ネクソン第2四半期決算:メイプル好調で着地

ネクソン第2四半期決算発表

開催日:8月13日

ネクソン第2四半期決算発表
ネクソンの第2四半期の業績ってどうだったの?
売上収益は1,189億円(会計基準で前年同期比−3%、一定為替ベースでは+6%)。営業利益は377億円、四半期利益は168億円で為替差損が業績に大きく影響しました。メイプルやPC版アラドが牽引し予想を上回る着地です。
今後の注目ポイントや投資家向けの予定は何?
自己株式取得の追加実施(250億円を2025/08/14〜10/31実行)、『ARC Raiders』のグローバルリリースが2025/10/30予定、第3四半期の業績見通しと為替感応度、決算説明会は2025/08/13開催です。

2025年度第2四半期:売上と利益の概況と為替影響

株式会社ネクソンは、2025年度第2四半期(2025年4月1日〜6月30日)の連結業績を発表しました。会計基準ベースでの売上収益は1,189億円で、前年同期比では3%の減少となりましたが、一定為替レートベースでは6%の増加となり、同社の業績予想を上回る着地となっています。

営業利益は377億円で、堅調な売上収益を背景に当社の業績予想を上回りました。一方で、前年同期比では会計基準ベースで17%の減少(一定為替レートベースで10%減少)となっています。四半期利益(親会社の所有者に帰属する四半期利益)は168億円で、前年同期比で58%減少しました。これは2024年第2四半期に82億円の為替差益があったのに対し、当四半期では175億円の為替差損を認識したことが主な要因と報告されています。

第2四半期の要点は、主要タイトルの好調が利益を支えた一方で、フランチャイズ全体や個別地域での過去の大型ローンチとの比較により、前年同期比での減収要素も併存している点です。為替の影響は業績にとって重要な要素であり、確定値と一定為替レートベースの両面での比較が示されています。

フランチャイズ別ハイライト:アラド戦記、メイプル、FC、マビノギ等の動向

第2四半期の業績は主要フランチャイズごとに異なるトレンドを示しています。以下では各フランチャイズの主要な数値と取り組み、今後の見込みを整理します。

また、新作やテスト段階のプロジェクト、サービス地域拡大など、タイトルごとの具体的な動向についても詳細に触れます。各フランチャイズの記載内容は、プレスリリースに示されたすべての情報を含みます。

アラド戦記フランチャイズの動向

PC版『アラド戦記』は第2四半期において好調で、直近のコンテンツアップデートが奏功し、PC版単体では前年同期比で67%成長

一方で、フランチャイズ全体では前年同期に中国で『アラド戦記モバイル』をローンチした影響から、フランチャイズ合計の売上収益は前年同期比で40%減少

『アラド戦記モバイル』については、第2四半期の周年アップデート後に想定したほど復帰ユーザーが維持できず、当社の想定を下回りました。第3四半期は7月のレベルキャップ開放など複数のアップデートにより第2四半期比でやや増収を見込んでいます。テンセントとの共同開発による新規コンテンツは年内に中国でリリース予定です。

また、『The First Berserker: Khazan』は6月にサマーキャンペーンを開始し、新規コンテンツの追加とプロモーションを実施。フランチャイズの世界的拡大に寄与する動きとして位置づけられています。

メイプルストーリーフランチャイズの動向

メイプルストーリー関連は第2四半期に総じて強い成長を示しました。フランチャイズ全体の売上収益は前年同期比で60%成長

韓国『メイプルストーリー』は夏季アップデートによりアクティブユーザーが大幅に増加し、PCカフェ占有率は過去最高の25%を記録。売上収益は前年同期比で91%増加

グローバル『メイプルストーリー』は欧米の複数プロモーションが成功し、欧米地域が牽引して前年同期比で36%成長7倍超

『MapleStory Universe』プロジェクトの一環として、ブロックチェーンベースのPC向けMMORPG『MapleStory N』が5月15日に一部地域でサービスを開始しました。本作は自律型経済モデルを導入した実験的プロジェクトであり、Web3エコシステム内でプレイヤー主導のゲーム内経済を試行しています。

モバイル放置系の『MapleStory: Idle RPG』はAble Gamesとの共同開発で、年内にグローバルリリースを予定しているとしています(中国、ベトナム、その他一部地域を除く)。

FC(EA SPORTS FC)フランチャイズとマビノギの状況

『FC ONLINE』は7周年アップデートの効果により業績予想を上回る成果を示しました。弱い季節性がある中でも前年同期比・前四半期比ともに売上収益が増加し、第3四半期はシーズン最優秀チーム(Team of the Season)アップデートや9月に予定するレジェンド選手によるエキシビションマッチなどの施策で高いエンゲージメント維持を見込んでいます。

『マビノギモバイル』は3月のローンチ以降、MAU、課金ユーザー数、ARPPUが好調に推移し、第2四半期の売上収益は当社の予想を上回りました。第3四半期は第2四半期との比較で勢いがやや落ち着く見込みながら、引き続き売上収益に大きく寄与する見通しです。

『Vindictus: Defying Fate』は6月のアルファテストが成功し、Steam Nextフェスで最もプレイされた体験版となるなど高い関心を集めました。

シュータージャンルと新作の状況

シュータージャンルでは複数タイトルが異なる局面にあります。『The First Descendant』は第2四半期の売上収益が業績予想のレンジ内で着地し、第3四半期は8月7日の大規模なシーズン3アップデートにより前四半期比で約3倍の増収を見込んでいます。

『THE FINALS』は6月のシーズン7アップデートが好評で、第2四半期は当社予想を上回り、前年同期比での増収となり成長軌道に回復しました。中国では7月にISBNライセンスを取得し、テンセントのパートナーリングのもと8月8日からクローズドアルファテストが開始されています。

『ARC Raiders』は5月のテクニカルテストで良好な反応を得ており、Steamのウィッシュリストで世界第6位にランクインしています。グローバルリリースは2025年10月30日に予定されています。

さらに、新作AAAアクションアドベンチャーゲーム『Woochi the Wayfarer』がPCおよびコンソール向けのグローバル配信に向けて開発の初期段階にあることが今週発表されました。

株主還元、決算説明会、そして第3四半期業績見通し

株主還元に関しては、1年間で取得総額1,000億円を上限とする自己株式取得方針の下、6月25日までに500億円相当の自己株式取得を完了したと報告されています。本日の取締役会でさらに250億円分の自己株式取得を2025年8月14日から10月31日までに実施することを承認しました。残枠の250億円相当分については、投資機会、財務状況および市場環境等を総合的に勘案の上、期限である2026年2月までに実施予定としています。

2025年度第3四半期の業績予想は以下のレンジで示されています。売上収益は1,166億円〜1,271億円、営業利益は327億円〜412億円、四半期利益は264億円〜328億円を見込んでいます。会計基準ベースでは売上収益が前年同期比で14%から6%の減少を見込んでおり、一定為替レートベースでは12%から4%の減少を見込むとしています。

為替感応度については、日本円が米ドルに対して1円変動した場合の第3四半期への影響を示しており、売上収益に対しては8.3億円、営業利益に対しては2.3億円の影響を想定しています。注記として、多くの場合韓国ウォンと中国元は米ドルにほぼ連動し、簡略化のため米ドルと日本円の為替変動により韓国ウォンおよび中国元も同様に変動する前提で計算している旨が明示されています(脚注[6])。

決算説明会はオンライン(音声のみ、同時通訳あり)で開催される予定です。日時は2025年8月13日(水)午後5時00分〜午後6時30分。Zoomウェビナーで実施され、参加は事前登録制となります。登録ページのURLとIRウェブサイトの案内は以下のとおりです。

説明会は日本語・英語の同時通訳付きで実施されますが、質疑応答は逐次通訳となります。説明会終了後に音声アーカイブおよびトランスクリプトがIRウェブサイトに掲載される予定です。

補足情報と脚注の内容

プレスリリース内で用いられている脚注情報は投資判断や業績比較に必要な前提を示しています。ここではその内容を整理します。

[1] 一定為替レート
売上収益を認識する各国の現地通貨と円のレートを前年同期の為替レートに固定して計算したNon-GAAP指標。
[2] FC ONLINEの正式名称
正式名称は『EA SPORTS FC™ ONLINE』(PC)および『EA SPORTS FC™ ONLINE M』(モバイル)。
[3] 四半期利益の定義
親会社の所有者に帰属する四半期利益を指します。
[4] アジア地域の表記
中国および日本を除くアジア諸国を指します。
[5] グローバルリリース範囲
『MapleStory: Idle RPG』のグローバルリリースは中国、ベトナム、その他一部地域を除くと明記。
[6] 為替感応度の前提
多くの場合、韓国ウォンと中国元は米ドルにほぼ連動するとの前提で、米ドルと日本円の為替変動を基に韓国ウォン・中国元も同様に変動すると仮定して計算。

これらの脚注は、業績の一定為替レートベースの比較や為替感応度の解釈に際して重要な前提条件を提示しています。

要点の整理(数値・主要トピック一覧)

以下の表では、本記事で扱った第2四半期の主要数値、各フランチャイズのポイント、株主還元および第3四半期の見通しを整理しています。表の後に要約として締めくくりの文章を記載します。

項目 内容
2025年度第2四半期(2025年4月1日〜6月30日)
売上収益(会計基準) 1,189億円(前年同期比−3%、一定為替レートベースでは+6%)
営業利益 377億円(前年同期比−17%/一定為替レートベース−10%)
四半期利益(親会社帰属) 168億円(前年同期比−58%、2024年第2四半期は82億円の為替差益、当四半期は175億円の為替差損)
アラド戦記(PC) PC版は前年同期比+67%成長。韓国では+132%成長で過去最高四半期売上を記録。中国も二桁成長。
アラド戦記(フランチャイズ全体) 前年同期比−40%(前年にモバイルローンチがあったため)。第3四半期はフランチャイズ全体で約45%の減収を予想。
メイプルストーリー(フランチャイズ) フランチャイズ全体で前年同期比+60%。韓国版は+91%、PCカフェ占有率25%。MapleStory Worldsは前年同期比7倍超。
FC ONLINE 7周年アップデートで予想を上回る。第3四半期もイベントや施策でエンゲージメント維持を見込む。
マビノギ 『マビノギモバイル』は3月ローンチ以降好調。『Vindictus: Defying Fate』はアルファテスト成功。
シュータージャンル等 『The First Descendant』は第3四半期で約3倍の増収を見込む。『THE FINALS』は回復基調。『ARC Raiders』はSteamウィッシュリスト世界6位、リリース予定日2025/10/30。
新作開発 『Woochi the Wayfarer』はPC・コンソール向けに開発初期段階であると発表。
自己株式取得 取得上限1,000億円の方針。6月25日までに500億円相当を取得済。追加で250億円を2025/8/14〜10/31に実施、残250億円は2026年2月までに状況に応じ実施予定。
第3四半期(見通し) 売上収益1,166億円〜1,271億円、営業利益327億円〜412億円、四半期利益264億円〜328億円。為替感応度(円が1円変動)で売上8.3億円、営業利益2.3億円の影響想定。
決算説明会 2025年8月13日 17:00〜18:30(Zoomウェビナー、日本語・英語同時通訳、Q&Aは逐次通訳)。登録ページおよびIRサイトに資料とアーカイブが掲載予定。

以上の表は第2四半期の主要な数値と個々のタイトルや施策を整理したものです。本記事はネクソンが公表したプレスリリースの内容を基に作成しており、IR資料や決算説明会の情報を参照することで、さらに詳細な数値や説明を確認できます。投資判断にあたっては、同社の決算レターや決算短信等の正式資料を参照することが重要です。

関連リンクおよび会社情報は下記のとおりです。IR情報や音声アーカイブはネクソンのIRウェブサイトで提供予定です。

本稿は発表資料の要旨を整理して伝えるものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。プレスリリースの内容に基づき、数値と事実を網羅的に記載しました。

参考リンク: