ビーマップ、サイパンに研究所設立 衛星通信とドローン実証へ
ベストカレンダー編集部
2025年8月13日 18:47
宇宙防衛通信研究所設立
開催日:8月13日
北マリアナ諸島サイパンに設けられる新たな研究拠点の意義
株式会社ビーマップ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:杉野文則)は、宇宙・防衛事業の業務提携先である株式会社SpicyCompanyと、その米国現地法人であるSpicy USA Ltd(所在地:P.O. Box 506218, Saipan, CNMI USA 96950)と共同で、北マリアナ諸島サイパン島に「宇宙防衛通信研究所」を設立することを2025年8月13日付で発表しました。
この研究所は、衛星通信、長距離無線、ドローン、LEO軌道対応システム、防衛用途のセンサー開発などを対象にした先進的な研究開発拠点として機能し、同時に次世代技術に関する実行可能性調査(フィージビリティスタディ)にも着手します。発表日時は2025年8月13日 16時00分です。
設立の背景
北マリアナ諸島は赤道に近く、東側に広大な海域を有する地理的特性から、宇宙発射や安全保障インフラの構築に適した戦略的拠点と位置づけられています。米国自治領であることにより、日本国内より通信にかかる規制が少ない点も、先進的な通信実験を行う上での利点とされています。
ビーマップ側は、国内では現状実施が難しい電波実験や自動周波数調整(AFC)を含むWi‑Fi 7関連の実験、長距離無線の実装・実証などを先行して行うことを目的に本研究所を設置します。研究の税制的・法制度的な条件や地理的優位性が、設立の理由として明記されています。
研究領域と実証計画の詳細
本研究所の主たる研究・実験対象は衛星通信、長距離無線、ドローン(戦術型FPVドローンを含む)、LEO軌道対応システム、監視ネットワーク、デュアルユース技術です。これらは防衛用途・民間用途の双方を想定した技術開発に焦点を当てます。
具体的には以下の項目が掲げられています。
- 長距離無線の実証実験:ビーマップの主要技術を活用した実地検証を行う。
- 戦術型FPVドローンの実証実験:自律飛行およびAI誘導を含む運用検証。
- ピコサテライト(超小型衛星)の打ち上げ・運用調査:LEO軌道対応システムの実行可能性を評価。
- 監視ネットワーク強化:センサー技術と通信連携による監視体制の高度化。
- デュアルユース技術の推進:防衛・民間双方に適用可能な技術の研究開発。
用語の定義と注記
記事中に登場する専門用語のうち、主要なものを整理します。
- LEO軌道対応システム
- 地球低軌道(Low Earth Orbit)を回る衛星との通信や運用に対応したシステムを指します。
- 戦術型FPVドローン
- 操縦者が搭載カメラの映像を視認しながら運用する小型無人航空機で、防衛任務等を想定した運用形態を指します。
- AFC(Automatic Frequency Control)
- 自動周波数調整の仕組みで、周波数の割当や干渉回避などに用いられます。Wi‑Fi 7の本格利用に向けた重要技術として言及されています。
設立までの経緯と関係者とのやり取り
発表文では、代表取締役社長の杉野文則氏が2025年8月4日から6日にかけてサイパン島を視察し、現地関係者と意見交換を行ったことが明記されています。視察期間中、北マリアナ諸島議会の議長・議員、米国連邦議会の下院議員、北マリアナ諸島知事などと面会したとされています。
現地関係者からは前向きな反応があり、その場で研究所設立の準備を決意したと説明されています。サイパン島が日本から空路で約3時間半(直行便)で到達できることや、観光地としての課題(1997年のピーク時45万人の日本人訪問者が現在9割減となっている等)も視察時の報告に含まれています。
法規制と実験環境の違い
発表では、日本国内では制約がある電波実験や周波数利用に関して、米国自治領であるサイパン島のほうが規制が少なく、先行した実験が可能である点が強調されています。特に6GHz帯の無線LAN周波数拡張やAFCの先行研究が可能であり、Wi‑Fi 7関連の検証に有利であると述べられています。
また、日本国内で携帯電話の電波が届かないとされる国土の3割から4割の地域に対して、長距離無線技術を適用することでWi‑Fiを利用可能にし得る点や、ドローン運用に関する電波制約が少ない地域で先行検証が可能である点が具体的な利点として挙げられています。
スケジュール、関係組織、補足情報
発表文に記載された今後の予定(概要)は以下の通りです。時期毎の主要な予定が明記されています。
- 2025年度Q3:研究所設立
- 2025年度Q4:長距離無線を活用した実証実験スタート
- 2026年度内:施設着工、観測機器の設置、技術実証開始
- 2027年度以降:宇宙通信・地上局連携・小型衛星運用の開始
また、これまでの関連するプレスリリースとして、宇宙・防衛事業準備室の設置や外部顧問の委嘱、SpicyCompanyによるファンド設立などの発表リンクが示されています。
- 「宇宙・防衛事業準備室」を開設 (2025/7/3)
- 顧問の委嘱について(武藤佳恭氏を顧問に迎える) (2025/7/10)
- 宇宙・防衛事業準備室が正式にスタート (2025/7/15)
- SpicyCompanyが宇宙・防衛テックに特化したファンドをイスラエルに設立 (2025/7/22)
発表文では、ビーマップの宇宙・防衛分野における業務提携先としてのSpicyCompanyの役割と、現地法人であるSpicy USA Ltdの所在地(P.O. Box 506218, Saipan, CNMI USA 96950)が明確に示されています。会社名や代表者名(ビーマップ:杉野文則、SpicyCompany:小宮 久)も記載されています。
要点整理(表)
記事で取り上げた主な事項を表に整理します。要点を短くまとめ、内容の確認に役立つ形式としました。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年8月13日 16時00分 |
| 発表企業 | 株式会社ビーマップ(代表取締役社長:杉野文則)および業務提携先 株式会社SpicyCompany/Spicy USA Ltd |
| 研究所名 | 宇宙防衛通信研究所 |
| 所在地(設置予定) | 米国自治領 北マリアナ諸島 サイパン島(Spicy USA Ltd所在地:P.O. Box 506218, Saipan, CNMI USA 96950) |
| 主な研究領域 | 衛星通信、長距離無線、ドローン(戦術型FPV)、LEO軌道対応システム、監視ネットワーク、デュアルユース技術 |
| 今後の主なスケジュール | 2025年度Q3:設立、2025年度Q4:実証実験開始、2026年度内:施設着工・技術実証、2027年度以降:衛星運用開始 |
| 視察・関係者面会 | 杉野社長が2025年8月4日〜6日にサイパンを視察。北マリアナ諸島議会、米国下院議員、北マリアナ諸島知事らと面会。 |
| 関連情報 | 宇宙・防衛事業準備室の開設(2025/7/3)、顧問委嘱(2025/7/10)、準備室本格始動(2025/7/15)、SpicyCompanyのファンド設立(2025/7/22) |
以上が発表内容の要点整理です。北マリアナ諸島という地理的・法制度的条件を背景に、衛星通信や長距離無線、ドローン運用などの先進技術の実証研究を進める計画が示されています。研究所設立に伴うスケジュールや関係者、想定される研究領域については、発表に即して具体的に記載しました。