新宿デカメロンで「波間の体」展、春画とハワイ文化を対比

波間の体展

開催期間:8月15日〜8月31日

波間の体展
展示って具体的に何が見られるの?
渓斎英泉らの実物春画(『笑本』含む)や、ネイティブ・ハワイアンのアーティストKoaへのハワイ語中心のインタビュー映像、両地域を比較する史的解説が見られます。
いつどこで見られる?年齢制限とかあるの?
会期は2025年8月15日〜8月31日、会場は新宿・歌舞伎町のデカメロン。開廊は20:00〜27:00で、18歳未満は入場不可。来場時に身分証提示を求められる場合があります。

島々と江戸——『波間の体 ― 島々の性と文化』が問いかけるもの

2025年8月15日(金)から8月31日(日)まで、新宿・歌舞伎町のアートスペースデカメロンにて、展覧会「波間の体 ― 島々の性と文化」が開催されます。本展は日本とハワイ、それぞれの歴史と文化のなかで形成された性表現と表現文化に焦点を当て、表現の多層性や歴史的背景を対置的に提示します。

会場では、江戸期の春画(うきよえやしゅんが)を実物で展示するほか、ネイティブ・ハワイアンのルーツを持ちハワイ語を第一言語として育ったアーティストKoaへのインタビュー映像を上映します。これらを通じて、性にまつわる表現が地域ごとにどのように受容・変容してきたかを、史料と当事者の語りから具体的にたどります。

新宿・歌舞伎町「デカメロン」にて、展覧会「波間の体― 島々の性と文化」を開催 画像 2

展示作品のハイライト

本展の目玉は、渓斎英泉による笑本を含む実物の春画展示です。展示は江戸時代の鑑賞空間の距離感を意識し、来場者が当時の空気感を追体験できるように配慮されています。

また、ハワイ側の展示としては、当事者であるアーティストKoaのインタビュー映像を通して、hulaやmele ma’i(性器を讃える詩歌)といった伝統表現が持つ意味や、その歴史的変遷を紹介します。映像はハワイ語を基調としつつ、文化的価値観やアイデンティティについて当事者の視点から紡がれます。

  • 実物春画(渓斎英泉ほか)展示
  • Koa(ネイティブ・ハワイアン)へのインタビュー映像上映
  • 両地域の性表現を比較する史的解説
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展示が提示する歴史的文脈と問題意識

本展は性表現の表面的な鑑賞に留まらず、その背後にある社会構造や歴史的な力関係を明示します。春画がしばしば『笑本』と呼ばれるように、ユーモラスで祝祭的な側面を強調する解釈も存在しますが、同時に江戸期の遊郭制度や人身売買、男性優位の権力構造といった搾取の側面が存在したことも忘れてはなりません。

ハワイにおいても、古来から生命や性の悦びを祝う文化があった一方で、19世紀以降の植民地主義や経済的圧力により性的搾取が拡大し、伝統的表現が外来の規範に制限される過程がありました。本展はこうした相互に異なる歴史を並置することで、「何が野蛮で何が猥褻なのか」といった近代的な価値判断を再検討する場を提示します。

江戸の文脈
春画には創造的・祝祭的な側面がある一方で、遊郭制度や人身売買といった搾取構造の存在があった。
ハワイの文脈
伝統的な性表現は生命や歓びを祝福する文化として育まれたが、植民地主義の侵入により表現と実践が制約された。
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表現の再評価における慎重さ

本展は、過去の表現を単純に肯定したり美化したりするのではなく、表現が成立した社会的条件や権力関係を併せて提示することで、来場者が多面的に考察できるよう構成されています。誰がどの立場から、どの目的で「猥褻」や「野蛮」と規定してきたのか、といった問いが重要な視点として示されています。

同時に、性やアイデンティティの多様なあり方を現代の文脈でどう理解し保存していくか、表現の継承と修正の方法を考える契機を与える内容となっています。

新宿・歌舞伎町「デカメロン」にて、展覧会「波間の体― 島々の性と文化」を開催 画像 5

会場・開催情報と来場上の注意

会場となるデカメロンは2020年に新宿・歌舞伎町の中心地で開廊したギャラリーです。店名はジョヴァンニ・ボッカッチョの物語集『デカメロン』に由来します。2階が展示スペース、1階のバーは鑑賞前後にアーティストや観覧者が交流するコミュニケーションスペースとして運用されています。ギャラリースペースは2021年4月に増床され、実験的な現代アートの展覧会が開催され続けています。

デカメロンのHPおよびInstagramは次の通りです。展示に関する追加情報や最新の運営情報は公式ページで確認してください。

開催概要は以下の通りです。来場には年齢確認などの手続きがあるため、事前に確認のうえ訪れる必要があります。

展覧会名 波間の体 ― 島々の性と文化
会期 2025年8月15日(金)~8月31日(日)
休廊日 月曜日
開廊時間 20:00 – 27:00(深夜3:00)
会場 デカメロン(東京都新宿区歌舞伎町1丁目12-4)
入場制限 18歳未満入場不可。来場時に本人確認書類(マイナンバーカード、免許証、健康保険証等)の提示を求める場合あり。

来場にあたっての注意点

会期中、18歳未満の方は入場できません。年齢確認のため、本人確認書類の提示をお願いされる場合がありますので、来場時には身分証を持参してください。また、深夜帯に開廊する時間設定(20:00~27:00)となっているため、交通や帰宅手段を事前に確認しておくことが望まれます。

なお、本展の主催情報や発表元はSmappa!Groupであり、広報リリースの原文や追加情報はPR TIMESの公開ページでも確認可能です(関連リンク:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000042926.html)。

関連展と鑑賞の提案

本展と同時期に、新宿歌舞伎町能舞台では「新宿歌舞伎町春画展 ― 文化でつむぐ『わ』のひととき。」が2025年7月26日(土)から9月30日(火)まで開催されています。両展をあわせて鑑賞することで、春画の幅広い文脈とハワイ側の表現文化の対比をより深く理解することができます。

新宿歌舞伎町能舞台の開催概要は下記の通りです。鑑賞計画を立てる際は、開催時間・入場条件・予約制度などの違いに注意して巡回スケジュールを組むとよいでしょう。

新宿歌舞伎町春画展 会期
2025年7月26日~9月30日
会場
新宿歌舞伎町能舞台(東京都新宿区歌舞伎町2-9-18 ライオンズプラザ新宿 2階)
開館時間
11:00~21:00(土日祝は10:00~)。入場は閉館の30分前まで。
休館日
月(ただし祝日の場合は開館し翌火曜休館)
料金
一般 2200円。日時指定予約制(当日は日時指定枠に空きがある場合に限り、予約なしで入館可能)。18歳未満入場不可(チケット購入時に年齢確認が必要)。
公式ページ
https://www.smappa.net/shunga/

まとめ:展覧会の要点一覧

以下の表は、本記事で紹介した展覧会の主要情報を分かりやすく整理したものです。展覧会の主題、会期、会場、入場条件、紹介される主な展示内容および関連展情報を一覧化しています。

項目 内容
展覧会名 波間の体 ― 島々の性と文化
会期 2025年8月15日(金)~8月31日(日)
休廊日 月曜日
開廊時間 20:00 – 27:00(深夜3:00)
会場 デカメロン(東京都新宿区歌舞伎町1丁目12-4)
入場制限 18歳未満入場不可。来場時に本人確認書類の提示を求められる場合あり。
主な展示 渓斎英泉による笑本を含む実物春画、ネイティブ・ハワイアン出身アーティストKoaへのインタビュー映像(ハワイ語中心)
関連展 新宿歌舞伎町春画展 ― 文化でつむぐ「わ」のひととき(2025年7月26日~9月30日、会場:新宿歌舞伎町能舞台)
主催・参考リンク Smappa!Group。PR情報: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000042926.html
関連キーワード 浮世絵、春画、多様性、江戸文化

本展は、歴史的資料と当事者による語りを通じて、性表現の多様性とそれを取り巻く社会的文脈をあらためて可視化する機会を提供します。展示スケジュールと入場条件を確認のうえ、展示の提示する視点に沿って鑑賞計画を立てることが望まれます。

参考リンク: