5月21日刊行『スティグリッツ 資本主義と自由』3刷決定の注目書評
ベストカレンダー編集部
2025年8月8日 09:47
スティグリッツ新刊3刷決定
開催日:5月21日

ノーベル賞経済学者が描く公正で自由な社会『スティグリッツ 資本主義と自由』
株式会社東洋経済新報社が2025年5月21日に刊行した書籍『スティグリッツ 資本主義と自由』が、3刷決定となりました。この書籍は、ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・E・スティグリッツ氏によるもので、トランプ後の世界や公正な社会のあり方について深く考察しています。書評欄では、複数の新聞や雑誌で取り上げられ、多くの注目を集めています。
書評掲載情報
この書籍は、以下の新聞や雑誌において書評が掲載され、広く評価されています。
- 東京新聞(2025年5月31日、評者:根井雅弘氏)
- 読売新聞(2025年6月29日、評者:櫻川昌哉氏)
- 週刊新潮(2025年7月24日号、評者:田中秀臣氏)
- 日本経済新聞(2025年7月26日、評者:福田慎一氏)
- 毎日新聞(2025年7月26日、評者:岩間陽子氏)
- 週刊エコノミスト(2025年8月5日号、評者:上川孝夫氏)
公正な社会とは何か
本書では、自由の本質やその影響について深く考察されています。特に、自由が持つ二面性について触れられています。ある人の自由が他の人の不自由を引き起こす場合、その自由は本当に正当化されるのかという問いが投げかけられています。
著者は、オックスフォード大学の哲学者アイザイア・バーリンの言葉を引用し、「オオカミにとっての自由は、往々にしてヒツジにとっての死を意味する」と述べています。これは、自由が時に他者の権利を侵害する可能性があることを示唆しています。
自由と経済のバランス
政治的な自由と経済的な自由のバランスをどう取るべきか、特に飢えている人々にとって選挙権がどのような意味を持つのか、そして自分の潜在能力を発揮するための自由とは何かを問い直す必要があります。著者は、富裕層に課税することでその自由を奪うことが、他の人々の自由を実現する手段であるのかを考えさせます。
このように、自由の概念を再評価し、誰のための自由なのかを問い直すことが、社会の公正さに繋がるとしています。
新自由主義の限界と新たな経済システム
スティグリッツ氏は、新自由主義の欠陥を指摘し、より良い経済システムの必要性を訴えています。GDPを超える視点から、どのような経済システムが公正な社会を築くのかを考えることが重要だと述べています。
本書では、明確な回答を提示するのではなく、問いを重ねることで読者に考える枠組みを提供しています。これにより、民主主義や自由に対する理解を深め、より多くの市民の自由に寄与できる経済・政治・社会システムを探るための議論が促進されることを願っています。
書籍の主要目次
本書の内容は以下のように構成されています。
章 | タイトル |
---|---|
第1章 | 序──自由の危機 |
第2章 | 経済学者は自由をどう考えているのか? |
第3章 | ある人の自由はほかの人の不自由 |
第4章 | 強制により自由に──公共財とフリーライダー問題 |
第5章 | 一般の契約と社会契約と自由 |
第6章 | 自由と競争経済と社会正義 |
第7章 | 搾取する自由 |
第8章 | 社会的強制と社会的結束 |
第9章 | 計画的に形づくられる個人や信念 |
第10章 | 寛容と社会的連帯と自由 |
第11章 | 新自由主義的資本主義はなぜ失敗したのか? |
第12章 | 自由と主権と国家間の強制 |
第13章 | 進歩的資本主義と社会民主主義と学習する社会 |
第14章 | 民主主義と自由と社会正義と公正な社会 |
著者紹介と書籍概要
著者のジョセフ・E・スティグリッツ氏は、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者であり、クリントン政権時代の大統領経済諮問委員会の委員長や世界銀行のチーフエコノミストを務めた経験があります。現在はコロンビア大学で教鞭をとり、ルーズヴェルト研究所のチーフエコノミストとしても活動しています。
翻訳を手掛けた山田美明氏は、英語・フランス語翻訳家であり、数多くの著作を翻訳しています。
書籍の概要は以下の通りです。
- 書籍名: スティグリッツ 資本主義と自由
- 著者: ジョセフ・E・スティグリッツ
- 訳者: 山田 美明
- 定価: 3,080円(税込)
- 発売日: 2025年5月21日
- ISBN: 978-4-492-31564-4
- 体裁: 四六判/上製/512頁
- 発行元: 株式会社東洋経済新報社
本書は、自由と公正な社会のあり方について考えさせられる一冊であり、現代社会における重要なテーマを扱っています。詳細は、東洋経済ストアサイトやAmazonで確認できます。
このように、スティグリッツ氏の『資本主義と自由』は、経済学や社会問題に関心のある読者にとって、非常に価値のある書籍であると言えます。
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