HelpfeelがシリーズEで26億円調達、AIナレッジ展開へ
ベストカレンダー編集部
2025年8月27日 16:07
Helpfeelが26億円調達
開催日:8月27日

シリーズEファーストクローズで26億円、累計調達59億円に到達
株式会社Helpfeelは、2025年8月27日12時に発表したプレスリリースにおいて、第三者割当増資によるシリーズEラウンドのファーストクローズで総額26億円の資金調達を実施したと公表しました。今回の調達により累計調達額は59億円になります。発表当日の公表内容には、出資者や資金使途、今後のプロダクト展開に関する具体的な計画が含まれています。
出資を行った主な投資家は、グローバル・ブレイン株式会社、SMBCベンチャーキャピタル・マネジメント株式会社、およびJPインベストメント株式会社です。なお、SMBCベンチャーキャピタル・マネジメント株式会社とグローバル・ブレイン株式会社を共同運営者とするファンドとしての表記は「SMBC-GBグロース1号投資事業有限責任組合」、JPインベストメント株式会社の子会社と三井住友トラスト・インベストメント株式会社を共同運営者とするファンドは「JPSグロース・インベストメント投資事業有限責任組合」として明記されています。

投資スキームと公式情報
発表資料はPR Timesに掲載されており、詳細はプレスリリースのリンク(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000410.000027275.html)で確認できます。Helpfeelの本社は京都府京都市にあり、代表取締役/CEOは洛西 一周氏です。
今回の資金調達は、Helpfeelが提供する「AIナレッジデータプラットフォーム」の本格展開を目的とし、複数サービスの開発推進と企業の知識活用の高度化に資金を投下する計画です。

企業ナレッジ整備の現状とHelpfeelの位置づけ
生成AIや大規模言語モデル(LLM)の普及により、AIの社会実装は急速に進んでいますが、AIの判断根拠となる「ナレッジデータ」の整備は見落とされがちです。Helpfeelは、この領域を企業情報インフラとして位置づけ、AIが参照するための正確で構造化されたナレッジの整備を重視しています。
プレスリリースでは、日本企業のナレッジ整備が欧米に比べて遅れているという指摘を示し、出典として総務省「令和7年版情報通信白書」および野村総合研究所「日本企業のIT活用とデジタル化 – IT活用実態調査の最新結果から – 2025」が参照されています。こうした背景により、ナレッジデータ整備は企業の情報戦略上、重要性を増しています。

Helpfeelの実績と顧客基盤
Helpfeelはこれまでに700を超えるサイト(2025年8月1日時点)に導入され、契約の45%が上場企業(グループ含む)によるものと報告されています。FAQやナレッジ共有ツールを通じて多様な業種でのナレッジ活用の知見を蓄積してきた点が、同社の強みとして挙げられます。
こうした実績を基礎に、HelpfeelはナレッジをAIの判断根拠とするための「AIナレッジデータプラットフォーム」の構築を推進しています。
- ナレッジデータは企業の情報インフラ:AIが何を根拠に答えを導くかを明確化するための基盤。
- 整備が遅れている現状:欧米とのギャップが指摘されており、構造化したナレッジ作りは未対応の企業が多い。
- AIO/GEOの重要性:従来のSEOに代わり、AIが情報をどのように認識するかを最適化する考え方が必要。

資金の使途とサービス展開—プロダクト戦略の具体像
Helpfeelは調達資金を、AIの精度と信頼性を高めるための「AIナレッジデータプラットフォーム」の本格展開と複数サービスの開発・提供に充てると明記しています。対象領域は公開Webサイト、コールセンター、社内利用など多岐にわたり、企業内外の情報資産を構造化してAIが参照しやすい形に整備することが主眼です。
同社はAIが「迷わず、正しく、速く」情報にたどり着くことを重視し、その結果として生産性改善やマーケティング成果向上を目指します。AI最適化の考え方としてAIO(AI Optimization)やGEO(Generative Engine Optimization)を掲げ、AIに情報をどのように認識させるかに重点を置く点が特徴です。

プロダクトと技術・運用の両輪
Helpfeelは技術とメソドロジーを融合させる方針を取っており、技術面ではテクニカルフェローに慶應義塾大学名誉教授の増井氏をはじめ、経済産業省「未踏IT人材発掘・育成事業」に選出された実績を持つ研究者・エンジニアが参加しています。自然言語処理(NLP)、ナレッジグラフ、生成AIなどの先端領域でのアルゴリズム開発を継続している点が強調されています。
運用面では、情報が顧客に届くまでのプロセスを設計する「ナレッジジャーニー」を軸に、ツール導入にとどまらない運用体制の構築まで伴走するサービスを提供することが明示されています。
製品名 | 概要 |
---|---|
Helpfeel(AIナレッジプラットフォーム) | 企業のナレッジを構造化し、AIが参照できる基盤を提供するプラットフォーム。 |
Helpfeel Cosense(ナレッジベース) | AIを育てるためのナレッジベース。顧客接点インサイトの収集・分析・ナレッジ化を支援。 |
Gyazo(画像・動画を記憶するAI) | 画像や動画を記憶し、情報活用を支援するプロダクト。 |
さらに、2025年中に独自AIエージェントを含む3つのサービスを提供開始する計画が示されています。これにより、ビジネス現場でのAI活用が一層推進される見込みです。

海外展開と市場戦略
中長期的な戦略として、AI運用の質が重視される海外市場の需要を取り込み、北米市場を皮切りに海外展開を進める方針が示されています。日本発のグローバルAIナレッジカンパニーを目指すという明確なビジョンが掲げられています。
国内での導入実績と技術的優位性を基盤に、グローバルな競争力の確立を図る計画です。

投資家・経営陣の声、採用・イベント情報、会社概要
発表資料には投資家コメントやCEOコメントが掲載されています。投資家側からはHelpfeelのフェーズとプロダクトに対する期待が示され、経営陣からはナレッジが企業の競争力になるという視点が繰り返し述べられています。
採用強化の一環として、Helpfeelは採用イベントを開催すると発表しました。イベント詳細と採用情報、会社概要もプレスリリースに含まれています。

投資家からのコメント(抜粋)
- グローバル・ブレイン株式会社 Partner 細村 拓也氏
- HelpfeelがFAQ検索SaaSとして築いてきた地位を基に、ナレッジデータと生成AIを駆使して新たな市場に挑戦する点を評価。顧客体験と業務効率化の同時向上を目指す取り組みを支援する意向を示しています。
- JPインベストメント株式会社 プリンシパル 郭 夏氏
- 検索型FAQから成長を遂げ、AIを活用した顧客体験の変革を牽引する企業へ進化しようとしている点に共感。経営陣のビジョンと卓越したプロダクト開発力を理由に投資したことを述べています。

代表取締役/CEO 洛西 一周氏のコメント(抜粋)
洛西氏は、ナレッジを企業の競争力に位置づける考えを示し、Helpfeelの提供するプラットフォームを「AIが迷うことなく、常に正しい答えを導き出すための土台」と表現しています。今回の資金調達で開発体制を強化し、日本企業のAI活用を促進するとともに海外展開を加速する意向を示しています。
同氏はHelpfeelが「ナレッジを創り、整え、高める」ことを通じてAI時代の情報インフラを構築し、日本発の競争力を世界へ届ける考えを述べています。
採用・イベント情報
Helpfeelは採用活動を加速させるためのイベントを以下の日程で開催します。プロダクトエンジニア向けの内容で、toCとtoBの違いに焦点を当てた議論が行われる予定です。
- イベント名:虎の穴ラボ×SmartHR×Helpfeel プロダクトエンジニアの仕事
- 日時:2025年9月25日(木)19:30〜22:00
- 開催方法:会場およびオンラインのハイブリッド開催
- 会場:Helpfeel東京オフィス(東京都中央区八丁堀2-14-1 住友不動産八重洲通ビル4階)
- 参加申し込み:https://nota.connpass.com/event/366420/
また、Helpfeelはプロダクトエンジニア、バックエンドエンジニア、フィールドセールス、インサイドセールス、カスタマーサクセスなど多様な職種で採用を進めています。採用情報はhttps://helpfeel.com/recruit に掲載されています。
会社概要(主要情報)
- 会社名
- 株式会社Helpfeel
- 創業
- 2007年12月21日(日本法人設立:2020年12月4日)
- 代表者
- 代表取締役/CEO 洛西 一周
- 京都オフィス
- 〒602-0023 京都市上京区御所八幡町110−16 かわもとビル5階
- 東京オフィス
- 〒104-0032 東京都中央区八丁堀2-14-1 住友不動産八重洲通ビル4階
- 事業内容・URL
- AIの力で顧客接点のインサイトデータを収集・分析・ナレッジ化し、カスタマーサクセス、マーケティング、経営企画のデータドリブン経営を支援するテクノロジーカンパニー。https://corp.helpfeel.com/
要点の整理
以下の表には、本記事で取り上げた資金調達の金額や投資家、プロダクト、イベント情報、会社概要など主要事項を整理しました。情報の要旨を一目で確認できる構成にしています。
項目 | 内容 |
---|---|
発表日 | 2025年8月27日 12:00 |
調達金額(今回) | 総額26億円(シリーズEラウンド ファーストクローズ) |
累計調達額 | 59億円 |
主要投資家 | グローバル・ブレイン株式会社、SMBCベンチャーキャピタル・マネジメント株式会社、JPインベストメント株式会社(各ファンドを通じて) |
資金使途 | “AIナレッジデータプラットフォーム”の本格展開、複数サービスの開発・提供、開発体制強化 |
提供予定のサービス | 2025年内にAIエージェントを含む3サービスを提供開始予定。既存製品: Helpfeel、Helpfeel Cosense、Gyazo |
技術・体制 | NLP、ナレッジグラフ、生成AIのアルゴリズム開発。テクニカルフェローに慶應義塾大学名誉教授 増井氏等 |
導入実績 | 700サイト超(2025年8月1日時点)、契約の45%が上場企業(グループ含む) |
採用イベント | 2025年9月25日(木)19:30〜22:00、会場・オンライン ハイブリッド(会場:東京都中央区八丁堀)参加申込: https://nota.connpass.com/event/366420/ |
会社URL・採用 | 企業URL: https://corp.helpfeel.com/ 、採用情報: https://helpfeel.com/recruit |
上表は今回の発表で示された主要事項を整理したものであり、出資スキームやサービス提供時期、採用・イベントの具体情報、会社所在地などはプレスリリース本文に基づいて記載しています。本稿は発表内容を客観的に整理した報告としてまとめています。
参考リンク: