T2がプレシリーズBで50億円調達 レベル4実装へ加速

プレシリーズBで50億円

開催日:8月18日

プレシリーズBで50億円
この50億円って何に使うの?
主に2025年7月から本格化したレベル2商用運行のスケールアップに充てるほか、レベル4実現に向けた研究開発・追加実証、車両開発やインフラ整備、保険・金融スキーム整備、物流事業者との連携強化などに使われます。
レベル4の幹線輸送っていつ始まるの?
公式目標は2027年開始ですが現状は2025年7月からレベル2商用運行を本格化中で、レベル4は追加実証や制度・インフラ整備が必要なため段階的に進められ、開始時期は実証や認可の進展次第となります。

プレシリーズBで50億円を獲得――調達の背景と資金使途

株式会社T2(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:熊部 雅友)は、2025年8月18日付でプレシリーズBラウンドにより、9社を引受先とする合計50億円のエクイティファイナンスを完了したことを公表しました。これにより、設立以来の累計調達額は110.7億円となります。今回の調達は、2022年8月の設立以降継続してきた資金調達の一環であり、既存株主のフォローオンと新規参画企業の両面が含まれます。

T2は設立以来、ドライバー不足や輸送効率の課題に対応するため、ドライバーの乗車を必要としないレベル4自動運転トラックによる幹線輸送の実現を目指しており、今回の資金は2025年7月から本格化したレベル2自動運転トラックの商用運行の拡充と、レベル4実現へ向けた研究開発・実証・事業化の推進に充てられる見込みです。

  • 調達ラウンド:プレシリーズB(エクイティファイナンス)
  • 調達金額:50億円(今回)
  • 累計調達額:110.7億円
  • 引受先(9社):株式会社宇佐美鉱油、NX・TCリース&ファイナンス株式会社、株式会社環境エネルギー投資、鈴与株式会社、日本郵政キャピタル株式会社、福山通運株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、三井倉庫ロジスティクス株式会社、三菱地所株式会社

なお、T2はプレシリーズAおよびシリーズAラウンドで合計60.7億円を調達済みであり、今回の50億円を加えた累計が110.7億円という計算になります。出資の中には既存株主からの追加支援も含まれており、技術開発と事業展開に対する継続的な賛同が確認できます。

技術開発の現状と商用運行の進捗

T2は、限定領域での自動運行を可能とするレベル4自動運転トラックによる幹線輸送を2027年の開始を目標に掲げています。これに先立ち、2025年7月からはレベル2自動運転トラックによる商用運行を開始し、本格化しています。今回の資金調達は、この商用運行のスケールアップ並びにレベル4実現のための追加実証、車両開発、インフラ整備などに充当される意向です。

自動運転レベルに関する定義や本件に関連する技術的な注記は以下の通りです。国土交通省の基準に沿った定義を参照しており、T2は限定領域での完全自動運行を目標に研究開発を進めています。

*¹ レベル4
特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態(参照:国土交通省資料)。
*² 幹線輸送
各種荷物を全国の配送拠点に主要な輸送ネットワークを通じて効率的に運ぶこと。
*³ レベル2
ドライバーの監視のもとに行われる特定条件下での高機能自動運転。
*⁴ 商用運行に関する参照
本件に関するニュースリリース:https://t2.auto/news/2025/0701.pdf

技術面では、レベル2の商用運行で得られる運行データや安全性評価を基に、レベル4実装に必要なセンサーフュージョン、制御アルゴリズム、運行管理システム、周辺インフラとの連携などの改良が進められます。加えて、物流事業者や倉庫事業者との連携を通じて、幹線輸送網の効率化・実運用に向けた運用ノウハウの蓄積も重要課題です。

出資各社のコメントと連携の意義

今回参画した9社からは、T2の取り組みに対する期待と支援の意思が示されています。既存出資者の継続支援に加え、運送業や不動産、金融など多様な業界からの新規参画により、技術開発と実運用を結びつけるエコシステムの構築が進むことが予想されます。

以下に、各社の代表者によるコメントを原文に沿って掲載します。各コメントは50音順に整理しています。

出資企業からの声

ここでは各社の名称、役職、発言内容を順に列挙します。発言はすべて出典に基づく表現です。

  • 株式会社宇佐美鉱油 代表取締役社長 宇佐美 智也

    「T2社が取り組むレベル4自動運転技術を活用した幹線輸送サービスの開発において、すでに多くの実績が出始めています。宇佐美グループは多くの運送業界のお客様に支えられ、成長してきた歴史があります。PreAラウンドに続き、PreBラウンドの出資を通じて、T2社とともに日本の運送業界の発展に取り組んでまいります。」

  • NX・TCリース&ファイナンス株式会社 代表取締役社長 小林 淳一

    「シリーズPre-Bラウンドへの参加により、物流の社会課題解消を目指す自動運転トラックによる幹線輸送サービス事業へ参画できることを大変嬉しく思います。当社は、長期ビジョン実現に向けた主要施策の一つに『自動運転技術を活用した新たな価値創造』を掲げております。NXグループが有する総合物流機能を活かし、T2様およびその取組に賛同された他株主様と協力し、本事業の社会実装に向けて貢献してまいります。」

  • 株式会社環境エネルギー投資 モビリティ事業創造室室長 プリンシパル 林 隆介

    「T2社が自動運転技術の開発と実用化に向けて着実に進展していることを大変喜ばしく思います。弊社もインパクト投資家として、T2社による自動運転技術により、運送業界において効率性の向上、コスト削減、安全性の強化、排出CO2量削減など多くの利点をもたらすことを期待しており、今後もT2社の成長と成功を支援し続ける所存です。」

  • 鈴与株式会社 代表取締役社長 鈴木 健一郎

    「将来においてトラックドライバー不足による物流停滞が懸念されるなか、自動運転技術と周辺インフラ整備の推進によってこの課題に挑むT2様の取り組みに出資という形で参画できることを大変嬉しく思います。当社は今回の出資を通じて、こうした社会課題の解決に向けT2様を支援し持続可能な社会インフラの実現に貢献してまいります。」

  • 日本郵政キャピタル株式会社 シニアマネージャー 井形 晋太郎

    「自動運転技術の社会実装は、物流の未来を支える重要なテーマの一つです。深刻化する人手不足や持続可能な輸送網の構築といった社会課題に対し、T2の皆様と共にその実現に取り組めることを心強く感じております。日本郵政グループとしても、新たな社会的価値の創出と物流現場の進化に貢献できるよう取り組んでまいります。」

  • 福山通運株式会社 代表取締役社長 熊野 弘幸

    「現在、物流業界は大きな転換期を迎えており、慢性的なドライバー不足や輸送の最適化といった構造的課題を抱え、大きな変革が求められています。こうしたなか、T2様が持つ高精度かつ実用性の高い自動運転技術は、未来の物流インフラを支える重要な鍵になると確信しています。今回の出資を通じて、安全性と効率性を兼ね備えた輸送ネットワークの実現に取り組み、T2様とともに物流革新を推進してまいります。」

  • 三井住友海上火災保険株式会社 常務執行役員 佐久間 美奈子

    「当社はシリーズAから出資し、自動運転トラックによる幹線輸送の実現に向けて共に歩んできました。T2は確実に技術開発を進め、多くの実績と成果を上げています。今回の追加出資により、両社の連携を一層強化し、今後も物流課題の解決に向けて取り組んでまいります。」

  • 三井倉庫ロジスティクス株式会社 代表取締役 社長執行役員 石川 輝雄

    「2023年の参画以降、公道実証を含む事業・技術開発を共に進めてまいりました。今回、T2のサービス事業化と当社事業構想の実現との相乗効果を再認識し、追加出資を決定しました。今後、T2との事業協力関係を一層強化し、レベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービスの実現と、当社および三井倉庫グループの物流ノウハウ・デジタル技術活用を融合した高付加価値な物流サービスの提供を推進してまいります。」

  • 三菱地所株式会社 物流施設事業部長 荒木 康至

    「当社が描く『基幹物流施設構想』には、T2の技術開発が欠かせません。2023年の初回出資以降、T2社の取組み姿勢だけでなく、技術開発の躍進も実感してきました。自動運転トラックとそれらが実現する未来の物流社会は目前に迫っています。今後もT2と共同で建物内走行等の技術開発を進め、当社基幹物流施設の価値をさらに磨き上げ、未来を創って参ります。」

T2代表のコメント

代表取締役CEO 熊部 雅友は、今回のプレシリーズBラウンドによる資金調達に対して感謝の意を表し、レベル4自動運転トラックによる幹線輸送の実現に向けて引き続き取り組む意向を示しています。具体的には、出資企業と連携しながら技術開発・実証・事業化を加速させ、物流業界の未来を支える存在となることを目指すとしています。

以上のコメント群からは、金融機関、物流事業者、不動産事業者、保険会社など業界横断的な連携が見て取れ、技術実装から運用までを見据えた実務的な支援が期待されています。

会社概要と本記事の要点整理

以下はT2の基本情報と、本件に関する主要ポイントを表形式で整理した一覧です。会社の所在地、設立日、代表者、事業内容、公式サイトと合わせ、今回の調達に関する事実関係を明確にまとめています。

記事の締めくくりとして、表の後に本件の意味合いを簡潔にまとめます。技術開発段階にあるスタートアップの資金調達は、実証の継続と社会実装の推進に直結する重要な出来事です。

項目 内容
発表日 2025年8月18日 11時00分
今回の調達額 50億円(プレシリーズB)
累計調達額 110.7億円
引受先(9社) 株式会社宇佐美鉱油、NX・TCリース&ファイナンス株式会社、株式会社環境エネルギー投資、鈴与株式会社、日本郵政キャピタル株式会社、福山通運株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、三井倉庫ロジスティクス株式会社、三菱地所株式会社
目標事業 レベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービスの実現(目標:2027年)
現状の商用運行 2025年7月よりレベル2自動運転トラックの商用運行を開始・本格化
設立日 2022年8月30日
代表者 代表取締役CEO 熊部 雅友
本社所在地 東京都千代田区内幸町二丁目2番3号 日比谷国際ビル1階
事業内容 自動運転システムの開発、レベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービス事業、幹線輸送に付随した関連サービス事業、その他関連サービス事業
企業サイト https://t2.auto/

今回のプレシリーズB調達は、技術の成熟と事業化に向けた重要な資金基盤の強化を意味します。既存出資者の継続支援と新規参画企業の組み合わせは、実証フェーズから実装・運用フェーズへと移行する際の現場連携や施設連動、保険・金融面でのスキーム構築にも資するものです。T2はレベル2の商用運行で得られる知見を踏まえ、2027年を見据えたレベル4実現を進める計画です。

参考リンク: