岡山大学×日本電子、研究機器レンタル『SX』始動へ
ベストカレンダー編集部
2025年8月17日 21:51
SXプラットフォーム設立
開催日:7月25日

研究現場の負担を軽減する「借りる」選択肢の具体像
国立大学法人岡山大学と日本電子株式会社は、研究機器のレンタル(リース)を中核に据えた新たなプラットフォーム、Shared Transformation(SX)プラットフォームの設立について合意し、2025年7月25日に文部科学省にて共同記者発表を行いました。プレスリリース公表日は2025年8月17日 18時05分です。
発表は岡山大学側から那須保友学長、佐藤法仁副理事(研究・産学共創総括担当)・副学長(学事担当)・上級URAが登壇し、日本電子株式会社からは大井泉代表取締役社長兼CEOおよび渡邊愼一顧問(特命経営戦略担当)が出席しました。冒頭で那須学長が研究機器を取り巻く現状と設立経緯を説明し、その後に佐藤氏がプラットフォームの詳細を提示しました。

SXプラットフォームが想定する課題と解決策
国内の大学や研究機関では、研究機器の老朽化や、購入に伴う維持費(修理費・撤去費等)の確保が困難であることが指摘されています。プラットフォームの基本的な発想は〈買う〉だけでなく〈借りる〉を選べるようにすることで、研究現場の時間確保、環境改善、人材育成、経費圧縮を同時に達成しようという点にあります。
具体的には、当該プラットフォームを通じて提供される研究機器について設置費・保守費・修理費・撤去費の4経費を不要とし、常に最新機器を利用できる体制を目指しています。これにより設備の老朽化による効率低下や精度問題の解消、技術職員のスキル向上といった効果を狙います。
- 想定される課題:老朽化による性能低下、維持費の確保困難、技術職員の育成不足
- 想定される解決:レンタルで設備の更新性を確保、4経費不要による財務負担軽減、現場の人材育成支援

SXプラットフォームの仕組みと運営計画
SXプラットフォームは岡山大学が事務局を務め、まずは日本電子株式会社の研究機器を提供する形で開始します。対象は国内の大学、高専、公設試、国立大学共同研究開発法人等であり、段階的に参画機関および機器メーカーを拡大していく計画です。
運営スケジュールとしては、2025年8月中に周知活動を行い、2025年9月に参画機関の募集を開始する予定です。運用開始時点では日本電子製品を中心とする提供構成ですが、将来的には複数の研究機器・分析メーカーを順次加える見込みです。

提供形態と期待される波及効果
プラットフォームはレンタル(リース)を基本とし、セカンドユース(中古機器)マーケットの拡大にも取り組みます。セカンドユースの流通により、研究大学以外の機関や予算規模の小さい機関でも中古ながら高機能な機器を利用可能にすることが想定されています。
こうした仕組みを通じ、技術職員のレンタル・リースノウハウの共有、人材育成の仕組みづくり、そしてメーカーと研究機関間の連携強化が期待されます。岡山大学と日本電子の共同取り組みは、特定機関の専用プラットフォームではなく、わが国全体の研究基盤を支えるプラットフォームを目指すと表現されています。
- 事務局
- 岡山大学(当面)
- 初期提供メーカー
- 日本電子株式会社
- 対象機関
- 国内の大学、高専、公設試、国立研究開発法人等
- 運用開始に向けた予定
- 2025年8月:周知、2025年9月:参画募集開始

記者会見での発言と関連資料、問い合わせ先
那須保友学長は、研究機器の老朽化が研究の効率や精度、技術職員の育成に影響する点を指摘し、「買う」だけでなく「借りる」選択肢を拡大することの重要性を強調しました。学長は世界の技術進歩に比べて国内で古い機器を使い続ける状況を例示し、組織の研究・財務マネジメントを整えつつ研究環境を改善する必要性を述べています。
日本電子の大井泉代表取締役社長兼CEOは、同社が長年研究機器の分野で培ってきた経験を背景に、岡山大学側の迅速な意思決定と実行力に期待を示しました。大井社長はSXプラットフォームが「岡山大学と日本電子のプラットフォーム」ではなく、国内の大学・研究機関・メーカー等が共に育てるプラットフォームであるとの認識を示しています。

参照可能な資料と動画
プラットフォームの概要やQ&Aを含む詳細な資料は岡山大学が公開しています。以下の資料がプレスリリースの出典および補完資料です。
- 岡山大学プレスリリース(Q&A含む、2025年8月4日): https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/news/presssxplatform.pdf
- 事業概要(7月25日文科記者会資料): https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/news/sxplatform.pdf
- 日本電子株式会社プレスリリース: https://www.jeol.co.jp/news/pr/20250808.12955.html
- 関連動画(城内実内閣府特命担当大臣の記者会見での扱い): https://www.gov-online.go.jp/press_conferences/minister_of_state/202508/video-300716.html
また、岡山大学の関連ページやJ-PEAKS事業の情報も参照先として公開されています。プラットフォーム設立は文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の枠組みの一環として実施されています。

問い合わせ窓口
本プラットフォームおよび本件に関する問い合わせ先として、岡山大学の複数の窓口が案内されています。メールアドレスでは@を◎に置き換えた表記が併記されていますので、送信時は元の表記に戻してください。
- 岡山大学 研究力・イノベーション創出強化実現会議(研究協力課)
- 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 本部棟
TEL:086-251-8442
E-mail:innovation◎adm.okayama-u.ac.jp
詳細:https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id14460.html - 岡山大学病院 新医療研究開発センター(製薬・医療機器企業向け)
- 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
お問い合わせフォーム:http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/ - 岡山大学病院 研究推進課(医療関係者・研究者向け)
- 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
詳細:http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/ - 岡山大学 産学官連携本部
- TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
詳細:https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/ - 岡山大学 機器共用推進本部(コアファシリティ)
- TEL:086-251-8745、086-251-8746
FAX:086-251-8748
E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
詳細:https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/ - 岡山大学 スタートアップ・ベンチャー創出本部
- E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
詳細:https://venture.okayama-u.ac.jp/

要点の整理(表形式)
以下の表は、この発表で明らかになった主要事項を整理したものです。要点を見渡しやすくまとめ、発表日時や参加者、目的、対象、今後の予定などを一覧化しています。
項目 | 内容 |
---|---|
発表機関 | 国立大学法人岡山大学 × 日本電子株式会社 |
プラットフォーム名 | Shared Transformation(SX)プラットフォーム |
記者発表(実施) | 2025年7月25日(文部科学省にて) |
プレスリリース公表 | 2025年8月17日 18:05(岡山大学) |
登壇者(岡山大学) | 那須保友学長、佐藤法仁副理事(研究・産学共創総括担当)・副学長(学事担当)・上級URA |
登壇者(日本電子) | 大井泉 代表取締役社長兼CEO、渡邊愼一 顧問(特命経営戦略担当) |
主なメリット | 研究時間の確保、研究環境の強化、人材育成促進、必要経費削減(設置・保守・修理・撤去の4経費不要) |
対象機関 | 国内の大学、高専、公設試、国立大学研究開発法人 等 |
初期提供機器 | 日本電子株式会社製の研究機器 |
当面の予定 | 2025年8月:周知活動、2025年9月:参画機関募集開始 |
関連事業 | 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の取り組みの一環 |
主要資料・リンク | 岡山大学プレスリリース(PDF)、事業概要(PDF)、日本電子 プレスリリース、関連動画等(本文内URL参照) |
問い合わせ先(代表) | 岡山大学 研究協力課(TEL:086-251-8442、E-mail:innovation◎adm.okayama-u.ac.jp) |
本稿は、岡山大学と日本電子が共同で発表したSXプラットフォームの設立合意と、その目的・仕組み・運営計画、登壇者の主張、関連資料および問い合わせ先を網羅的に整理したものである。プラットフォームは当面、岡山大学が事務局となり日本電子の機器を提供する形から始まるが、参加機関・メーカーの拡充、レンタル・リースノウハウの共有、セカンドユース市場の活性化を通じて国内の研究基盤の改善を図ることが明示されている。
参考リンク: