進められます。
導入による優位性と技術的意義
発表はビットコイン導入による主な優位性を三点挙げています。①国際ユーザーの利便性向上、②ブロックチェーン技術の応用による医療の透明性・効率性向上、③先進的なブランドイメージの確立です。各項目は以下の通り具体的に説明されています。
①については、クレジットカードが普及していない地域や為替手数料の高い国からでも、即時かつ低コストでの支払いが可能となり、地理的・経済的制約を超えて海外ユーザーがオンライン診療を利用しやすくなる点を強調しています。
- 即時決済による待ち時間短縮
- 為替手数料の削減
- 銀行口座やカードがないユーザーの利用機会拡大
②については、ビットコインの基盤技術であるブロックチェーンを活用し、将来的には処方箋や診療記録とブロックチェーンを紐づけることで、自動処理や真正性の可視化を実現するとしており、医療サービスの透明性と効率性向上につなげる計画です。
③では、暗号資産決済への対応が競合との差別化要素となり、新市場での信頼獲得や先進的なブランドイメージの確立につながると説明しています。法人によるBTC保有が増加している世界的潮流を踏まえた戦略的判断です。
グローバルな潮流と統計
報告では、世界の暗号資産保有者数は2024年時点で約5億6,000万人に達し、そのうち約65%が暗号資産による支払いに前向きであることを示す調査結果を引用しています。さらに、2025年には米国で暗号資産を国家戦略に位置づける動きがあり、企業によるビットコイン保有量は2024年から2025年にかけて23%増加、4~6月だけで159,107BTCが新たに取得されたとする数値も挙げています。
これらの数値は、法定通貨の変動リスクをヘッジ目的に暗号資産を保有する動きや、企業財務戦略におけるビットコインの重要性の高まりを示しています。
会社情報と導入スケジュールの整理
本件を発表したジェイフロンティア株式会社の基本情報は次の通りです。会社名:ジェイフロンティア株式会社(東証グロース 証券コード:2934)、設立:2008年6月、代表者:代表取締役社長執行役員 中村 篤弘、本社所在地:〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町9-8 KN渋谷3 4階、資本金:564百万円(2025年5月末時点)、URL:https://jfrontier.jp/。
導入に関する具体的なスケジュールと数値は以下のとおりです。暗号資産購入はビットコインを対象に購入金額1億円、購入期間は2025年8月~2025年9月。マイニングは初期投資1,000万円で開始予定は2025年9月となっています。
- 暗号資産購入
- 対象:ビットコイン、金額:1億円、期間:2025年8月~2025年9月
- マイニング事業
- 初期投資額:1,000万円(マイニング機器購入)、開始予定:2025年9月、運用は再生可能エネルギーや電力コスト低減を目指すデータセンター提携を検討
付記として、発表書内の脚注では次の用語解説が示されています。BTCはビットコインのティッカーシンボル(通貨コード)であり、株式市場の証券コードのように広く用いられること、またハッシュレートはマイニング機器やネットワークが1秒間に処理できる計算(ハッシュ)の回数を示す指標で、数値が高いほど処理能力が大きくマイニングの競争力やネットワークの安全性を示す重要な指標であると説明されています。
項目 | 内容 |
---|---|
発表日 | 2025年8月28日 09時00分 |
対象サービス | オンライン診療・服薬指導アプリ「SOKUYAKU」ほか各種サービス |
暗号資産購入 | ビットコイン(BTC)合計1億円、購入期間:2025年8月~9月 |
マイニング | 初期投資1,000万円、開始予定:2025年9月、再生可能エネルギーや低電力コスト地域のデータセンター提携を検討 |
目的 | 越境医療における決済利便性向上、ブロックチェーンによる医療データの透明性向上、ブランド強化 |
会社情報 | ジェイフロンティア株式会社(東証グロース 2934)、設立:2008年6月、資本金:564百万円(2025年5月末) |
上記表は本発表に記載された主要な数値とスケジュールを整理したものです。ジェイフロンティアは、SOKUYAKUを含むサービスにおいて、試験的検証を通じてビットコイン決済の実現性を評価し、導入が実装された場合は継続的な購入検討なども視野に入れながら、国際的な利便性向上を図る方針を示しています。