大阪・関西万博に15℃冷却のRACCOON設置

万博にRACCOON設置

開催日:8月13日

万博にRACCOON設置
これって本当に熱中症予防になるの?
臨床試験で有効性が確認されており、手のひらのAVA血管を15℃で冷やすことで冷えた血液が循環し深部体温を下げる仕組み。約5分握るだけで効果を得られる設計です。
使い方や衛生面はどうなってるの?
手すりを手のひら全体で約5分握るだけで利用完了。ステンレス製で冷却による結露が表面をリフレッシュし衛生配慮済み。長時間連続使用は避け、水分補給と併用が推奨されます。

万博会場に設置された“手のひら冷却機”RACCOON:設置の背景と日時

株式会社OSGコーポレーションは、来場者と運営スタッフ双方への熱中症予防対策として、既に提供してきた無料給水スポットに加え、インダストリアルデザイナー大浦イッセイ氏が開発した15℃の手のひら冷却機「RACCOON」を大阪・関西万博会場に設置しました。本件は、同社が推進する「ステハジ」プロジェクトの一環として発表され、プレスリリースは2025年8月15日17時30分付で公表されています。

「RACCOON」は2025年8月13日(水)に設置され、設置場所は大阪・関西万博の「未来の都市」パビリオン前と「デジタルトラベルゾーン」入口前の2か所です。猛暑が続くことが予想される夏期に、従来の給水提供に加え深部体温を直接的に抑制する手段を会場に導入することで、来場者や現場スタッフの日中の滞在負担を軽減するねらいがあります。

  • 設置日:2025年8月13日(水)
  • 設置場所:未来の都市パビリオン前、デジタルトラベルゾーン入口前(計2か所)
  • プレスリリース発表:2025年8月15日 17:30
大阪・関西万博に新たな熱中症予防対策が登場!給水スポットを提供するOSGコーポレーションが、15℃の熱中症予防「RACCOON」(手のひら冷却機)を設置 画像 2

RACCOONの原理と臨床的根拠

大阪・関西万博に新たな熱中症予防対策が登場!給水スポットを提供するOSGコーポレーションが、15℃の熱中症予防「RACCOON」(手のひら冷却機)を設置 画像 3

AVA血管を標的にした冷却のメカニズム

手のひらには動脈と静脈を直接結ぶ血管、いわゆるAVA血管(動静脈吻合)が存在します。RACCOONはこのAVA血管を手のひらで効率的に冷却することを目的とした世界初の連続冷却システムです。

熱中症の主要因である深部体温の上昇は、表面温度を下げるだけでは十分に抑えられない場合があり、血液自体の温度を下げることが重要です。手のひらのAVA血管を冷却すると、冷却された血液が体内を循環し、脳や内臓などの深部体温を効率的に低下させることができます。冷却の最適温度は12℃~15℃とされ、この温度帯では血管の収縮を起こさず効率良く血液を冷やせるとされています。

深部体温とは
脳や臓器など体の中心部の温度。熱中症発症リスクと密接に関連。
AVA血管の役割
表面と深部をつなぐ血流経路として温度制御に有効。
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臨床試験と公的報告

「RACCOON」の有効性は福井工業大学の竹田教授による臨床実験で確認されています。実験により、手のひら冷却による深部体温の低下効果が示されており、国土交通省の安全大会においても熱中症対策として有効であるとの報告がなされています。

これらの評価を踏まえ、RACCOONは手すり内部に冷水を循環させることで手すり表面を常時15℃に保ち、利用者が約5分間手すりを握るだけで深部体温を下げることができる設計になっています。氷や保冷剤と異なり血管収縮を伴わず、安定的な冷却が可能である点が特徴です。

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装置仕様・衛生と利用方法

RACCOONは手すり形状の冷却デバイスであり、冷水循環により手すり表面温度を15℃に維持する連続冷却方式を採用しています。手すりはステンレス製で、冷却による結露が生じることで常に表面が水分によりリフレッシュされ、衛生面での配慮がされています。

利用者は手すりを約5分間握ることで深部体温が低下する設計です。長時間の停滞や極端な連続使用は避けるべきですが、短時間の冷却を定期的に行うことで熱中症リスクの軽減が期待できます。

  1. 手すりに手のひら全体をしっかりと当てる。
  2. そのまま約5分間保持する。
  3. 使用後は手を振るか軽く拭くなどして通常行動に戻る。

装置は公共導入に適した耐久性・衛生性を備えており、給水スポットと併用することで水分補給と深部体温抑制という二層の熱中症対策が実現します。

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他分野への展開とプロジェクトの枠組み

OSGコーポレーションは、給水スポットとRACCOONの連携により、建設現場・学校・スポーツ施設など、深部体温上昇が命に関わる環境に向けて本技術を社会提案していく方針を示しています。これにより、屋外労働従事者や教育現場での長時間活動、屋内外のスポーツイベント等における熱中症予防への応用が検討されています。

今回の取り組みは同社の「ステハジ」プロジェクトとも整合しています。「ステハジ」プロジェクトは“使い捨ては恥ずかしい”という考えを基軸に、海洋プラスチック問題や食品ロス、衣類ロスなどの社会課題に対して個人・企業・自治体・教育機関・プロスポーツチームが一体となって行動変容を推進する活動です。2025年8月1日現在、407団体が加盟しています。

ステハジの目的
日常の意識と行動で持続可能な社会課題に取り組むこと。
加盟状況(2025年8月1日現在)
407団体

まとめ:設置概要と主要ポイントの一覧

以下に今回の記事で触れた主要な情報を表形式で整理します。導入日時、設置場所、装置の仕様や臨床評価、プロジェクト情報、会社概要などを網羅的にまとめました。

項目 内容
発表企業 株式会社OSGコーポレーション(代表取締役社長:山田啓輔)
プレスリリース日 2025年8月15日 17:30
設置日 2025年8月13日(水)
設置場所 大阪・関西万博「未来の都市」パビリオン前、デジタルトラベルゾーン入口前(2か所)
装置名称 RACCOON(手のひら冷却機)
冷却温度 15℃(最適冷却温度帯は12℃〜15℃)
利用方法 手すりを約5分間握ることで深部体温を低下させる
衛生対策 ステンレス製手すり、冷却による結露で表面を常に清潔に保つ設計
臨床評価 福井工業大学・竹田教授による臨床試験で有効性確認、国土交通省の安全大会でも有効報告
関連プロジェクト 「ステハジ」プロジェクト(加盟団体:407団体、2025年8月1日現在)
会社概要(概要) 資本金:6億100万円、上場市場:東証スタンダード(6757)、本社:大阪府大阪市北区天満1-26-3
公式情報 OSGコーポレーション「ステハジ」 ホームページ:https://www.osg-nandemonet.co.jp/sustainability/sutehaji.html

今回の導入は、従来の給水提供に加え深部体温に直接働きかける新たな熱中症対策を会場で実施するものであり、学術的評価と公的報告を背景に公共空間での実装が進められています。建設現場や教育・スポーツ現場など、深部体温管理が重要となる現場への応用が期待される一方で、安全な使用手順と衛生管理が併せて求められます。